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学院中等部 8学年生
婚約者
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クリスト様とポーション液を作った状況を話し合って、もう一度再現し、他部員に記録を付けてもらった。
薬草研究会が終わって、サミュエル先生の部屋に行く。
「先生、お話とはなんでしょう?」
「もうちょっと待って。ジャクソン君を待とう」
ジャクソン先輩を?何の為に?
「その前に詳細を見せてもらって良いかな?」
「さっきのポーション液の、ですよね?いつもと変わりはないんですけど」
サミュエル先生に記録紙を見せる。
「心理状態は関係あるんですか?ローレンス様の事があってから今まででも、ポーションは作ってますよ?」
「キャシーちゃんが関係なくても、クリスト嬢が関係してくるかもしれないからね。キャシーちゃんは自分の感情を抑えて魔法を使う事に慣れているけど、クリスト嬢はそうじゃない。魔法の効果ってけっこう感情に左右されるんだよ」
「そうですか?というか、私って感情を抑えて魔法を使ってたりしますか?」
「切り替えが早いと言い換えた方が良いかな?特に光魔法を使う時は、どんなに怒っていても素早く切り替えて、冷静に使ってる気がするんだけど」
「冷静になる事は大切ですから。感情のままに動いてはミスが多くなります」
アンガーマネジメントだ。衝動と思考と行動をコントロールし、怒りを適切に対処する事によって、常に冷静な判断を出来るようにしていく。
「なるほどねぇ。大切だけど難しいよね」
「先生はお得意そうですけれど?」
「そんな事はないよ。そう見えるとしたら年を取ったからだね。人間的に成長したんだよ」
「成長……」
「何かな?その懐疑的な目は」
「いいえ。先生ってどうして今まで婚約者が居なかったんですか?ご結婚していてもおかしくないお歳ですわよね?」
「前にも聞かれたね。ちょっとね、結婚の必要性を感じなかったというか。説明した通りだよ」
「でも、先生も条件的には私と同じですわよね?光の聖人候補だったから、国外に出したくないのは同じなはずです。それには婚約、婚姻が手っ取り早いはずですわよね」
「そうなんだけどね。キャシーちゃんと根本的に違うのはゼンセの記憶があるか無いかだよ。私にはゼンセの記憶は無いからね」
「前世の記憶による知識的優位性の、国外流出の阻止ですか」
「……そうだね」
妙な間が空いたなぁ。他に何かあるのかしら。それに微妙に話題を逸らされてるよね?
これは答えたくない何かがあるんだろうな。踏み込まない方が良いよね?気になるけど。
用事を終えたジャクソン先輩が戻ってきた。
「揃ったね。キャシーちゃん、これから話す事はさっきの話題に関係してくるよ」
「私の婚約についてですか?ジャクソン先輩を待っていたって事はまさか……」
「そのまさかだよ。キャシーちゃんの仮婚約者候補にジャクソン君の名前が上がってる。その他にも伯爵家から何人か候補となっている」
「先生は候補から外れたんですか?」
「まだ候補の筆頭に居るよ」
サミュエル先生がちょっと忌々しそうに吐き捨てる。結婚したくないんだろうな。婚約は結婚の前段階だから。婚約を続けると結婚というゴールにたどり着く。結婚したくない、その訳は教えてもらえそうにないけれど。以前聞いたのはどう考えても建前というか、本心じゃないと思う。
「ジャクソン先輩、ご迷惑をお掛けします」
「迷惑じゃないけどね。フェルナー嬢も大変だね」
「他の候補者の方って分かりますか?」
「ある程度ならね。知りたい?知りたいなら教えられるよ。全員集められて説明を受けたから」
「説明ですか?」
「貴君達が光の聖女の婚約者候補に選ばれたのは、ひとえに光の聖女候補がスタヴィリス国に帰ってこられるようにという、その1点のみだ。思い上がって光の聖女候補に迷惑をかけないようにってさ。貴族院の重鎮のオフラハティ伯爵って自己紹介されたけど」
「オフラハティ前伯爵は、自分で『貴族院の重鎮』って名乗ってるだけだよ。宰相補佐の補佐をしてた人物で、いまだに貴族院に居座ってるんだよね。今回もキャシーちゃんの代弁者を僭称してたね」
「なんですの?それ。私は頼んでいませんし望んでもおりません」
「分かってるよ。候補者はほぼ全員が学院卒業生だね。在校生も居たけど」
「在校生はアヴァレーツィオ家の関係だよ。アヴァレーツィオ家からガッツリ釘を刺されているらしくてね。今はまだ接触は無いよね?」
「ありませんわね。もっとも、どなたがアヴァレーツィオ様のご関係者か存じ上げませんが」
「集まった全員には、ブランジット先生と説明しておいたよ。学院卒業生はおおむね納得してくれてたからね。安心して」
「ありがとうございます。ちなみに何名ですか?」
「私とジャクソン君を含めて6名。何故だい?」
「どういう方が集められたのか分かれば、どういった基準か推測が付くと思いまして」
「それは……」
「私の事を見知っている方、私の性格を知っている方、少なくとも私が悪印象を抱いていないであろう方。後は仮婚約者という立場を分かってらっしゃる方でしょうか」
「よくそこまで分かるね」
「まぁ、キャシーちゃんだからね」
私だから、ね。サミュエル先生の言葉にちょっとムッとしてしまう。サミュエル先生は私をよく分かっているよね。付き合いは10年になるんだもん。
私はサミュエル先生の事をよく知らない。性格とかは分かっているけど、家の事とか結婚しない理由とかは、聞いてもはぐらかされる事が多い。自分の事を話さない人は信用出来ない。信頼はしてるよ。光魔法の先生だし先生自身の事以外は、聞けば教えてくれる。でも、信用は出来ないのよね。
信用と信頼は違う。「信用」は根拠があって信じる時、「信頼」は主観的な判断で信じる時といわれているけど、私は「信用」はその人を信じ全てを任せても良いと思う事、「信頼」はその人を信じ頼りに出来ると思う事だと思ってる。過去のその人との関係を、全て信じられるかどうかが違いって感じかな?
