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Ep4 Jingle Bells
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「いよいよ明日がクリスマスだ。0時になったらクローバーカンパニーの最も大事な業務がスタートする。夜明けの時刻は頭に入れてあるかね?早起きの子供達に見つからないように分担してプレゼントと夢を届けて欲しい。オーディションで受かった君達はカンパニーを背負っているんだ!誇りを持って任務に当たってくれ」
オーディションを取り仕切っていた紳士が熱弁を奮った。
マシューは間抜けな事に、その紳士がカンパニーの会長である事をオーディションの後で知った。
勿論、トムの姿もあった。
サンタの格好で変装したトムは、子供達を包み込むような温かさに溢れ、いつもよりも大きく見えた。
管制室でインカムを付けて待機するオペレーター達。
クインを始めとして皆、緊張感で顔が強張っている。
クリスマスプレゼントを受け取る対象となる子供のいる家庭は凡そ二万世帯。
戸にすると少し減るが夜明け前というタイムリミットがある以上、スピードが求められる。
ビルの屋上にはソリの滑走路が設けられていて、そこから空へと飛び立つのだ。
「トム、お互い頑張ろう! 」
「ああ!負けないよ」
負けないとトムが言ったのは、それぞれに課されたノルマを一番早く達成した者は表彰されトロフィーが貰えるからだ。
負けたところで悔しくは無いが、自分の仲間のトナカイ達にその栄誉を味あわせてやりたくなった。
「マシュー、頑張って!気を付けてね」
耳に仕込んだイヤホンからクインの声が聞こえた。
ソリにはマシュー自身を映し出すモニターが取り付けられている。
後は発信器も。
管制室のモニターには屋上で待機するサンタ達の姿が映し出されていた。
マシューはカメラに向かってガッツポーズをしてソリに跨がった。
「テン、ナイン、エイト、セブン──」
カウントダウンが始まった。
雪が降っているが特殊メイクをした着膨れ状態では寒さを感じない。
顔も髭で覆われて温かい。
隣のトムを見た。
凄い真剣な顔つきでソリの手綱を握り締めている。
戦う男って感じだ。
「スリー、ツー、ワン──」
「Wohーーーーわわわわーー」
何が起こったのか。
マシューの上に屋上があり、下に夜空があった。
恐らく、逆さまだった。
「いっくわよーーーー」
ルディの声と共にソリがグルンと正常な体勢に戻り、凄いスピードで駆けるトムのソリを前方に確認したと思ったら、あっという間に追い抜いた。
「ぎゃあーーーーーー」
必死に振り落とされまいと手綱を握り締め、6頭のトナカイ達だけの力でぐんぐんとスピードを上げていく。
「ルディーーちょっと待ってくれ!いくら何でも早過ぎるるるるるるーー」
頬が後ろに引っ張られ、振動で言葉が揺れた。
「皆、少しスピード落として!サンタを落としたら相当マヌケよ」
調停役のレベッカの声でスピードが弱まった。
「やだぁ、力み過ぎちゃった? 」
「おっと!俺もパワー全開にし過ぎたぜ」
ダンカンの声だ。
「さ!方角はあっちよ!皆ほどほどに抑えてね! 」
サーシャが導く。
「マシュー大丈夫? 」
クインの声がイヤホンから響いた。
「全然問題ない!心配しないで! 」
胸元に付けたマイクで応じる。
「50m先に高いビルがあるわ! 」
「了解! 」
マシューは手綱で合図をすると、ほどほどのスピードでソリは進み始めた。
ほどほどでも十分早い。
夜空に瞬く星と眼下に広がる町の消えないイルミネーション。
宝石をばらまいたような煌めきを弾きながら雪が舞う。
シャンシャンシャンシャン
鈴の音を響かせ月光を背に、ソリを引くトナカイとサンタのシルエットが夜空に浮かぶ。
大人達が空を見上げて手を振った。
今日は特別な日だ。
大人達も夢を見られる特別な日だ。
「よっし!景気付けに歌うぜ!Jingle Bells! 」
ルーカスが叫んだ。
走れそりよ 風のように
雪の中を 軽く早く
笑い声を 雪にまけば
明るいひかりの 花になるよ
ジングルベル ジングルベル 鈴が鳴る
鈴のリズムに ひかりの輪が舞う
ジングルベル ジングルベル 鈴が鳴る
森に林に 響きながら
澄んだ歌声が風に乗り鈴の音と共鳴する。
