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水仙家
等価交換
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「んで、話を聞いたお前らは今後どうするつもりだ? 俺に迷惑をかけないのなら好きにしてくれて構わん」
『ふーん。今の話は個人的に気なるし、調べたいと思っている。ここに滞在したいと考えているんだけど、それは構わないの?』
「等価交換」
『しょうがないから協力はしてあげるよ。確かにただでという訳にはいかないしね』
「それなら構わん、好きにしろ」
あ、少しだけ笑った。笑う事も出来るんだこの人、いつも不機嫌そうな顔しか見ていなかったからなんか意外。
「んじゃ、お前らも長旅だったのか知らんが、今は体を休めろよ。すぐに事を始めようとしても、うまく行く訳がないからな」
『そうさせてもらいたいけど、一つだけ情報共有がしたい』
「何だ?」
『七人ミサキについて、何か情報入ってる?』
あ、眉を顰めた。という事は、情報は耳に入っているんだな。
「会ったのか?」
『僕達は会っていないよ。会った人を見つけただけ』
「その人は今どこに?」
『漆家に預けている』
「漆家だと? あそこは呪いを生業としているだろ。あんな、人の負が集まったような場所に預けて大丈夫なのかよ」
『漆家を知っているの?』
「知っているもなにもなぁ。まぁ、等価交換している相手が漆家にいるんだ。情報位は入る」
『それって誰?』
「言ってもわからんだろ。お前も他の陰陽寮の内部は知らんだろうし』
あ、闇命君がふてくされた。確かにって思っている顔だな、さすがに大人には叶わないか、ププッ。
「ひっ、ご、めんなさい」
闇命君が睨んできた!! めっちゃ怖かったんだけど!! 子供が殺気を放つなよ!!!
「はぁ。えっと、その等価交換した人物の位は聞いてもいいですか?」
「なぜだ?」
「もし位の高い人なのだとしたら話を聞きたいと思って。漆家についてどう思っているのか。今までの漆家に対し思う所はなかったのか」
魔魅ちゃんを陰陽頭にしていたり、周りからの視線や態度など。内部について何も思わなかったのか。
「なるほどな。等価交換した奴は漆家の陰陽助だ」
「え、陰陽助って、女にだらしなく陰陽寮をよくいなくなるっていう、あの陰陽助?」
「良く知ってんじゃねぇか」
否定しないのかい。
「確かに性格はめんどくさいし関わるのは正直避けたい人種だ。だが、実力は本物。陰陽頭である俺より実力は上で、誰よりも強いと俺は思っている」
「え、そこまでの人なんですか?」
「だが、話が通じん」
「最悪だ…………」
話が通じないなんて、これから会いたいのにそれは怖いんですけど。
「あの、一つ質問いいですか?」
「次はお前か、なんだ」
琴平が手を挙げて気まずそうに聞いている。何だろう。
「その陰陽助は、呪いを扱ているんでしょうか」
「扱おうとすれば扱えると思うが、自らは使う奴じゃないな。呪いでじわじわ殺すより、自身の手でやった方が早いと考える奴だ」
「なるほど、ありがとうございます。あと、もう一つ」
「なんだ」
「その人は、俺と同じ髪色ですか?」
っ、髪色? どういうことだ?
他の人も驚いてい琴平を見ているし、一体何を……。
「あー、確かにな。言われてみれば同じかもしれねぇ。あまりそこまであいつを凝視したことが無いから言い切れねぇけどな」
「髪色くらいはわかるでしょう…………」
「俺はあいつを人と見ていない、力しか見ていない。以上」
「さいですか…………」
水分さんもずいぶん変わった人だなぁ。それより、なんでそんなことを聞いたのだろうか琴平は。なにか、思い当たる節でもあるのだろうか。
「ありがとうございます」
「それくらいなら別に構わん」
それ以上は誰も話さない。なら、今の流れで聞いてもいいのかわからないけど、いいかな、聞いても。
『余計な話をするな、今は関係ない』
「……………………水分さんは、”短命の呪い”について何かご存じではないですか?」
『おいっ』
だって、聞かないと。漆家でも聞いたけど、知っている情報が異なるかもしれないし、少しでも情報が欲しい。
「…………確か、蘆屋道満が使っていた呪いの一つだったはずだ。危険すぎる呪いなため、蘆屋道満以外、絶対に使おうとしない呪いと聞いた事がある」
「やっぱりそうなのか」
そこは漆家と同じだな、情報内容。
「つーか、いきなりなぜそんな事を聞いてきた。まさか、呪いをかけられたやっが近くにいんのか?」
「ま、まぁ……そうだね。近くというか……なんというか……」
うっ、後ろにいる三人の視線が俺の背中に突き刺さる。闇命君は呆れてるし、魔魅ちゃんはよく分かっておらず首を傾げている。うん、かわいい。
「…………そういえば、安倍家の人間は長く生き続けられないと聞いた事があるな。安倍煌命《こうめい》が最長だったと」
え、煌命さんって。確かに闇命君のお父さんだよね。その人が一番長く生きた? という事は、今までの人達はみんな二十五歳以前には亡くなっているってこと?
