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革命
口調
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「闇命君、ちょっと」
円から離れて闇命君を呼ぶと、素直に来てくれた。
『なに?』
「陰陽頭がいない今、不安定な漆家に取り入るには絶好の時。まずは漆家から攻めていかない?」
『どうするつもりなの? 陰陽頭になるのはめんどくさいから嫌だよ、動きにくくもなる』
「陰陽頭にならなくとも、管理は安倍家になるんでしょ? なら、口を出す権利くらいあるはず。陰陽頭を探すついでに内情も探り、実力主義規定を改変しよう。そうすれば、実力があるからという理由で子供が無理に上の立場になる事は無くなると思うし」
『それは心底どうでもいいんだけど。漆家から改変をするのは賛成。今は土台が不安定だし、付け込みやすいか』
考え方が悪人に近いけど、俺も同じ思考だから何も言えない……。
そそそ……っと、円に戻る。
「陰陽頭については陰陽允の人と考えるとして、管理は安倍家がするか、他に宛てがあるのならそちらの陰陽寮に協力を仰ぐ。だが、話をするのなら必ず闇命君や琴平を交える事」
「それはなぜだ」
「俺達の目的を忘れていないですよね雨燕さん。陰陽寮に広がる暗黙の規定を改善する目的があるんです、。そのためには、少しでも陰陽寮の情報が欲しい。話し合いでこちらの有利に話を進めなければならない。話しに入らせていただかなければ困るんですよ」
素直に伝えると、雨燕さんに険しい顔を向けられた。えぇ、なんでそんな顔を向けられないといけないの。まだ納得出来ていないわけ? 見た目通りの頑固おやじだな。
「まだワシは許していない。闇命が陰陽寮を出る事をな」
「そう。なら、いいや。雨燕さんに許されなくてもやりたいようにやるから」
「なに?」
だって、なんかもう、面倒くさくなってきたんだもん。
雨燕さんの険しい顔に慣れたからなのか、恐怖感もなくなったし。闇命君ならどんなに邪魔されてもぶち開けるだろうし。
「貴様……」
「ひっ、ご、ごめんなさいごめんなさい!! 舐め腐りました!! 申し訳ございません!!!!」
険しい顔のさらに上、般若が見えたよ怖い!! やっぱり上司を怒らせるのはやめておいた方がいいね、俺覚えた!!!!
『雨燕』
「何を言われても駄目なものは駄目だ。貴様は、安倍家の人間。出ることなど許さん、漆家にも関わせん」
くそ、これは本当に雨燕さんをどうにかしないとまずいな。安倍家にとって有力な情報が手に入ると言ってもこれか。他に何を言えばいいんだよ、何が目的だ。
ん? え、闇命君? なんか、静かというか。体を震わせてる? どうしたの。
『…………あーーもー! どいつもこいつも、うるさいんだよ!!!』
「え、ちょ、え!?」
闇命君!? なんか、口調が怖いというか。何が起きたの!?
『安倍家の者とか天才だとか子供だからとか。そんなのはもううんざりだ。もう僕は、縛られるだけの人生なんて嫌なんだよ!!』
え、え?? いきなり、え?
あ、そうか。闇命君も、最初は琴平達と共に革命を起こそうとしていたんだっけ。でも、力及ばずで、我慢するしか無かった。こんな、拘束されている環境で。ただ、我慢するしか出来なかった。でも、少しだけ希望が見えてきたから、そこに手を伸ばし始めたんだ。
光に、手を伸ばし始めた。
嬉しい、嬉しいなぁ。闇命君も、本当は自由になりたかったんだ。無理だのなんだのって口にしていたのは、自分の気持ちを押し殺していたからなんだね。なら、俺も必ず自由を手に入れる。必ず、手に入れるよ。
闇命君や琴平、紅音や夏楓に──自由を。
「しかし、そう簡単ではない。分かっているだろう」
『わかってる。簡単な道のりではない事くらい』
「それなら――………」
『今までの安倍家ならね』
したり顔で闇命君は雨燕さんに伝える。
「…………ここまで、考えていたのか?」
『いや、さすがにここまでは考えられていないよ。でも、先にしろと言ったのはあんたでしょ? ねぇ、雨燕さん?』
しろと言ったのは? 一体、何の話だ?
「…………もう、諦めてください陰陽助。我々の意思は固い。今更何を言っても、意味はありません。なんだったら、我々の動向を確認してもらいますか? 闇命様の式神に──」
え、あ、件か。うわぁ。こんな使い方というか、脅しがあるなんて。
件を式神に出来た事により、ここまでいけるなんて。考えもしなかったな。
「何を言われようと、ワタシ達の行動は変わらない。諦めてください」
「ここでワシが諦めようと、他の者がどうするか分からぬぞ。今ここで説得させたところで意味は無い」
『意味無くはないよ。まずは一人目の邪魔者を処分した事になる』
「言い方おかしくない?!」
ほらほらほら!!! 眉間にシワ寄せて、青筋立ててるよ?! 言い方まじで酷いよ闇命君!! ちょっとは言葉を選んで!!!
