2 / 38
──2──
しおりを挟む
─────
翌日、本丸の物見櫓に上ると、多数の家臣を引き連れ金山城に向かってくる兄の長可の姿が遠目にも分かった。
信長の嫡男で岐阜城主信忠の麾下の武将としての目覚ましい活躍振りで、信長親子の寵と信頼は篤い。
同年代故、信忠の良き相談相手として付けられ、腹心とも言える立場にあった。
正確な初陣は十六歳になるが、わずか十七歳の時の長島一向一揆勢との戦いで、単身舟で敵陣に乗り込み二十七もの首級を上げるという、小兵ながら鬼神のような戦い振りをしてみせた。
返り血で朱に染まった若い主を見て、家臣たちは言葉を失い、以降彼を侮る者はいなくなった。
彼は実は利口な人間である。
手っ取り早く家臣を従わせるには理屈よりも力だという事を承知していた為、それを示してやっただけの事だ。
必要とあれば形振り構わず鬼と化すのに躊躇《ためら》いなど無い。
そんな長可だが、木曽川を下り伊勢から運ばれてくる海魚や塩などの専売権を、昨年から城下の領地の商人達に与え利益に税を課していた。
塩は生活に欠かせない物、海の魚は内陸である美濃では入手しづらく良く売れた。
専売権を与える事で税収を得るという、猛将とは違った施政者の顔も持ち、民の評判も中々のものだった。
天正三年に信長は、信忠に家督と岐阜城を譲り渡し岐阜から安土に居を移している。
天正四年から、空前絶後、絢爛豪華な安土城の築城を始め、今は筆頭家老の佐久間信盛の屋敷を仮の住まいとしていた。
乱法師は岐阜から戻った兄を門で出迎えた後、大広間に呼ばれた。
「乱、そちに良い話を持ってきてやったぞ」
随分と機嫌良く、部屋に入るなり、そう告げた。
側には森家の家老である各務兵庫や重臣も数名控えており、乱法師の傅役の伊集院藤兵衛も呼ばれていた。
長可は続けた。
「上様が、そちを小姓として召し抱えると仰せ下された。お目通りは五月に入ってからになるであろうが、もう三月も下旬ゆえ、所持万端準備をして四月中頃には此方を出立出来るようにしておかねばなるまい」
そこにいる誰もが、次の言葉を予想していなかった。
「嫌でございます」
涼しい顔で乱法師は言い放った。
「──何故にございますか? 」
誰もが呆然とする中、長可の怒りが爆発する前に慌てて各務兵庫が逸早く問い質す。
長可の太い眉がしかめられ、大きな目を見開き満面朱をそそぎ、今にも沸騰しそうであ
った。
背丈は七歳年下の乱法師と同じ程で身幅も無く、決して恵まれた体躯とは言えぬが鋭い眼光と覇気がそれを補う。
淡々と、まるで水のように静かに端座する弟とは似ても似つかない。
「つまらなそうだからじゃ。儂は早く戦に出たい。上様のお身の回りの御世話をする事が武士として何の役に立つのか? 」
恐ろしく各務の心遣いを無視した返答であった。
打てば響くような利発さと鋭さがありながら、良家の若様という風情で常に鷹揚とした雰囲気を漂わせ、悪びれないのが良いところでもあり悪いところでもあり──
家臣一同蒼白となり、しんと静まり返ってしまった。
長可は極めて血の気が多く怒れば手が付けられないが、乱法師には激しい急流と緩やかに流れる気の両方が心の内にあり、水のように炎を和らげる力を持っていた。
如何に腹が立とうとも、さすがに弟を叩っ斬る訳にはいかない。
「上様の有難いお心が分からぬのか?父のいない儂らを常に案じられ、御側に置いて下されようというのじゃ。御側におれば学ぶ事は数限り無くあろう」
語気を強めて言いながら、逆に不思議に思った。
好奇心旺盛な弟の事、寧ろ安土に行きたいであろうにと。
京や堺にも近く、巨大な城を建設中とあれば、十三歳の少年の血が騒がぬ筈がない。
