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学院中等部 8学年生
局地的地震?
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私とサミュエル先生の仮婚約話は、大々的には発表されなかった。とはいえ、伯爵以上の貴族は知っている。
翌日、救民院に行った私は着いたとたんに、ミリアディス様に呼び出された。
「ミリアディス様、キャスリーンです。お呼びとうかがいましたが」
「キャスリーン様、お話は聞きましたわ。どうしてこんな事になってしまいましたの?」
ミリアディス様の執務室にはエドワード様もいらっしゃって、苦虫を噛み潰したような顔をしている。
「お話とは、仮婚約の事でしょうか?」
「えぇ、えぇ。ブランジット様って、あのブランジット様なのでしょう?」
「はい。サミュエル・ブランジット様ですね」
「あの方はキャスリーン様よりも、フェルナー宰相様の方がお年が近いのですわよ?」
「そうですわね」
「そうですわねって」
「ミリアディス様、私も納得済みのお話でございます」
「納得と申されましても……」
「フェルナー嬢、私も詳しくは無いのだが、王家としては『居なくなった婚約者を待ち続ける、健気な令嬢』の線で行くと聞いていたのだが」
「はい。私もその方向でと、説明を受けておりました。今回の事態は、他国の思惑が絡んでおります」
「他国の?そうか。光の聖女様を我が国に、という事か」
「どうやらそのようでございます」
「冷静だね」
「ずいぶん前からお話は出ておりましたし、サミュエル先生からも進捗状況を知らせていただいておりましたから」
「そうか、前から」
「はい」
「光魔法使い同士の婚約か。本来ならば喜ばしいんだろうけどね」
そう。本来ならね。サミュエル先生と私の年齢差が無ければ侯爵家と公爵家だもの。家格的に釣り合いは取れている。それに光魔法使い同士の婚約という事は、遺伝的に光魔法使いが生まれる可能性も期待されてると思う。魔法の素質が遺伝するかは謎だけど。
「でもキャスリーン様、ローレンス様の事は、諦めてしまわれますの?」
「諦めておりません。サミュエル先生も諦めなくて良いと言ってくださっていますし、ローレンス様がお戻りになれば、婚約を解消してローレンス様と結び直せば良いと、仰ってくださっています」
「サミュエル兄上なら言いそうだね。兄上には結婚願望が無いから」
「訳を知っておられますか?」
「ん?サミュエル兄上が結婚しない理由?」
「はい」
「死んだ者は永遠だからと言っておられたよ。私もね、15歳になった頃に聞いた事があるんだ。そうしたらそう言って。あの時の暗い目は忘れられないね」
「死んだ者は永遠だから、ですか」
どういう意味だろう?私は前世の記憶からか、輪廻転生はあると思っている。実際に転生してるし。
この世界の宗教、ピュリオンヴェルッティ教は、輪廻転生に否定的では無いけれど、積極的に肯定もしていない。転生者がいる以上、転生を否定はしないという姿勢を貫いている。
それでも「こういう存在が居ますよ」と認めてくれているのは、ありがたいと思う。宗教的に異質だ、異端だと言われてしまったら、たぶん誰にも受け入れられていないと思うし。
「エドワード様、ミリアディス様、お話は以上でしょうか?」
「えぇ。何か用事でもあるのかしら?」
「いいえ。ただ、救民院に行こうと思っておりましたので」
「あら。ごめんなさいね、引き留めてしまって」
「お気になさらないでくださいませ。少しララさんとピアーズ様にお話があっただけですから」
「光魔法使い同士の話か。気になるね」
「たいした事ではございませんわよ?ララさんには転生者のお友達についてですし、ピアーズ様の方は……」
「どうしたんだい?」
「ピアーズ様のお家は、準男爵から男爵に昇爵なさいましたでしょう?貴族について色々聞いたり考えたりされて、少々空回っていると言いますか、少し頑張りすぎておられるようで」
「あぁ、侍衛官達が剣術を教えて欲しいと言ってきたと言ってたけど。他に何かあるのかい?」
「光魔法使いとしても、熱心なのは良いのですが、薬師様にも学びに行っているようですし、農園作業も手伝ってて。少し心配なんですの」
「詰め込みすぎだね。私も注意するように言っておくよ」
「申し訳ございません。エドワード様に言っていただけると、心強いですわ」
「フェルナー嬢も無理はしないようにね」
「はい。失礼いたします」
救民院に行くと、ララさんがひとりで治療を行っていた。
「ピアーズ様は?来ておられないのですか?」
「侍衛官の方に走っていきましたが」
リチャード神官が答えてくれた。
「今日はお医者様達は?」
「つい先程、貧困地区に出掛けました。事故があったようでして」
「事故?」
着替えて歩きながら話を聞く。
「昨夜貧困地区で局地的地震があったと、通報がありまして」
「局地的地震ですか?」
「きっかけはケンカだったようなのですが」
ケンカで地震?
「詳しくは後でお話いたします」
「ピアーズ様を呼んでください」
「分かりました」
リチャード神官とは違う神官が走っていった。ララさんに声をかけて、私も治療に加わる。擦過傷や切傷が多い。打撲と捻挫の患者も居るけど、少人数だ。
今年はリリス様はまだ救民院に来ていないらしく、姿を見ない。
「遅くなりましたっ」
「ピアーズ様、手は洗いましたか?」
「はいっ」
「ではそちらの方の治療を」
荷車に乗せられた怪我人が運ばれてくる。
「光の聖女様に治療をしてもらいてぇなぁ」
「そんな場合じゃないだろうよ。まだまだ怪我人が居たんだぜ」
「あの地魔法使いの奴らっ」
「アイツらも怪我してたよな。良い気味だけど」
「すみません、どういう事ですの?」
会話をしていた患者が私の所に来たから、聞いてみた。
「ひぇっ。光の聖女様」
「原因は分かっておりますの?」
「あ、えっと……」
「昨日の夜遅くに、酔っ払った男が2人、迷い込んできたんでさ。で、騒いだあげくにオレらに殴りかかってきやがって」
「その内、酔っ払いのひとりが「お前らが生きているからいけないんだ」って喚いたと思ったら、ドンって音がして、足元が割れたんでさ」
「足元が割れた?」
「割れたっていうのがぴったりで。何度も何度も割れたり閉じたりしたあげく、建物が崩れはじめて」
「生き埋めになったのもたくさんいるんで。神官様達やお役人や国軍が来てくれて、今掘り起こしてくれてるんで」
「貧困地区にはマトモな家が少ねぇんでペシャンコになっちまってさ。オレらはちょいと離れた所に居たから、無事だったけど」
「このお怪我は?」
「片付け中に転けちまって、へへっ」
「ご無事でなによりです。その酔っ払った人達は?」
「最後の最後に生き埋めになってやした。へっ、ザマァみろってんだ。天父神様と地母神様は、ちゃぁんと見てくださってるんだ」
ガハハと豪快に笑う男性達の治療を終えた頃、神官がひとり、飛び込んできた。
「光魔法使いを派遣してくださいっ!!」
「リチャード神官様、エドワード様に許可をもらってきてください」
「キャシーちゃん」
「ララさん、ピアーズ様、ここを任せます」
「分かったわ。ピアーズ君、頑張るわよ」
「は、はいっ」
迎えの馬車に乗り込もうとした所で、エドワード様の側近がこちらに走ってきた。
「光の聖女様、申し訳ありません」
「いいえ。私が行くのがもっとも早いと思います。申し訳ございませんが、サミュエル先生に連絡を取って、事情を説明してください」
「分かりました」
方向転換を終えた馬車が、勢いよく貧困地区に向かう。王都にはスラム街は無いと言われている。スラム街は無くても貧困地区はあるのよね。私には違いが分からないけれど。
翌日、救民院に行った私は着いたとたんに、ミリアディス様に呼び出された。
「ミリアディス様、キャスリーンです。お呼びとうかがいましたが」
「キャスリーン様、お話は聞きましたわ。どうしてこんな事になってしまいましたの?」
ミリアディス様の執務室にはエドワード様もいらっしゃって、苦虫を噛み潰したような顔をしている。
「お話とは、仮婚約の事でしょうか?」
「えぇ、えぇ。ブランジット様って、あのブランジット様なのでしょう?」
「はい。サミュエル・ブランジット様ですね」
「あの方はキャスリーン様よりも、フェルナー宰相様の方がお年が近いのですわよ?」
「そうですわね」
「そうですわねって」
「ミリアディス様、私も納得済みのお話でございます」
「納得と申されましても……」
「フェルナー嬢、私も詳しくは無いのだが、王家としては『居なくなった婚約者を待ち続ける、健気な令嬢』の線で行くと聞いていたのだが」
