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旦那様と手料理
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旦那様に私の失敗した料理を持って行かれたことにより、思わず床に四つん這いとなってしまいました。
旦那様が気を使って、私の、手料理を……。
お優しいので、無理してでも食べますよね、絶対。本当に、自慢の旦那様です。
「奥様、安心してください。味は美味しいかと思いますよ。見た目はまた練習しましょうか」
「二口女さん……。はい……」
その場に立ち上がると、二口女さんも立ち上がりご飯をよそい始めました。
私はお皿を洗おうと思います。
スポンジを手にし、桶の中にあるお皿を洗おうとすると、なぜか二口女さんに止められました。
また失敗すると思われているのでしょうか。
大丈夫ですよ、お皿洗いなら出来ます。
「こちらは大丈夫なので、お茶と白米を七氏様に届けていただいてもよろしいでしょうか」
「え、よろしいのですか?」
「はい、お願いできたら嬉しいです。また明日、一緒に料理を行いましょう」
「ありがとうございます!」
二口女さんがたすきを取ってくださり、白米とお茶が乗っかっているお盆を渡してくれました。
「行ってらっしゃいませ」
「ありがとうございました」
浅く腰を折り、暖簾を潜り廊下に。
旦那様の部屋に一直線です。
転ばないように気を付けながら歩いていると、すぐに旦那様の部屋に到着。
中に声をかけると、旦那様の声が返ってきます。
「うむ、お疲れ様だ」
「いえ……。私は、迷惑をかけただけで終わってしまいましたので…………」
中に入り、旦那様の机に持ってきた白米とお茶を乗せます。
あ、箸が旦那様の手に握られていました。
天ぷらのお皿を見てみると、サツマイモがなくなっております。
しっかりと食べてくださって嬉しいのですが、無理してないのか本当に不安になります……。
「顔が青いが大丈夫か?」
「い、いえ!! あの、無理してないですよね? 旦那様」
「何をだ?」
「天ぷらです……。失敗してしまったので、味がいかがなものかと」
不安がそのまま口から出てしまいました。
でも、不安なので仕方がないのです。
旦那様が優しすぎるので、美味しくなくても口では美味しいと言ってくださる気がします。
「うむ、華鈴よ、こっちに来い」
「え、はい―――きゃ!!」
旦那様に手招きをされたので近づくと、手首を左手で優しく包み引き寄せられ、膝の上に座らされました。え、何故?
「あ、あの?」
「ん-? ほれ、食ってみろ」
旦那様が菜の花を一口サイズに切り、私の口元に近付けてきました。
振り返り旦那様を見ると、笑みを浮かべております。
下から見上げているので黒い布で隠れていても、顔下半分は見る事が出来ました。
「自分で食えばわかるだろ? 食ってみろ」
「わ、わかりました」
これ、旦那様からの”あーん”ですよね?
緊張で心臓が鳴り響いております。
ですが、せっかくの機会、逃すわけにはいきません。覚悟を決めます、頑張ります。
――――――――パクッ
「どうだ?」
私が食べると、旦那様が自慢げに聞いてきました。
口の中でしっかりと噛んでいると、菜の花独特のほろ苦い味が口の中に広がり、癖になりそうです。味だけなら、美味しいかもしれないです。
「美味いだろ? だから、不安になるな」
私の頭を撫で、旦那様が私の顔横で一口サイズの菜の花を食べました。
「…………旦那様、お食事、私の前で………」
「ん? 見たかったんじゃないのか? 我の食事姿」
あ、もしかして、お買い物に行った時のことを言っているのでしょうか。
確かに見たかったのですが、まさか本当に見せていただけると思っていませんでした。
しかも、まさか旦那様の膝の上で食事姿を見る事が出来るなど、幸せです。
「ありがとうございます、私は幸せです」
「大げさだな。これくらいの願いなら、いつでも叶えてやるぞ。だから、遠慮なく言うのだ」
「あ、ありがとうございます。あ、あの、でしたら、一つ、いいでしょうか」
「お、さっそくか? 言ってみろ、遠慮はいらん」
顔を覗き込んでいた旦那様の方に向き、先ほどまで私が考えていたことを打ち明けます!
「私、今よりもっと旦那様のお役に立ちたいのです。何か、私でもできることなどありませんか?」
旦那様が気を使って、私の、手料理を……。
お優しいので、無理してでも食べますよね、絶対。本当に、自慢の旦那様です。
「奥様、安心してください。味は美味しいかと思いますよ。見た目はまた練習しましょうか」
「二口女さん……。はい……」
その場に立ち上がると、二口女さんも立ち上がりご飯をよそい始めました。
私はお皿を洗おうと思います。
スポンジを手にし、桶の中にあるお皿を洗おうとすると、なぜか二口女さんに止められました。
また失敗すると思われているのでしょうか。
大丈夫ですよ、お皿洗いなら出来ます。
「こちらは大丈夫なので、お茶と白米を七氏様に届けていただいてもよろしいでしょうか」
「え、よろしいのですか?」
「はい、お願いできたら嬉しいです。また明日、一緒に料理を行いましょう」
「ありがとうございます!」
二口女さんがたすきを取ってくださり、白米とお茶が乗っかっているお盆を渡してくれました。
「行ってらっしゃいませ」
「ありがとうございました」
浅く腰を折り、暖簾を潜り廊下に。
旦那様の部屋に一直線です。
転ばないように気を付けながら歩いていると、すぐに旦那様の部屋に到着。
中に声をかけると、旦那様の声が返ってきます。
「うむ、お疲れ様だ」
「いえ……。私は、迷惑をかけただけで終わってしまいましたので…………」
中に入り、旦那様の机に持ってきた白米とお茶を乗せます。
あ、箸が旦那様の手に握られていました。
天ぷらのお皿を見てみると、サツマイモがなくなっております。
しっかりと食べてくださって嬉しいのですが、無理してないのか本当に不安になります……。
「顔が青いが大丈夫か?」
「い、いえ!! あの、無理してないですよね? 旦那様」
「何をだ?」
「天ぷらです……。失敗してしまったので、味がいかがなものかと」
不安がそのまま口から出てしまいました。
でも、不安なので仕方がないのです。
旦那様が優しすぎるので、美味しくなくても口では美味しいと言ってくださる気がします。
「うむ、華鈴よ、こっちに来い」
「え、はい―――きゃ!!」
旦那様に手招きをされたので近づくと、手首を左手で優しく包み引き寄せられ、膝の上に座らされました。え、何故?
「あ、あの?」
「ん-? ほれ、食ってみろ」
旦那様が菜の花を一口サイズに切り、私の口元に近付けてきました。
振り返り旦那様を見ると、笑みを浮かべております。
下から見上げているので黒い布で隠れていても、顔下半分は見る事が出来ました。
「自分で食えばわかるだろ? 食ってみろ」
「わ、わかりました」
これ、旦那様からの”あーん”ですよね?
緊張で心臓が鳴り響いております。
ですが、せっかくの機会、逃すわけにはいきません。覚悟を決めます、頑張ります。
――――――――パクッ
「どうだ?」
私が食べると、旦那様が自慢げに聞いてきました。
口の中でしっかりと噛んでいると、菜の花独特のほろ苦い味が口の中に広がり、癖になりそうです。味だけなら、美味しいかもしれないです。
「美味いだろ? だから、不安になるな」
私の頭を撫で、旦那様が私の顔横で一口サイズの菜の花を食べました。
「…………旦那様、お食事、私の前で………」
「ん? 見たかったんじゃないのか? 我の食事姿」
あ、もしかして、お買い物に行った時のことを言っているのでしょうか。
確かに見たかったのですが、まさか本当に見せていただけると思っていませんでした。
しかも、まさか旦那様の膝の上で食事姿を見る事が出来るなど、幸せです。
「ありがとうございます、私は幸せです」
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「あ、ありがとうございます。あ、あの、でしたら、一つ、いいでしょうか」
「お、さっそくか? 言ってみろ、遠慮はいらん」
顔を覗き込んでいた旦那様の方に向き、先ほどまで私が考えていたことを打ち明けます!
「私、今よりもっと旦那様のお役に立ちたいのです。何か、私でもできることなどありませんか?」
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