165 / 246
修行
いるだけで安心
しおりを挟む
「それじゃ、水神からの許可も得た事だからな。早速始めたいと思う。いいか?」
「あ、はい!!」
水分さんの視線を追うように、水神様も俺の方を向く。こっちを向いていなかった時でさえ、体が拘束されているような感覚だったのに。こっちを向けられると、無意識に後ずさってしまう。
い、いや、ここで後ろに下がってたら駄目だ。俺は強くなるんだから。
闇命君に頼らなくても強く、そして百目達が安全に戦えるようにするんだ。ここで怯むな、俺!!!
水神を震える体で睨み返していると、感心したような声が聞こえた。手を叩く音も聞こえ、そちらを向くと水分さんが今まで見せた事がないような笑顔で俺を見ていた。
な、なんですか?
「ここで怖気付いたらそれまでと思っていたが、睨み返したかと思ってな。これは、俺も本気で指導してやろう。楽しそうだしな」
「は、はぁ…………」
なんか、怖いな。これから俺は何をやらされるのか。でも、確実に強くなるのは確かだ。
闇命君の力が無くても戦えるようになれば、作戦の幅も広がるだろう。別行動という作戦も立てられるし、なにより闇命君自身が自由に動けるようになれば、確実に有利に戦える。
頑張るぞー!!!
『ちょっと、何勝手なことを言っているの?』
「口には出しておりませんよ、闇命君」
『馬鹿なことを考えないで。僕が体に入れば君より強いけど、今の僕は何もできないんだよ。役立たずなの。だから、僕が自由に動けるようになるからって、戦況が変わるわけじゃないんだよ』
…………あれ? 何だろう。今の闇命君、なんか落ち込んでる? いや、落ち込んでいるような気がしないな。なんだろう、悲観していると言うべきかな。
「闇命様はいるだけで安心できるので、気にしなくていいと思います。いるだけで、私達は嬉しいです」
『ありがとう、夏楓』
「闇命様…………」
夏楓の言葉でも、闇命君の元気は戻らない。これは、何かあったな。何だろう、やっぱり琴平が居なくなって悲しいのだろうか。
「…………闇命君が近くにいるだけで安心するのは本当だよ。的確な指示、情報把握能力、今まで培ってきた知識。それが無ければ今までのどこかで確実に俺は死んでいたかもしれない。それがあるから、俺も夏楓も。闇命君が近くにいるだけで安心するって言っているんだよ」
肩に乗っかっている闇命君を見ながら、俺の思っていることを伝える。これは今までの実績と、単純なる思い。嘘も何もないんだよね。だって、何かあれば必ず頭に浮かぶのは、琴平か闇命君だもん。
なぜ琴平も浮かぶかというと、闇命君に言うと馬鹿にされる可能性があるから出来る限り避けていたからだ。
琴平は眉一つ変えずに丁寧に教えてくれるから、良かったんだよなぁ。
『君の心の声、僕にも聞こえているのわかる?』
「…………何か言うことあるのですか?」
『ないと思う?』
「いだだだだだだだ!! ごめんごめんごめん!!! だってだって!!! いつも嫌味言ってくるじゃん!! 避けたいと思うじゃん!! 琴平の方が優しんだもん!!!!」
首を噛んできやがった!!! めちゃくそ痛い!!!
噛まれた個所を摩っていると、肩にいる鼠姿の闇命君がさっきとは違い、なんか、呆れてる。呆れている分にはいいけどさぁ。もう…………。
元気になったみたいだからいいけど、結局さっきまでなんで落ち込んでいたのか。
謎が多いな、闇命君。俺も闇命君の心を読めたらいいんだけどさぁ。
『落ち込んでいないし、心を読んだらもう助けてあげないから』
「ごめんなさい」
闇命君の助けがないのは、俺の死を意味する。嫌味や毒舌があっても、助けてくれないと俺が困る。それくらい、闇命君は頼りになるし、これからも一緒にいてくれないとこまっ――……
『うるさい黙れ早くしろ』
「…………~~~~~~わかったよ!!!!」
もう、闇命君なんて知らない!!!
☆
まったく、何を言っているんだろうか優夏の奴。それに、心からの言葉だっていうのがわかるし、なんだったら心中聞こえているし。
嘘がついていないのもわかるし、嘘ついてもすぐに分かるし。だからこそ、今の言葉には困るんだよ、反応に。
……………………僕は、役立たずじゃないのかな。理由も一緒に言ってくれていたし、一緒にいるだけで安心すると言う言葉も嘘じゃない。
僕は、邪魔ものじゃない。一緒に居てもいいのか。
『…………ばーか』
「耳元で堂々と暴言ですか?! 聞こえているからな!!!」
……………………うるさっ。
「あ、はい!!」
水分さんの視線を追うように、水神様も俺の方を向く。こっちを向いていなかった時でさえ、体が拘束されているような感覚だったのに。こっちを向けられると、無意識に後ずさってしまう。
い、いや、ここで後ろに下がってたら駄目だ。俺は強くなるんだから。
闇命君に頼らなくても強く、そして百目達が安全に戦えるようにするんだ。ここで怯むな、俺!!!
水神を震える体で睨み返していると、感心したような声が聞こえた。手を叩く音も聞こえ、そちらを向くと水分さんが今まで見せた事がないような笑顔で俺を見ていた。
な、なんですか?
