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暴走と涙
再び
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考える時間はない。呪吸の儀を行うのならまず式神の準備。前回は事前準備しっかりできたけど、今回は何も出来ていないから確率は低いかもしれない。
でも、やるしかない。前と同じく、お札を取り出し集中。
「っ!」
目を閉じた時、羽織の少女が俺に向かって走り出した。いきなりなんだ、まるで何かから逃げるようにこっちの来る。
「助けてぇぇぇええ!!!」
顔まで黒く染まってしまった肌、赤く染まる瞳。苦痛で歪めている顔がどんどん近づいて来る。
ほとんどホラーだよ、これ!!!
「闇命様に近づくな!! 『氷柱女房、氷の刃を解き放て、急急如律令』」
瞬時に琴平が自身の式神、氷柱女房を繰り出した。すぐさま氷柱を複数作りだし、少女に向けて放つ。それは少女を突き刺そうとするわけではなく、道を制限するように地面に突き刺さった。
道を絶たれた少女は、足を止め立ち止まる。それでも手を伸ばし、俺達に縋ってきた。相当苦しいのか見境なし、このままだと本当に呪いによって死んでしまうかもしれない。
琴平が時間を稼稼いでいる時に。今、集中する。
「『呪いの根源、忌まわしき魔術よ。今ここで、我の力の糧となれ。呪吸の儀。急急如律令』」
お札が俺の祝詞に合わせ光り出す。前は時間がかかっていたけど、今回はなるべく早く式神を出させなければならない。前のように時間がないんだ。
「だすげでぇぇぇぇぇえぇええ!!!!」
分かっている、助けるから、助けてやるから!! 今だけは、耐えてくれよ頼むから!!!
どんどん光が強くなるお札、前回より強さが増すのが早い。不安が無いからなのか、一度成功しているから安心も出来ている。
「……………………ん?」
目の端に映る紅音が何かに気づき、視線を周りにさ迷わせ始めた。だが、今の俺には紅音を気にする余裕はない。琴平が近づき何かを話しているから問題はないだろう。
もう少しで、式神が完成する。
その時――……
「っ、優夏!!!!!!」
――――――――――え
俺の身体が紅音によって後ろに引っ張られる。目に映ったのは、上から下に伸びた光の線。手に持っていたお札が、今の光の線によって破かれてしまった。
―――――ドテッ
「いてて…………、一体何が…………」
紅音と共に地面に倒れ込んでしまった。すぐに体を起こし前を見ると、地面に刺さっているのは―――――刀。
一瞬しか見る事が出来なかったから光線的な物かと思ったけど、刀だったのか。でも、上から刀が降ってくるなんて。確実に俺を狙った角度、タイミング。
今回は紅音のおかげで本当に助かった。集中していたから気づかなかったな。でも、せっかくあともう少しだったお札が破かれてしまった。また、最初から集中しなければならない。
「ダズゲテグレェェェェエエ。カユイ。カユイ!! アツイィィィィイイ」
もう、少女の身体が持たない。さっきより肌がただれている、時間がない。早く、早くさっきの続きをしないと。
お札を取り出そうと懐に手を入れた時、上から聞き覚えのある男性の声。
どこから現れたのかわからないが、上から一人の男性が降り立った。地面に突き刺さっている刀に手を伸ばし、引き抜く。黒い羽織が俺の視界を覆った。
「……――靖弥」
「……………………」
俺を見てくる男性、元の世界では俺の友人だった人物。今では、何をしたいのかわからない。
「靖弥、なんで邪魔をするの。ほっといたらその子が死んじゃうんだよ!?」
「そのまま死なせておけばいい。このような事を頼んだ覚えはない」
「どういうこっ――……」
”頼んだ覚えはない”? こいつ、今そんなこと言ったよな。
「お前は、あの少女に何か言ったのか? 何をお願いしたんだ?」
「関係ない」
「俺――いや、闇命君の身体が狙いなんだろ? なら、俺も関係ある。それに、今は聞きたいことが沢山あるんだ。質問一つ目で、そこまで拒まれたくはないんだけど」
「どんな質問でも答える義理はない」
淡々としているな。それにしても、なんで今姿を現した。そこまでして、少女の浄化を拒みたい理由があるのか。
ゆっくり聞きたいけど、本当に今は時間がない。後ろから今だ苦し気な声が聞こえてくる、琴平達もどうすればいいのか悩んでいるみたいだ
「…………悪いけど、本当に急がないといけないんだ。話は後でゆっくり聞かせてもらうからね!! 結界!!!」
人差し指と中指を立て、下から上に振り上げる。指先に集中し、結界を張って靖弥の動きを封じた。
ここで法力を使うのは惜しいが、仕方がない。こうでもしないと、今の靖弥は止められない。
再度振り向き、少女に向けて呪吸の儀を――……
「この程度か、天才の身体を持っていても、やはりお前は平凡な男子高校生だな」
「―――――――――え」
――――――――――パリン!!!!!!
