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約束
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しおりを挟むピィっと口笛を鳴らすと湖の中から水竜が出てくる
「久しいなココ」そう呼び掛けると
嬉しそうに目を細め、私に擦り寄ってくる。
ココに乗って森の中を進むと、しばらくして異変に気付く。
……木が枯れている…?
湖の近くの木や花は美しく咲いて居たが…
…あぁ、そうか私が眠っていたからか
あの湖は私が居たから満ちていたのだな。
前にうたた寝していた時もこうなっていたな。
きっと今頃、生物達が干ばつにやられている頃だろうな
…まぁ私からしてみれば、だから何だという感じだが。
……花や木、果物等が干からびると【木の】や【土の】がうるさいのは勘弁だが、人間は好かん。
勝手にくたばればいい。
そうだ人間達でも観察しに行くとしよう。
ほくそ笑み、都があった方角へ進む
都へ着き、ココに乗ったまま上空から見下ろす。
人化しなければ私達の姿は見えないから好都合だ。
都は酷い状態だった。
水が高値で取り引きされていて、裕福でない人々は裕福であろう人に涙ながらに水を恵んでくれと懇願している。
その中にボロボロの服を着た子供や、
くたびれた服を着た女の腕で虫の息の赤ん坊。
それを汚物の様に見つめる金持ち達。
……人の世はいつの時代も争いが絶えず、心も薄汚れているのう…
「…だから人は好かんのだ。」
そこから視線を外し、城へ向かう
見えない事をいい事に窓から城の中を眺める。
徐々に城の奥へ進むと
「っ!!!」
「~!~~!っだと言って居るだろう!!」
……怒鳴り声か、不愉快だな。
「雨でも降れば…」
怒鳴り声が聞こえた部屋から、苦しそうな雨を求める声が聞こえてその部屋を覗いてみると、開け放たれた窓から入る風に揺れた黒髪が目に止まった。
黒髪の少年は10歳前後程の見た目に反してとても賢そうだ。
それにとても意志の強い紫の瞳をしていた。
…あ~そうだ、この国は王族だけが黒髪に紫だったなぁ
それ故、稀少な色だと、王家独特の色だと、昔誰かが言っていたな。
自分と真逆の色彩に「ほぅ」と声を漏らす。
聞こえるはずもないがな。
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