「上様の御側ではなく、兄上の御側にいたいのです。早く戦に出て共に戦いたいのです。戦に出られる年になるのを待っていたのです。早くお役に立ちたい。その思いで今まで鍛練してきたのに...…」
弟の激しく健気な思いは溢れ急流となり、兄の怒りの炎をあっさりと鎮火した。
場はいきなりしんみりとなり、中には涙ぐむ家臣までいた。
「相分かった。なれど上様のお気持ちを無下にする訳にはいかぬ。気持ちは嬉しいが、十三歳での初陣は些か早かろう。御側にお仕えすると申しても一生ではなく、数年の間小姓として様々な事を学べると思えば良いではないか」
乱法師はそれでも不満気に俯いた儘だ。
鎮火した炎が再燃しては大変とばかりに家老の各務が後を引き継ごうと腰を浮かせる。
「お屋形様、必ずや某が説得致しますれば、ここは一先ず」
乱法師を慌てて部屋に下がらせ、三日くらいかけて寄ってたかって説得した。
安土の賑わい、南蛮人の風貌、京や堺の面白さ。
南蛮菓子がいつでも食べられる等々。
望めば十五歳になったら元服させ金山に戻すお許しを得て初陣をさせる事。
そして一番効果があったのが、信長公は大変恐ろしいお方なので仰せを断れば、長可や森家がただでは済まないかもしれないという脅しだった。
日々の鍛練に加え、信長の気性、好み、謁見の際の心得、織田軍の組織、属する武将の名前、身分性格、特徴などについてみっちり教え込まれた。
その間を縫って、しばらく戻れなくなるであろう生まれ育った金山の地を名残惜しみ、鳴鳥《ないと》狩りをすると、早朝見事な雉が捕れた。
鳴鳥狩りとは宵のうちに雉が鳴くのを聞いて、早朝にその場所で狩りを行うという狩方だが、鷹狩で捕ったキジは「鷹の鳥」と呼ばれ、最高の美味、馳走であり、縁起が良い物とされていた。
「乱法師様、これは見事な雉でございますな。安土に行かれる前に鷹の鳥とは縁起が良い。日頃の行いがご立派故、神仏がお味方下される事でしょう」
家臣達が大袈裟に誉め称える。
長可とて雉を捕ったのは幸先良しとは思いはしたが、家臣達が前々から乱法師にだけ随分甘いと感じていたのは気のせいではないと確信した。
それよりも腹の内で、随分親不孝な事を考えていた。
乱法師との七歳の年の差の間に気が強い妹のうめがいるが、気が強いばかりの女では戦で役には立たない。
乱法師の下には、坊丸、力丸、仙千代と男子ばかりが詰まっている。
上と下が逆転すれば、己とてもう少し楽が出来たのにと両親の子作りの有り様を恨んでいるのだ。
父の死の知らせを聞いた時を思い出す。
力丸は周囲が泣いているのを見て、つられて泣きながら粗相をしてしまう程幼なかった。
漸く乱法師が小姓として出仕を許される年になったかと思うと、一瞬父親のような気持ちで感慨に耽った。
「乱、其所に座れ。授けたい物がある」
兄の顔は厳めしく、背筋を真っ直ぐ伸ばし神妙な顔付きで待った。
「そちに与える」
「これは──父上の御刀」
長可が右手で握り締め、乱法師の目前に突き出してきたのは、可成が遺した腰刀であった。
乱法師の胸にぐっと熱いものが込み上げる。
「泣くな!父上が笑おうぞ」
「はっ──! 」
涙を堪え両手を差し出し刀を受け取る。
ずしりと、その重みを噛み締めた。
「父上の武名に恥じぬように!それ以上申さずとも聡いそちには分かっておろう」
兄に褒められた記憶は無い。
聡い、今、褒められたのだろうか。
「はい! 」
乱法師は力強く頷いた。
────
安土への出立となる日、父の菩提寺の可成寺で手を合わせ、次に木曽川での船旅の安全を祈願する為水の神を奉る貴船神社にも立ち寄った。
共をする者は傅役の伊集院藤兵衛、小姓役として森家家臣、武藤兼友の伜三郎、甲賀忍びの伴家の縁者、伴与左衛門であった。
伴家と森家は可成の代より親好篤く、忍びは当時独立した集団として大名に雇われ諜報活動などを行うのが常だったが、立場を越えてさまざまな場面で力を貸してくれていた。
此度も安土までの護衛と道案内をしてくれる事になり、全く頼もしい限りだった。
家族や家臣達の見守る中、舟に乗り込む。
「では、行って参ります」
舟は木曽川を安土に向かい進み始めた。
四月も半ばを過ぎた頃の事であった。
川沿いを新緑が鮮やかに彩り、初夏の風に艶やかな髪を吹かれ、生まれて初めてで一番の遠出に不安よりも楽しい気持ちが勝り、叫び出したい程爽快だった。
筏に積まれた木材がいくつも運ばれて行く。
「あの木材は、伊勢ではなく安土に運ばれるのであろうな? 」
「左様でございましょう。安土の御城に使うための木材かと」
藤兵衛が答える。
水運を利用しての移動は陸路よりも早く、大型の荷を運ぶのに適している。
途中の湊で宿を取り、墨俣からは陸路で安土まで進む。
下旬には安土城下の長可の屋敷に到着した。
まだ築城途中とはいえ穴太衆によって造られた大きな石垣、熱田大工の岡部又右衛門により組まれた城の骨組みの様子から、とてつもなく巨大な城が頭に浮かんだ。
それにしても既に安土の城下町の賑わい、通りの広さは金山とは比べようもない。
城の普請の為に駆り出された職人達が忙しく立ち働き、熱気と人の多さに圧倒される。
謁見の日取りが決まるまで、琵琶湖を渡り京にも足を伸ばして美と食を堪能した。
謁見はいよいよ五月の二日と決まった。
翌日、本丸の物見櫓に上ると、多数の家臣を引き連れ金山城に向かってくる兄の長可の姿が遠目にも分かった。
信長の嫡男で岐阜城主信忠の麾下の武将としての目覚ましい活躍振りで、信長親子の寵と信頼は篤い。
同年代故、信忠の良き相談相手として付けられ、腹心とも言える立場にあった。
正確な初陣は十六歳になるが、わずか十七歳の時の長島一向一揆勢との戦いで、単身舟で敵陣に乗り込み二十七もの首級を上げるという、小兵ながら鬼神のような戦い振りをしてみせた。
返り血で朱に染まった若い主を見て、家臣たちは言葉を失い、以降彼を侮る者はいなくなった。
彼は実は利口な人間である。
手っ取り早く家臣を従わせるには理屈よりも力だという事を承知していた為、それを示してやっただけの事だ。
必要とあれば形振り構わず鬼と化すのに躊躇《ためら》いなど無い。
そんな長可だが、木曽川を下り伊勢から運ばれてくる海魚や塩などの専売権を、昨年から城下の領地の商人達に与え利益に税を課していた。
塩は生活に欠かせない物、海の魚は内陸である美濃では入手しづらく良く売れた。
専売権を与える事で税収を得るという、猛将とは違った施政者の顔も持ち、民の評判も中々のものだった。
天正三年に信長は、信忠に家督と岐阜城を譲り渡し岐阜から安土に居を移している。
天正四年から、空前絶後、絢爛豪華な安土城の築城を始め、今は筆頭家老の佐久間信盛の屋敷を仮の住まいとしていた。
乱法師は岐阜から戻った兄を門で出迎えた後、大広間に呼ばれた。
「乱、そちに良い話を持ってきてやったぞ」
随分と機嫌良く、部屋に入るなり、そう告げた。
側には森家の家老である各務兵庫や重臣も数名控えており、乱法師の傅役の伊集院藤兵衛も呼ばれていた。
長可は続けた。
「上様が、そちを小姓として召し抱えると仰せ下された。お目通りは五月に入ってからになるであろうが、もう三月も下旬ゆえ、所持万端準備をして四月中頃には此方を出立出来るようにしておかねばなるまい」
そこにいる誰もが、次の言葉を予想していなかった。
「嫌でございます」
涼しい顔で乱法師は言い放った。
「──何故にございますか? 」
誰もが呆然とする中、長可の怒りが爆発する前に慌てて各務兵庫が逸早く問い質す。
長可の太い眉がしかめられ、大きな目を見開き満面朱をそそぎ、今にも沸騰しそうであ
った。
背丈は七歳年下の乱法師と同じ程で身幅も無く、決して恵まれた体躯とは言えぬが鋭い眼光と覇気がそれを補う。
淡々と、まるで水のように静かに端座する弟とは似ても似つかない。
「つまらなそうだからじゃ。儂は早く戦に出たい。上様のお身の回りの御世話をする事が武士として何の役に立つのか? 」
恐ろしく各務の心遣いを無視した返答であった。
打てば響くような利発さと鋭さがありながら、良家の若様という風情で常に鷹揚とした雰囲気を漂わせ、悪びれないのが良いところでもあり悪いところでもあり──
家臣一同蒼白となり、しんと静まり返ってしまった。
長可は極めて血の気が多く怒れば手が付けられないが、乱法師には激しい急流と緩やかに流れる気の両方が心の内にあり、水のように炎を和らげる力を持っていた。
如何に腹が立とうとも、さすがに弟を叩っ斬る訳にはいかない。
「上様の有難いお心が分からぬのか?父のいない儂らを常に案じられ、御側に置いて下されようというのじゃ。御側におれば学ぶ事は数限り無くあろう」
語気を強めて言いながら、逆に不思議に思った。
好奇心旺盛な弟の事、寧ろ安土に行きたいであろうにと。
京や堺にも近く、巨大な城を建設中とあれば、十三歳の少年の血が騒がぬ筈がない。
「上様の御側ではなく、兄上の御側にいたいのです。早く戦に出て共に戦いたいのです。戦に出られる年になるのを待っていたのです。早くお役に立ちたい。その思いで今まで鍛練してきたのに...…」
弟の激しく健気な思いは溢れ急流となり、兄の怒りの炎をあっさりと鎮火した。
場はいきなりしんみりとなり、中には涙ぐむ家臣までいた。
「相分かった。なれど上様のお気持ちを無下にする訳にはいかぬ。気持ちは嬉しいが、十三歳での初陣は些か早かろう。御側にお仕えすると申しても一生ではなく、数年の間小姓として様々な事を学べると思えば良いではないか」
乱法師はそれでも不満気に俯いた儘だ。
鎮火した炎が再燃しては大変とばかりに家老の各務が後を引き継ごうと腰を浮かせる。
「お屋形様、必ずや某が説得致しますれば、ここは一先ず」
乱法師を慌てて部屋に下がらせ、三日くらいかけて寄ってたかって説得した。
安土の賑わい、南蛮人の風貌、京や堺の面白さ。
南蛮菓子がいつでも食べられる等々。
望めば十五歳になったら元服させ金山に戻すお許しを得て初陣をさせる事。
そして一番効果があったのが、信長公は大変恐ろしいお方なので仰せを断れば、長可や森家がただでは済まないかもしれないという脅しだった。
日々の鍛練に加え、信長の気性、好み、謁見の際の心得、織田軍の組織、属する武将の名前、身分性格、特徴などについてみっちり教え込まれた。
その間を縫って、しばらく戻れなくなるであろう生まれ育った金山の地を名残惜しみ、鳴鳥《ないと》狩りをすると、早朝見事な雉が捕れた。
鳴鳥狩りとは宵のうちに雉が鳴くのを聞いて、早朝にその場所で狩りを行うという狩方だが、鷹狩で捕ったキジは「鷹の鳥」と呼ばれ、最高の美味、馳走であり、縁起が良い物とされていた。
「乱法師様、これは見事な雉でございますな。安土に行かれる前に鷹の鳥とは縁起が良い。日頃の行いがご立派故、神仏がお味方下される事でしょう」
家臣達が大袈裟に誉め称える。
長可とて雉を捕ったのは幸先良しとは思いはしたが、家臣達が前々から乱法師にだけ随分甘いと感じていたのは気のせいではないと確信した。
それよりも腹の内で、随分親不孝な事を考えていた。
乱法師との七歳の年の差の間に気が強い妹のうめがいるが、気が強いばかりの女では戦で役には立たない。
