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新生活
習性
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成功してよかったぁぁぁぁああああああ!!!!
失敗していたら次の作戦を考えないといけないところだった。
マジで何も考えられていなかったから、その意味でも良かったよ。
猫刄は、俺の依代の頭を伝い地面に降り立った瞬間、本物の俺が結界を瞬時に張り捕まえた。
なぜここまで誘導したか。
それは、太陽の光を利用するため。
猫又は、人の家に住んでいた猫が老いて化けると聞いた事がある。だから、目の作りとかは大きく変わらないんじゃないかなって。
猫は夜行性。夜は得意だろうけど、光に弱いんじゃないかなと。だから、ここまで誘導して動きを制限、光から逃げるような動きをした猫刄を捕まえる。これが今回の作戦だ。
「それにしても、この依代すごいなぁ。思った通りに動いてくれるし、声も出せるんだ」
『あの声はなんだったの。僕の体でふざけないでくれる?』
「いや、なんか。少しでも驚かせた方がいいかなと……」
少しでも驚かせ、咄嗟に逃げた先で捕まえる。
地面に足を付ける少し前に結界を張る事で、逃げたくても逃げられない状況を作る。だから、少しでも高く跳んで逃げてもらないと駄目じゃん。
まだ俺は、結界とかの陰陽術は慣れてないからね。
それにしても──
「よく見ると、可愛いなぁ」
結界はまだ張っているけど、その中で優雅に毛繕いしている猫刄の姿は、普通の猫みたいで可愛い。尻尾が二つに分かれている以外は、普通の猫だな。
「単純な作戦だったけど、動物相手ならこのくらいの方がいいのかな」
『みたいだね。まぁ、僕の体だから上手くいったってだけだと思うけど』
うっ、確かに。今、一気に三つの術を出しているようなものだからね。
雷火に依代、結界。なんか、体がだるい気がしてきた。さすがに疲れたのかなぁ。
あ、依代はもういいのか。
「えっと、この依代ってどうすれば消せるの?」
『依代を作る時に使った紙人形あるでしょ。それに感謝の気持ちを込めながら、名前の書いてある文字のところを破る。そうすれば解除出来るよ』
破るのか……。でも、感謝の気持ちを込めてなんだね。
「今回は、俺の作戦のために働いて下さりありがっ──」
『そういうのはいいから早く破り捨てなよ。どうせ、驚かしただけなんだから』
こんの糞餓鬼が。
「また、よろしくお願いします」
っと。このまま”闇命”と書かれた部分を破り、風に乗せる。
「え、燃えた?」
風に乗った紙は炎に包まれ、そのままチリになって無くなった。
闇命君として動いてくれた依代も半透明になり、そのまま姿を消す。
「これが陰陽術なんだね」
『まぁね。これはまだ序の口だけど』
序の口かぁ。
まぁ、他にも色々ありそうだからね。頑張ろう。
崖の方に遠い目を向け立ち尽くしていると、後ろからパチパチと、拍手の音と共に俺を労う言葉が聞こえた。
「あ、紫苑さん……と、え。なんで琴平、そんなに疲れてるの?」
後ろには、優しく微笑みながら俺の方を見ている紫苑さんと、木にもたれかかり、震える体で立っている琴平だった。
なんでそんなに疲れているの。紫苑さんは息一つ乱れていないのに。
「ぶ、無事に終わったみたいですね……。良かったです……」
「いや、まずは自分の心配をしよう琴平、大丈夫?」
「闇命様に心配されるなんて……。勿体ないお言葉……です」
あ、もう駄目だ。
疲れすぎて俺を闇命君だと思い込んでる。とりあえず、話しかけないようにしよう。その方が体力は回復するでしょ。
「えっと、とりあえず捕まえました。これで、協力していただけますか?」
今回の条件は”式神である猫刄を捕まえる事”で間違いないはず。なら、今のこの状況で絶対にクリアだろ。
「そうだね。正直、ここまで早くその体を使いこなせるとは思わなかったけれど、約束は約束。協力しようか」
よっしゃぁぁぁあぁぁぁ!!!! 強い味方ゲットぉぉぉぉぉおおおおおおお!!!!!
これで闇命君の体は陰陽寮から出れる。よし、まずは一歩前進だ。
「そうと決まれば早速行こうか。もう、時間が無いからね」
「え、もうそんなに時間が無いのですか?」
確かに、時間が無いと言ったのは俺だけど、夜まではまだ時間がある。
いや、早めに行って損は無いと思うからいいけど。
「準備の時間もあるだろう。それと、”夜”という言葉に惑わされてはいけない。夜という言葉に明確な時間など存在しないからね。今宵、今夜、今晩。様々な言葉あるけれど、今宵以外は明確な時間が明かされていないんだ。油断しては駄目だよ」
え、そうなの? 全然知らなかった。大体十八時以降とかじゃないの?
