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新生活
馬鹿という方が馬鹿なんだ
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手当り次第探すしかないと思っていた式神の猫刄を見つけられたのはいいけど、手を伸ばしてもまったく意味が無いほど高い木の上にいるから捕まえられない。
…………よし、登ろう。気づかれないように登ればいけるはず。
「…………袖とか裾が邪魔!!」
なに、この無駄に広い袖!!! なに、このエプロンみたいなデザイン!!
確かに動きやすいかもしれないけど、子供はもっとシンプルでいいじゃん!!
汚れてもいい服装とか。ジャージでいいよジャージで!!
『はぁぁああ。ばっっかじゃないの。つーか、仮に木登り出来たからと言ってなに。捕まる直前で木から降りられ、逃げられるのが関の山でしょ。後先考えてから行動しなよ。それだから馬鹿って言われるんじゃないの』
くそっ。何か言い返したいけど、闇命君の言葉はいつも正論だからいつも言い返せない。腹が立つだけで終わるんだよコノヤロウ!!!!
木から離れ見上げると、俺達を見下ろしている猫刄と目が合った。
その目は赤く、黒の中に二つの真珠が光り輝いているように見える。
「…………あれ。額にマークみたいなのが刻まれてる?」
なんか、勾玉みたいな白い模様が見える。なんだあれ、毛の模様?
『あれは太極図。式神である証だよ』
「え、そうなの? でも、闇命君の式神にあんな印あった?」
『雷火にもしっかりと付いているよ。ただ、雷が周りを飛び散ってるから見えにくいだけ』
へぇ、そうなんだ。
確かに、あんなにバチバチしていたら見えないか。
『それで。一体どうするつもりなの? 真正面から行くんじゃ捕まえられるのも捕まえられない。今の君は僕であって僕じゃないんだから』
「なに、その厨二病発言。いや、この状況がもう厨二病か……」
改めて、どうするのって聞かれてもなぁ。
周りには、俺を囲うように背の高い木が立ち並べられているだけで、踏み台になりそうなものは一切ない。
トラップを仕掛けようにも、社会とかで習った知識は全て、元の世界に落としてきちゃったから無理。
「……闇命君は一体、どんな事が出来るの? 例えば、足がすごく早くなったりとか、空を飛べるとか」
『やっぱり馬鹿だ。そんな事、いくら僕が天才だろうと出来る訳が無いでしょ。陰陽師の術だからと言ってなんでも出来る訳じゃないんだ。空を飛ぶ事も出来なければ、死者蘇生も出来ない。だから、似たような口寄せとかで代用しているんだよ』
口寄せは死者蘇生の代用なの?
いや、これは完全に闇命君の考えだな。こんなひねくれた考え方するのは闇命君しか居ないわ。
「なら、何が出来るの?」
『まず君は何がしたいの? まずはそこから考えなよ。それが思いついたら、似たやつを提示してあげる。でも、さっきみたいな馬鹿発言は無しにしてよ。時間が無いんだからさ』
…………もうつっこまない。俺はもうつっこまない。
そう、この子はこういう子なんだ。人を馬鹿にしないと生きていけない可哀想な子供なんだ。抑えろ。俺のみぎてぇぇぇえええええ!!!!!!
「はぁ……。えっと。何か捕まえられそうなトラップ──いや、罠とかないの? 箱罠とか」
猫刄はとりあえず猫又、猫なんでしょ。なら、餌とかで釣れないのかな。
『式神って事忘れてない? 式神って主の法力で動くの。君みたいな馬鹿にもわかるように説明すると、法力がご飯。つまり、物理は食べない、わかる?』
抑えろ、俺の右手──よし、押さえた。
「なら、罠を張った所に誘き出すとか」
『どうやって?』
「……………あ。雷火って指示を出せばそのように動いてくれるんだよね?」
雷火はスピード重視の式神と、水人を封印する時に闇命君が言っていた。
猫刄がどんなに早く移動しようと、見失わないだろう。
雷火には追尾をお願いし、こっちは罠を張るとか出来ないかな。
『なるほどね。試す価値はあるけど。成功確率は低いと思うよ。それでもいいの?』
「闇命君が言うなら成功しないのか……」
『確率が低いってだけだよ。百回試したらそのうちの一回は成功するんじゃない?』
「時間ないわ!!!!」
思わず大きな声でつっこんでしまった。
あ、やば! 猫刄が体をビクつかせ、木から降りちゃった!
「ちょ、ま、待って!!!」
と、とりあえず追いかけないと!! また猫刄を見つけるところから始めるなんて嫌だよ!!!
『いや、そこで雷火を出しなよ』
「──あ」
そうだった。
闇命君が呆れ気味に言った事を実践するべく、雷火を出して追尾をお願いする。
さすが雷の鳥。猫刄も速かったけど、その速さなんか気にせず追いつき、そのまま行ってしまった。
――――って、これ。俺が場所分からなくなるんじゃないの? いや、式神だから主と何かしらの繋がりはあるよね。
それに、闇命君がそれに気付かない訳ないし、とりあえずは大丈夫か。
今やる事は、どうやって猫刄をスピーディーに捕まえるか。
凡人は凡人なりに頑張りますよ!!!!
