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死絡村

地下室

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 本棚が動き出したかと思えば、すぐに止まった。光も消え、辺りはまたしても暗くなる。

 それでも、本棚の奥に隠されていた大きな扉から目を離すことが出来ない。

「な、なにこれ」
『これが地下に進む扉だよ。この奥に機密資料が保管されている。これは陰陽頭や陰陽助ぐらいしか知らない扉だからむやみやたらに琴平達に話さないでね』
「なんでそんな扉を闇命君は知っているの? 内緒で教えてもらえたとか?」
『うん。父様が教えてくれた』
「な、なんで?」
『さぁ? 今はいいでしょ別に、役に立ったんだから』

 そうだけど、気になるじゃん。

『早く中に入るよ、時間がない』
「は、はい」

 緊張する。けど、入らないと調べ物が出来ないし、意を決して扉を開けてみた。

「っあ、階段だ」

 扉の奥には長い階段が続いている。すごく暗く、足元すら見えにくい。全く光がないから奥まで見通す事が出来ないなこれ。

「これで降りるのは危なくないか?」
『雷火』

 闇命君が呼ぶと、雷火は俺の前に移動して階段を照らしてくれた。

 あ、あれ? もしかしてさっきの光、雷火が原因なのか? いつ実態を出す事が出来たんだよ、主である俺が気づかなかったぞ。

 …………今はいいか。とりあえず、踏み外さないように階段をゆっくりと降りよう。

 ☆

 足音がコツ……コツ……と響き、光で俺達の影が大きく壁に映る。地下だからか、肌寒い。

「寒いな」
『地下だからね』

 下まで降りきると、奥へと続く廊下が現れた。
 壁や地面はコンクリート製で、扉が左右にいくつもある。そのほとんどは使われていないのか、ドアノブにすら埃がついており、正直言って触りたくない。

『一番奥の部屋にあるはずだよ。他の陰陽寮について書かれている資料が』
「分かった」

 階段が終わったからと言って油断すると転んでしまうかもしれないから、足元には注意しながら前へと進もう。

 百足や蜘蛛など。様々な虫が地面を這いずり回り、壁に触れようすれば埃が手について汚い。
 奥に行けば行くほど肌寒くなり、息が白くなる。長居できる所じゃないな、急いで調べ物をしないと凍死するかもしれないぞ。あと、気持ち悪いから今すぐにでもここから去りたい。

『あそこ』
「あ、扉があった」

 突き当たりまで行くと、埃が被っていない扉を一つ見つける事が出来た。

 ドアノブに手を伸ばしドアを開ける。中には本棚が沢山立ち並び、中心にテーブルと椅子。天井にはチカチカと淡く光っている電球がぶら下がっていた。その電球には、蛾や子虫達が集まっている。

「少し、埃臭いね」
『さすがにここまでは掃除をする時間が無いからでしょ。どんだけ巫女達に負担をかける気? 僕には関係ないからどうでもいいけど』

 最後の言葉がなければ、人の事を考えられる良い子だったんだけどなぁ……。これこそ闇命君。

「はぁ……」
『ため息ついてないで早く調べたら? 僕の身体だからと言って適当に扱ってない? 大事にしないと許さないから』
「何でそうなるの!! でも、これはマジで早く探さないとやばいね。寒すぎる」

 マジで寒いから早く出たい。さっさと目的の物だけ調べて戻るか。今ここにいるのがバレてもめんどくさいし。

 沢山ある本棚から目的の物を見つけ出すのは難しいなぁ。図書館ほどではないけど、本棚は計十個ぐらいはありそう。その中も、本が隙間なく入っているし、探すのがめんどくさいと思ってしまう……。

「えっと、どれだぁ?」

 とりあえず適当に抜いてみるけど、漆家についてでは無い。
 寒いから手が震えるし、上手く動かなくなってきた。カイロとかこの世界にないのかな。それかストーブやエアコン……、ある訳ないか。

 白い息を吐きながら探していると、何となく気になる本を見つけた。なんだろう。

「あ、ラッキーな出来事が……。宝くじ買ったら一等当たるんじゃないの?」
『意味わかんない事言ってないで、早く調べなよ』
「あ、はい」

 運良く漆家について書いている本を引き抜くことが出来た、早く調べよう。
 多分このラッキーはあれだ。安倍晴明さんが教えてくれたんだよきっと。ありがとうございます。
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