156 / 246
修行
似てきた
しおりを挟む
琴平との別れをし、仲間と合流。水仙家に戻り、体を休める事にした。
水分さんはなんの疑いもなく靖弥を俺達に預け、琴葉さんも笑顔で「任せたよぉ~」とどこかに行ってしまった。
今部屋にいるのは、紅音と夏楓と魔魅ちゃん、靖弥と俺の五人。
んで、何故か紅音と夏楓は俺を守るように前に座り、魔魅ちゃんは抱き着いて来ている、可愛いな。
一番この状況で怖がっているであろう靖弥は、沈黙を貫いている。
………………………………重たいなぁ、というか紅音がものすごく怖い。殺気が隠れていない。今にでも靖弥を襲いにかかりそう。
『紅音、落ち着け』
「……………………はい」
『はぁ』
お、肩に乗っていた闇命君が半透明の姿になった。紅音の前に立ち、右手を伸ばす。背伸びをして、紅音の頭に伸ばした手を乗せ――え??
「――――ッ!?」
『触れないけど、これで許してあげてよ。早く話を進めたいんだ』
「~~~~~~はい!!!」
あ、めっちゃ元気になった。ほくほくしているし、良かったね、紅音。闇命君に撫でてもらうそぶりをしてもらえて。
『さて、今日からしばらく体を休めたいと思っている。その前に、問題点を出来る限り排除したい』
闇命君が靖弥の方に振り向き、腕を組み見据えている。あまり、怖がらせないでね。
『わかっていると思うけど、僕達は優夏以外君を信用していない。自由になるのはもっと先になるから、そこだけは覚悟していてほしい』
「…………わかっている」
『それなら話は早い。それと、もう道満はお前を捨てたと思ってもいい。だから、話しても問題無いはずだ。君の今までの行動と、意味を』
闇命君の言葉に、返答はない。靖弥はさっきから口を開かないで、俯いているだけ。
『…………優夏、何とかして』
「えぇ。えっと、靖弥、話してくれる?」
いきなり俺に振られても何もできないって。普通に質問するくらいしか。まぁ、それにすら靖弥は無反応なんだけど。
『役立たず』
「うるさいよ。仕方がないだろ、こんな靖弥、今まで見た事がないんだから」
それにしても、どうしよう。話してくれなくてもいいけど、闇命君が納得してくれないだろうし。かといって、靖弥に無理やり話させるのもなぁ。
今の靖弥に無理は浅瀬たくないし、どうにか、出来ないか…………。
「…………あ」
そういえば、ここの裏手って、確か――……
☆
「優夏、どこに連れて行くつもりだ」
「いい所~」
「どこだよ…………」
「もう少しでつくよ~」
「さっきからそればっかりだな…………」
ふふ、あの光景を見たら、光のない衰弱しきっている靖弥の瞳に、少しでも光が宿てくれるだろ。多分、きっと、おそらく多分。
水仙家の裏の森の中を真っすぐ歩いていると、どんどん光が強くなってきた。あともう少しで辿り着くな、これで元気になってよ、靖弥。
「ついたよ!!!」
「ついてよって、どこにっ――……」
ふふふっ。ここは、紅音と魔魅ちゃんが一緒に花冠を作っていた場所。景色全部が黄色で、風が吹く度踊るように揺れているたんぽぽ達。
「たんぽぽ畑、綺麗でしょ?」
雲一つない晴天に、風が吹く度気持ちよさそうに舞う花弁。たんぽぽ達も皆、心地よさそうに、楽しそうにゆらりゆらりと、揺れている。
「こんな所が……」
「びっくりだよね、まさか陰陽寮の裏手がこんな風になっているなんて」
靖弥は、目の前に広がる光景に目を開き、疑問の声を漏らす。目だけはしっかりと目の前のたんぽぽ畑に向けられている。
「ねぇ、靖弥。俺は、この世界で靖弥に出会えて、怖かったし悲しかったけど、嬉しかったんだ。まぁ、嬉しかったからこそ、さすがに…………かな…………しかった…………けど…………。刀を向けられたり、お腹に刺されたり、敵意むき出しだったり――……」
「わ、悪かったって。そこはまじで、何でもするから…………」
「なら、これからは他人行儀なのやめて」
横を向いて見上げながら言うと、靖弥は何を言われたのか理解出来ず目をぱちぱちとさせている。
「……………………日本語でよろしく」
「お前の中での日本語はどれに当たるんだ。カタカナ?? 漢字? 俺は日本語しか話していないんだけど、これで理解してくれ」
「お前、今の言い方、子孫に似ていたぞ」
え、え??