この人が言うならそうなんだろうけど。なんか、すごく不安になってきたな……。
「さぁ、早く彼女を連れて行こう」
失敗していたら次の作戦を考えないといけないところだった。
マジで何も考えられていなかったから、その意味でも良かったよ。
猫刄は、俺の依代の頭を伝い地面に降り立った瞬間、本物の俺が結界を瞬時に張り捕まえた。
なぜここまで誘導したか。
それは、太陽の光を利用するため。
猫又は、人の家に住んでいた猫が老いて化けると聞いた事がある。だから、目の作りとかは大きく変わらないんじゃないかなって。
猫は夜行性。夜は得意だろうけど、光に弱いんじゃないかなと。だから、ここまで誘導して動きを制限、光から逃げるような動きをした猫刄を捕まえる。これが今回の作戦だ。
「それにしても、この依代すごいなぁ。思った通りに動いてくれるし、声も出せるんだ」
『あの声はなんだったの。僕の体でふざけないでくれる?』
「いや、なんか。少しでも驚かせた方がいいかなと……」
少しでも驚かせ、咄嗟に逃げた先で捕まえる。
地面に足を付ける少し前に結界を張る事で、逃げたくても逃げられない状況を作る。だから、少しでも高く跳んで逃げてもらないと駄目じゃん。
まだ俺は、結界とかの陰陽術は慣れてないからね。
それにしても──
「よく見ると、可愛いなぁ」
結界はまだ張っているけど、その中で優雅に毛繕いしている猫刄の姿は、普通の猫みたいで可愛い。尻尾が二つに分かれている以外は、普通の猫だな。
「単純な作戦だったけど、動物相手ならこのくらいの方がいいのかな」
『みたいだね。まぁ、僕の体だから上手くいったってだけだと思うけど』
うっ、確かに。今、一気に三つの術を出しているようなものだからね。
雷火に依代、結界。なんか、体がだるい気がしてきた。さすがに疲れたのかなぁ。
あ、依代はもういいのか。
「えっと、この依代ってどうすれば消せるの?」
『依代を作る時に使った紙人形あるでしょ。それに感謝の気持ちを込めながら、名前の書いてある文字のところを破る。そうすれば解除出来るよ』
破るのか……。でも、感謝の気持ちを込めてなんだね。
「今回は、俺の作戦のために働いて下さりありがっ──」
『そういうのはいいから早く破り捨てなよ。どうせ、驚かしただけなんだから』
こんの糞餓鬼が。
「また、よろしくお願いします」
っと。このまま”闇命”と書かれた部分を破り、風に乗せる。
「え、燃えた?」
風に乗った紙は炎に包まれ、そのままチリになって無くなった。
闇命君として動いてくれた依代も半透明になり、そのまま姿を消す。
「これが陰陽術なんだね」
『まぁね。これはまだ序の口だけど』
序の口かぁ。
まぁ、他にも色々ありそうだからね。頑張ろう。
崖の方に遠い目を向け立ち尽くしていると、後ろからパチパチと、拍手の音と共に俺を労う言葉が聞こえた。
「あ、紫苑さん……と、え。なんで琴平、そんなに疲れてるの?」
後ろには、優しく微笑みながら俺の方を見ている紫苑さんと、木にもたれかかり、震える体で立っている琴平だった。
なんでそんなに疲れているの。紫苑さんは息一つ乱れていないのに。
「ぶ、無事に終わったみたいですね……。良かったです……」
「いや、まずは自分の心配をしよう琴平、大丈夫?」
「闇命様に心配されるなんて……。勿体ないお言葉……です」
あ、もう駄目だ。
疲れすぎて俺を闇命君だと思い込んでる。とりあえず、話しかけないようにしよう。その方が体力は回復するでしょ。
「えっと、とりあえず捕まえました。これで、協力していただけますか?」
今回の条件は”式神である猫刄を捕まえる事”で間違いないはず。なら、今のこの状況で絶対にクリアだろ。
「そうだね。正直、ここまで早くその体を使いこなせるとは思わなかったけれど、約束は約束。協力しようか」
よっしゃぁぁぁあぁぁぁ!!!! 強い味方ゲットぉぉぉぉぉおおおおおおお!!!!!
これで闇命君の体は陰陽寮から出れる。よし、まずは一歩前進だ。
「そうと決まれば早速行こうか。もう、時間が無いからね」
「え、もうそんなに時間が無いのですか?」
確かに、時間が無いと言ったのは俺だけど、夜まではまだ時間がある。
いや、早めに行って損は無いと思うからいいけど。
「準備の時間もあるだろう。それと、”夜”という言葉に惑わされてはいけない。夜という言葉に明確な時間など存在しないからね。今宵、今夜、今晩。様々な言葉あるけれど、今宵以外は明確な時間が明かされていないんだ。油断しては駄目だよ」
え、そうなの? 全然知らなかった。大体十八時以降とかじゃないの?
この人が言うならそうなんだろうけど。なんか、すごく不安になってきたな……。
「さぁ、早く彼女を連れて行こう」
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