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旦那様と迷子
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三日間、何とか乗り切りました。乗り切りましたよ、私。
ずっと布団の上で寝てばかりでした。
すごく申し訳なかったのと、寂しかったのと、心苦しかったです。
普段から何もできない私なのに、風邪をひいてお仕事を増やしてしまい。
この三日間は、元気なのに何もできず寝ていただけ。
旦那様の命令なので仕方がありません。
ですが、やはりたくさん心配してくださった女中さん達に申し訳なかったです!!
でも!! 今日は旦那様と待ちに待ったお買い物の日!!
三日間、この日を楽しみに耐え抜きました!!
今から、鎌鼬さんが準備してくださったお洋服にお着換えです。
今回の服は旦那様ではなく、旦那様の母君である氷璃さんが買ってくださったと聞きました。
なぜ買ってくださったのかは謎です。
聞いても、鎌鼬さんは首を傾げてしまい、わからないと言っておりました。
また会うことがあれば、その時は必ずお礼をしなければなりません。
予め旦那様に聞きましょう、氷璃さんが好きなものを。
そのようなことを考えながら、受け取った風呂敷を開きます。
中には、スカラップハートブラウスに黒いスカートが入っていました。
…………え、このスカート、短すぎませんか?
これでは膝上になってしまうのですが…………。
サイズを間違えた?
いえ、まさか旦那様の母君がそのような失敗をするとは考えにくいです。ですが、これはあまりにも短い……。
――――い、いえ。何を怖気づいているのです華鈴。氷璃さんの善意を無下にするおつもりですか!?
ダメです、そのようなことは許されないのですよ、華鈴。
大丈夫、もしかしたら、見た目以上に長い可能性もあります。着てみなければわかりません。
着てみるのですよ、華鈴!!
・
・
・
・
・
氷璃さんが買ってくださったお洋服を着てみました。
着てみましたが……。
白いハートが刺繍されているブラウス、膝上までしかない黒いミニスカート。
かわいい、ものすごくかわいいのです。
ですが、私がお洋服に負けております!!!
このような素敵なお洋服は、今まで着たことがありません!
着物でしたら旦那様がたくさん買ってくださるため、様々なものを着させていただいているのですが……。
これは、肌が出すぎており、恥ずかしいです。
このような服で旦那様の前になど出られません。
申し訳ないのですが、やはり今回は違うものにしましょう。
私がもっと自分に自信を持てるようになった時、再度挑戦しましょう。
今の私では、レベルが高すぎます。
服を脱ごうとすると、襖の外から鎌鼬さんの声が聞こえました。
『奥様、お洋服の方はいかがだったでしょうか』
「え、あ、いや、その…………」
な、なんと言えばよろしいのでしょうか。
私はものすごく素敵と感じております。
ですが、私が着るのには、少し抵抗が……。
言い淀んでいると、鎌鼬さんが心配し始めてしまいました。
『奥様? 何かありましたか?』
「いえ、あの!」
は、早く何かを言わなければ!
でも、頭が焦ってしまいなにも思いつきません!!
早く、早く言わなければ!!
『何かあったのですね奥様、失礼します』
「え、まっ――――」
――――――――ガラッ
襖が開いてしまいましたぁぁぁああ!!
「奥様、何が――あら」
入ってきてしまった鎌鼬さんが、私の今の格好をまじまじと見てきます。い、い――……
「いやぁぁぁぁぁあああああ!!!!!」
見ないでくださぁぁぁぁああい!!!
思わず叫ぶと、私の声が聞こえた女中さん達が来てしまいましたぁぁああ!!
「どうしたのですか奥様!!」
一番早くに来ましたのは、二口女さんです! 私を助けてください!!
二口女さんに助けを求め手を伸ばすと、今一番私のお姿を見てほしくなかった方が走ってきてしまいました!!
い、嫌です!! 今は嫌なのです、二口女さん私を隠してください!!
「何があった華鈴!! 何か侵入してき……た……か?」
「あ……あぁ……」
隠れる前に、旦那様が来てしまいました……。
終わりました、私の幸せな夫婦生活。
私のような地味で根暗がこのような可愛い服を着て何をやっているんだと。破廉恥と思われてしまいます。
う、うっ、もっと私が可愛く、氷璃さんのようにお綺麗でしたら、このようなお洋服も堂々と着ることが出来るのに………。
私が二口女さんに抱き着いていますと、旦那様が私の手を握り、引き寄せられてしまいました。
「――――――――へっ?」
だ、旦那様がなぜか私をまじまじと見てきます!
何も言わずに見るだけなのです。
…………お願いですから何か言ってください!!