『何を言われても意見は変えない。もう、嫌なんだ。諦めたくないんだ。やりたい事を、継いだ思いを。もう、無下にはしたくない。もう、私を縛り付けないでもらいたい!!!』
円から離れて闇命君を呼ぶと、素直に来てくれた。
『なに?』
「陰陽頭がいない今、不安定な漆家に取り入るには絶好の時。まずは漆家から攻めていかない?」
『どうするつもりなの? 陰陽頭になるのはめんどくさいから嫌だよ、動きにくくもなる』
「陰陽頭にならなくとも、管理は安倍家になるんでしょ? なら、口を出す権利くらいあるはず。陰陽頭を探すついでに内情も探り、実力主義規定を改変しよう。そうすれば、実力があるからという理由で子供が無理に上の立場になる事は無くなると思うし」
『それは心底どうでもいいんだけど。漆家から改変をするのは賛成。今は土台が不安定だし、付け込みやすいか』
考え方が悪人に近いけど、俺も同じ思考だから何も言えない……。
そそそ……っと、円に戻る。
「陰陽頭については陰陽允の人と考えるとして、管理は安倍家がするか、他に宛てがあるのならそちらの陰陽寮に協力を仰ぐ。だが、話をするのなら必ず闇命君や琴平を交える事」
「それはなぜだ」
「俺達の目的を忘れていないですよね雨燕さん。陰陽寮に広がる暗黙の規定を改善する目的があるんです、。そのためには、少しでも陰陽寮の情報が欲しい。話し合いでこちらの有利に話を進めなければならない。話しに入らせていただかなければ困るんですよ」
素直に伝えると、雨燕さんに険しい顔を向けられた。えぇ、なんでそんな顔を向けられないといけないの。まだ納得出来ていないわけ? 見た目通りの頑固おやじだな。
「まだワシは許していない。闇命が陰陽寮を出る事をな」
「そう。なら、いいや。雨燕さんに許されなくてもやりたいようにやるから」
「なに?」
だって、なんかもう、面倒くさくなってきたんだもん。
雨燕さんの険しい顔に慣れたからなのか、恐怖感もなくなったし。闇命君ならどんなに邪魔されてもぶち開けるだろうし。
「貴様……」
「ひっ、ご、ごめんなさいごめんなさい!! 舐め腐りました!! 申し訳ございません!!!!」
険しい顔のさらに上、般若が見えたよ怖い!! やっぱり上司を怒らせるのはやめておいた方がいいね、俺覚えた!!!!
『雨燕』
「何を言われても駄目なものは駄目だ。貴様は、安倍家の人間。出ることなど許さん、漆家にも関わせん」
くそ、これは本当に雨燕さんをどうにかしないとまずいな。安倍家にとって有力な情報が手に入ると言ってもこれか。他に何を言えばいいんだよ、何が目的だ。
ん? え、闇命君? なんか、静かというか。体を震わせてる? どうしたの。
『…………あーーもー! どいつもこいつも、うるさいんだよ!!!』
「え、ちょ、え!?」
闇命君!? なんか、口調が怖いというか。何が起きたの!?
『安倍家の者とか天才だとか子供だからとか。そんなのはもううんざりだ。もう僕は、縛られるだけの人生なんて嫌なんだよ!!』
え、え?? いきなり、え?
あ、そうか。闇命君も、最初は琴平達と共に革命を起こそうとしていたんだっけ。でも、力及ばずで、我慢するしか無かった。こんな、拘束されている環境で。ただ、我慢するしか出来なかった。でも、少しだけ希望が見えてきたから、そこに手を伸ばし始めたんだ。
光に、手を伸ばし始めた。
嬉しい、嬉しいなぁ。闇命君も、本当は自由になりたかったんだ。無理だのなんだのって口にしていたのは、自分の気持ちを押し殺していたからなんだね。なら、俺も必ず自由を手に入れる。必ず、手に入れるよ。
闇命君や琴平、紅音や夏楓に──自由を。
「しかし、そう簡単ではない。分かっているだろう」
『わかってる。簡単な道のりではない事くらい』
「それなら――………」
『今までの安倍家ならね』
したり顔で闇命君は雨燕さんに伝える。
「…………ここまで、考えていたのか?」
『いや、さすがにここまでは考えられていないよ。でも、先にしろと言ったのはあんたでしょ? ねぇ、雨燕さん?』
しろと言ったのは? 一体、何の話だ?
「…………もう、諦めてください陰陽助。我々の意思は固い。今更何を言っても、意味はありません。なんだったら、我々の動向を確認してもらいますか? 闇命様の式神に──」
え、あ、件か。うわぁ。こんな使い方というか、脅しがあるなんて。
件を式神に出来た事により、ここまでいけるなんて。考えもしなかったな。
「何を言われようと、ワタシ達の行動は変わらない。諦めてください」
「ここでワシが諦めようと、他の者がどうするか分からぬぞ。今ここで説得させたところで意味は無い」
『意味無くはないよ。まずは一人目の邪魔者を処分した事になる』
「言い方おかしくない?!」
ほらほらほら!!! 眉間にシワ寄せて、青筋立ててるよ?! 言い方まじで酷いよ闇命君!! ちょっとは言葉を選んで!!!
『何を言われても意見は変えない。もう、嫌なんだ。諦めたくないんだ。やりたい事を、継いだ思いを。もう、無下にはしたくない。もう、私を縛り付けないでもらいたい!!!』
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