「はい。私もその方向でと、説明を受けておりました。今回の事態は、他国の思惑が絡んでおります」
「他国の?そうか。光の聖女様を我が国に、という事か」
「どうやらそのようでございます」
「冷静だね」
「ずいぶん前からお話は出ておりましたし、サミュエル先生からも進捗状況を知らせていただいておりましたから」
「そうか、前から」
「はい」
「光魔法使い同士の婚約か。本来ならば喜ばしいんだろうけどね」
そう。本来ならね。サミュエル先生と私の年齢差が無ければ侯爵家と公爵家だもの。家格的に釣り合いは取れている。それに光魔法使い同士の婚約という事は、遺伝的に光魔法使いが生まれる可能性も期待されてると思う。魔法の素質が遺伝するかは謎だけど。
「でもキャスリーン様、ローレンス様の事は、諦めてしまわれますの?」
「諦めておりません。サミュエル先生も諦めなくて良いと言ってくださっていますし、ローレンス様がお戻りになれば、婚約を解消してローレンス様と結び直せば良いと、仰ってくださっています」
「サミュエル兄上なら言いそうだね。兄上には結婚願望が無いから」
「訳を知っておられますか?」
「ん?サミュエル兄上が結婚しない理由?」
「はい」
「死んだ者は永遠だからと言っておられたよ。私もね、15歳になった頃に聞いた事があるんだ。そうしたらそう言って。あの時の暗い目は忘れられないね」
「死んだ者は永遠だから、ですか」
どういう意味だろう?私は前世の記憶からか、輪廻転生はあると思っている。実際に転生してるし。
この世界の宗教、ピュリオンヴェルッティ教は、輪廻転生に否定的では無いけれど、積極的に肯定もしていない。転生者がいる以上、転生を否定はしないという姿勢を貫いている。
それでも「こういう存在が居ますよ」と認めてくれているのは、ありがたいと思う。宗教的に異質だ、異端だと言われてしまったら、たぶん誰にも受け入れられていないと思うし。
「エドワード様、ミリアディス様、お話は以上でしょうか?」
「えぇ。何か用事でもあるのかしら?」
「いいえ。ただ、救民院に行こうと思っておりましたので」
「あら。ごめんなさいね、引き留めてしまって」
「お気になさらないでくださいませ。少しララさんとピアーズ様にお話があっただけですから」
「光魔法使い同士の話か。気になるね」
「たいした事ではございませんわよ?ララさんには転生者のお友達についてですし、ピアーズ様の方は……」
「どうしたんだい?」
「ピアーズ様のお家は、準男爵から男爵に昇爵なさいましたでしょう?貴族について色々聞いたり考えたりされて、少々空回っていると言いますか、少し頑張りすぎておられるようで」
「あぁ、侍衛官達が剣術を教えて欲しいと言ってきたと言ってたけど。他に何かあるのかい?」
「光魔法使いとしても、熱心なのは良いのですが、薬師様にも学びに行っているようですし、農園作業も手伝ってて。少し心配なんですの」
「詰め込みすぎだね。私も注意するように言っておくよ」
「申し訳ございません。エドワード様に言っていただけると、心強いですわ」
「フェルナー嬢も無理はしないようにね」
「はい。失礼いたします」
救民院に行くと、ララさんがひとりで治療を行っていた。
「ピアーズ様は?来ておられないのですか?」
「侍衛官の方に走っていきましたが」
リチャード神官が答えてくれた。
「今日はお医者様達は?」
「つい先程、貧困地区に出掛けました。事故があったようでして」
「事故?」
着替えて歩きながら話を聞く。
「昨夜貧困地区で局地的地震があったと、通報がありまして」
「局地的地震ですか?」
「きっかけはケンカだったようなのですが」
ケンカで地震?