「ここで怖気付いたらそれまでと思っていたが、睨み返したかと思ってな。これは、俺も本気で指導してやろう。楽しそうだしな」
「は、はぁ…………」
なんか、怖いな。これから俺は何をやらされるのか。でも、確実に強くなるのは確かだ。
闇命君の力が無くても戦えるようになれば、作戦の幅も広がるだろう。別行動という作戦も立てられるし、なにより闇命君自身が自由に動けるようになれば、確実に有利に戦える。
頑張るぞー!!!
『ちょっと、何勝手なことを言っているの?』
「口には出しておりませんよ、闇命君」
『馬鹿なことを考えないで。僕が体に入れば君より強いけど、今の僕は何もできないんだよ。役立たずなの。だから、僕が自由に動けるようになるからって、戦況が変わるわけじゃないんだよ』
…………あれ? 何だろう。今の闇命君、なんか落ち込んでる? いや、落ち込んでいるような気がしないな。なんだろう、悲観していると言うべきかな。
「闇命様はいるだけで安心できるので、気にしなくていいと思います。いるだけで、私達は嬉しいです」
『ありがとう、夏楓』
「闇命様…………」
夏楓の言葉でも、闇命君の元気は戻らない。これは、何かあったな。何だろう、やっぱり琴平が居なくなって悲しいのだろうか。
「…………闇命君が近くにいるだけで安心するのは本当だよ。的確な指示、情報把握能力、今まで培ってきた知識。それが無ければ今までのどこかで確実に俺は死んでいたかもしれない。それがあるから、俺も夏楓も。闇命君が近くにいるだけで安心するって言っているんだよ」
肩に乗っかっている闇命君を見ながら、俺の思っていることを伝える。これは今までの実績と、単純なる思い。嘘も何もないんだよね。だって、何かあれば必ず頭に浮かぶのは、琴平か闇命君だもん。
なぜ琴平も浮かぶかというと、闇命君に言うと馬鹿にされる可能性があるから出来る限り避けていたからだ。
琴平は眉一つ変えずに丁寧に教えてくれるから、良かったんだよなぁ。
『君の心の声、僕にも聞こえているのわかる?』
「…………何か言うことあるのですか?」
『ないと思う?』
「いだだだだだだだ!! ごめんごめんごめん!!! だってだって!!! いつも嫌味言ってくるじゃん!! 避けたいと思うじゃん!! 琴平の方が優しんだもん!!!!」
首を噛んできやがった!!! めちゃくそ痛い!!!
噛まれた個所を摩っていると、肩にいる鼠姿の闇命君がさっきとは違い、なんか、呆れてる。呆れている分にはいいけどさぁ。もう…………。
元気になったみたいだからいいけど、結局さっきまでなんで落ち込んでいたのか。
謎が多いな、闇命君。俺も闇命君の心を読めたらいいんだけどさぁ。
『落ち込んでいないし、心を読んだらもう助けてあげないから』
「ごめんなさい」
闇命君の助けがないのは、俺の死を意味する。嫌味や毒舌があっても、助けてくれないと俺が困る。それくらい、闇命君は頼りになるし、これからも一緒にいてくれないとこまっ――……
『うるさい黙れ早くしろ』
「…………~~~~~~わかったよ!!!!」
もう、闇命君なんて知らない!!!
☆
まったく、何を言っているんだろうか優夏の奴。それに、心からの言葉だっていうのがわかるし、なんだったら心中聞こえているし。
嘘がついていないのもわかるし、嘘ついてもすぐに分かるし。だからこそ、今の言葉には困るんだよ、反応に。
……………………僕は、役立たずじゃないのかな。理由も一緒に言ってくれていたし、一緒にいるだけで安心すると言う言葉も嘘じゃない。
僕は、邪魔ものじゃない。一緒に居てもいいのか。
『…………ばーか』
「耳元で堂々と暴言ですか?! 聞こえているからな!!!」
……………………うるさっ。
0
お気に入りに追加
31
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。
【完結】【勇者】の称号が無かった美少年は王宮を追放されたのでのんびり異世界を謳歌する
雪雪ノ雪
ファンタジー
ある日、突然学校にいた人全員が【勇者】として召喚された。
その召喚に巻き込まれた少年柊茜は、1人だけ【勇者】の称号がなかった。
代わりにあったのは【ラグナロク】という【固有exスキル】。
それを見た柊茜は
「あー....このスキルのせいで【勇者】の称号がなかったのかー。まぁ、ス・ラ・イ・厶・に【勇者】って称号とか合わないからなぁ…」
【勇者】の称号が無かった柊茜は、王宮を追放されてしまう。
追放されてしまった柊茜は、特に慌てる事もなくのんびり異世界を謳歌する..........たぶん…....
主人公は男の娘です 基本主人公が自分を表す時は「私」と表現します
ちっちゃくなった俺の異世界攻略
鮨海
ファンタジー
あるとき神の采配により異世界へ行くことを決意した高校生の大輝は……ちっちゃくなってしまっていた!
精霊と神様からの贈り物、そして大輝の力が試される異世界の大冒険?が幕を開ける!
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった
なるとし
ファンタジー
鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。
特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。
武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。
だけど、その母と娘二人は、
とおおおおんでもないヤンデレだった……
第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。
貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた
佐藤醤油
ファンタジー
貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。
僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。
魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。
言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。
この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。
小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。
------------------------------------------------------------------
お知らせ
「転生者はめぐりあう」 始めました。
------------------------------------------------------------------
注意
作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。
感想は受け付けていません。
誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる