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暴走と涙
氷の柱
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道満が拳を振るえば、水分は受け流し、すぐさま次の行動に。片足を軸に、もう片方の足を蹴り上げる。だが、すぐに距離を取られ避けられた。
さっきまでは目が慣れていなかったから追いかけられなかったけど、今はなんとなく見る事が出来てきた。琴平も目で追う事が出来てきたみたい、動く機会をうかがっている。
っ、水分が僕達が動いたことに気づいた。でも、それと同時に道満も気づいてしまったみたい。
二人が距離を取ってしまった。もしかして、僕達が動き出したからやめてしまったのか?
やっぱり、人数の差は道満でも考えるのかな。でも、そうだとしたら、なんでセイヤを優夏と一緒に落としたんだ。セイヤが居れば、この状況、確実にこっちが不利になる。
「…………お主らに興味はない、子孫も今頃どうなっているか。今は水仙家の頭との戦いを楽しんでおる。邪魔はやめてもらおうか」
「俺は楽しくないからやりたくねぇんだよ、助けてくれ安倍家御一行」
本当に情けないことを普通に言うよね、水分。いや、今までもそうだったけど、自分に素直すぎる。
助けたいのはやまやまだけど、あんたが主軸に動かなければこっちとしては動くにも動けないんだよ。いつもの連携が出来ないからね、こっちは――……。
「『氷柱女房、怒りの礫で蘆屋道満の動きを封じよ。急急如律令』」
琴平がいち早く動き出し、氷柱女房に指示を出した。すぐさま主の命に従うべく、氷柱女房が道満へと向かって行く。
途中、道満はなにかの式神を出そうと手を懐に入れた。でも、それを許すほどこっちだって甘くない。
「させん」
紅音が氷の薙刀を片手で持ち走り出す。最初は横一線に薙ぎ払い道満の動きを制限、すぐに体を回転させ、遠心力を利用し斬りつける。だが、それも後ろに跳ばれてしまい避けられた。
でも、時間は稼げた。道満の頭上に氷柱女房はたどり着くことができ、片手を横に広げる。周りに大粒の氷が複数作りだされた。
『主の命により、貴方を処分させていただきます』
高く、透き通るような声で言い放った氷柱女房。右手を前に出し、氷の礫を道満に向けて勢いよく放たれた。
最初は避けていた道満だが、次々と放たれる氷の礫を避け切る事が出来なくなっている。腕、足、肩。徐々に掠り始めた為、これは時間の問題。
琴平はお札に法力を送り続け、氷の礫を切らさぬよう氷柱女房も集中している。紅音も隙を見て駆けるつもりらしく、両手で薙刀を構えていた。
「…………小癪な」
低く、ドスのある声。何か始める雰囲気だな。
『琴平、紅音、注意』
「「了解」」
水分も何かを感じ取ったのか、僕の言葉に一瞬こちらを向くが、すぐに視線を道満に戻した。
懐に入れた手には、一枚のお札。式神か?
「『水妖、氷の主、氷柱女房の扶助せよ。急急如律令』」
水分の手にしている札が光り始める。すると、前方の地面から先が透き通るような水が渦を巻きながら現れた。
数秒後、水が勢いよく弾けれ、中から綺麗な女性。水妖が姿を現した。
『主の、仰せのままに』
「まかせた」
短い指示、瞬時に理解した水妖は頭を下げ氷柱女房の後ろに。お互い式神同士でも思いはあるからか、目を合わせ頷き合った。
利害は一致しているから、すぐさま道満を見下ろす。
細く、白い腕を前に出し、水妖は地面から水を渦のように出現させる。水の竜巻のように、何本も柱のような水の渦が作りだされた。
『こんな力、水妖にあったか?』
「俺が今いつもより多くの法力を送り込んでいるから、あんだけの力を出せてるだけだ。結構きつい、早く終わらせてくれ」
やっぱり、陰陽頭の器輪あるという事か。
よし、今の状況はこちらに有利。道満もそれはわかっているからか、むやみに動こうとはせず、目を細め見定めている。
っ、琴平が僕の方に視線を送ってきた。
『…………うん』
琴平は紅音を軸に道満を倒そうとしている。殺さずに、捕らえたいという事か。僕的には殺した方がいいと思うんだけど、何も情報を抜き取らないうちに終わらせるのも、今後の旅に影響で出そうだ気やめておいた方がいいだろう。
琴平に頷き、僕の反応の確認後、紅音の方を見る。すぐに察した紅音も頷き、二人は道満に狙いを定めた。
「頼むぞ、紅音」
「あぁ」
紅音が動き出した。
地面を強く蹴り、直進に走り出す。道満の前まで一瞬で移動、振り上げた薙刀を真っすぐ道満にたたきつけた。
―――――ガキン
道満は腰に刺していた刀を引き抜き、眼前で受け止める。鉄同士がぶつかる大きな音が響き、周りに立ち上っている水の柱が動き出した。
紅音は時機を見計らい、後に飛んだ。水の柱は道満を包み込む、少しの間も開けず琴平が氷柱女房に指示。白い息を吹きかけ、水の柱を凍らせた。
簡易的な凍りの柱が出来上がり、中には人影。捕まえる事が、できた…………のか?