恥ずかしくて死んでしまいます!!!!
ずっと布団の上で寝てばかりでした。
すごく申し訳なかったのと、寂しかったのと、心苦しかったです。
普段から何もできない私なのに、風邪をひいてお仕事を増やしてしまい。
この三日間は、元気なのに何もできず寝ていただけ。
旦那様の命令なので仕方がありません。
ですが、やはりたくさん心配してくださった女中さん達に申し訳なかったです!!
でも!! 今日は旦那様と待ちに待ったお買い物の日!!
三日間、この日を楽しみに耐え抜きました!!
今から、鎌鼬さんが準備してくださったお洋服にお着換えです。
今回の服は旦那様ではなく、旦那様の母君である氷璃さんが買ってくださったと聞きました。
なぜ買ってくださったのかは謎です。
聞いても、鎌鼬さんは首を傾げてしまい、わからないと言っておりました。
また会うことがあれば、その時は必ずお礼をしなければなりません。
予め旦那様に聞きましょう、氷璃さんが好きなものを。
そのようなことを考えながら、受け取った風呂敷を開きます。
中には、スカラップハートブラウスに黒いスカートが入っていました。
…………え、このスカート、短すぎませんか?
これでは膝上になってしまうのですが…………。
サイズを間違えた?
いえ、まさか旦那様の母君がそのような失敗をするとは考えにくいです。ですが、これはあまりにも短い……。
――――い、いえ。何を怖気づいているのです華鈴。氷璃さんの善意を無下にするおつもりですか!?
ダメです、そのようなことは許されないのですよ、華鈴。
大丈夫、もしかしたら、見た目以上に長い可能性もあります。着てみなければわかりません。
着てみるのですよ、華鈴!!
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氷璃さんが買ってくださったお洋服を着てみました。
着てみましたが……。
白いハートが刺繍されているブラウス、膝上までしかない黒いミニスカート。
かわいい、ものすごくかわいいのです。
ですが、私がお洋服に負けております!!!
このような素敵なお洋服は、今まで着たことがありません!
着物でしたら旦那様がたくさん買ってくださるため、様々なものを着させていただいているのですが……。
これは、肌が出すぎており、恥ずかしいです。
このような服で旦那様の前になど出られません。
申し訳ないのですが、やはり今回は違うものにしましょう。
私がもっと自分に自信を持てるようになった時、再度挑戦しましょう。
今の私では、レベルが高すぎます。
服を脱ごうとすると、襖の外から鎌鼬さんの声が聞こえました。
『奥様、お洋服の方はいかがだったでしょうか』
「え、あ、いや、その…………」
な、なんと言えばよろしいのでしょうか。
私はものすごく素敵と感じております。
ですが、私が着るのには、少し抵抗が……。
言い淀んでいると、鎌鼬さんが心配し始めてしまいました。
『奥様? 何かありましたか?』
「いえ、あの!」
は、早く何かを言わなければ!
でも、頭が焦ってしまいなにも思いつきません!!
早く、早く言わなければ!!
『何かあったのですね奥様、失礼します』
「え、まっ――――」
――――――――ガラッ
襖が開いてしまいましたぁぁぁああ!!
「奥様、何が――あら」
入ってきてしまった鎌鼬さんが、私の今の格好をまじまじと見てきます。い、い――……
「いやぁぁぁぁぁあああああ!!!!!」
見ないでくださぁぁぁぁああい!!!
思わず叫ぶと、私の声が聞こえた女中さん達が来てしまいましたぁぁああ!!
「どうしたのですか奥様!!」
一番早くに来ましたのは、二口女さんです! 私を助けてください!!
二口女さんに助けを求め手を伸ばすと、今一番私のお姿を見てほしくなかった方が走ってきてしまいました!!
い、嫌です!! 今は嫌なのです、二口女さん私を隠してください!!
「何があった華鈴!! 何か侵入してき……た……か?」
「あ……あぁ……」
隠れる前に、旦那様が来てしまいました……。
終わりました、私の幸せな夫婦生活。
私のような地味で根暗がこのような可愛い服を着て何をやっているんだと。破廉恥と思われてしまいます。
う、うっ、もっと私が可愛く、氷璃さんのようにお綺麗でしたら、このようなお洋服も堂々と着ることが出来るのに………。
私が二口女さんに抱き着いていますと、旦那様が私の手を握り、引き寄せられてしまいました。
「――――――――へっ?」
だ、旦那様がなぜか私をまじまじと見てきます!
何も言わずに見るだけなのです。
…………お願いですから何か言ってください!!
恥ずかしくて死んでしまいます!!!!
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