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呪吸の義
呪いのはじき出し
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女性はやっぱり、闇命君の予想通り水歌村の人だったみたい。かけられた呪いは”徐々に屍人に近付いて行く”もの。
屍人に近付くという事は、死に近づいているのと同じ。徐々に死が近づいていると言われたら、助かるために俺を殺そうとしても仕方がない。
「本当に、呪いを浄化してくださるのですか?」
『浄化は色々準備をしないといけないからめんどくさい、却下』
「理由おかしくない? 闇命君』
「めんどくさいのは仕方がない。だから、呪いをはじき出す事を考えようか」
ん? はじき出す? どういう事?
『女の体内にある呪いを外に出し、他に移らせるって事』
「え、それって、女性以外の人が犠牲になるんじゃないの?」
『僕をあんたと同じにしないで。底も考えているから』
「ハイハイ」
まったく、こんな言い方しか出来ないのか本当に。他の言い方を考えてくれればいいのに、鳴れたからいいけどさ。
「…………ねぇ、もしかしてだけど」
『君がやるの。もういい加減慣れなよ。琴平もたぶんできるけど、また違う事をお願いしたいし、君以外できる人がいない。やり方は教えるから成功させて』
「…………ちなみにれんし――」
『なし』
練習すらなしですか。というか、最後まで言わせてくれないのですね。頑張りますよ、怖いなぁ。
「では、俺はまだ村の中を――……」
「『駄目』」
「…………………………………………はい」
琴平を一人にするわけないでしょ。今は本当に何が起きても不思議ではない状況、件の予言通りになるのが今日の夜かもしれない。
琴平が肩を落として落ち込んでいるけど、そんな顔しても駄目。絶対に、琴平を一人にしないし、何があっても守る。
…………守られてばかりだけどさ。
☆
女性を連れ、部屋に戻る。紅音達が魔魅ちゃんと一緒に遊んでくれていたみたい。お手玉とかあったんだ、どこにあったんだ?
「お帰りなさい、そちらの方は?」
「色々あってな。今女性には呪いがかけられているから、はじき出すためひとまず連れてきた」
「呪い?」
楓夏達に先ほど森であった出来事を軽く説明。闇命君の身体が狙われたことを知るや否や、紅音が「許さぬ」と女性に拳を振るった時はさすがにみんなで止めた。
「なるほど。確かにそれだと闇命様が行うのが一番確実ですね。命がかかわる事ですし、我々では力不足かと」
「今は闇命君であって、闇命君じゃないんだよ。夏楓…………」
「あ、え、っと…………。だ、大丈夫ですよ優夏さん!! 優夏さんもこの世界に慣れてきましたし、練習すれば何とかなります!!」
「ありがとう、夏楓…………」
もう、優しいな、夏楓…………。だが、この人の命が俺にかかっているような言い方は、さすがに今の俺を苦しめる。
俺、出来るのか? やれるのか? 今まで結構失敗してきているけど、何とかなるのか?
いや、この体は闇命君の身体だ。大丈夫だ。信じろ、闇命君の身体を。信じろ、自分の力を。
「呪いをはじき出すには、貴方にはまず体を清め、夜まで座禅を組んでいただきたい。今回行うのは、無理やり呪いを吐き出す事。体への負担は大きい。早く殺してほしいと思う程く苦しく、辛い時間を過ごす事になる。それに耐えるため、少しでも座禅を組み、精神を集中していただきたいんだが、いいか?」
「は、はい…………」
女性は琴平の指示を聞くと、夏楓と共に部屋を出て行った。体を清めるという事は、多分お風呂だな。それか水浴び?
『それじゃ、こっちはこっちで準備を始めようか。一回で覚えてね』
「………………………………はい」
これ、俺一回で覚えられなかったら死ぬ奴なのか? 死ぬ気で覚えよう。
屍人に近付くという事は、死に近づいているのと同じ。徐々に死が近づいていると言われたら、助かるために俺を殺そうとしても仕方がない。
「本当に、呪いを浄化してくださるのですか?」
『浄化は色々準備をしないといけないからめんどくさい、却下』
「理由おかしくない? 闇命君』
「めんどくさいのは仕方がない。だから、呪いをはじき出す事を考えようか」
ん? はじき出す? どういう事?
『女の体内にある呪いを外に出し、他に移らせるって事』
「え、それって、女性以外の人が犠牲になるんじゃないの?」
『僕をあんたと同じにしないで。底も考えているから』
「ハイハイ」
まったく、こんな言い方しか出来ないのか本当に。他の言い方を考えてくれればいいのに、鳴れたからいいけどさ。
「…………ねぇ、もしかしてだけど」
『君がやるの。もういい加減慣れなよ。琴平もたぶんできるけど、また違う事をお願いしたいし、君以外できる人がいない。やり方は教えるから成功させて』
「…………ちなみにれんし――」
『なし』
練習すらなしですか。というか、最後まで言わせてくれないのですね。頑張りますよ、怖いなぁ。
「では、俺はまだ村の中を――……」
「『駄目』」
「…………………………………………はい」
琴平を一人にするわけないでしょ。今は本当に何が起きても不思議ではない状況、件の予言通りになるのが今日の夜かもしれない。
琴平が肩を落として落ち込んでいるけど、そんな顔しても駄目。絶対に、琴平を一人にしないし、何があっても守る。
…………守られてばかりだけどさ。
☆
女性を連れ、部屋に戻る。紅音達が魔魅ちゃんと一緒に遊んでくれていたみたい。お手玉とかあったんだ、どこにあったんだ?
「お帰りなさい、そちらの方は?」
「色々あってな。今女性には呪いがかけられているから、はじき出すためひとまず連れてきた」
「呪い?」
楓夏達に先ほど森であった出来事を軽く説明。闇命君の身体が狙われたことを知るや否や、紅音が「許さぬ」と女性に拳を振るった時はさすがにみんなで止めた。
「なるほど。確かにそれだと闇命様が行うのが一番確実ですね。命がかかわる事ですし、我々では力不足かと」
「今は闇命君であって、闇命君じゃないんだよ。夏楓…………」
「あ、え、っと…………。だ、大丈夫ですよ優夏さん!! 優夏さんもこの世界に慣れてきましたし、練習すれば何とかなります!!」
「ありがとう、夏楓…………」
もう、優しいな、夏楓…………。だが、この人の命が俺にかかっているような言い方は、さすがに今の俺を苦しめる。
俺、出来るのか? やれるのか? 今まで結構失敗してきているけど、何とかなるのか?
いや、この体は闇命君の身体だ。大丈夫だ。信じろ、闇命君の身体を。信じろ、自分の力を。
「呪いをはじき出すには、貴方にはまず体を清め、夜まで座禅を組んでいただきたい。今回行うのは、無理やり呪いを吐き出す事。体への負担は大きい。早く殺してほしいと思う程く苦しく、辛い時間を過ごす事になる。それに耐えるため、少しでも座禅を組み、精神を集中していただきたいんだが、いいか?」
「は、はい…………」
女性は琴平の指示を聞くと、夏楓と共に部屋を出て行った。体を清めるという事は、多分お風呂だな。それか水浴び?
『それじゃ、こっちはこっちで準備を始めようか。一回で覚えてね』
「………………………………はい」
これ、俺一回で覚えられなかったら死ぬ奴なのか? 死ぬ気で覚えよう。
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