…………よし、登ろう。気づかれないように登ればいけるはず。
「…………袖とか裾が邪魔!!」
なに、この無駄に広い袖!!! なに、このエプロンみたいなデザイン!!
確かに動きやすいかもしれないけど、子供はもっとシンプルでいいじゃん!!
汚れてもいい服装とか。ジャージでいいよジャージで!!
『はぁぁああ。ばっっかじゃないの。つーか、仮に木登り出来たからと言ってなに。捕まる直前で木から降りられ、逃げられるのが関の山でしょ。後先考えてから行動しなよ。それだから馬鹿って言われるんじゃないの』
くそっ。何か言い返したいけど、闇命君の言葉はいつも正論だからいつも言い返せない。腹が立つだけで終わるんだよコノヤロウ!!!!
木から離れ見上げると、俺達を見下ろしている猫刄と目が合った。
その目は赤く、黒の中に二つの真珠が光り輝いているように見える。
「…………あれ。額にマークみたいなのが刻まれてる?」
なんか、勾玉みたいな白い模様が見える。なんだあれ、毛の模様?
『あれは太極図。式神である証だよ』
「え、そうなの? でも、闇命君の式神にあんな印あった?」
『雷火にもしっかりと付いているよ。ただ、雷が周りを飛び散ってるから見えにくいだけ』
へぇ、そうなんだ。
確かに、あんなにバチバチしていたら見えないか。
『それで。一体どうするつもりなの? 真正面から行くんじゃ捕まえられるのも捕まえられない。今の君は僕であって僕じゃないんだから』
「なに、その厨二病発言。いや、この状況がもう厨二病か……」
改めて、どうするのって聞かれてもなぁ。
周りには、俺を囲うように背の高い木が立ち並べられているだけで、踏み台になりそうなものは一切ない。
トラップを仕掛けようにも、社会とかで習った知識は全て、元の世界に落としてきちゃったから無理。
「……闇命君は一体、どんな事が出来るの? 例えば、足がすごく早くなったりとか、空を飛べるとか」
『やっぱり馬鹿だ。そんな事、いくら僕が天才だろうと出来る訳が無いでしょ。陰陽師の術だからと言ってなんでも出来る訳じゃないんだ。空を飛ぶ事も出来なければ、死者蘇生も出来ない。だから、似たような口寄せとかで代用しているんだよ』
口寄せは死者蘇生の代用なの?
いや、これは完全に闇命君の考えだな。こんなひねくれた考え方するのは闇命君しか居ないわ。
「なら、何が出来るの?」
『まず君は何がしたいの? まずはそこから考えなよ。それが思いついたら、似たやつを提示してあげる。でも、さっきみたいな馬鹿発言は無しにしてよ。時間が無いんだからさ』
…………もうつっこまない。俺はもうつっこまない。
そう、この子はこういう子なんだ。人を馬鹿にしないと生きていけない可哀想な子供なんだ。抑えろ。俺のみぎてぇぇぇえええええ!!!!!!
「はぁ……。えっと。何か捕まえられそうなトラップ──いや、罠とかないの? 箱罠とか」
猫刄はとりあえず猫又、猫なんでしょ。なら、餌とかで釣れないのかな。
『式神って事忘れてない? 式神って主の法力で動くの。君みたいな馬鹿にもわかるように説明すると、法力がご飯。つまり、物理は食べない、わかる?』
抑えろ、俺の右手──よし、押さえた。
「なら、罠を張った所に誘き出すとか」
『どうやって?』
「……………あ。雷火って指示を出せばそのように動いてくれるんだよね?」
雷火はスピード重視の式神と、水人を封印する時に闇命君が言っていた。
猫刄がどんなに早く移動しようと、見失わないだろう。
雷火には追尾をお願いし、こっちは罠を張るとか出来ないかな。
『なるほどね。試す価値はあるけど。成功確率は低いと思うよ。それでもいいの?』
「闇命君が言うなら成功しないのか……」
『確率が低いってだけだよ。百回試したらそのうちの一回は成功するんじゃない?』
「時間ないわ!!!!」
思わず大きな声でつっこんでしまった。
あ、やば! 猫刄が体をビクつかせ、木から降りちゃった!
「ちょ、ま、待って!!!」
と、とりあえず追いかけないと!! また猫刄を見つけるところから始めるなんて嫌だよ!!!
『いや、そこで雷火を出しなよ』
「──あ」
そうだった。
闇命君が呆れ気味に言った事を実践するべく、雷火を出して追尾をお願いする。
さすが雷の鳥。猫刄も速かったけど、その速さなんか気にせず追いつき、そのまま行ってしまった。
――――って、これ。俺が場所分からなくなるんじゃないの? いや、式神だから主と何かしらの繋がりはあるよね。
それに、闇命君がそれに気付かない訳ないし、とりあえずは大丈夫か。
今やる事は、どうやって猫刄をスピーディーに捕まえるか。
凡人は凡人なりに頑張りますよ!!!!
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