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*初恋殺しの傷跡は

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 視界に影が落ちてきて、吸い寄せられるように腕を差し出した。

「ルルア」

 硬い身体がルルアにのしかかる。唇が触れあって、それを合図に瞼を閉じた。互いを喰むように擦り合わせ、角度を変えては吸いついて。
 あっという間に息が上がって身体がほてる。熱と共にどこかに転がっている龍涎香アンバーグリスが甘く香り、ぴりりと痺れるようでいて、どこか動物的な野生味が激しく官能を掻き立てた。
 堪らず喘ぐように息をすると、厚い舌がぬるりと口内を探り出し、絡まり合い撫であって、このまま溺れてしまいそう。ぢゅ、と水音を立てて唇が離れても、ぎゅうぎゅうに抱きしめられてまだ息が苦しかった。

「ルルアが待っててくれて嬉しい」

 切なさを帯びた声色に応えたくて、金色の前髪をかきあげ秀でたひたいにくちづける。

「セファ様を待てることはわたくしにとって喜びでした。何もして差し上げられなくて申し訳ございません」
「俺がやるべきことなんだから、ルルアが謝ることじゃない。それにルルアが待ってると思ったら苦にもならなかったよ」
「でも……、わたくしへの処遇はセファ様に比べて……」

 どうしてかというほど甘かった。ルルアはこの二年、相変わらず皇后の侍女として暮らしていただけなのだ。それに比べて生活を大きく変化させたセファはさぞや大変だったに違いない。労りを込めて首筋を撫でれば、大きな手がルルアの身体の輪郭を確かめるように這った。

「ルルアは子供の頃から真面目に勤めてたし、いまさらやることないんだよ。兄上や御子に万が一のことがあってルルアの立場が変わることになろうと、ぼくにかけてくれた言葉を子供にもかけてくれれば良いだけだ」
「ん、……っんん、ふぁ」

 そう簡単な話ではないとわかってはいても誇らしい気分になる。

 ーーなりたい? 国母
 なんて言われて動揺のあまり返事すら出来なった時よりは、ルルアの意識も少しは変わった。

 その為に異国から嫁いで来た方皇太子妃がいるのだから、もちろんなりたいわけじゃない。けれど皇子の側にいる者として、今はせめて胸を張って答えたい。

「んっ……、わ、わたくし、わたくし、セファ様が誇れる妻になれるよう努力します」
「うん。俺もルルアが誇れる夫になるよ」
「はい……けれど、」
「……けれど?」

 不思議そうに首を傾ぐのが可愛いらしい。雄々しい中に可愛らしさが混じるその仕草がこれ以上ないほど魅力的だ。思わず見惚れてしまいそうになるのを押し隠し、ルルアは幼い頃から変わらぬ仕草でめっと睨んだ。

「あまり不吉なことを臣下の前で仰ってはいけませんよ」

 セファの楽しげな笑い声が部屋に響く。眉根を緩ませふたりでひとしきり笑いあうと、セファはルルアの耳に唇を寄せた。

「うん、そうだね。少なくとも閨で話すことじゃない」
「……っあ」

 低い声に首をすくめたその瞬間、セファはルルアの帯を解いた。今夜の長衣は閨の為のあつらえだ、あっさりと胸がまろびでる。柔らかな丸みがたゆんと揺れて、セファは愛おしげに見下ろし目を細めた。

「綺麗」
「あ、……~~っ、あ、あの、ぁんまり、見ないでください」
「やだ。今日はルルアが俺を感じてる顔も身体も全部見る。かわいい、ここ、胸の先がもう赤くなって」
「ふ、うぅ」

 硬い指先が耳を撫で、鎖骨をなぞり、まろやかな胸に沈み込む。「ルルアの肌、真珠みたいだ」と囁いてセファは下着へと手をかけた。
 すぐにするりと剥ぎ取られ、あの日以来満たされていない身体の奥が疼きだす。
 焼けつくような視線はたまらなく恥ずかしいけれど、ルルアの身体はあの夜の悦びを忘れてはいなかった。まだ触られてもいない受け入れる場所は先を求めて潤んでいるだろう。

 「ぼくも脱がせて」とねだられて、セファの長衣を肩から落とす。シャツのボタンに手を伸ばしている間にもセファは互いを高めようとルルアの身体をいたずらにくすぐった。

 胸の先を弾かれて淡い快楽に身を捩る。キスに応えながらなんとかシャツを脱がせて現れたのは、ルルアの記憶よりもさらに逞しい、くっきりとした境を持つ筋肉に覆われた肉体だった。
 伸びやかな少年らしさの消え去った姿に圧倒されていると、セファが自分で下穿きをくつろげた。
 出てきたモノを見て、さらにうろたえる。
 腹につくほど立ち上がった陰茎も、やっぱりあの日より大きい気がして。

 本当にちゃんと迎え入れられるのかしらとひるんだ頬を、セファは優しく引き寄せた。
 
「ルルア、大丈夫だからこっち見て」
「あ、あの」
「ルルアが好きだ。愛してるんだ。他の誰かなんて想像もしたことない。誰もが兄上だけを見ていても、ルルアがいつも俺を皇子様にしてくれた。小さな頃からルルアを妻にして、ずっと側にいてもらおうと決めていた」

