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4、クラウス
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足元がふらついて、よろけそうになるけれど。モニカは決して侍女を下ろさなかった。そのまま階段にしゃがみこんでも大丈夫か、とっさに判断する。
(ダメ。危険だわ)
それぞれの段が狭い。
足場が安定しないのだ。
自分には力がない。その事実を突きつけられてしまう。
その時だった。
風が階段を吹き抜けた。モニカの破れたドレスの裾が翻る。
そして、モニカは侍女ごと抱き留められていた。
「大丈夫ですか? お二方」
この声、知っている。
「まったく無茶なことをしますね。モニカは」
自分を「モニカ」と呼ぶ男性は、家族以外では一人しかいない。
モニカは恐る恐る顔を上げた。琥珀色の瞳と目が合った。
「けれど、侍女を見捨てないあなたは王女というよりも、まるで勇敢な女騎士ですね」
逞しい腕の中に閉じ込められているので、視界がうす暗い。彼の顔がよく見えない。
でも、声が嬉しそうに弾んでいるのが分かる。
「……クラウス」
「はい」
「どうして?」
問いかける声はか細く、とてもモニカとは思えないほどだった。
「応接室で待っていたのですが。モニカが遅いので、部屋まで見に行こうかと思って。王宮の使用人に話すと止められるから、内緒なのですが」
三十五歳になるクラウスは、おちついた大人だ。なのに秘密を共有する子供のように、やんちゃな笑みを浮かべた。
「公爵家の方でなければ、大事になるわね」
「でも、こうしてモニカを助けることができましたよ。部屋を抜け出してみるものですね。陛下も妃殿下も席を外しておいででしたので、ちょうどよかった」
物音に気がついて、使用人が階段に集まってくる。
階段の途中で、侍女を担いだモニカ。そのふたりが落ちぬように、腕で支えるクラウス。
メイドたちの悲鳴が上がる。
使用人が何人も階段を駆けあがって来た。
モニカは侍女を男性の使用人に預けて、事情を説明する。
我が身を挺して、侍女が階段から落ちぬように助けたモニカを、皆が称える。
(は、恥ずかしいわ。だって、本当に助けてくれたのはクラウスだもの)
そのクラウスだって、モニカを「えらい、えらい」と言いながら、目を細めている。
「モニカさまー。せめて、せめてお着替えをー」
やはり肩に担がれて運ばれながら、侍女は廊下の果てで見えなくなるまで叫んでいた。
モニカとクラウスは、応接室の椅子に腰を下ろした。
絢爛豪華なのは苦手だという父の趣味で、王宮ではあるが椅子は落ちついた革張りのものが置かれている。
両親はまだ来ないし、使用人はお茶の用意をしている。向かいあわせの席に、二人きりだ。
「あの、クラウス。今日はどんな用事でいらしたの?」
騒動の後なので、話を切りだすのも緊張する。
「急ぎの用なのかしら」
モニカの声は、上ずった。
おそらくは縁談についての返事だろうと分かっているけれど。モニカは尋ねた。
もし断られたら、つらい。でも、返事を後伸ばしにされるのもイヤだ。
子供の頃のように、無邪気に会話ができない。そばにいるだけで緊張してしまうなんて。
「飴を作りたくなりました」
「え?」
それは十五年前の、メープルシロップの飴のことだろうか。
あの琥珀色で、甘くて。固まっていても、口に含むととろける素朴な飴。
でも、どうして急に? そんなことを?
モニカは、クラウスの言葉の意味が理解できなかった。
「正直なところ、私にとってのモニカは幼い少女だったのです。まぁ、七歳と二十歳では仕方ありませんが」
それは知っている。どんなに大人っぽくふるまおうが、年を重ねようが。
クラウスの中の自分は、今でも子どもなのだ。
さっき階段で、褒めてくれたように。
「だから、なかなか縁談のお返事をくれなかったの?」
「……決心がつかなかったのです」
小さな息を、クラウスは吐いた。
「モニカから見れば、私はおじさんですからね」
「おじさんじゃないわ!」
思わず大きな声が出てしまった。室内に反響するほどに。
しまった。やってしまった。
「そう言ってくれるのは、嬉しいですね」
クラウスは、自分の口の前で人さし指を立てた。声が響いてしまったのを、モニカは恥じてうつむいた。
「他の紳士が、あなたの夫になるかもしれないと考えた時。私は『絶対に嫌だ』と思ったんですよ」
ようやく聞き取れるほどの小さな声だった。
「モニカと一緒に飴を作るのは、私でなければ嫌です。たとえあなたが子供であっても、大人であっても。他にモニカはいませんからね」
「それって」
問い返す声が上ずってしまう。
クラウスは椅子から立ちあがり、モニカの側に来た。
結局着替えもしないままだから、ドレスの裾は破れている。着替えも大変でしょう、とクラウスが申し出てくれたから。その言葉に甘えてしまった。
だけど、みっともないんじゃないだろうか。今の自分は、ひどい恰好をしている。
「飴を作っていた頃は、妃殿下や使用人たちの分もと張り切っていましたね。そして今は、侍女を自ら助けた」
しゃがんだクラウスが、モニカの耳もとで囁く。
低くて、優しい声だった。
「王女だから、という理由じゃない。そんなあなただから、私は他の誰にもあげたくないのです」
ただの婚約の返事だけではない。
もっと深い愛を、クラウスは告白してくれた。
泣くようなタイプじゃないのに。凛としているのが当然と、周囲からは思われているのに。
モニカはぽろぽろと涙を流した。
嬉しくても泣いてしまうのだと、二十二歳にして初めて気づいた。
◇◇◇
次の春。雪が解けて、王都の野には黄色や白の花が咲き乱れる、美しい季節。
モニカとクラウスは結婚した。
第一王子である兄がまだ結婚していないこともあり。挙式は王族と公爵家だけで行われた。
クラウスもモニカも、仰々しいのは苦手だから。これがもし政略結婚なら、王家も公爵家も威信を見せつけるために、派手に挙式したかもしれない。
ふたりの住処は離宮だ。離宮といっても、王宮からは馬車で十分もあれば行ける距離だ。
離宮には砂糖楓の木がたくさん植えられた。
いつか生まれてくるであろう子供たちが、飴を作れるように。
もちろんメープルシロップの飴だ。
「フロレンシア。お庭を散歩しましょうよ」
「わたしは今、仕事時間ですが。よろしいんですか?」
工房を訪れたモニカに誘われて、フロレンシアは刺繍の手を止めた。
住まいを離宮に移したモニカが、彼女の工房も移動させたのだ。
「せっかくいい気候だもの。部屋にこもってちゃいけないわ」
窓辺に立ったモニカの姿は、爽やかな青葉の光を受けて逆光になっている。
「では、図案の参考になるように花や植物をスケッチしますね」
ペンと紙を持った、フロレンシアは立ちあがる。
「もうっ。休憩しましょうって意味で、わたしは誘ったのよ」
モニカは口を尖らせた。窓の外では、クラウスが苦笑している。
「まさかフロレンシアが、一番の仕事の虫だったとはね。そうは見えないんだが」
「いえ、そんなことはないです……と、思います」
クラウスの言葉を否定しきれない自分が、恥ずかしい。フロレンシアは、ちらっとモニカに視線を向けた。
「そうなのよ。無理にでも休ませないとって思ったんだけど。なかなか通じないのよ、これが」
「そうだね。モニカの言うとおりだ」
モニカの頬に、クラウスが窓越しにキスをする。
春風が撫でるほどの、軽いキスだ。なのに、クラウスからモニカへのありったけの愛情が込められているのが、伝わってくる。
(無理です。恥ずかしくて、見ていられません)
フロレンシアは、スケッチ用の紙で顔をかくした。
初恋を、そしてその後の長い長い片思いを実らせて。モニカは、白くかぐわしいガーデニアの花が咲き誇るように、輝いている。
(了)
(ダメ。危険だわ)
それぞれの段が狭い。
足場が安定しないのだ。
自分には力がない。その事実を突きつけられてしまう。
その時だった。
風が階段を吹き抜けた。モニカの破れたドレスの裾が翻る。
そして、モニカは侍女ごと抱き留められていた。
「大丈夫ですか? お二方」
この声、知っている。
「まったく無茶なことをしますね。モニカは」
自分を「モニカ」と呼ぶ男性は、家族以外では一人しかいない。
モニカは恐る恐る顔を上げた。琥珀色の瞳と目が合った。
「けれど、侍女を見捨てないあなたは王女というよりも、まるで勇敢な女騎士ですね」
逞しい腕の中に閉じ込められているので、視界がうす暗い。彼の顔がよく見えない。
でも、声が嬉しそうに弾んでいるのが分かる。
「……クラウス」
「はい」
「どうして?」
問いかける声はか細く、とてもモニカとは思えないほどだった。
「応接室で待っていたのですが。モニカが遅いので、部屋まで見に行こうかと思って。王宮の使用人に話すと止められるから、内緒なのですが」
三十五歳になるクラウスは、おちついた大人だ。なのに秘密を共有する子供のように、やんちゃな笑みを浮かべた。
「公爵家の方でなければ、大事になるわね」
「でも、こうしてモニカを助けることができましたよ。部屋を抜け出してみるものですね。陛下も妃殿下も席を外しておいででしたので、ちょうどよかった」
物音に気がついて、使用人が階段に集まってくる。
階段の途中で、侍女を担いだモニカ。そのふたりが落ちぬように、腕で支えるクラウス。
メイドたちの悲鳴が上がる。
使用人が何人も階段を駆けあがって来た。
モニカは侍女を男性の使用人に預けて、事情を説明する。
我が身を挺して、侍女が階段から落ちぬように助けたモニカを、皆が称える。
(は、恥ずかしいわ。だって、本当に助けてくれたのはクラウスだもの)
そのクラウスだって、モニカを「えらい、えらい」と言いながら、目を細めている。
「モニカさまー。せめて、せめてお着替えをー」
やはり肩に担がれて運ばれながら、侍女は廊下の果てで見えなくなるまで叫んでいた。
モニカとクラウスは、応接室の椅子に腰を下ろした。
絢爛豪華なのは苦手だという父の趣味で、王宮ではあるが椅子は落ちついた革張りのものが置かれている。
両親はまだ来ないし、使用人はお茶の用意をしている。向かいあわせの席に、二人きりだ。
「あの、クラウス。今日はどんな用事でいらしたの?」
騒動の後なので、話を切りだすのも緊張する。
「急ぎの用なのかしら」
モニカの声は、上ずった。
おそらくは縁談についての返事だろうと分かっているけれど。モニカは尋ねた。
もし断られたら、つらい。でも、返事を後伸ばしにされるのもイヤだ。
子供の頃のように、無邪気に会話ができない。そばにいるだけで緊張してしまうなんて。
「飴を作りたくなりました」
「え?」
それは十五年前の、メープルシロップの飴のことだろうか。
あの琥珀色で、甘くて。固まっていても、口に含むととろける素朴な飴。
でも、どうして急に? そんなことを?
モニカは、クラウスの言葉の意味が理解できなかった。
「正直なところ、私にとってのモニカは幼い少女だったのです。まぁ、七歳と二十歳では仕方ありませんが」
それは知っている。どんなに大人っぽくふるまおうが、年を重ねようが。
クラウスの中の自分は、今でも子どもなのだ。
さっき階段で、褒めてくれたように。
「だから、なかなか縁談のお返事をくれなかったの?」
「……決心がつかなかったのです」
小さな息を、クラウスは吐いた。
「モニカから見れば、私はおじさんですからね」
「おじさんじゃないわ!」
思わず大きな声が出てしまった。室内に反響するほどに。
しまった。やってしまった。
「そう言ってくれるのは、嬉しいですね」
クラウスは、自分の口の前で人さし指を立てた。声が響いてしまったのを、モニカは恥じてうつむいた。
「他の紳士が、あなたの夫になるかもしれないと考えた時。私は『絶対に嫌だ』と思ったんですよ」
ようやく聞き取れるほどの小さな声だった。
「モニカと一緒に飴を作るのは、私でなければ嫌です。たとえあなたが子供であっても、大人であっても。他にモニカはいませんからね」
「それって」
問い返す声が上ずってしまう。
クラウスは椅子から立ちあがり、モニカの側に来た。
結局着替えもしないままだから、ドレスの裾は破れている。着替えも大変でしょう、とクラウスが申し出てくれたから。その言葉に甘えてしまった。
だけど、みっともないんじゃないだろうか。今の自分は、ひどい恰好をしている。
「飴を作っていた頃は、妃殿下や使用人たちの分もと張り切っていましたね。そして今は、侍女を自ら助けた」
しゃがんだクラウスが、モニカの耳もとで囁く。
低くて、優しい声だった。
「王女だから、という理由じゃない。そんなあなただから、私は他の誰にもあげたくないのです」
ただの婚約の返事だけではない。
もっと深い愛を、クラウスは告白してくれた。
泣くようなタイプじゃないのに。凛としているのが当然と、周囲からは思われているのに。
モニカはぽろぽろと涙を流した。
嬉しくても泣いてしまうのだと、二十二歳にして初めて気づいた。
◇◇◇
次の春。雪が解けて、王都の野には黄色や白の花が咲き乱れる、美しい季節。
モニカとクラウスは結婚した。
第一王子である兄がまだ結婚していないこともあり。挙式は王族と公爵家だけで行われた。
クラウスもモニカも、仰々しいのは苦手だから。これがもし政略結婚なら、王家も公爵家も威信を見せつけるために、派手に挙式したかもしれない。
ふたりの住処は離宮だ。離宮といっても、王宮からは馬車で十分もあれば行ける距離だ。
離宮には砂糖楓の木がたくさん植えられた。
いつか生まれてくるであろう子供たちが、飴を作れるように。
もちろんメープルシロップの飴だ。
「フロレンシア。お庭を散歩しましょうよ」
「わたしは今、仕事時間ですが。よろしいんですか?」
工房を訪れたモニカに誘われて、フロレンシアは刺繍の手を止めた。
住まいを離宮に移したモニカが、彼女の工房も移動させたのだ。
「せっかくいい気候だもの。部屋にこもってちゃいけないわ」
窓辺に立ったモニカの姿は、爽やかな青葉の光を受けて逆光になっている。
「では、図案の参考になるように花や植物をスケッチしますね」
ペンと紙を持った、フロレンシアは立ちあがる。
「もうっ。休憩しましょうって意味で、わたしは誘ったのよ」
モニカは口を尖らせた。窓の外では、クラウスが苦笑している。
「まさかフロレンシアが、一番の仕事の虫だったとはね。そうは見えないんだが」
「いえ、そんなことはないです……と、思います」
クラウスの言葉を否定しきれない自分が、恥ずかしい。フロレンシアは、ちらっとモニカに視線を向けた。
「そうなのよ。無理にでも休ませないとって思ったんだけど。なかなか通じないのよ、これが」
「そうだね。モニカの言うとおりだ」
モニカの頬に、クラウスが窓越しにキスをする。
春風が撫でるほどの、軽いキスだ。なのに、クラウスからモニカへのありったけの愛情が込められているのが、伝わってくる。
(無理です。恥ずかしくて、見ていられません)
フロレンシアは、スケッチ用の紙で顔をかくした。
初恋を、そしてその後の長い長い片思いを実らせて。モニカは、白くかぐわしいガーデニアの花が咲き誇るように、輝いている。
(了)
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