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番外編 ベイルの一大事

03 逃げてくれ

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 難なく寝室に到着して扉をこじ開けると、余裕の全くないベイルは閉じたばかりの扉に彼女を押し付けた。
 そうして形のいいくちびるへ噛みつくようにキスをして、小さな口腔へ舌をねじ込み、ヒルデガルドのそれを激しく舐めしゃぶる。
 泡立ち溢れ出る唾液を飲み込む隙も与えられず、口端から流れてしまうそれがとんでもなく淫猥だった。ヒルデガルドの顔よりも大きな手が耳を塞ぐから、淫らな水音が頭に響き、腰が砕けそうになってしまう。

「まっ、べぃ……っんんっ……!」
「っは……姫さん、逃げるなら、今だ。わりぃが、今にも意識、トんじまいそうで……っ、あんたを壊すかもしれない」

 鋼のような自制心でなんとか保っているのだろう。ギラギラと瞳の奥を欲望の色に染めながらも、ヒルデガルドを逃がそうとしてくれている。

 それでも。

「ばかね。聞いていなかったの? わたくしがあなたに抱かれたいのよ」

 ぐりぐりと鳩尾に押し付けられている滾りをそっと撫でれば、ベイルは眉間に深い皺を刻む。
 そして熱に浮かされたように呻き、ヒルデガルドのドレスに手をかけた。

「っ、もう、無理だ……!」
「きゃぁっ?!」

 ベイルがそう呟いた瞬間、布が裂ける鋭い音がして、縫い付けられていた無数のビジューがバラバラと床に散らばった。
 こんなふうにドレスを布切れに戻すことってできるのね、と関心する間もなく残りの布も剥ぎ取られ、コルセットとショーツ、そしてヒールだけの姿となる。

「えっ? まっ……、あぁっ?!」

 ベイルは彼女の前に跪き、ヒルデガルドの片足を持ち上げ肩にかけた。そして繊細なショーツのリボンを難なく解くと、あらわになった蜜口に躊躇なくむしゃぶりついた。

「ふ……ぅっ! あっ、そ、んな急に……!」
「っは……!」

 背中を扉に預け、いつの間にか床についていたはずの片足も浮いている。だが大きな片手で腰を支えられていて、たったそれだけで安定するのだから不思議だ。
 急激に与えられる快楽に力が抜けていく。勝手に秘部をベイルの顔に擦りつける格好になってしまうのだが、彼は溢れ出る愛液を啜りながら自らの前を寛げ、パンパンに勃起したそれを取り出した。

「んッ! は……ぁッ、はげし……っ」

 あまりにも性急に追い立てられ、縋るように短い金髪を掴む。
 あわいをこじ開けるように擽り押し込んでいた分厚い舌が、まるで宝物でも見つけたよう陰核を包んだ。

「ひぅ……っ! ま……ッそこだめ……ぇっ!!」

 ベイルは自身を扱きながら、小さなその尖りを懸命に愛撫する。
 柔らかい舌の腹を押しつけ、唾液を塗りたくったかと思うと一気に舐めあげて、くちびるで食みちゅうっと吸う。そうしてむき出しになった淫芯を口内に引き込んで、舌先で小刻みに弾くのだ。
 そんな行為におよそ泣きながら喘ぐヒルデガルドに欲情して、ベイルは一度吐精しても全く衰えない凶悪なそれをもう一度握った。

「ぁ……あっ! ま……って、言ってる、のにぃっ……! ぁあっ……!」

 荒々しい口淫に不本意ながらも昂って、ヒルデガルドはピンッと全身を硬直させて軽く達してしまった。
 蜜が滴る下のお口は引き攣ったように収縮を繰り返し、それに浸るようにうっとりと目を閉じるのだが。

「んぁッ……! やぁっ、……ま、いってる……! からぁっ」

 ヒルデガルドの訴えは、ベイルの獰猛な視線によって霧散した。
 彼女の全てを暴き貪ろうと舌なめずりする彼の姿に、熱い身体が卑しくも更なる快楽を求め疼くのだ。
 とろりと滴ったヒルデガルドの欲望の雫を綺麗に舐めとると、ベイルはどこか耐えるよう赤くした目を瞑り、白濁とした精を吐出した。

「ぁ……んッ」
「っ…………!」

 ベイルは余韻にくったりとしたヒルデガルドを立たせ、まだ着たままだった上着の袖で口許を拭う。そこはべったりと跡がつくほど濡れてしまっていて、それが彼の舌技に屈服したことを表しているようで頬が熱くなる。

「はっ……ふ……ぅ」
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