でも、やるしかない。前と同じく、お札を取り出し集中。
「っ!」
目を閉じた時、羽織の少女が俺に向かって走り出した。いきなりなんだ、まるで何かから逃げるようにこっちの来る。
「助けてぇぇぇええ!!!」
顔まで黒く染まってしまった肌、赤く染まる瞳。苦痛で歪めている顔がどんどん近づいて来る。
ほとんどホラーだよ、これ!!!
「闇命様に近づくな!! 『氷柱女房、氷の刃を解き放て、急急如律令』」
瞬時に琴平が自身の式神、氷柱女房を繰り出した。すぐさま氷柱を複数作りだし、少女に向けて放つ。それは少女を突き刺そうとするわけではなく、道を制限するように地面に突き刺さった。
道を絶たれた少女は、足を止め立ち止まる。それでも手を伸ばし、俺達に縋ってきた。相当苦しいのか見境なし、このままだと本当に呪いによって死んでしまうかもしれない。
琴平が時間を稼稼いでいる時に。今、集中する。
「『呪いの根源、忌まわしき魔術よ。今ここで、我の力の糧となれ。呪吸の儀。急急如律令』」
お札が俺の祝詞に合わせ光り出す。前は時間がかかっていたけど、今回はなるべく早く式神を出させなければならない。前のように時間がないんだ。
「だすげでぇぇぇぇぇえぇええ!!!!」
分かっている、助けるから、助けてやるから!! 今だけは、耐えてくれよ頼むから!!!
どんどん光が強くなるお札、前回より強さが増すのが早い。不安が無いからなのか、一度成功しているから安心も出来ている。
「……………………ん?」
目の端に映る紅音が何かに気づき、視線を周りにさ迷わせ始めた。だが、今の俺には紅音を気にする余裕はない。琴平が近づき何かを話しているから問題はないだろう。
もう少しで、式神が完成する。
その時――……
「っ、優夏!!!!!!」
――――――――――え
俺の身体が紅音によって後ろに引っ張られる。目に映ったのは、上から下に伸びた光の線。手に持っていたお札が、今の光の線によって破かれてしまった。
―――――ドテッ
「いてて…………、一体何が…………」
紅音と共に地面に倒れ込んでしまった。すぐに体を起こし前を見ると、地面に刺さっているのは―――――刀。
一瞬しか見る事が出来なかったから光線的な物かと思ったけど、刀だったのか。でも、上から刀が降ってくるなんて。確実に俺を狙った角度、タイミング。
今回は紅音のおかげで本当に助かった。集中していたから気づかなかったな。でも、せっかくあともう少しだったお札が破かれてしまった。また、最初から集中しなければならない。
「ダズゲテグレェェェェエエ。カユイ。カユイ!! アツイィィィィイイ」
もう、少女の身体が持たない。さっきより肌がただれている、時間がない。早く、早くさっきの続きをしないと。
お札を取り出そうと懐に手を入れた時、上から聞き覚えのある男性の声。
どこから現れたのかわからないが、上から一人の男性が降り立った。地面に突き刺さっている刀に手を伸ばし、引き抜く。黒い羽織が俺の視界を覆った。
「……――靖弥」
「……………………」
俺を見てくる男性、元の世界では俺の友人だった人物。今では、何をしたいのかわからない。
「靖弥、なんで邪魔をするの。ほっといたらその子が死んじゃうんだよ!?」
「そのまま死なせておけばいい。このような事を頼んだ覚えはない」
「どういうこっ――……」
”頼んだ覚えはない”? こいつ、今そんなこと言ったよな。
「お前は、あの少女に何か言ったのか? 何をお願いしたんだ?」
「関係ない」
「俺――いや、闇命君の身体が狙いなんだろ? なら、俺も関係ある。それに、今は聞きたいことが沢山あるんだ。質問一つ目で、そこまで拒まれたくはないんだけど」
「どんな質問でも答える義理はない」
淡々としているな。それにしても、なんで今姿を現した。そこまでして、少女の浄化を拒みたい理由があるのか。
ゆっくり聞きたいけど、本当に今は時間がない。後ろから今だ苦し気な声が聞こえてくる、琴平達もどうすればいいのか悩んでいるみたいだ
「…………悪いけど、本当に急がないといけないんだ。話は後でゆっくり聞かせてもらうからね!! 結界!!!」
人差し指と中指を立て、下から上に振り上げる。指先に集中し、結界を張って靖弥の動きを封じた。
ここで法力を使うのは惜しいが、仕方がない。こうでもしないと、今の靖弥は止められない。
再度振り向き、少女に向けて呪吸の儀を――……
「この程度か、天才の身体を持っていても、やはりお前は平凡な男子高校生だな」
「―――――――――え」
――――――――――パリン!!!!!!
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