「俺はあんなに嫌味ったらしい口調で言ってないよ!?」
『へぇ、それはつまり、僕の口調は嫌味ったらしいと言いたいんだね?』
「ソンナコトナイヨ」
いだだだだだだだだだ!!!!!!! 耳を噛むな耳を!!!!
「うぅ、痛い…………」
『馬鹿発言するからでしょ。それより、話を進めて』
「誰のせいだと思って…………」
『自分のせいでしょ?? なに人のせいにしようとしているのさ、責任転換やめてくれる??』
「…………はい」
……………………やっぱり、勝てない。クソ。
水分さんはなんの疑いもなく靖弥を俺達に預け、琴葉さんも笑顔で「任せたよぉ~」とどこかに行ってしまった。
今部屋にいるのは、紅音と夏楓と魔魅ちゃん、靖弥と俺の五人。
んで、何故か紅音と夏楓は俺を守るように前に座り、魔魅ちゃんは抱き着いて来ている、可愛いな。
一番この状況で怖がっているであろう靖弥は、沈黙を貫いている。
………………………………重たいなぁ、というか紅音がものすごく怖い。殺気が隠れていない。今にでも靖弥を襲いにかかりそう。
『紅音、落ち着け』
「……………………はい」
『はぁ』
お、肩に乗っていた闇命君が半透明の姿になった。紅音の前に立ち、右手を伸ばす。背伸びをして、紅音の頭に伸ばした手を乗せ――え??
「――――ッ!?」
『触れないけど、これで許してあげてよ。早く話を進めたいんだ』
「~~~~~~はい!!!」
あ、めっちゃ元気になった。ほくほくしているし、良かったね、紅音。闇命君に撫でてもらうそぶりをしてもらえて。
『さて、今日からしばらく体を休めたいと思っている。その前に、問題点を出来る限り排除したい』
闇命君が靖弥の方に振り向き、腕を組み見据えている。あまり、怖がらせないでね。
『わかっていると思うけど、僕達は優夏以外君を信用していない。自由になるのはもっと先になるから、そこだけは覚悟していてほしい』
「…………わかっている」
『それなら話は早い。それと、もう道満はお前を捨てたと思ってもいい。だから、話しても問題無いはずだ。君の今までの行動と、意味を』
闇命君の言葉に、返答はない。靖弥はさっきから口を開かないで、俯いているだけ。
『…………優夏、何とかして』
「えぇ。えっと、靖弥、話してくれる?」
いきなり俺に振られても何もできないって。普通に質問するくらいしか。まぁ、それにすら靖弥は無反応なんだけど。
『役立たず』
「うるさいよ。仕方がないだろ、こんな靖弥、今まで見た事がないんだから」
それにしても、どうしよう。話してくれなくてもいいけど、闇命君が納得してくれないだろうし。かといって、靖弥に無理やり話させるのもなぁ。
今の靖弥に無理は浅瀬たくないし、どうにか、出来ないか…………。
「…………あ」
そういえば、ここの裏手って、確か――……
☆
「優夏、どこに連れて行くつもりだ」
「いい所~」
「どこだよ…………」
「もう少しでつくよ~」
「さっきからそればっかりだな…………」
ふふ、あの光景を見たら、光のない衰弱しきっている靖弥の瞳に、少しでも光が宿てくれるだろ。多分、きっと、おそらく多分。
水仙家の裏の森の中を真っすぐ歩いていると、どんどん光が強くなってきた。あともう少しで辿り着くな、これで元気になってよ、靖弥。
「ついたよ!!!」
「ついてよって、どこにっ――……」
ふふふっ。ここは、紅音と魔魅ちゃんが一緒に花冠を作っていた場所。景色全部が黄色で、風が吹く度踊るように揺れているたんぽぽ達。
「たんぽぽ畑、綺麗でしょ?」
雲一つない晴天に、風が吹く度気持ちよさそうに舞う花弁。たんぽぽ達も皆、心地よさそうに、楽しそうにゆらりゆらりと、揺れている。
「こんな所が……」
「びっくりだよね、まさか陰陽寮の裏手がこんな風になっているなんて」
靖弥は、目の前に広がる光景に目を開き、疑問の声を漏らす。目だけはしっかりと目の前のたんぽぽ畑に向けられている。
「ねぇ、靖弥。俺は、この世界で靖弥に出会えて、怖かったし悲しかったけど、嬉しかったんだ。まぁ、嬉しかったからこそ、さすがに…………かな…………しかった…………けど…………。刀を向けられたり、お腹に刺されたり、敵意むき出しだったり――……」
「わ、悪かったって。そこはまじで、何でもするから…………」
「なら、これからは他人行儀なのやめて」
横を向いて見上げながら言うと、靖弥は何を言われたのか理解出来ず目をぱちぱちとさせている。
「……………………日本語でよろしく」
「お前の中での日本語はどれに当たるんだ。カタカナ?? 漢字? 俺は日本語しか話していないんだけど、これで理解してくれ」
「お前、今の言い方、子孫に似ていたぞ」
え、え??
