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学院中等部 8学年生
新入部員
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結局、薬草研究会に入ってくれたのは2人。ニヤニヤしながら「薬草研究会には身分の低い者が多い」と言ったデリス・ヘリンソン侯爵令息もその1人で、毎日楽しそうに薬草研究会に顔を出している。
態度は尊大だけど、意外にも下働きのような事も進んでやっているし、学ぶ事にも熱心だ。
光魔法を持っていないからポーションは作れないけれど、その前段階までは関われる。光魔法使いがサミュエル先生と私とシドニー・ピアーズ君だと知ると、ピアーズ君に勧誘をかけはじめた。
「センパーイ、ヘリンソン領に来てくださいよ。歓迎しますよ」
「でも僕はピアーズ領の跡取りになっちゃったから」
「そういえば……。でもウチに来てくれたら色々援助しますよ?領地経営の相談とか」
「だから僕が行っちゃったら、跡取りが居なくなっちゃうんだって。困っちゃうんだよ」
「それは知ってますよ。ピアーズ領はヘリンソン領に近いですからね。あ、そうだ。僕の妹と婚約しませんか?可愛いんですよ。ジェニファーっていうんですけど今6歳で」
「妹さんが可哀想だよ。侯爵家と男爵家の婚約だよ?」
「そんなのどうにでもなりますって」
「ならないよっ」
今日も今日とてヘリンソン君とピアーズ君の、愉快な会話が聞こえてくる。いつものパターンだとこの後、ピアーズ君に助けを求められるのよね。
「とにかく無理だって。婚約話も本人抜きではジェニファー嬢が可哀想でしょ?」
「会ったら話を進めて良いですか?良いですよね?」
「だから、侯爵家と男爵家の婚約は、良い顔されないんだって」
ん?ピアーズ君はその話をどこで知ったの?ジャクソン先輩に教えてもらったのかな?
ポーションを日持ちさせる方法を模索しながら、ヘリンソン君とピアーズ君の会話を聞いていた。
ビンの浄化も光魔法を使う。これは煮沸消毒で代用出来る。ポーション液入りでも煮沸消毒と脱気で少しの時間は延ばせるけど、熱を加えるとポーションにならない可能性があるのよね。
「フェルナー先輩、何を唸っているんですかぁ?」
ウンウン唸ってたら、ヒラリー・クリスト様に話しかけられた。
「ポーションの長期保存について。ちょっと壁にぶち当たっちゃって」
「相変わらず難しそうな事を考えてるんですねぇ。1度やってみれば良いじゃないですかぁ」
「失敗したらポーション液を無駄にしてしまいますわ」
「水魔法なら、私も頑張りますからぁ。やってみましょ?」
「やってみましょ、って……」
ヒラリー・クリスト様に少し強引に押し切られて、ポーション液の準備をはじめる。刻んだ薬草を用意し、水出し用の水を魔法で出す。そこに刻んだ薬草を漬け込んでいく。
水出しには時間がかかる。その間にみんなのお楽しみ、お茶の準備をはじめる。私はアルウィンに渡されたハーブティー、他のみんなも各々自分の好みの飲み物だ。コーヒーを飲む人もいて、淹れ方に拘りがある人は自分専用の道具を持ってきていたりする。
「センパイ、この紅茶、飲んでみません?」
すっかりピアーズ君に懐いたらしいヘリンソン君が、ピアーズ君にフルーツティーを薦めていた。チラッと見えたけどドライアッポーとドライアランチュアとシナモンが入っていた。
シナモンは好き嫌いが分かれる。あの香りが大好きという人もいるし、ちょっと苦手で、という人もいる。私は平気だけどピアーズ君はどうだろう?
「良い香りだね」
「ウチのオリジナルです。ナッツは入っていません」
「そんな事まで知ってるの?」
「ピアーズ領の事を調べたんですよ。その時に知りました」
「何の為に?」
「もちろんピアーズセンパイに、来てもらえるようにですよ」
「諦めないね」
「もちろん」
ヘリンソン君は生まれながらの貴族だ。貴族としての言葉、貴族としての行動、貴族としての考え方。全てにおいて「貴族として」動いている。
ピアーズ君にターゲットを絞ったのだって、サミュエル先生は公爵家の出だし、私は侯爵家の娘だから除外しただけだと思う。
お茶を飲んでゆっくりと落ち着いた時間を過ごす。こうしている間にも、ローレンス様が苦しんでいないかと気になった。
「フェルナー先輩、どうされたんですか?」
「何でもないわ」
「クリスト先輩が呼んでます」
「あぁ、ごめんなさい」
急いで水出ししているポーション液の所の、クリスト様の元に行く。
「あ、先輩。このポーション液、ちょっと色が」
珍しく語尾を伸ばさないクリスト様が、少し焦ったように水出し中のポーション液を示した。
「あら、本当。色がいつもより濃いですわね」
「薬草の量も間違っていないし、私の水魔法の所為じゃないでしょうか」
泣き出しそうなクリスト様の様子に、薬草研究会のみんなが何事かと集まってきた。
「今までにもクリスト様の水魔法で、水出しをした事はあったでしょう?お気になさらなくて大丈夫ですわよ、きっと」
「だってぇ、ちょっと強引だった気がするからぁ」
「大丈夫、大丈夫ですわよ」
顔を覆ってしまったクリスト様を宥める。ただ、気にはなっている。なぜこのポーション液だけ色が濃くなったのか。成分の違いは無いのか。
「とりあえずこのポーション液の成分を、調べてみましょう」
「はい」
気を取り直したクリスト様と一緒に薬草を濾し、水溶液を成分分析機にかける。ピー、という音と共に吐き出された紙をみんなで見る。
「全体的に数値が高いですわね」
「あ、でも、この数値だけ低いです。これって魔力量?」
「ポーションは飲用すると、魔力を多少なりと消費しますけど、その魔力量でしょうか?」
「それとも籠められた魔力?」
あぁ、クリスト様が落ち込んじゃった。少ないからって悪い訳じゃないのよ?
「魔力効率が良いという事では?」
「そうですよね。クリスト先輩って魔力の使い方がお上手ですよね」
落ち込んだクリスト様を、みんなが懸命に慰める。
「この魔力水って、クリスト先輩が1人で出したんですよね?」
「そうですわね。私は他の事をしておりましたし」
「ポーションって魔法水でないと作れないんでしたっけ?」
「そう言われているわ。吐水の魔道具で出した水だと、効き目が落ちるって聞いたけど」
「その認識であってるよ。たしか吐水の魔道具で出した水を使うには、なんらかの処理が必要だって。ずいぶん前からこのやり方だって習ったけど?」
水を純水に近付けるには、蒸留だったっけ?蒸留装置が要るなら大掛かりになるかも?1本分作る訳じゃないし。
「何を騒いでいるんだい?」
「サミュエル先生、ジャクソン先生」
倶楽部が始まってから、サミュエル先生の部屋で何かを話し合っていたサミュエル先生とジャクソン先輩が、部屋から出てきた。
「これ、見てください」
成分分析表を渡す。
「ん?ずいぶん効果が高いけど。どうしたんだい?これは」
「色も濃いね、いつもより」
「クリスト先輩とフェルナー先輩が2人で実験をしてて、普通の水出しポーション液だったはずなんですけど」
「時間も短くなかったっけ?」
「時間は同じよ?たしか」
「時間は同じです。薬草の量もレシピ通りですし」
「同じねぇ……」
サミュエル先生、意味ありげに見ないでください。私は何もしていません。
「低いのは魔力量か。これで高ければ推測も出来るんだけどね」
「推測ですか?」
「誰かさんの光魔法が混ざっちゃったとか、誰かさんが張り切りすぎちゃったとか」
「誰かさんって、おもいっきり個人を指していますわね。私とクリスト様だと言いたいのでしょう?言っておきますが、本当にいつも通りですわよ?」
「いつも通りね。これは預かるよ。詳細分析しないと」
「まだポーションになってませんが、光魔法をかけますか?」
「やめておこう。それよりもこれを作った手順を書き出しておいて。細かくね」
「「はい」」
「それからキャシーちゃん、後で話がある」
「はい?話ですか?」
いつになく真剣なサミュエル先生とジャクソン先輩の顔に、嫌な予感がした。
態度は尊大だけど、意外にも下働きのような事も進んでやっているし、学ぶ事にも熱心だ。
光魔法を持っていないからポーションは作れないけれど、その前段階までは関われる。光魔法使いがサミュエル先生と私とシドニー・ピアーズ君だと知ると、ピアーズ君に勧誘をかけはじめた。
「センパーイ、ヘリンソン領に来てくださいよ。歓迎しますよ」
「でも僕はピアーズ領の跡取りになっちゃったから」
「そういえば……。でもウチに来てくれたら色々援助しますよ?領地経営の相談とか」
「だから僕が行っちゃったら、跡取りが居なくなっちゃうんだって。困っちゃうんだよ」
「それは知ってますよ。ピアーズ領はヘリンソン領に近いですからね。あ、そうだ。僕の妹と婚約しませんか?可愛いんですよ。ジェニファーっていうんですけど今6歳で」
「妹さんが可哀想だよ。侯爵家と男爵家の婚約だよ?」
「そんなのどうにでもなりますって」
「ならないよっ」
今日も今日とてヘリンソン君とピアーズ君の、愉快な会話が聞こえてくる。いつものパターンだとこの後、ピアーズ君に助けを求められるのよね。
「とにかく無理だって。婚約話も本人抜きではジェニファー嬢が可哀想でしょ?」
「会ったら話を進めて良いですか?良いですよね?」
「だから、侯爵家と男爵家の婚約は、良い顔されないんだって」
ん?ピアーズ君はその話をどこで知ったの?ジャクソン先輩に教えてもらったのかな?
ポーションを日持ちさせる方法を模索しながら、ヘリンソン君とピアーズ君の会話を聞いていた。
ビンの浄化も光魔法を使う。これは煮沸消毒で代用出来る。ポーション液入りでも煮沸消毒と脱気で少しの時間は延ばせるけど、熱を加えるとポーションにならない可能性があるのよね。
「フェルナー先輩、何を唸っているんですかぁ?」
ウンウン唸ってたら、ヒラリー・クリスト様に話しかけられた。
「ポーションの長期保存について。ちょっと壁にぶち当たっちゃって」
「相変わらず難しそうな事を考えてるんですねぇ。1度やってみれば良いじゃないですかぁ」
「失敗したらポーション液を無駄にしてしまいますわ」
「水魔法なら、私も頑張りますからぁ。やってみましょ?」
「やってみましょ、って……」
ヒラリー・クリスト様に少し強引に押し切られて、ポーション液の準備をはじめる。刻んだ薬草を用意し、水出し用の水を魔法で出す。そこに刻んだ薬草を漬け込んでいく。
水出しには時間がかかる。その間にみんなのお楽しみ、お茶の準備をはじめる。私はアルウィンに渡されたハーブティー、他のみんなも各々自分の好みの飲み物だ。コーヒーを飲む人もいて、淹れ方に拘りがある人は自分専用の道具を持ってきていたりする。
「センパイ、この紅茶、飲んでみません?」
すっかりピアーズ君に懐いたらしいヘリンソン君が、ピアーズ君にフルーツティーを薦めていた。チラッと見えたけどドライアッポーとドライアランチュアとシナモンが入っていた。
シナモンは好き嫌いが分かれる。あの香りが大好きという人もいるし、ちょっと苦手で、という人もいる。私は平気だけどピアーズ君はどうだろう?
「良い香りだね」
「ウチのオリジナルです。ナッツは入っていません」
「そんな事まで知ってるの?」
「ピアーズ領の事を調べたんですよ。その時に知りました」
「何の為に?」
「もちろんピアーズセンパイに、来てもらえるようにですよ」
「諦めないね」
「もちろん」
ヘリンソン君は生まれながらの貴族だ。貴族としての言葉、貴族としての行動、貴族としての考え方。全てにおいて「貴族として」動いている。
ピアーズ君にターゲットを絞ったのだって、サミュエル先生は公爵家の出だし、私は侯爵家の娘だから除外しただけだと思う。
お茶を飲んでゆっくりと落ち着いた時間を過ごす。こうしている間にも、ローレンス様が苦しんでいないかと気になった。
「フェルナー先輩、どうされたんですか?」
「何でもないわ」
「クリスト先輩が呼んでます」
「あぁ、ごめんなさい」
急いで水出ししているポーション液の所の、クリスト様の元に行く。
「あ、先輩。このポーション液、ちょっと色が」
珍しく語尾を伸ばさないクリスト様が、少し焦ったように水出し中のポーション液を示した。
「あら、本当。色がいつもより濃いですわね」
「薬草の量も間違っていないし、私の水魔法の所為じゃないでしょうか」
泣き出しそうなクリスト様の様子に、薬草研究会のみんなが何事かと集まってきた。
「今までにもクリスト様の水魔法で、水出しをした事はあったでしょう?お気になさらなくて大丈夫ですわよ、きっと」
「だってぇ、ちょっと強引だった気がするからぁ」
「大丈夫、大丈夫ですわよ」
顔を覆ってしまったクリスト様を宥める。ただ、気にはなっている。なぜこのポーション液だけ色が濃くなったのか。成分の違いは無いのか。
「とりあえずこのポーション液の成分を、調べてみましょう」
「はい」
気を取り直したクリスト様と一緒に薬草を濾し、水溶液を成分分析機にかける。ピー、という音と共に吐き出された紙をみんなで見る。
「全体的に数値が高いですわね」
「あ、でも、この数値だけ低いです。これって魔力量?」
「ポーションは飲用すると、魔力を多少なりと消費しますけど、その魔力量でしょうか?」
「それとも籠められた魔力?」
あぁ、クリスト様が落ち込んじゃった。少ないからって悪い訳じゃないのよ?
「魔力効率が良いという事では?」
「そうですよね。クリスト先輩って魔力の使い方がお上手ですよね」
落ち込んだクリスト様を、みんなが懸命に慰める。
「この魔力水って、クリスト先輩が1人で出したんですよね?」
「そうですわね。私は他の事をしておりましたし」
「ポーションって魔法水でないと作れないんでしたっけ?」
「そう言われているわ。吐水の魔道具で出した水だと、効き目が落ちるって聞いたけど」
「その認識であってるよ。たしか吐水の魔道具で出した水を使うには、なんらかの処理が必要だって。ずいぶん前からこのやり方だって習ったけど?」
水を純水に近付けるには、蒸留だったっけ?蒸留装置が要るなら大掛かりになるかも?1本分作る訳じゃないし。
「何を騒いでいるんだい?」
「サミュエル先生、ジャクソン先生」
倶楽部が始まってから、サミュエル先生の部屋で何かを話し合っていたサミュエル先生とジャクソン先輩が、部屋から出てきた。
「これ、見てください」
成分分析表を渡す。
「ん?ずいぶん効果が高いけど。どうしたんだい?これは」
「色も濃いね、いつもより」
「クリスト先輩とフェルナー先輩が2人で実験をしてて、普通の水出しポーション液だったはずなんですけど」
「時間も短くなかったっけ?」
「時間は同じよ?たしか」
「時間は同じです。薬草の量もレシピ通りですし」
「同じねぇ……」
サミュエル先生、意味ありげに見ないでください。私は何もしていません。
「低いのは魔力量か。これで高ければ推測も出来るんだけどね」
「推測ですか?」
「誰かさんの光魔法が混ざっちゃったとか、誰かさんが張り切りすぎちゃったとか」
「誰かさんって、おもいっきり個人を指していますわね。私とクリスト様だと言いたいのでしょう?言っておきますが、本当にいつも通りですわよ?」
「いつも通りね。これは預かるよ。詳細分析しないと」
「まだポーションになってませんが、光魔法をかけますか?」
「やめておこう。それよりもこれを作った手順を書き出しておいて。細かくね」
「「はい」」
「それからキャシーちゃん、後で話がある」
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