「詳しくは後でお話いたします」
「ピアーズ様を呼んでください」
「分かりました」
リチャード神官とは違う神官が走っていった。ララさんに声をかけて、私も治療に加わる。擦過傷や切傷が多い。打撲と捻挫の患者も居るけど、少人数だ。
今年はリリス様はまだ救民院に来ていないらしく、姿を見ない。
「遅くなりましたっ」
「ピアーズ様、手は洗いましたか?」
「はいっ」
「ではそちらの方の治療を」
荷車に乗せられた怪我人が運ばれてくる。
「光の聖女様に治療をしてもらいてぇなぁ」
「そんな場合じゃないだろうよ。まだまだ怪我人が居たんだぜ」
「あの地魔法使いの奴らっ」
「アイツらも怪我してたよな。良い気味だけど」
「すみません、どういう事ですの?」
会話をしていた患者が私の所に来たから、聞いてみた。
「ひぇっ。光の聖女様」
「原因は分かっておりますの?」
「あ、えっと……」
「昨日の夜遅くに、酔っ払った男が2人、迷い込んできたんでさ。で、騒いだあげくにオレらに殴りかかってきやがって」
「その内、酔っ払いのひとりが「お前らが生きているからいけないんだ」って喚いたと思ったら、ドンって音がして、足元が割れたんでさ」
「足元が割れた?」
「割れたっていうのがぴったりで。何度も何度も割れたり閉じたりしたあげく、建物が崩れはじめて」
「生き埋めになったのもたくさんいるんで。神官様達やお役人や国軍が来てくれて、今掘り起こしてくれてるんで」
「貧困地区にはマトモな家が少ねぇんでペシャンコになっちまってさ。オレらはちょいと離れた所に居たから、無事だったけど」
「このお怪我は?」
「片付け中に転けちまって、へへっ」
「ご無事でなによりです。その酔っ払った人達は?」
「最後の最後に生き埋めになってやした。へっ、ザマァみろってんだ。天父神様と地母神様は、ちゃぁんと見てくださってるんだ」
ガハハと豪快に笑う男性達の治療を終えた頃、神官がひとり、飛び込んできた。
「光魔法使いを派遣してくださいっ!!」
「リチャード神官様、エドワード様に許可をもらってきてください」
「キャシーちゃん」
「ララさん、ピアーズ様、ここを任せます」
「分かったわ。ピアーズ君、頑張るわよ」
「は、はいっ」
迎えの馬車に乗り込もうとした所で、エドワード様の側近がこちらに走ってきた。
「光の聖女様、申し訳ありません」
「いいえ。私が行くのがもっとも早いと思います。申し訳ございませんが、サミュエル先生に連絡を取って、事情を説明してください」
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方向転換を終えた馬車が、勢いよく貧困地区に向かう。王都にはスラム街は無いと言われている。スラム街は無くても貧困地区はあるのよね。私には違いが分からないけれど。
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