さっきまでは目が慣れていなかったから追いかけられなかったけど、今はなんとなく見る事が出来てきた。琴平も目で追う事が出来てきたみたい、動く機会をうかがっている。
っ、水分が僕達が動いたことに気づいた。でも、それと同時に道満も気づいてしまったみたい。
二人が距離を取ってしまった。もしかして、僕達が動き出したからやめてしまったのか?
やっぱり、人数の差は道満でも考えるのかな。でも、そうだとしたら、なんでセイヤを優夏と一緒に落としたんだ。セイヤが居れば、この状況、確実にこっちが不利になる。
「…………お主らに興味はない、子孫も今頃どうなっているか。今は水仙家の頭との戦いを楽しんでおる。邪魔はやめてもらおうか」
「俺は楽しくないからやりたくねぇんだよ、助けてくれ安倍家御一行」
本当に情けないことを普通に言うよね、水分。いや、今までもそうだったけど、自分に素直すぎる。
助けたいのはやまやまだけど、あんたが主軸に動かなければこっちとしては動くにも動けないんだよ。いつもの連携が出来ないからね、こっちは――……。
「『氷柱女房、怒りの礫で蘆屋道満の動きを封じよ。急急如律令』」
琴平がいち早く動き出し、氷柱女房に指示を出した。すぐさま主の命に従うべく、氷柱女房が道満へと向かって行く。
途中、道満はなにかの式神を出そうと手を懐に入れた。でも、それを許すほどこっちだって甘くない。
「させん」
紅音が氷の薙刀を片手で持ち走り出す。最初は横一線に薙ぎ払い道満の動きを制限、すぐに体を回転させ、遠心力を利用し斬りつける。だが、それも後ろに跳ばれてしまい避けられた。
でも、時間は稼げた。道満の頭上に氷柱女房はたどり着くことができ、片手を横に広げる。周りに大粒の氷が複数作りだされた。
『主の命により、貴方を処分させていただきます』
高く、透き通るような声で言い放った氷柱女房。右手を前に出し、氷の礫を道満に向けて勢いよく放たれた。
最初は避けていた道満だが、次々と放たれる氷の礫を避け切る事が出来なくなっている。腕、足、肩。徐々に掠り始めた為、これは時間の問題。
琴平はお札に法力を送り続け、氷の礫を切らさぬよう氷柱女房も集中している。紅音も隙を見て駆けるつもりらしく、両手で薙刀を構えていた。
「…………小癪な」
低く、ドスのある声。何か始める雰囲気だな。
『琴平、紅音、注意』
「「了解」」
水分も何かを感じ取ったのか、僕の言葉に一瞬こちらを向くが、すぐに視線を道満に戻した。
懐に入れた手には、一枚のお札。式神か?
「『水妖、氷の主、氷柱女房の扶助せよ。急急如律令』」
水分の手にしている札が光り始める。すると、前方の地面から先が透き通るような水が渦を巻きながら現れた。
数秒後、水が勢いよく弾けれ、中から綺麗な女性。水妖が姿を現した。
『主の、仰せのままに』
「まかせた」
短い指示、瞬時に理解した水妖は頭を下げ氷柱女房の後ろに。お互い式神同士でも思いはあるからか、目を合わせ頷き合った。
利害は一致しているから、すぐさま道満を見下ろす。
細く、白い腕を前に出し、水妖は地面から水を渦のように出現させる。水の竜巻のように、何本も柱のような水の渦が作りだされた。
『こんな力、水妖にあったか?』
「俺が今いつもより多くの法力を送り込んでいるから、あんだけの力を出せてるだけだ。結構きつい、早く終わらせてくれ」
やっぱり、陰陽頭の器輪あるという事か。
よし、今の状況はこちらに有利。道満もそれはわかっているからか、むやみに動こうとはせず、目を細め見定めている。
っ、琴平が僕の方に視線を送ってきた。
『…………うん』
琴平は紅音を軸に道満を倒そうとしている。殺さずに、捕らえたいという事か。僕的には殺した方がいいと思うんだけど、何も情報を抜き取らないうちに終わらせるのも、今後の旅に影響で出そうだ気やめておいた方がいいだろう。
琴平に頷き、僕の反応の確認後、紅音の方を見る。すぐに察した紅音も頷き、二人は道満に狙いを定めた。
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「あぁ」
紅音が動き出した。
地面を強く蹴り、直進に走り出す。道満の前まで一瞬で移動、振り上げた薙刀を真っすぐ道満にたたきつけた。
―――――ガキン
道満は腰に刺していた刀を引き抜き、眼前で受け止める。鉄同士がぶつかる大きな音が響き、周りに立ち上っている水の柱が動き出した。
紅音は時機を見計らい、後に飛んだ。水の柱は道満を包み込む、少しの間も開けず琴平が氷柱女房に指示。白い息を吹きかけ、水の柱を凍らせた。
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