「安倍家では、十八には子どもを作らせる事が義務付けされているらしいが………。って、お前ら安倍家の人間だろ、知らねぇわけがねぇよな?」
「俺は知りませんでした……」
「あー……。さっきの話、信じなきゃならんくなったわ 異世界転生とかいうよく分からんもの」
「ありがとうございます……」
まさか、ここで信じて貰えるようになるなんて思わなかった。いや、信じさせようなんて思ってはいなかったんだけど……。
「………そうか、お前も短い人生か。頑張れよ」
「ここでその発言は無いと思うんだけど?!?!」
『ふーん。今の話は個人的に気なるし、調べたいと思っている。ここに滞在したいと考えているんだけど、それは構わないの?』
「等価交換」
『しょうがないから協力はしてあげるよ。確かにただでという訳にはいかないしね』
「それなら構わん、好きにしろ」
あ、少しだけ笑った。笑う事も出来るんだこの人、いつも不機嫌そうな顔しか見ていなかったからなんか意外。
「んじゃ、お前らも長旅だったのか知らんが、今は体を休めろよ。すぐに事を始めようとしても、うまく行く訳がないからな」
『そうさせてもらいたいけど、一つだけ情報共有がしたい』
「何だ?」
『七人ミサキについて、何か情報入ってる?』
あ、眉を顰めた。という事は、情報は耳に入っているんだな。
「会ったのか?」
『僕達は会っていないよ。会った人を見つけただけ』
「その人は今どこに?」
『漆家に預けている』
「漆家だと? あそこは呪いを生業としているだろ。あんな、人の負が集まったような場所に預けて大丈夫なのかよ」
『漆家を知っているの?』
「知っているもなにもなぁ。まぁ、等価交換している相手が漆家にいるんだ。情報位は入る」
『それって誰?』
「言ってもわからんだろ。お前も他の陰陽寮の内部は知らんだろうし』
あ、闇命君がふてくされた。確かにって思っている顔だな、さすがに大人には叶わないか、ププッ。
「ひっ、ご、めんなさい」
闇命君が睨んできた!! めっちゃ怖かったんだけど!! 子供が殺気を放つなよ!!!
「はぁ。えっと、その等価交換した人物の位は聞いてもいいですか?」
「なぜだ?」
「もし位の高い人なのだとしたら話を聞きたいと思って。漆家についてどう思っているのか。今までの漆家に対し思う所はなかったのか」
魔魅ちゃんを陰陽頭にしていたり、周りからの視線や態度など。内部について何も思わなかったのか。
「なるほどな。等価交換した奴は漆家の陰陽助だ」
「え、陰陽助って、女にだらしなく陰陽寮をよくいなくなるっていう、あの陰陽助?」
「良く知ってんじゃねぇか」
否定しないのかい。
「確かに性格はめんどくさいし関わるのは正直避けたい人種だ。だが、実力は本物。陰陽頭である俺より実力は上で、誰よりも強いと俺は思っている」
「え、そこまでの人なんですか?」
「だが、話が通じん」
「最悪だ…………」
話が通じないなんて、これから会いたいのにそれは怖いんですけど。
「あの、一つ質問いいですか?」
「次はお前か、なんだ」
琴平が手を挙げて気まずそうに聞いている。何だろう。
「その陰陽助は、呪いを扱ているんでしょうか」
「扱おうとすれば扱えると思うが、自らは使う奴じゃないな。呪いでじわじわ殺すより、自身の手でやった方が早いと考える奴だ」
「なるほど、ありがとうございます。あと、もう一つ」
「なんだ」
「その人は、俺と同じ髪色ですか?」
っ、髪色? どういうことだ?
他の人も驚いてい琴平を見ているし、一体何を……。
「あー、確かにな。言われてみれば同じかもしれねぇ。あまりそこまであいつを凝視したことが無いから言い切れねぇけどな」
「髪色くらいはわかるでしょう…………」
「俺はあいつを人と見ていない、力しか見ていない。以上」
「さいですか…………」
水分さんもずいぶん変わった人だなぁ。それより、なんでそんなことを聞いたのだろうか琴平は。なにか、思い当たる節でもあるのだろうか。
「ありがとうございます」
「それくらいなら別に構わん」
それ以上は誰も話さない。なら、今の流れで聞いてもいいのかわからないけど、いいかな、聞いても。
『余計な話をするな、今は関係ない』
「……………………水分さんは、”短命の呪い”について何かご存じではないですか?」
『おいっ』
だって、聞かないと。漆家でも聞いたけど、知っている情報が異なるかもしれないし、少しでも情報が欲しい。
「…………確か、蘆屋道満が使っていた呪いの一つだったはずだ。危険すぎる呪いなため、蘆屋道満以外、絶対に使おうとしない呪いと聞いた事がある」
「やっぱりそうなのか」
そこは漆家と同じだな、情報内容。
「つーか、いきなりなぜそんな事を聞いてきた。まさか、呪いをかけられたやっが近くにいんのか?」
「ま、まぁ……そうだね。近くというか……なんというか……」
うっ、後ろにいる三人の視線が俺の背中に突き刺さる。闇命君は呆れてるし、魔魅ちゃんはよく分かっておらず首を傾げている。うん、かわいい。
「…………そういえば、安倍家の人間は長く生き続けられないと聞いた事があるな。安倍煌命《こうめい》が最長だったと」
え、煌命さんって。確かに闇命君のお父さんだよね。その人が一番長く生きた? という事は、今までの人達はみんな二十五歳以前には亡くなっているってこと?
「安倍家では、十八には子どもを作らせる事が義務付けされているらしいが………。って、お前ら安倍家の人間だろ、知らねぇわけがねぇよな?」
「俺は知りませんでした……」
「あー……。さっきの話、信じなきゃならんくなったわ 異世界転生とかいうよく分からんもの」
「ありがとうございます……」
まさか、ここで信じて貰えるようになるなんて思わなかった。いや、信じさせようなんて思ってはいなかったんだけど……。
「………そうか、お前も短い人生か。頑張れよ」
「ここでその発言は無いと思うんだけど?!?!」
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