「俺はあんなに嫌味ったらしい口調で言ってないよ!?」
『へぇ、それはつまり、僕の口調は嫌味ったらしいと言いたいんだね?』
「ソンナコトナイヨ」
いだだだだだだだだだ!!!!!!! 耳を噛むな耳を!!!!
「うぅ、痛い…………」
『馬鹿発言するからでしょ。それより、話を進めて』
「誰のせいだと思って…………」
『自分のせいでしょ?? なに人のせいにしようとしているのさ、責任転換やめてくれる??』
「…………はい」
……………………やっぱり、勝てない。クソ。
0
お気に入りに追加
31
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
ドアマットヒロインはごめん被るので、元凶を蹴落とすことにした
月白ヤトヒコ
ファンタジー
お母様が亡くなった。
それから程なくして――――
お父様が屋敷に見知らぬ母子を連れて来た。
「はじめまして! あなたが、あたしのおねえちゃんになるの?」
にっこりとわたくしを見やるその瞳と髪は、お父様とそっくりな色をしている。
「わ~、おねえちゃんキレイなブローチしてるのね! いいなぁ」
そう、新しい妹? が、言った瞬間・・・
頭の中を、凄まじい情報が巡った。
これ、なんでも奪って行く異母妹と家族に虐げられるドアマット主人公の話じゃね?
ドアマットヒロイン……物語の主人公としての、奪われる人生の、最初の一手。
だから、わたしは・・・よし、とりあえず馬鹿なことを言い出したこのアホをぶん殴っておこう。
ドアマットヒロインはごめん被るので、これからビシバシ躾けてやるか。
ついでに、「政略に使うための駒として娘を必要とし、そのついでに母親を、娘の世話係としてただで扱き使える女として連れて来たものかと」
そう言って、ヒロインのクズ親父と異母妹の母親との間に亀裂を入れることにする。
フハハハハハハハ! これで、異母妹の母親とこの男が仲良くわたしを虐げることはないだろう。ドアマットフラグを一つ折ってやったわっ!
うん? ドアマットヒロインを拾って溺愛するヒーローはどうなったかって?
そんなの知らん。
設定はふわっと。
(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。
【完結】【勇者】の称号が無かった美少年は王宮を追放されたのでのんびり異世界を謳歌する
雪雪ノ雪
ファンタジー
ある日、突然学校にいた人全員が【勇者】として召喚された。
その召喚に巻き込まれた少年柊茜は、1人だけ【勇者】の称号がなかった。
代わりにあったのは【ラグナロク】という【固有exスキル】。
それを見た柊茜は
「あー....このスキルのせいで【勇者】の称号がなかったのかー。まぁ、ス・ラ・イ・厶・に【勇者】って称号とか合わないからなぁ…」
【勇者】の称号が無かった柊茜は、王宮を追放されてしまう。
追放されてしまった柊茜は、特に慌てる事もなくのんびり異世界を謳歌する..........たぶん…....
主人公は男の娘です 基本主人公が自分を表す時は「私」と表現します
ちっちゃくなった俺の異世界攻略
鮨海
ファンタジー
あるとき神の采配により異世界へ行くことを決意した高校生の大輝は……ちっちゃくなってしまっていた!
精霊と神様からの贈り物、そして大輝の力が試される異世界の大冒険?が幕を開ける!
貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた
佐藤醤油
ファンタジー
貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。
僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。
魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。
言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。
この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。
小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。
------------------------------------------------------------------
お知らせ
「転生者はめぐりあう」 始めました。
------------------------------------------------------------------
注意
作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。
感想は受け付けていません。
誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。
特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった
なるとし
ファンタジー
鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。
特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。
武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。
だけど、その母と娘二人は、
とおおおおんでもないヤンデレだった……
第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる