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美酒に酔い 赤らめるもの 青褪めるもの
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巨大大陸の北部で起こった天使達との戦いの後(?)、
魔族の国の王都に近い町で美酒に酔う男達がいた。
「うむ、よい酒だな。
んっ?あの男が方を付けたようだ。」
「あの男が天空に潜んだ時点で
連中の負けは決定事項となっていた。
どうなろうと知ったことではないが、
またホルス神の戦士達に暇を出せなくなった。
何処かで仕事をさせるとしよう。」
ルシファーがグラスの中の氷を揺らしながら
戦いに決着がついたことを他人事のように話すと、
メフィストはストレートの美酒を一口味わいながら
当然のように話していた。
「その氷を作り出す魔法は便利なものよのう。
夏場になれば重宝する魔法、
酒がより旨くなるのであれば、
覚えてみたくなるのう。」
「うむ、このくらいの氷であれば
卜伝殿でも扱えよう。
このように魔力を練り上げればすぐだ。」
卜伝に手の平を向けてルシファーが何か力を出したのか、
赤らんだ顔の卜伝の体が薄く光り、すぐに収まった。
「ほぉ、ほぉ。
まさか、この世界で魔法をつかえるようになるとは
思いもしなかったのだが、つくづく便利なものじゃな。
ルシファー殿、礼を言う。」
「いや、それでは魔力の効率が悪い。
無駄使いになるというものだ。
そのグラスで良ければ、
魔法陣を仕込んで差し上げよう。
これで如何か。」
傍らにいたメフィストが卜伝の持つグラスに目を向けると
グラスの底に魔法陣が現れた。
「おぉ、これは!
思うだけで氷が作れるとは!
メフィスト殿、感謝する。
ううむ、やはり魔法とは便利なものじゃな。
一通りの生活に役立つ魔法を覚えておいても
損はなさそうじゃな。」
それならばこの魔法を、いやこの魔法陣で効率よく扱えると
ルシファーとメフィストが魔法談義に力を入れ出した。
力を入れ過ぎて強力な魔法を使って見せてやろうと言い出し、
魔法防壁を張ったミニチュアの空間を作り、
その中で広域殲滅魔法まで話を広げて見せ始める始末だ。
どれも有用じゃなと卜伝はしっかりと傾聴し、
習得に意欲を持つのであった。
酒場の周りにいた者たちも、つられて魔法談義に花を咲かせ始め、
そこここで披露するものも現れ、後にその酒場は「魔法酒場」と
呼ばれるようになるのであった。
ちなみに、セブンが作り出した湖に沈んだ天使達は
あろうことかイシュタルに魔法で氷漬けにされ、放置されていた。
戦意も洗い流されてしまったブリュンヒルド達は
不死の戦士達をヴァルハラに送り返し、カーラと共に
拠点に戻っていった。
セブンはクロと一緒に飛んで帰ろうとしたが、イシュタルに
呼び止められ、通常飛行高度でゆっくりと
拠点に向けて帰っていったのであった。
・・・えーっと、天使の皆さん、帰っていいんですけど。。
凍ってるから帰れない?
あー、イシュタルさんの魔法で凍ってるので
数千年は融けそうにないですね。
お許しを~。
それから数日経ったある日の夕刻。
パティシエの街の酒場に再びイシュタルが姿を現し、
セブンと共に美酒に酔っていた。
「昨日でやっと命のバランスが取れたのだわ。
命を失うものも適度にいないと世界のバランスが狂うから
私達姉妹の役割は重要なのだわ。
それを放置したあの人のせいで
余計な手間がかかったのだけれど、
このお酒とスイーツの組み合わせで
水に流せるくらい美味しいのだわ。」
「お褒めに与り光栄でございます。
これは先程ここにいたパイロが考案した
新しいマリアージュの一品でございます。」
「そ、彼女が有名なパティシエだったのね。
シヴァ神にそっくりな可愛らしい娘さんだと
思っていたのだけれど、パティシエだとは
思わなかったのだわ。
人は見かけによらないものね。
そうそう、セブン。
貴方も見かけによらずプレイボーイなのね?
あの人が妊娠したそうよ。
貴方の子かもって嬉しそうにお腹を撫でていたのだわ。
異界の神を、しかも人妻を身籠らせるなんてやるじゃない。
ネルガルさんも仕方ないなぁって言いながら
喜んでたみたいよ。変わった夫婦なのだわ。」
「いやいや、身に覚えないんですけど?
清廉潔白なんですけど?
これ18禁じゃないから
そういうことはしないんですけど?」
「あら?おかしいわね。
しっかり貴方の神気をもらったから
元気な男の子かもって嬉しそうに自慢されて
キレそうになったんだけど、心当たりないのかしら?」
「神気・・・いやいや、
そんなことした記憶が全くないんですけど。
ネルガルさんのお子さんなのでは?」
「おかしいわねぇ。
確かに貴方から濃厚な神気を直接口移しで
もらったことがあるからあの時かもって、
気持ちの悪い思い出し笑いしてたのだけれど。」
その言葉を聞いて、グラスを拭いていたカイの手が止まり
セブンと同じく青ざめた顔になっていった。
「・・・ちょ、ちょっといいですか、イシュタル様。
まさか、小学生じゃあるまいしキスで子供出来るとか
思ってませんか?」
「当然出来るわよ。だって私達は神なのだから、
神気を混ぜ合わせたら出来ても不思議はないのだわ。
まさか、知らなかったの?」
「え”っ?・・・えええええっ!?
あり得ないでしょ?
そんなこと出来るんだったら、
うっかりキス出来ないじゃないですか!?」
「そうよ、だから相手を選んでするものでしょ?
あら、あらららら?ほんとに知らなかったんだぁ。
じゃあ、私にも貴方の赤ちゃん貰えるかしら?
いいわよね?
私の方があの人より美人だし、文句ないでしょ?」
「いやいやいや、それ聞いて出来るわけないでしょ、普通。
駄目です、酔い過ぎてるんですよイシュタル様。
もう今日はこの辺りで一度お帰りください、お願いします。」
「もう、この私の誘いを断るなんて・・
いいのだわ、次の機会で頂くことにするのだわ。
じゃあ、また来るわね。」
そう言ってイシュタルがカイのバーから外に出て
飛び上がる様に姿を消していった。
店の中では青褪めて硬直したままのカイがいた。
「あー、カイ。
その何だな・・・えーっと、・・・」
見送って戻って来たが、まともに言葉を出せないセブンは
バーのカウンターで青い顔で項垂れていた。
翌日数名の女性が頭を抱えたり、気絶したり、泣きながら
セブンを張り倒したりしていたそうです。
この世界の翌日には、異界の冥界で元気な男の子が生まれたそうです。
男の子はお父さんに似た力を継承することが多いそうで、
生まれて数か月後には広域暗黒魔法を使ったのだそうです。
その姿を見て大喜びするネルガルさんの陰で
少し残念に思っていたりするイケナイ人妻と
私のターンねとほくそ笑むアブナイ女神がいたそうです。
セブンには女難の相が出ているようです。
魔族の国の王都に近い町で美酒に酔う男達がいた。
「うむ、よい酒だな。
んっ?あの男が方を付けたようだ。」
「あの男が天空に潜んだ時点で
連中の負けは決定事項となっていた。
どうなろうと知ったことではないが、
またホルス神の戦士達に暇を出せなくなった。
何処かで仕事をさせるとしよう。」
ルシファーがグラスの中の氷を揺らしながら
戦いに決着がついたことを他人事のように話すと、
メフィストはストレートの美酒を一口味わいながら
当然のように話していた。
「その氷を作り出す魔法は便利なものよのう。
夏場になれば重宝する魔法、
酒がより旨くなるのであれば、
覚えてみたくなるのう。」
「うむ、このくらいの氷であれば
卜伝殿でも扱えよう。
このように魔力を練り上げればすぐだ。」
卜伝に手の平を向けてルシファーが何か力を出したのか、
赤らんだ顔の卜伝の体が薄く光り、すぐに収まった。
「ほぉ、ほぉ。
まさか、この世界で魔法をつかえるようになるとは
思いもしなかったのだが、つくづく便利なものじゃな。
ルシファー殿、礼を言う。」
「いや、それでは魔力の効率が悪い。
無駄使いになるというものだ。
そのグラスで良ければ、
魔法陣を仕込んで差し上げよう。
これで如何か。」
傍らにいたメフィストが卜伝の持つグラスに目を向けると
グラスの底に魔法陣が現れた。
「おぉ、これは!
思うだけで氷が作れるとは!
メフィスト殿、感謝する。
ううむ、やはり魔法とは便利なものじゃな。
一通りの生活に役立つ魔法を覚えておいても
損はなさそうじゃな。」
それならばこの魔法を、いやこの魔法陣で効率よく扱えると
ルシファーとメフィストが魔法談義に力を入れ出した。
力を入れ過ぎて強力な魔法を使って見せてやろうと言い出し、
魔法防壁を張ったミニチュアの空間を作り、
その中で広域殲滅魔法まで話を広げて見せ始める始末だ。
どれも有用じゃなと卜伝はしっかりと傾聴し、
習得に意欲を持つのであった。
酒場の周りにいた者たちも、つられて魔法談義に花を咲かせ始め、
そこここで披露するものも現れ、後にその酒場は「魔法酒場」と
呼ばれるようになるのであった。
ちなみに、セブンが作り出した湖に沈んだ天使達は
あろうことかイシュタルに魔法で氷漬けにされ、放置されていた。
戦意も洗い流されてしまったブリュンヒルド達は
不死の戦士達をヴァルハラに送り返し、カーラと共に
拠点に戻っていった。
セブンはクロと一緒に飛んで帰ろうとしたが、イシュタルに
呼び止められ、通常飛行高度でゆっくりと
拠点に向けて帰っていったのであった。
・・・えーっと、天使の皆さん、帰っていいんですけど。。
凍ってるから帰れない?
あー、イシュタルさんの魔法で凍ってるので
数千年は融けそうにないですね。
お許しを~。
それから数日経ったある日の夕刻。
パティシエの街の酒場に再びイシュタルが姿を現し、
セブンと共に美酒に酔っていた。
「昨日でやっと命のバランスが取れたのだわ。
命を失うものも適度にいないと世界のバランスが狂うから
私達姉妹の役割は重要なのだわ。
それを放置したあの人のせいで
余計な手間がかかったのだけれど、
このお酒とスイーツの組み合わせで
水に流せるくらい美味しいのだわ。」
「お褒めに与り光栄でございます。
これは先程ここにいたパイロが考案した
新しいマリアージュの一品でございます。」
「そ、彼女が有名なパティシエだったのね。
シヴァ神にそっくりな可愛らしい娘さんだと
思っていたのだけれど、パティシエだとは
思わなかったのだわ。
人は見かけによらないものね。
そうそう、セブン。
貴方も見かけによらずプレイボーイなのね?
あの人が妊娠したそうよ。
貴方の子かもって嬉しそうにお腹を撫でていたのだわ。
異界の神を、しかも人妻を身籠らせるなんてやるじゃない。
ネルガルさんも仕方ないなぁって言いながら
喜んでたみたいよ。変わった夫婦なのだわ。」
「いやいや、身に覚えないんですけど?
清廉潔白なんですけど?
これ18禁じゃないから
そういうことはしないんですけど?」
「あら?おかしいわね。
しっかり貴方の神気をもらったから
元気な男の子かもって嬉しそうに自慢されて
キレそうになったんだけど、心当たりないのかしら?」
「神気・・・いやいや、
そんなことした記憶が全くないんですけど。
ネルガルさんのお子さんなのでは?」
「おかしいわねぇ。
確かに貴方から濃厚な神気を直接口移しで
もらったことがあるからあの時かもって、
気持ちの悪い思い出し笑いしてたのだけれど。」
その言葉を聞いて、グラスを拭いていたカイの手が止まり
セブンと同じく青ざめた顔になっていった。
「・・・ちょ、ちょっといいですか、イシュタル様。
まさか、小学生じゃあるまいしキスで子供出来るとか
思ってませんか?」
「当然出来るわよ。だって私達は神なのだから、
神気を混ぜ合わせたら出来ても不思議はないのだわ。
まさか、知らなかったの?」
「え”っ?・・・えええええっ!?
あり得ないでしょ?
そんなこと出来るんだったら、
うっかりキス出来ないじゃないですか!?」
「そうよ、だから相手を選んでするものでしょ?
あら、あらららら?ほんとに知らなかったんだぁ。
じゃあ、私にも貴方の赤ちゃん貰えるかしら?
いいわよね?
私の方があの人より美人だし、文句ないでしょ?」
「いやいやいや、それ聞いて出来るわけないでしょ、普通。
駄目です、酔い過ぎてるんですよイシュタル様。
もう今日はこの辺りで一度お帰りください、お願いします。」
「もう、この私の誘いを断るなんて・・
いいのだわ、次の機会で頂くことにするのだわ。
じゃあ、また来るわね。」
そう言ってイシュタルがカイのバーから外に出て
飛び上がる様に姿を消していった。
店の中では青褪めて硬直したままのカイがいた。
「あー、カイ。
その何だな・・・えーっと、・・・」
見送って戻って来たが、まともに言葉を出せないセブンは
バーのカウンターで青い顔で項垂れていた。
翌日数名の女性が頭を抱えたり、気絶したり、泣きながら
セブンを張り倒したりしていたそうです。
この世界の翌日には、異界の冥界で元気な男の子が生まれたそうです。
男の子はお父さんに似た力を継承することが多いそうで、
生まれて数か月後には広域暗黒魔法を使ったのだそうです。
その姿を見て大喜びするネルガルさんの陰で
少し残念に思っていたりするイケナイ人妻と
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