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本編
05 キス
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◇
ドキドキと、けたたましく打ち付ける心臓がうるさい。
あやめは藤に手を引かれるままホテルの一室へと足を踏み入れる。
ここに来るまでのことは、ふわふわとしていてなにも覚えていない。
指を絡めるようにして繋がれた右手がやけに熱くて、そこから熱を持ってしまい、意識が朦朧とし始めたように思う。
藤がいろいろと話しかけてくれていたけれど、きちんと答えられていたのかも怪しい。
「おー。結構ええ部屋やん」
藤の言う通り、広々とした室内はシックな雰囲気で、存在感のある大きなベッドが品よく置かれている。
ギラギラとした安っぽい内装をイメージしていたあやめは、自身の無知さになんだが恥ずかしくなってくる。
そしてその場から動けなくなってしまったあやめへ、藤は不思議そうに声をかけた。
「あれ? あやめちゃん、ラブホはじめて? おうちデート派やった?」
「いえ、あの、ホテルっていうか……私、彼氏いたこと、なくて……」
「へっ」
思い切って答えたのだが、それが予想外だったのだろう。驚き裏返った藤の声に、あやめはここが自分には場違いなのだと気がついた。
だってそうだ。手慣れていそうな藤からしたら、処女なんて重くて面倒に決まってる。
「あの、今言うなんて、ごめんなさい……やっぱり、迷惑でしたよね。私、帰ります」
「まって? 迷惑ってなに? ……っていうか、ここまで来て逃がすわけないんやけど」
扉へ手を掛けようとするあやめを遮って、藤は元の調子に戻る。そして鼻歌でも歌い出しそうに機嫌よく、あやめの腰を抱きベッドへ誘導した。
「そっかそっか、あやめちゃん、色々と初めてやったんやぁ」
着崩していた上着を無造作に脱ぎ捨ててた藤は、あやめをベッドに座らせた。
だがそれからどうすればいいのか、あやめには何もわからない。
「あはっ、そんな緊張せんでええよ。さっきも言ったけど、もうここまで来たんやったら帰されへんし。あやめちゃんもそれわかってて来たんやろ? お兄さんがいっぱい気持ちいいこと、教えたるわ」
そう言って藤は、中指につけていた大ぶりのリングと、色付きの眼鏡を外してヘッドボードに置く。そして緊張しカチコチに固まっているあやめとの距離を一気に詰めた。
「あの……」
「あやめちゃん、こっち向いて」
恐る恐る彼の顔を見上げ、見惚れてしまった。
素顔の藤はとんでもなく色っぽくて、隠そうとしない燃えるような劣情に、心臓が痛いくらいに鼓動する。
「ふふ、ほんま可愛い。びっくりするくらい優しぃしたるから、あやめちゃんは気持ちよくなることだけ考えとき」
「んっ……!」
あご先を持ち上げられ、あやめの唇に温かいものが触れる。それが藤の唇だと気づいたときには、彼の舌先があやめの口内に侵入していた。
驚き縮こまったあやめの舌先を藤のそれがかすめ、なぜだか背中に電気が走る。それに戸惑うあやめを宥めるように、藤はちゅっとリップ音をたて、何度もあやめの唇を啄んだ。
「ふ、ぁ……っ」
「……ええ子やなぁあやめちゃん。もっと気持ちいいキスしたるから、ちょっとだけ舌だしてみ」
ぼんやりとする頭で従えば、すぐに激しい口づけが落ちてくる。
舌を押しつけ合っただけで驚くほどの快楽に攫われ、あやめの身体はおかしくなりそうだった。
藤の舌先は激しく口内を這い、深いところまでも舐め回す。ざらりと上顎を撫でられたときには、呼応するようにお臍の奥が疼いていた。
あやめは必死に藤に縋り、彼のシャツを握りしめる。気づいたときにはベッドに倒れ込んでいて、藤の大きな手がブラウスの上からくびれをなぞっていた。
「ひぁっ! ぁ……!」
「めちゃくちゃ感度いいやん……キス気に入った? 今日はいっぱいしよな」
「んっ、は……ぁ、はぃ……」
キスだけですっかりと蕩けてしまったあやめの首筋を、藤の舌と唇が辿る。
それだけでも未知の感覚なのに、藤はあやめのブラウスの裾をゆっくりと捲りあげながら、熱い指先で素肌を撫でた。
「んっ、んぅ……っ」
あやめの身体はどこかおかしくなってしまったのかもしれない。
藤の触れる場所全てから、ぴりぴりとした何かが生まれている気がする。
丁寧に鎖骨を舐めらたときには身体がびくっと跳ねた。更にはいやらしい声が口から漏れて、それが恥ずかしくて唇をかむ。泣きそうになりながら藤を見ると、そこへちゅっと触れるだけのキスが降ってきた。
「恥ずかしないから、いっぱい声聞かせて。俺で気持ちようなってる証拠やし、あやめちゃんの可愛い声いっぱい聞きたいわ。もっといろんなとこにキスしたるから、服脱ごか」
「っ、は、はずかし……」
「ほんなら俺が脱がしたるわ。背中浮かせてみ」
「んっ……」
慣れた手つきで下着まで脱がされると、支えを失った大きな胸がふるりと揺れる。