乱法師の下には、坊丸、力丸、仙千代と男子ばかりが詰まっている。
上と下が逆転すれば、己とてもう少し楽が出来たのにと両親の子作りの有り様を恨んでいるのだ。
父の死の知らせを聞いた時を思い出す。
力丸は周囲が泣いているのを見て、つられて泣きながら粗相をしてしまう程幼なかった。
漸く乱法師が小姓として出仕を許される年になったかと思うと、一瞬父親のような気持ちで感慨に耽った。
「乱、其所に座れ。授けたい物がある」
兄の顔は厳めしく、背筋を真っ直ぐ伸ばし神妙な顔付きで待った。
「そちに与える」
「これは──父上の御刀」
長可が右手で握り締め、乱法師の目前に突き出してきたのは、可成が遺した腰刀であった。
乱法師の胸にぐっと熱いものが込み上げる。
「泣くな!父上が笑おうぞ」
「はっ──! 」
涙を堪え両手を差し出し刀を受け取る。
ずしりと、その重みを噛み締めた。
「父上の武名に恥じぬように!それ以上申さずとも聡いそちには分かっておろう」
兄に褒められた記憶は無い。
聡い、今、褒められたのだろうか。
「はい! 」
乱法師は力強く頷いた。
────
安土への出立となる日、父の菩提寺の可成寺で手を合わせ、次に木曽川での船旅の安全を祈願する為水の神を奉る貴船神社にも立ち寄った。
共をする者は傅役の伊集院藤兵衛、小姓役として森家家臣、武藤兼友の伜三郎、甲賀忍びの伴家の縁者、伴与左衛門であった。
伴家と森家は可成の代より親好篤く、忍びは当時独立した集団として大名に雇われ諜報活動などを行うのが常だったが、立場を越えてさまざまな場面で力を貸してくれていた。
此度も安土までの護衛と道案内をしてくれる事になり、全く頼もしい限りだった。
家族や家臣達の見守る中、舟に乗り込む。
「では、行って参ります」
舟は木曽川を安土に向かい進み始めた。
四月も半ばを過ぎた頃の事であった。
川沿いを新緑が鮮やかに彩り、初夏の風に艶やかな髪を吹かれ、生まれて初めてで一番の遠出に不安よりも楽しい気持ちが勝り、叫び出したい程爽快だった。
筏に積まれた木材がいくつも運ばれて行く。
「あの木材は、伊勢ではなく安土に運ばれるのであろうな? 」
「左様でございましょう。安土の御城に使うための木材かと」
藤兵衛が答える。
水運を利用しての移動は陸路よりも早く、大型の荷を運ぶのに適している。
途中の湊で宿を取り、墨俣からは陸路で安土まで進む。
下旬には安土城下の長可の屋敷に到着した。
まだ築城途中とはいえ穴太衆によって造られた大きな石垣、熱田大工の岡部又右衛門により組まれた城の骨組みの様子から、とてつもなく巨大な城が頭に浮かんだ。
それにしても既に安土の城下町の賑わい、通りの広さは金山とは比べようもない。
城の普請の為に駆り出された職人達が忙しく立ち働き、熱気と人の多さに圧倒される。
謁見の日取りが決まるまで、琵琶湖を渡り京にも足を伸ばして美と食を堪能した。
謁見はいよいよ五月の二日と決まった。
0
お気に入りに追加
29
あなたにおすすめの小説
滝川家の人びと
卯花月影
歴史・時代
故郷、甲賀で騒動を起こし、国を追われるようにして出奔した
若き日の滝川一益と滝川義太夫、
尾張に流れ着いた二人は織田信長に会い、織田家の一員として
天下布武の一役を担う。二人をとりまく織田家の人々のそれぞれの思惑が
からみ、紆余曲折しながらも一益がたどり着く先はどこなのか。

天正十年五月、安土にて
佐倉伸哉
歴史・時代
天正十年四月二十一日、織田“上総守”信長は甲州征伐を終えて安土に凱旋した。
長年苦しめられてきた宿敵を倒しての帰還であるはずなのに、信長の表情はどこか冴えない。
今、日ノ本で最も勢いのある織田家を率いる天下人である信長は、果たして何を思うのか?