「信用」は全てを信じてるし、「信頼」は信じられない部分はあっても、それを認めているというか。うーん、上手く言えないなぁ。
「キャシーちゃん、婚約者候補達の事は本当に気にしなくて良いから。ローレンス君の生存を信じて待っていてね」
「ありがとうございます」
気にはなるけど、現状、私に出来る事はない。サミュエル先生に話の進捗だけ聞かせてもらう事を約束して、解散した。
長期保存のポーションの研究は、クリスト様と一緒にする事を認められた。あの時のポーションはハイポーションの元となるポーション液だったようで、結局、「私が薬草の下準備の時に無意識に光魔法を使っていたのではないか」、「クリスト様が無意識に魔力調整をしたのではないか」と、結論付けられた。
「フェルナーせんぱぁい、長期保存ってどうやるんですかぁ?」
「今考えているのは、煮沸消毒」
「しゃふつしょうどく?」
「ビン詰めのジャムなんかの消毒法ですわよ。簡単に言えばビン詰めしてお湯に入れて煮ちゃいますの」
「煮るんですかぁ?」
「お料理みたいですわよね」
煮沸消毒の後、脱気すれば完璧とは言えなくても、ある程度の長期保存は出来るはず。
まずはポーション液の作成。同時進行でビンの煮沸消毒の為にお湯を沸かす。お水の量はビンが完全に漬かる位。鍋にお湯を沸かしてトングも用意して本当にお料理みたいだね。
薬草研究会が終わって、サミュエル先生の部屋に行く。
「先生、お話とはなんでしょう?」
「もうちょっと待って。ジャクソン君を待とう」
ジャクソン先輩を?何の為に?
「その前に詳細を見せてもらって良いかな?」
「さっきのポーション液の、ですよね?いつもと変わりはないんですけど」
サミュエル先生に記録紙を見せる。
「心理状態は関係あるんですか?ローレンス様の事があってから今まででも、ポーションは作ってますよ?」
「キャシーちゃんが関係なくても、クリスト嬢が関係してくるかもしれないからね。キャシーちゃんは自分の感情を抑えて魔法を使う事に慣れているけど、クリスト嬢はそうじゃない。魔法の効果ってけっこう感情に左右されるんだよ」
「そうですか?というか、私って感情を抑えて魔法を使ってたりしますか?」
「切り替えが早いと言い換えた方が良いかな?特に光魔法を使う時は、どんなに怒っていても素早く切り替えて、冷静に使ってる気がするんだけど」
「冷静になる事は大切ですから。感情のままに動いてはミスが多くなります」
アンガーマネジメントだ。衝動と思考と行動をコントロールし、怒りを適切に対処する事によって、常に冷静な判断を出来るようにしていく。
「なるほどねぇ。大切だけど難しいよね」
「先生はお得意そうですけれど?」
「そんな事はないよ。そう見えるとしたら年を取ったからだね。人間的に成長したんだよ」
「成長……」
「何かな?その懐疑的な目は」
「いいえ。先生ってどうして今まで婚約者が居なかったんですか?ご結婚していてもおかしくないお歳ですわよね?」
「前にも聞かれたね。ちょっとね、結婚の必要性を感じなかったというか。説明した通りだよ」
「でも、先生も条件的には私と同じですわよね?光の聖人候補だったから、国外に出したくないのは同じなはずです。それには婚約、婚姻が手っ取り早いはずですわよね」
「そうなんだけどね。キャシーちゃんと根本的に違うのはゼンセの記憶があるか無いかだよ。私にはゼンセの記憶は無いからね」
「前世の記憶による知識的優位性の、国外流出の阻止ですか」
「……そうだね」
妙な間が空いたなぁ。他に何かあるのかしら。それに微妙に話題を逸らされてるよね?