キンっと冷えたシャンパンの綺麗な泡のような星々に弾けて光と雪の輝きが増す。
月が笑っている。
都市部を抜け郊外に出た。
高度を下げ白樺林をギュンギュン擦り抜ける。
素晴らしいチームワークだ。
シャッと小気味良い雪原を削るソリの音。
雪の花がパッと舞う。
オーディションを取り仕切っていた紳士が熱弁を奮った。
マシューは間抜けな事に、その紳士がカンパニーの会長である事をオーディションの後で知った。
勿論、トムの姿もあった。
サンタの格好で変装したトムは、子供達を包み込むような温かさに溢れ、いつもよりも大きく見えた。
管制室でインカムを付けて待機するオペレーター達。
クインを始めとして皆、緊張感で顔が強張っている。
クリスマスプレゼントを受け取る対象となる子供のいる家庭は凡そ二万世帯。
戸にすると少し減るが夜明け前というタイムリミットがある以上、スピードが求められる。
ビルの屋上にはソリの滑走路が設けられていて、そこから空へと飛び立つのだ。
「トム、お互い頑張ろう! 」
「ああ!負けないよ」
負けないとトムが言ったのは、それぞれに課されたノルマを一番早く達成した者は表彰されトロフィーが貰えるからだ。
負けたところで悔しくは無いが、自分の仲間のトナカイ達にその栄誉を味あわせてやりたくなった。
「マシュー、頑張って!気を付けてね」
耳に仕込んだイヤホンからクインの声が聞こえた。
ソリにはマシュー自身を映し出すモニターが取り付けられている。
後は発信器も。
管制室のモニターには屋上で待機するサンタ達の姿が映し出されていた。
マシューはカメラに向かってガッツポーズをしてソリに跨がった。
「テン、ナイン、エイト、セブン──」
カウントダウンが始まった。
雪が降っているが特殊メイクをした着膨れ状態では寒さを感じない。
顔も髭で覆われて温かい。
隣のトムを見た。
凄い真剣な顔つきでソリの手綱を握り締めている。
戦う男って感じだ。
「スリー、ツー、ワン──」
「Wohーーーーわわわわーー」
何が起こったのか。
マシューの上に屋上があり、下に夜空があった。
恐らく、逆さまだった。
「いっくわよーーーー」
ルディの声と共にソリがグルンと正常な体勢に戻り、凄いスピードで駆けるトムのソリを前方に確認したと思ったら、あっという間に追い抜いた。
「ぎゃあーーーーーー」
必死に振り落とされまいと手綱を握り締め、6頭のトナカイ達だけの力でぐんぐんとスピードを上げていく。
「ルディーーちょっと待ってくれ!いくら何でも早過ぎるるるるるるーー」
頬が後ろに引っ張られ、振動で言葉が揺れた。
「皆、少しスピード落として!サンタを落としたら相当マヌケよ」
調停役のレベッカの声でスピードが弱まった。
「やだぁ、力み過ぎちゃった? 」
「おっと!俺もパワー全開にし過ぎたぜ」
ダンカンの声だ。
「さ!方角はあっちよ!皆ほどほどに抑えてね! 」
サーシャが導く。
「マシュー大丈夫? 」
クインの声がイヤホンから響いた。
「全然問題ない!心配しないで! 」
胸元に付けたマイクで応じる。
「50m先に高いビルがあるわ! 」
「了解! 」
マシューは手綱で合図をすると、ほどほどのスピードでソリは進み始めた。
ほどほどでも十分早い。
夜空に瞬く星と眼下に広がる町の消えないイルミネーション。
宝石をばらまいたような煌めきを弾きながら雪が舞う。
シャンシャンシャンシャン
鈴の音を響かせ月光を背に、ソリを引くトナカイとサンタのシルエットが夜空に浮かぶ。
大人達が空を見上げて手を振った。
今日は特別な日だ。
大人達も夢を見られる特別な日だ。
「よっし!景気付けに歌うぜ!Jingle Bells! 」
ルーカスが叫んだ。
走れそりよ 風のように
雪の中を 軽く早く
笑い声を 雪にまけば
明るいひかりの 花になるよ
ジングルベル ジングルベル 鈴が鳴る
鈴のリズムに ひかりの輪が舞う
ジングルベル ジングルベル 鈴が鳴る
森に林に 響きながら
澄んだ歌声が風に乗り鈴の音と共鳴する。
キンっと冷えたシャンパンの綺麗な泡のような星々に弾けて光と雪の輝きが増す。
月が笑っている。
都市部を抜け郊外に出た。
高度を下げ白樺林をギュンギュン擦り抜ける。
素晴らしいチームワークだ。
シャッと小気味良い雪原を削るソリの音。
雪の花がパッと舞う。
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