憑依転生した先はクソ生意気な安倍晴明の子孫

桜桃-サクランボ-

文字の大きさ
上 下
37 / 246
死絡村

資料まとめ

しおりを挟む
 俺達はまず、三つの封筒の中身を確認し、出来るところから終わらせようという話でまとまった。

 俺を知っている紅音と夏楓にも協力をお願いし、捌いている。

 とりあえず、物探しや子守りなど。法力が絶対に必要ない依頼を紅音と夏楓にお願いする事にした、んだ、けどさぁ。

 半分以上がそういうものなんだけど……。
 だから、俺も一緒にやりました。
 琴平は資料まとめてくれてる。

 ちなみに闇命君は、俺の肩の上で鼻ちょうちん出しながら寝てる。
 その、綺麗に膨らんでいる鼻ちょうちん割ってやろうか、くそが。

「優夏さん。こちらはもう一年以上前の内容なのですが確認しに行きますか?」
「あ、見せてもらってもいいかな」
「どうぞ」

 夏楓から受け取った資料には〈暦仁りゃくにん一年〉と書かれている。

 ────鎌倉時代?!?!?!

 あれ、違ったっけ。確か鎌倉時代だよね。
 やっぱり、ここは過去にトリップしたような感覚に陥る時があるな……。

 まぁ、完璧に過去に戻った訳じゃないのは分かるけどさ。
 一技之長という、ファンタジー要素もあるし。

「えっと、内容は……予言か?」

 天変地異について知りたい的な内容が書かれてる。
 さっき夏楓は一年以上前と言っていたし、もう手遅れだろうな。

「これは、いいんじゃないかな」
「わかりました。次は……。半年前のがありますね」
「あ、また予言をして欲しいって内容?」

 またしても天変地異について、予言して欲しいという内容だ。

「優夏、こっちは一年も前だから捨ててもいいな」
「紅音待って!? 破り捨てようとしないで、苛立つ気持ちはわかるけど!!!」

 紅音から破り捨てられそうになった資料を奪い取り、中身を確認する。
 これもまた予言依頼だ、あれ。

 「琴平、予言依頼の資料見せてくれる?」
「これだ」

 琴平から受け取った資料は、二十枚くらい。
 それをパラパラと見てみると、どれも同じような内容だった。

 簡単に言えば、「次に巻き起こる災害を予言してください」という物。

「今って何年?」
「今は延応えんおう一年だ」

 琴平が資料をまとめながら教えてくれた。
 ありがとうございます。ほんの少しだけでも、社会の知識があって良かった。

 予言依頼が多発しているのは二年前くらい。
 一番近いのは、約三ヶ月前。

〈畑が心配だから、この後に巻き起こる災害を教えて欲しい〉

 というもの。
 そもそも、なんで災害が起きる事前提なんだろうか。

「なんで、予言依頼がこんなに沢山……」
「特に変わった事はなかったはず。ただ、心配だから見てほしいと言った軽率なものだろう。気にする必要などない」

 紅音はそう言うけど、やっぱり少し気になるなぁ……。

 様々な占いや予言だったら別に気にしないけど、全て天変地異についてだし。

 なんでそんなに災害が気になるんだ? 
 いや、知っていたら知っていたで便利だけど、ここまでお願いしてくるかな。

「二年前といえば、という妖の名前をよく耳にした時期と重なるな」
「く、くだん??」

 くだん……くだん……あ、件か? 
 なんか、災害とか。これから起こる事を予言するっていう妖。

 牛の体に顔は人間。目の前にいる人の先の未来を教えてくれるってやつ。でも、生まれて数日で直ぐに死んでしまうとかなんとか……。

 そんな素人的な内容しか知らないけど、そんな話が二年前に流行っていたのか?