 ぞくりと震えたのは寒かったからじゃない。
 あの夜の照れくさそうな『愛してる』にもときめいたけれど、まっすぐで力強いこの『愛してる』にも胸がわなないたから。
 初めてでもないし、年上なのに、こんなことで躊躇うなんて。
 ぱっと火花が散るような焦燥感に襲われてお月様みたいな金色を抱き寄せた。

「わ、わたくしも……! わたくしもセファ様を愛しております』
「うん」
「わたくし、セファさまをお慕いしておりました、ずっと」
「ん、かわいい……、ルルアもっと」
「え、ええと……」
「もうない?」
「え、……えと、わ、わたくしをいつまでもセファさまの一番にしてくださいませ」

 必死になるルルアにセファはとろけるように笑いかける。

「俺もずっとルルアだけが好きだよ。ルルアを愛したい。俺の想いを受けとめてくれ」
「わたくしも……、セファさまに、愛されたいです」

 髪をはらわれ首筋に吐息が走る。キスより強く吸い付いて、甘く痛んだところには痕が残っているだろう。セファが自分に痕を残していると思ったら不思議と満ち足りた気分で身体が緩む。
 あの夜のように促されるままに足を開いた。
 身体をあばかれる衝撃に備えて目をつむり、すでに愛液でうるんだ場所にねっとりとした快感を覚えてまた開く。
 ルルアは我が目を疑った。

「せ、……せ、セファさま⁈ な、な、そんなところ…あっ、……、だ、だめ、……っっ、き、きたないですか、っ……ぅあ」
「綺麗だよ」

 ルルアにとって、あってはならない光景だった。
 セファが足の間に顔を埋めている。ルルアの引き攣ったような声も虚しく、美しく整った高貴な人が脚を押さえつけて舌を伸ばす。熱い吐息と共に口内に含まれて、ルルアを乱す肉芽は小さな練り菓子ロクムのようにころがされた。

「……っ、ひぁ……アっ、あぁ、ん、んぁ……や、ダメ、だめ、セファさま、なめちゃ、っっは、はなし、……っぁんんッ」
「なんで? ふっくらして、珊瑚みたいに色づいてて綺麗だ。吸われるのが好き? ねぶられるの? とろとろ溢れてきてすごく気持ち良さそう……早く挿れたいけど、痛くないようにもう少し慣らしておこう」

 ちがう。自分で言っておいてなんだが、綺麗とか汚いとか痛いとか、そういう問題では全くない。

「いけません! だ、だめ……あ、あっ、んく、お、ん、っぉ……お、おうじの、な、……っなさる、ことでは……」

 こんなこと、皇子がすることじゃない。
 やめさせようと身体をひねっても下半身はぴくりとも動かない。快楽と羞恥、皇子に奉仕させているような背徳感で沸き立つように身体が熱い。
 さっきまでの甘やかな瞳は淫蕩な雰囲気をまとい、ぶるぶる震えるルルアの太ももに吸いつき痕を残す。セファはペロリと舌なめずりをした。

「ルルア、皇子だろうとなんだろうと閨ではただの男だ」
「な⁈ な、……っ」

 その獣のごとき振る舞いに唖然としていると、セファは無邪気なくらいににっこりと笑って愛撫を再開した。
 腰が溶けてしまいそうな快楽を生み出す肉芽を舌先で弾き押しつぶし、太い指がふやけてしまいそうなほど水音を立てて隘路を広げる。
 だめ、やめてと言えたのは最初だけ。
 なんとかセファを押し返そうとしていた手にはしだいに力が入らなくなり、ルルアは最後「おねがい、もういれてください。セファさまがほしい」と快楽と背徳感でぐちゃぐちゃになりながら懇願した。

 隙間なく身体を合わせ、よだれを垂らしたような陰茎が押し入ると、我を忘れるような快感が足の先まで駆け抜ける。痛みなんか微塵もなくて、互いの境がわからなくなるくらい求め合いすがりつき腰を揺らす。
 絶頂を迎えても終わりは来たらず、息を乱して寝台に伏せたルルアのうなじには噛み付くようなキスが降った。
 うわ言のように愛していると囁かれ、繋がるところを確かめるように撫で回され、こんなに激しく愛されるとは思ってもいなかった。

 気を失うようにして眠りにつき、翌朝ルルアは涙ながらに訴えた。

「セファ様は皇子なのですよ、あんなことをしてはいけません! 必要であればわたくしが」

 閨での奉仕はルルアの仕事だと切々と語っても、セファはまともに取り合わない。それどころか、きっぱりとルルアの嘆願をはねつけた。

「傷を癒すために必要なんだ」
「……き、傷? どこかお怪我を?」

 セファが傷を負うのは小さな頃から珍しいことでもないものだから、ルルアはつい、しなやかな筋肉に傷を探した。
 ぺたぺたと肌を確かめても古傷しか見当たらない。「この辺かなぁ」と逞しい左胸に導かれ、ルルアははたと気がついた。
 傷があるならなおさらルルアに奉仕させるべき。