それを藤が上から眺め、口角を上げた。
ドキドキと、けたたましく打ち付ける心臓がうるさい。
あやめは藤に手を引かれるままホテルの一室へと足を踏み入れる。
ここに来るまでのことは、ふわふわとしていてなにも覚えていない。
指を絡めるようにして繋がれた右手がやけに熱くて、そこから熱を持ってしまい、意識が朦朧とし始めたように思う。
藤がいろいろと話しかけてくれていたけれど、きちんと答えられていたのかも怪しい。
「おー。結構ええ部屋やん」
藤の言う通り、広々とした室内はシックな雰囲気で、存在感のある大きなベッドが品よく置かれている。
ギラギラとした安っぽい内装をイメージしていたあやめは、自身の無知さになんだが恥ずかしくなってくる。
そしてその場から動けなくなってしまったあやめへ、藤は不思議そうに声をかけた。
「あれ? あやめちゃん、ラブホはじめて? おうちデート派やった?」
「いえ、あの、ホテルっていうか……私、彼氏いたこと、なくて……」
「へっ」
思い切って答えたのだが、それが予想外だったのだろう。驚き裏返った藤の声に、あやめはここが自分には場違いなのだと気がついた。
だってそうだ。手慣れていそうな藤からしたら、処女なんて重くて面倒に決まってる。
「あの、今言うなんて、ごめんなさい……やっぱり、迷惑でしたよね。私、帰ります」
「まって? 迷惑ってなに? ……っていうか、ここまで来て逃がすわけないんやけど」
扉へ手を掛けようとするあやめを遮って、藤は元の調子に戻る。そして鼻歌でも歌い出しそうに機嫌よく、あやめの腰を抱きベッドへ誘導した。
「そっかそっか、あやめちゃん、色々と初めてやったんやぁ」
着崩していた上着を無造作に脱ぎ捨ててた藤は、あやめをベッドに座らせた。
だがそれからどうすればいいのか、あやめには何もわからない。
「あはっ、そんな緊張せんでええよ。さっきも言ったけど、もうここまで来たんやったら帰されへんし。あやめちゃんもそれわかってて来たんやろ? お兄さんがいっぱい気持ちいいこと、教えたるわ」
そう言って藤は、中指につけていた大ぶりのリングと、色付きの眼鏡を外してヘッドボードに置く。そして緊張しカチコチに固まっているあやめとの距離を一気に詰めた。
「あの……」
「あやめちゃん、こっち向いて」
恐る恐る彼の顔を見上げ、見惚れてしまった。
素顔の藤はとんでもなく色っぽくて、隠そうとしない燃えるような劣情に、心臓が痛いくらいに鼓動する。
「ふふ、ほんま可愛い。びっくりするくらい優しぃしたるから、あやめちゃんは気持ちよくなることだけ考えとき」
「んっ……!」
あご先を持ち上げられ、あやめの唇に温かいものが触れる。それが藤の唇だと気づいたときには、彼の舌先があやめの口内に侵入していた。
驚き縮こまったあやめの舌先を藤のそれがかすめ、なぜだか背中に電気が走る。それに戸惑うあやめを宥めるように、藤はちゅっとリップ音をたて、何度もあやめの唇を啄んだ。
「ふ、ぁ……っ」
「……ええ子やなぁあやめちゃん。もっと気持ちいいキスしたるから、ちょっとだけ舌だしてみ」
ぼんやりとする頭で従えば、すぐに激しい口づけが落ちてくる。
舌を押しつけ合っただけで驚くほどの快楽に攫われ、あやめの身体はおかしくなりそうだった。
藤の舌先は激しく口内を這い、深いところまでも舐め回す。ざらりと上顎を撫でられたときには、呼応するようにお臍の奥が疼いていた。
あやめは必死に藤に縋り、彼のシャツを握りしめる。気づいたときにはベッドに倒れ込んでいて、藤の大きな手がブラウスの上からくびれをなぞっていた。
「ひぁっ! ぁ……!」
「めちゃくちゃ感度いいやん……キス気に入った? 今日はいっぱいしよな」
「んっ、は……ぁ、はぃ……」
キスだけですっかりと蕩けてしまったあやめの首筋を、藤の舌と唇が辿る。
それだけでも未知の感覚なのに、藤はあやめのブラウスの裾をゆっくりと捲りあげながら、熱い指先で素肌を撫でた。
「んっ、んぅ……っ」
あやめの身体はどこかおかしくなってしまったのかもしれない。
藤の触れる場所全てから、ぴりぴりとした何かが生まれている気がする。
丁寧に鎖骨を舐めらたときには身体がびくっと跳ねた。更にはいやらしい声が口から漏れて、それが恥ずかしくて唇をかむ。泣きそうになりながら藤を見ると、そこへちゅっと触れるだけのキスが降ってきた。
「恥ずかしないから、いっぱい声聞かせて。俺で気持ちようなってる証拠やし、あやめちゃんの可愛い声いっぱい聞きたいわ。もっといろんなとこにキスしたるから、服脱ごか」
「っ、は、はずかし……」
「ほんなら俺が脱がしたるわ。背中浮かせてみ」
「んっ……」
慣れた手つきで下着まで脱がされると、支えを失った大きな胸がふるりと揺れる。
それを藤が上から眺め、口角を上げた。
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