「なんで、この時期だけ件の話をよく耳にしていたんだろう」

 件が流行っていた時期と重なっているのが気になるなぁ。
 これってもう時効な気はするけど、調べても損はなさそう。

「件とこの依頼人達について、紅音と夏楓にお願いしてもいいかな。無理のない範囲でいいんだけど」
「それは問題ありませんが、何か気になるのですか?」
「うん、なんとなくだけどね。もう手遅れかもしれないけど、調べて損は無いかなって思ったの。無理そうだったら俺が調べるから無理しなくていいよ」

 そもそもこれは交換条件みたいな感じで、紅音達には一切関係ないもんなぁ。

 当たり前のように調べ物をお願いしようとしてしまったけど、気分を悪くしてないかな……。

 恐る恐る二人を見るが、特に不機嫌にはなっていないみたい。
 俺が渡した資料を二人で見ている。

「調べるのは構わない。すぐに終わらせよう」
「あ、紅音さんは調べ物ではなく荷物運びなどをお願いしたいです。ほら、本とか巻物などは重いじゃないですか。紅音さんみたいな筋肉の塊みたいな方がいないと大変で」
「貴様、それはどういう意味だ」
「そのままの意味ですよ。紅音さんは頭を動かすの苦手でしょう? ですから、力仕事をお願いしようと思いまして」

「オホホホッ」と笑いながら夏楓は紅音を挑発してる?! 

 なんでいきなり挑発を始めるんだよ。
 ほら、見てみなよ。紅音が大噴火五秒前みたいな顔してるよ。顔真っ赤にして怒ってるけど!?

 琴平は何も見ていないかのように、机の上に置いてある資料をまとめ続けている。
 これ、俺に止めろというのか?!

「いい度胸だ貴様。今ここで朽ち果てるが良い!!!」
「ストーーープ!! 拳を思いっきり振り上げないで紅音!!!」

 何とか前に飛び出し喧嘩を止める事には成功。よ、良かった……。

 この二人って、普段からこんな感じなのかな。
 任せたの間違いだった感じか? 
 頼むから仲良くしてくれよ。

 まだ睨み合っている二人を送り出し、また違う資料に手を伸ばしてみる。
 偶然手に取った依頼書にも天変地異の予言依頼。本当に、何でこんなに多いんだよ。

「この依頼書って──先月だ。琴平、これ新しいんじゃない?」
「先月か、確かに新しい方だな。しかし、これも予言。何故こんなにも予言についての依頼ばかりが入っているんだ」

 琴平も少し謎に思ったらしい。
 うーーーーーーん。

 少しこれは、意識した方がいいかもしれないな。

「天変地異と、ついでに件ついて。俺の方でも調べようかな」
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

病弱少年が怪我した小鳥を偶然テイムして、冒険者ギルドの採取系クエストをやらせていたら、知らないうちにLV99になってました。

もう書かないって言ったよね?
ファンタジー
 ベッドで寝たきりだった少年が、ある日、家の外で怪我している青い小鳥『ピーちゃん』を助けたことから二人の大冒険の日々が始まった。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活

昼寝部
ファンタジー
 この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。  しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。  そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。  しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。  そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。  これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

【14万PV感謝!!】異世界で配合屋始めたら思いのほか需要がありました! 〜魔物の配合が世界を変える〜

中島菘
ファンタジー
 電車で刺された男・タイセイは気づけば魔物が人間と共に堂々と道の真ん中を闊歩するような異世界にいた。身分も何もかもない状態になってしまい、途方に暮れる彼だったが、偶然取り組み始めた配合による小魚の新種の作成を始めた。  配合というアイデアは、画期的なアイデアで、ある日彼が転生した大都市ホルンメランの美少女首長がそれに目をつけ、タイセイを呼び出す。  彼女との出会いをきっかけとして、タイセイの異世界生活は大きく動き出しはじめた!   やがてタイセイの数奇な運命は異世界全体を巻き込んでいく……

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった

なるとし
ファンタジー
 鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。  特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。  武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。  だけど、その母と娘二人は、    とおおおおんでもないヤンデレだった…… 第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。

処理中です...