※この作品は過去新人賞に応募した作品を大幅に加筆修正を加えて投稿しています。
<第6回歴史・時代小説大賞>にエントリーしています!
皆様の投票、よろしくお願い致します。
『小説家になろう(https://ncode.syosetu.com/n2184fu/ )』『カクヨム(https://kakuyomu.jp/works/1177354054891485907)』および私が運営するサイト『海の見える高台の家』でも同時掲載
織田信長IF… 天下統一再び!!
華瑠羅
歴史・時代
日本の歴史上最も有名な『本能寺の変』の当日から物語は足早に流れて行く展開です。
この作品は「もし」という概念で物語が進行していきます。
主人公【織田信長】が死んで、若返って蘇り再び活躍するという作品です。
※この物語はフィクションです。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

乾坤一擲
響 恭也
SF
織田信長には片腕と頼む弟がいた。喜六郎秀隆である。事故死したはずの弟が目覚めたとき、この世にありえぬ知識も同時によみがえっていたのである。
これは兄弟二人が手を取り合って戦国の世を綱渡りのように歩いてゆく物語である。
思い付きのため不定期連載です。
真面目な部下に開発されました
佐久間たけのこ
BL
社会人BL、年下攻め。甘め。完結までは毎日更新。
※お仕事の描写など、厳密には正しくない箇所もございます。フィクションとしてお楽しみいただける方のみ読まれることをお勧めします。
救急隊で働く高槻隼人は、真面目だが人と打ち解けない部下、長尾旭を気にかけていた。
日頃の努力の甲斐あって、隼人には心を開きかけている様子の長尾。
ある日の飲み会帰り、隼人を部屋まで送った長尾は、いきなり隼人に「好きです」と告白してくる。
天竜川で逢いましょう 起きたら関ヶ原の戦い直前の石田三成になっていた 。そもそも現代人が生首とか無理なので平和な世の中を作ろうと思います。
岩 大志
歴史・時代
ごくありふれた高校教師津久見裕太は、ひょんなことから頭を打ち、気を失う。
けたたましい轟音に気付き目を覚ますと多数の軍旗。
髭もじゃの男に「いよいよですな。」と、言われ混乱する津久見。
戦国時代の大きな分かれ道のド真ん中に転生した津久見はどうするのか!!???
深川あやかし屋敷奇譚
笹目いく子
歴史・時代
第8回歴史·時代小説大賞特別賞受賞。コメディタッチのお江戸あやかしミステリー。連作短篇です。
大店の次男坊・仙一郎は怪異に目がない変人で、深川の屋敷にいわく因縁つきの「がらくた」を収集している。呪いも祟りも信じない女中のお凛は、仙一郎の酔狂にあきれながらも、あやしげな品々の謎の解明に今日も付き合わされ……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる