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重ならない時

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ネコ獣人族の村のセブン達の拠点に新たな仲間が増えていた。
セブンと同じスペースチタン製ボディのパイロだ。
彼女は電脳兵用調整ポッドから出てくると人に戻ったと、
喜んでいた。

 「確かに、パッと見た感じ普通の少女の体だったな。
  俺とは全然違うよ。
  電脳化人って何なんだよ?」

 「えーあたいに聞かれても分かんない。
  サラさん、知ってる感じじゃん。」

 「えっと、そうね、構造から説明がいいのかしら。
  さっき調整ポッド経由で見ただけの内容なのだけれど。
  セブンの構造との比較データは今作成中よ。

  パイロさんの履歴データを見ると
  おかしな点がいくつもあったわ。

  結論から言うと、セブンとパイロさんの基本ボディは
  同じものなのだわ。でも、時間軸が全く合わないの。
  おそらく、パイロさんがいた世界と私達がいた世界は
  並行世界で交わらない時間軸だったと思われるわ。

  パイロさんのいた世界にはボディ設計したプロフェッサーが
  過去にも存在さえしていなかったのだわ。
  ザックバーン社の別の開発者だという事と、
  SPTシリーズの10基は全部失敗して、セブンの機体だけ
  リユースして作られたのが彼女という事ね。

  私とパイロさんの人造肌は、パイロさんのいた世界の
  電脳兵の最新モデルに採用されていたみたいだわ。
  一般兵に紛れて違和感なく活動できる構造になっているの。
  両手のスペースチタン製ブレードは少し短めになって、
  高圧縮砲は指先ではなくて、バックパックから伸びる電磁砲と
  並列配列に仕様変更されているのだわ。
  両掌のマイクロウェーブパルサーはそのままね。

  胸部パックやサイドパックはアーミースーツ一体型になって、
  外してしまうと、どうみても人間に見えるようになったのだわ。

  各武装の軽量化も進んでるみたいで、
  セブンより100kg軽くなっているわ。」

 「あーそれであの早い接近ができたのか。
  俺も軽量化できるかな?」

 「あれは違うんだけど、神速って身体強化魔法の一つなんで、
  バーニアじゃ無理っしょ。魔法無敵過ぎる。」

 「そうね、パイロさんは炎系の魔法がベースなのね?
  陰陽術も重ね掛けしているのかしら?」

 「あーあたいも孤児だったんだけど、中央大陸の山奥のお寺で
  みっちりしごかれたんだよね。

  鍛錬はつまんないけど、ゆらゆらする炎見てたら癒されるって言うか
  心が落ち着くっていうか、そんな感じなんだよね。

  お寺に砂漠の民の連中が襲ってきた時に電脳傭兵軍に助けられて、
  何となく強い方がいいかなって思って電脳兵にしてもらったんだけど。
  あの組織ヤバいよね?超ブラックなんだけど、ボディ代分払えとかで
  補給して戦場出てまた補給して出ての繰り返しでさぁ。
  いい加減嫌になってきてたんだよね、何か気がついたら
  くさい薄暗いところに召喚されちゃってて、行くとこないし
  言われるがまま傭兵してたんだよね。

  やっと抜け出せた感じがする。ボディもいい感じになったし、
  一般兵みたいにおしゃれもしたいんだ。

  あ、フライングユニットも整備ありがとね。」

 「大陸のお寺かぁ、火の神様の関連かな。
  俺のとこは水の神様なんだよな。
  使える魔法もそういや水系だな。弱めの氷系もあるけど。」

 「そうなんだ、あたいの烈火槍はかっこいいよ。
  長さが変えられる炎の剣になるんだ。
  あの島出るときに使ったんだけど、やばい切れ味だったよ。
  超ヤバいのが神炎の選別って魔法なんだけど、
  選択されたものだけが燃えちゃうんだって、使ったことないから
  威力は分かんないけど。
  不浄潔金剛炎は狙ったところを燃やせる使いやすい感じかな~。
  でも、運命神の炎のバルキュリヤって何なんだろう?」

 「それは、運命の女神でもスクルド様の神徒で
  スクルド様と一緒に戦う戦士の事だよ。」

ちょこっと後ろからクロが起きて来て、そう説明した。

 「えっ!なになになに!このネコちゃん何?
  超かわいいんだけど!抱っこさせて~」

一瞬でパイロがクロに抱き着いて抱え上げてしまっていた。

 「モフモフ~、最高~~。」

一頻りクロにすりすりしたら、膝の上に乗せたままで
話を聞くことになった。

パイロは調整も必要なので、こちらの拠点と一緒に行動すると誓い、
アトランティス帝国や天空の島について知っている情報をAI経由で
流してくれることとなった。

セブンは、一旦湖に戻り、魚人兵の遺体を始末して、水の入れ替えを
行う作業に入ることにした。
サラも入れ替え時に浄化を行うといってついてきていた。
パイロはそれならと湖に向かって 神炎の選別 を
使ってみたいと言い出し、魚人兵を片付けた後行使することとなった。

 「じゃ、いっくよ~。
   神炎の選別 !
   オン シュリ マリ ママリ マリシュシュリ ソワカ」

途端に湖の全域に赤い炎が沸き起こり、周りに凄まじい熱風が渦巻いた。
5分ほどで劫火が治まると砂地になった湖跡が残っていた。

 「強烈だな。神の怒りの炎って感じがするよ。
  じゃ、水の補給といきますか。
   天空の瀑布 !
   オン ナンダ バナンダ エイ ソワカ」

黒い雲が沸き起こると同時に巨大な滝が顕現し、
爆音と共に辺りを潤し始めた。
10分ほどで劇雨が治まると、そこにはもとより大きくなった湖があった。

 「あれ、何か大きくない?この辺まで水来ちゃってるんだけど、
  大丈夫?」

 「あ、いや、ちょっと時間長かったかな。まぁ、大丈夫っしょ。」

 「セブン、またあなた加減ミスだわ。
  川が激流になっていると思うのだけれど。
  下流域に被害がないか確認する責任があるのだわ。
  行ってらっしゃい。」

あー、と呻きながらカーラを呼んで下流域の氾濫がないか
確認に出るセブンであった。


その頃、下流域では・・

 「おー水が増えたぞー、海まで一気に行けそうだぞー!」

増水に喜ぶ魚人兵達がヒャッハーしていたそうです。
途中に滝があるんですけどね・・・。
怪我をしても治りやすい感じのする水だったそうです。汗
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