 からかわれたーー。

 ルルアは眉を吊り上げたけれど、セファと目が合い動きを止めた。
 
「兄上は優雅で英明で令嬢たちのお心を奪い尽くして不思議はない、んだろ」

 それは忘れもしない、あの日ルルアが象牙の扇の令嬢たちに言ったセリフ。

 神々しいまでに真剣な瞳が、異様な迫力でルルアを見下ろす。
 ジリジリと迫られ後退り、暑くもないのにじわりと汗が滲み出た。

 傷とは、もしや。
 
「…………ご、ごかいです。あれはただ、ご令嬢たちを諌めようと」
「わかってるけどさ。ルルア、母上の侍女生活が長すぎて自分だってご令嬢なの忘れてない? ぼく、あの時ぼくの初恋は死んだと思ったんだ。だからって諦める気もなかったけど、あの衝撃はなかなか忘れられないっていうか、ぐっさり刺されたから傷痕が時々痛むっていうか」

 とくとくと力強い鼓動にぐっとルルアを引きつけて、物騒な物言いとは真逆の笑顔でセファが言う。

「まあ、ルルアがぼくに夢中になってるとこを見たいってだけかもな。そうだ、一緒に湯浴みしよう。ぼくルルアを洗ったげる」

 ばさっとルルアの身体を覆ったのはセファが着ていた豪奢な長衣。龍涎香の残り香にぐらぐらと頭を揺さぶられ、完璧に出遅れた。
 
「湯の用意を!」

 主人の声に反応し、閨の外から慌ただしい音がする。使用人たちの気配を感じとり、ルルアは羞恥で身悶えた。彼らは初夜の様子を事細かく聞いていたはずだ。あれだけ乱れたのに、さらに朝から共に湯浴みなどと。
 どんな顔をして出ていけと言うのだ。

「せ、せ、セファさま、だめです、絶対いや!」
「わかってるよ、二番目なんて絶対いやなんだよね、うん、ぼくも」
「~~~~っっ!!」

 カッとなって思わず寝台のクッションを投げつける。セファはどこ吹く風と受け止めて、ルルアを軽く抱き上げた。
 
「セファさま、いけません!」
「どうして? 心配いらないよ、ここならどれだけ乱れようと声を出そうと誰にも邪魔されないし、朝までだって、朝からだって愛しあえるからね」
「セファさま!」
「はあ、ぼく、ここへの赴任を願い出て本当に良かった。真面目に頑張ったかいがあったよ。皇宮じゃ絶対無理だもん。母上に兄上に、オズデミル卿……口うるさくてしょうがないよ、邪魔が多すぎる」




 かくてルルアの大切な皇子さまは手のつけられない虎となった。

 狩る者のいない虎は、朝に晩に愛を語り、愛を示し、傍若無人に愛を乞う。皇宮から遠く離れたこの地では、第二皇子夫妻は今日も度を超えて仲睦まじいと噂の種だ。
 セファはいつも機嫌良く務め、統治の出来も上々。
 功をひけらかさない癖がついている本人は「俺は見てくれがここを征服した先帝に似てるらしいから、そのおかげかもね」などとおどけるけれど、ルルアはいつもそれを否定する。
 見た目こそ似ていないけれど、セファは完璧な貴公子と謳われた兄君、それに父君にもそっくりだ。冷徹で英明な君主となる素質を間違いなく有している。
 それにもうひとつ、これは是非とも言わせていただきたい。
 
 ひとりの女性への愛情の傾け方を見よ。
 うり二つ、いいえ、三つと言わずしてなんと言おう。
 

 年下の皇子の心の傷はなかなか癒えることがなく、事あるごとにあなただけを愛していると示すのは大変なこともあるけれど。
 ルルアは毎日幸せを噛みしめて、夫と自分の幸運に感謝して、そして時々、あの運命の日を振り返る。
 
 恋とは誠に恐ろしきものだった。

 誰もその先がどのようなルートに繋がっているのかわかるまい。なのに抑えても堪えても結局はもがき苦しむこととなり、その芳香は恋する者の目を曇らせる。
 時には誰かの恋を刺し、時には自分の恋に刃を立て。
 その一撃が、たくさんの人の運命を変えてしまうこともある。

 悪童の如き皇子を謹厳な貴公子へと変貌させ、政略結婚で年老いた男に嫁ぐはずだった娘を皇子妃に押し上げることもあるかもしれない。
 けれど、令嬢たちの初恋を奪いに奪った皇太子が思いもかけず初夜に失敗したり、彼に恋したご令嬢が、好みとは真逆の野生味溢れる将軍にしつこく求婚されることとなって慌てふためくことになるかもしれないのだ。

 その代償は閨に虎が出るだけとは限らない。

 今まさに初恋に振り回されているご令息、ご令嬢各位。覚悟はよろしいですか? 
 
 初恋殺しは慎重にどうぞ。
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