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第二章
愛と復讐⑦
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そう思いながら泣いていると、窓から入ってきた風でペラリとページが捲られた。
ふと、それに目をやると…。
▽
雅姫に会えないまま、一年が経つ。
その中で父親は病で亡くなり、跡取りの件で兄とは険悪になっていた。
母親は兄を跡取りにし、俺を補佐という形にしたいと願っていたそうだが、残念ながらそれは叶えられない。
あれだけ自分に厳しくしていた父親がこの世から消え、今まで抑えられてきた気持ちが爆発したのか。
俺は雅姫をこの家に迎え入れる為に、とある計画を立てた。
雅姫が安心して過ごせる空間を作る為に必要な事。
家族を全員この世から消すーー。
それ以外に何も無い。
雅姫に害を及ぼす者が一人減り、残すは兄と母親だけ。
△
日記というよりは殺害計画にも捉えられるその内容にゾクリとして、ヒュッと喉の奥が鳴る。
私を迎え入れる事を頑なに拒否をしていたこの家の人達に対するギンさんの怒りが見て取れ、ページを捲る手も震え始めた。
けれど、娼婦館に落とされた私を快く受け入れてくれる家庭はほとんど無いため、これが当たり前な反応だと思っている。
それを優しいギンさんは許さなかった、という事だ。
涙がスゥ…と引き、震える指先でページを捲ると、そこには日記ではなく、小さなメモがあった。
▽
12月6日、夕食の際、兄に毒殺をされかけた。匂いがしない毒を盛られていたらしい。兄の行動を目撃していた執事にメモでそれを知らされる。
12月7日、兄のメイドに毒入りクッキーを食べさせられそうになる。昨日の夕食に使われていた物と同じだろう。
12月15日、食事を兄の物とすり替えるようにと執事に命令したその日。自らが仕込んだ毒に当たった兄が死亡。
12月18日、母親が俺を疑ったが、俺は数回に渡り、毒殺をされかけた被害者に該当する為、無実となる。
△
それは、あの廊下で見た肖像画のお兄さんが亡くなったという内容のものだった。
どうやら、お兄さんは何度もギンさんを殺そうとしたらしい。そう何度も毒殺をされかけては、日記を書く余裕もないだろう。
けれど、こんなにも酷い家庭なんて…。
あまりにも酷い内容に絶句してしまい、緊張感を抱きながら、私はもう1ページを捲った。
ふと、それに目をやると…。
▽
雅姫に会えないまま、一年が経つ。
その中で父親は病で亡くなり、跡取りの件で兄とは険悪になっていた。
母親は兄を跡取りにし、俺を補佐という形にしたいと願っていたそうだが、残念ながらそれは叶えられない。
あれだけ自分に厳しくしていた父親がこの世から消え、今まで抑えられてきた気持ちが爆発したのか。
俺は雅姫をこの家に迎え入れる為に、とある計画を立てた。
雅姫が安心して過ごせる空間を作る為に必要な事。
家族を全員この世から消すーー。
それ以外に何も無い。
雅姫に害を及ぼす者が一人減り、残すは兄と母親だけ。
△
日記というよりは殺害計画にも捉えられるその内容にゾクリとして、ヒュッと喉の奥が鳴る。
私を迎え入れる事を頑なに拒否をしていたこの家の人達に対するギンさんの怒りが見て取れ、ページを捲る手も震え始めた。
けれど、娼婦館に落とされた私を快く受け入れてくれる家庭はほとんど無いため、これが当たり前な反応だと思っている。
それを優しいギンさんは許さなかった、という事だ。
涙がスゥ…と引き、震える指先でページを捲ると、そこには日記ではなく、小さなメモがあった。
▽
12月6日、夕食の際、兄に毒殺をされかけた。匂いがしない毒を盛られていたらしい。兄の行動を目撃していた執事にメモでそれを知らされる。
12月7日、兄のメイドに毒入りクッキーを食べさせられそうになる。昨日の夕食に使われていた物と同じだろう。
12月15日、食事を兄の物とすり替えるようにと執事に命令したその日。自らが仕込んだ毒に当たった兄が死亡。
12月18日、母親が俺を疑ったが、俺は数回に渡り、毒殺をされかけた被害者に該当する為、無実となる。
△
それは、あの廊下で見た肖像画のお兄さんが亡くなったという内容のものだった。
どうやら、お兄さんは何度もギンさんを殺そうとしたらしい。そう何度も毒殺をされかけては、日記を書く余裕もないだろう。
けれど、こんなにも酷い家庭なんて…。
あまりにも酷い内容に絶句してしまい、緊張感を抱きながら、私はもう1ページを捲った。
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