これは答えたくない何かがあるんだろうな。踏み込まない方が良いよね?気になるけど。
用事を終えたジャクソン先輩が戻ってきた。
「揃ったね。キャシーちゃん、これから話す事はさっきの話題に関係してくるよ」
「私の婚約についてですか?ジャクソン先輩を待っていたって事はまさか……」
「そのまさかだよ。キャシーちゃんの仮婚約者候補にジャクソン君の名前が上がってる。その他にも伯爵家から何人か候補となっている」
「先生は候補から外れたんですか?」
「まだ候補の筆頭に居るよ」
サミュエル先生がちょっと忌々しそうに吐き捨てる。結婚したくないんだろうな。婚約は結婚の前段階だから。婚約を続けると結婚というゴールにたどり着く。結婚したくない、その訳は教えてもらえそうにないけれど。以前聞いたのはどう考えても建前というか、本心じゃないと思う。
「ジャクソン先輩、ご迷惑をお掛けします」
「迷惑じゃないけどね。フェルナー嬢も大変だね」
「他の候補者の方って分かりますか?」
「ある程度ならね。知りたい?知りたいなら教えられるよ。全員集められて説明を受けたから」
「説明ですか?」
「貴君達が光の聖女の婚約者候補に選ばれたのは、ひとえに光の聖女候補がスタヴィリス国に帰ってこられるようにという、その1点のみだ。思い上がって光の聖女候補に迷惑をかけないようにってさ。貴族院の重鎮のオフラハティ伯爵って自己紹介されたけど」
「オフラハティ前伯爵は、自分で『貴族院の重鎮』って名乗ってるだけだよ。宰相補佐の補佐をしてた人物で、いまだに貴族院に居座ってるんだよね。今回もキャシーちゃんの代弁者を僭称してたね」
「なんですの?それ。私は頼んでいませんし望んでもおりません」
「分かってるよ。候補者はほぼ全員が学院卒業生だね。在校生も居たけど」
「在校生はアヴァレーツィオ家の関係だよ。アヴァレーツィオ家からガッツリ釘を刺されているらしくてね。今はまだ接触は無いよね?」
「ありませんわね。もっとも、どなたがアヴァレーツィオ様のご関係者か存じ上げませんが」
「集まった全員には、ブランジット先生と説明しておいたよ。学院卒業生はおおむね納得してくれてたからね。安心して」
「ありがとうございます。ちなみに何名ですか?」
「私とジャクソン君を含めて6名。何故だい?」
「どういう方が集められたのか分かれば、どういった基準か推測が付くと思いまして」
「それは……」
「私の事を見知っている方、私の性格を知っている方、少なくとも私が悪印象を抱いていないであろう方。後は仮婚約者という立場を分かってらっしゃる方でしょうか」
「よくそこまで分かるね」
「まぁ、キャシーちゃんだからね」
私だから、ね。サミュエル先生の言葉にちょっとムッとしてしまう。サミュエル先生は私をよく分かっているよね。付き合いは10年になるんだもん。
私はサミュエル先生の事をよく知らない。性格とかは分かっているけど、家の事とか結婚しない理由とかは、聞いてもはぐらかされる事が多い。自分の事を話さない人は信用出来ない。信頼はしてるよ。光魔法の先生だし先生自身の事以外は、聞けば教えてくれる。でも、信用は出来ないのよね。
信用と信頼は違う。「信用」は根拠があって信じる時、「信頼」は主観的な判断で信じる時といわれているけど、私は「信用」はその人を信じ全てを任せても良いと思う事、「信頼」はその人を信じ頼りに出来ると思う事だと思ってる。過去のその人との関係を、全て信じられるかどうかが違いって感じかな?
「信用」は全てを信じてるし、「信頼」は信じられない部分はあっても、それを認めているというか。うーん、上手く言えないなぁ。
「キャシーちゃん、婚約者候補達の事は本当に気にしなくて良いから。ローレンス君の生存を信じて待っていてね」
「ありがとうございます」
気にはなるけど、現状、私に出来る事はない。サミュエル先生に話の進捗だけ聞かせてもらう事を約束して、解散した。
長期保存のポーションの研究は、クリスト様と一緒にする事を認められた。あの時のポーションはハイポーションの元となるポーション液だったようで、結局、「私が薬草の下準備の時に無意識に光魔法を使っていたのではないか」、「クリスト様が無意識に魔力調整をしたのではないか」と、結論付けられた。
「フェルナーせんぱぁい、長期保存ってどうやるんですかぁ?」
「今考えているのは、煮沸消毒」
「しゃふつしょうどく?」
「ビン詰めのジャムなんかの消毒法ですわよ。簡単に言えばビン詰めしてお湯に入れて煮ちゃいますの」
「煮るんですかぁ?」
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