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昔昔、とある国の小さな村に1人の少女がおりましたとさ
彼女はこの世の綺麗な物を集めて出来た様なとても美しい少女でしたが、その少女の髪は夜空を写したような漆黒で、
瞳の色は日が沈む空のような紫でした。
黒い髪や紫の瞳はとてもとても魔力の強い証でした。
そんな彼女を人は「魔女」と妬み、嫌い、恐れました。
人々は彼女を迫害し、森の奥へと追いやったのでした。
父も母も居ない彼女は森の奥に自分の楽園を作ったのでした。
彼女のその膨大な魔力を使い、人には決して見つける事の出来ない大切な大切な我が家を作り上げ、ひっそりと生活していました。
そんなある日、彼女の住んでいる国と隣国が戦争を始めました。
人々は次々に殺されていきました。
森と村から数十km離れた所に都がありました。
都にある、とある伯爵家は民の為戦争を反対しておりましたが、
王国に逆らった罪で屋敷ごと燃やされてしまいました。
業火の炎の様に燃え続ける屋敷を見ながら涙を流した男の子が呆然と立ちすくみ叫んでいました。
「っお父様!お母様!!」
父も母も使用人も皆刺され、燃やされてしまいました。
燃え続けた屋敷も夜明けに降り始めた雨で鎮火されていきました。燃え残った金色のネックレスを瓦礫の中から見つけ、それを握り締めて彼は歩き出しました。
「ここに居ては殺される…」
彼は歩いて歩いて歩き続けました。
足取りもフラフラと、意識が朦朧とし始めた頃、
川を見つけました。そこに顔を突っ込み水を飲んでいると
後ろから頭を何かで殴られ意識を失いました。
…目が覚めると小さな檻の中に入れられていました。
これは国に捕まったのではない、人身売買だ。
そう気付いた彼は檻の側の壁に寄りかかって寝ている男の腰に見つけた鍵を、必死に手を伸ばして取りました。
しかしそれに気付いた男は、彼を檻から引きずり出し、
殴る、蹴るなどの暴行を加えました。
そこに集まって来た男の仲間達に憂さ晴らしに殴り続けられ、
彼は視力を失いました。
これでは商品にならないと男達は目を抉り、側の森に捨てました。
男の子は大量の血を目から流していたので自分の服を引き裂き目を覆いました。彼は目が見えないまま森をさまよい、
暴行を加えられた挙句、大量の血を失って衰弱していた男の子は倒れてしまいました。
彼は世界に絶望しました。
親を失い、家を失い、目を失い、これからどうやって生きていけばいいのか、どうやって生き延びるか、
途方に暮れていた時、
「坊や、こんな森でどうしたの」
魔女と呼ばれた少女と目を失った男の子の出会いでした。
。」
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