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学院中等部 6学年生
夏期休暇
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先生との話を終えて、薬草研究会を出る。マリアさんが寮まで送ってくれた。
「聖国に向かわれる時にはお伴いたします」
「付いてきてくださるのですか?」
「えぇ。護衛聖騎士にはなれませんから、専任の護衛聖騎士が決まり次第、お側を離れますが」
「そっか。マリアさんは護衛聖騎士にはなってもらえないんだ」
私の一人言にマリアさんが答えてくれた。
「資格がありませんからね」
「それは戻ってきてからも?」
「はい」
そっか。寂しいと思っちゃダメなんだろうな。
聖騎士がどんな人かは知らない。聖人や聖女を守る専任の騎士と聞いているけれど。その人達がマリアさんやダニエル様のように親しみやすい人なら良いんだけどな。
私の少しの不安とモヤモヤなどお構いなしに、夏期休暇が目前に迫ってきた。ローレンス様からは今年もフェルナー領に行くか、という、お伺いの手紙が届いた。
フェルナー領か。どうしようかな?もちろん行きたい気持ちはある。フェルナー領城のみんなとかアレクお兄さんにも会いたいし。でも私が動くと、たくさんの人が動かなきゃいけないんだよね。
迷っていると、ダニエル様に笑われてしまった。
「お嬢ちゃんさぁ、そんなの今さらだろ?お嬢ちゃんは光の聖女様候補の前に、フェルナー侯爵令嬢だ。お貴族様の令嬢ともなると少しの外出にお付きの侍女や護衛、侍従なんかも要るだろ?それだけでも5人は動くし、それが仕事だ。あの時は緊急でしかも夜だった。護衛が増えて当然だったんだよ」
「当然、ですか」
当然といえば当然だけど。自分の事として認識出来てなかったって事なのかな?
イザベラ様やガブリエラ様に聞いてみたけど、2人からも「当然だ」と言われてしまった。
「キャスリーン様は以前、ゼンセでおひとりで行動されたりしていた、と仰っておられましたわよね?だからではございませんの?」
「そうなのでしょうか」
もうほとんど思い出せない前世。看護の記憶はハッキリしているけれど、それ以外は濃い霧の向こうって感じなのよね。
フェルナー領には行きたいと返事はしたけれど、夏期休暇が始まる直前まで、うだうだと考えていた。
「キャシー、今年はアマンダルには行かないらしいぞ」
「そうなのですか?お義兄様」
「あぁ、フェルナー領のいろんな所を見てほしいんだとさ、兄貴が」
「ローレンス様が」
「キャシーを見せびらかしたいだけだと思うけどな。それより気を付けろよ?最近キャシーの絵姿がひそかに売られているらしいから。教会の信者が知らせてくれたって、兄貴がかなり怒っていたらしい」
「そんな絵姿、どこから」
「教会じゃね?よく教会に行っていたし、そこで信者が何をしているかなんて調べられないし禁止も出来ない。教会は『誰でも来られる所』なんだろ?」
「そうですわね」
タウンハウスに着く直前に、馬車が急ブレーキを掛けた。とっさにお義兄様が私をかばう。
「何があった!!」
「申し訳ございません。子供が飛び出してきて」
「子供に怪我は?」
「今、調べております」
同乗していたお義兄様の専属侍女のメイジーが、あたりの様子をそっとうかがう。
「ランベルト様、キャスリーン様、子供に怪我はないようです」
「そうか、良かった。子供の親、もしくは保護者は?」
「それが見当たりません」
「見当たらない?」
ここは貴族街。子供がひとりで出歩いているなんておかしいよね。
フェルナー侯爵家の護衛が2人、その場に残って私達はいったんタウンハウスに向かう事になった。
「お義兄様……」
「言いたい事は分かるが、キャシーを出す訳にいかない」
「だってあんなに泣いているのに」
「そうだな」
「そうだなって……」
「キャシーはあの子供が気になるんだろう?でもな、貴族街の中とはいえ、今のキャシーを出す訳にいかないんだよ。どんな騒ぎになるか想像出来るか?」
「……はい」
「それにキャシーが目を付けられて、誘拐されるという危険もある」
無いとは言い切れない。なぜか私の絵姿が売っているらしいし。
「窓だけ開けてはダメですか?」
「窓だけだぞ」
大きな大きなため息を吐いて、お義兄様が許可してくれた。メイジーが窓を開ける。外を見ると5歳位の子供が大泣きしていた。周りに人が集まってきている。
「お嬢様、外にはお出になりませんよう」
「あの子はどうするのですか?」
「警邏隊に引き渡します」
ふくふくと健康そうな子供を見る。
「どこの子か分からない以上、そうするしかないのですよ」
子供と目があった。
「お姉ちゃん」
子供が私に手を伸ばす。無意識にドアを開けようとして、お義兄様に阻止された。
「キャシー、聞き分けろ」
「だって、私に手を伸ばしたんです」
「駄目だ、聞き分けろ」
「お義兄様!!」
「出せ」
お義兄様が御者に命令した。子供が遠ざかる。タウンハウスの近くまで来ていたから、すぐに着いた。
「ほら、キャシー、機嫌を直せ」
「別に機嫌は悪くありません」
「どう見ても悪いだろうが。あの場でキャシーを降ろすわけにいかなかったんだって」
「分かっております」
「分かって……。あぁ、もぅっ」
「お義兄様、お怒りにならないでくださいませ?」
「誰の所為だと思っているんだ」
「私の所為だと、仰られたいのでしょう?」
「そうだっ」
「大声を出されずとも聞こえておりますわ」
玄関ホールでお義母様を無視して、お義兄様と言い合いながら2階に上がった。
着替えて廊下に出ると、お義母様が待っていた。ランベルトお義兄様も苦虫を噛み潰したような表情で、廊下に立っていた。
「ランベルト、キャシーちゃん、おかえりなさい」
「わざわざ追いかけてきてくださいましたの?申し訳ありません、お義母様。ただいま戻りました」
お義母様に階段上でギュッと抱き締められる。
「何かあったの?」
「はい、少し。私がワガママを言いましたの」
「そう。珍しいわね。詳しく聞かせてちょうだい」
お義母様に付いてサロンに向かう。お義兄様も後から付いてきた。
「それで?どういう事かしら?」
ひとりがけのソファーにゆったりと座ったお義母様が、私達を向かいのソファーに座らせて聞く。
ランベルトお義兄様が遅れた訳と、その後の対応を話していく。
「その子供はどうしたのかしら?」
「護衛達が警邏隊に引き渡すと」
「キャシーちゃんは納得していないのね?」
「私とて分かっております。あの子供を保護しても、今の私には責任を負いきれない。でも、あの子は私を見て、私に助けを求めたんです」
「貴族としては、ランベルトの対応が正解ね。でも、キャシーちゃんの心情も分かるわ」
「だからといって、あの場でキャシーを馬車から出す訳にいかなかった」
「えぇ、そうね。それは間違っていないわ。でもね、子供を放置するって、出来る人と出来ない人がいるの」
「出来る人と出来ない人?」
「出来るのは、ランベルトのように割りきれる人。出来ないのはキャシーちゃんのように割りきれない人。特にキャシーちゃんは人を救いたいって想いが強くって、割りきれないと思うわ。助けを求めた人を見捨てるって考えちゃうのね」
「なるほど?」
よく分かっていない顔で、お義兄様が頷いた。
「キャシーちゃん、ランベルトが言った事も分かっていたのよね?」
「はい」
「私はね、キャシーちゃんが優しい子で良かったって思うの。でもね、こういう事を割りきらないといけない時は必ず来るのよ」
「はい」
「分かっているから、ワガママなんて言ったのでしょうけどね」
「聖国に向かわれる時にはお伴いたします」
「付いてきてくださるのですか?」
「えぇ。護衛聖騎士にはなれませんから、専任の護衛聖騎士が決まり次第、お側を離れますが」
「そっか。マリアさんは護衛聖騎士にはなってもらえないんだ」
私の一人言にマリアさんが答えてくれた。
「資格がありませんからね」
「それは戻ってきてからも?」
「はい」
そっか。寂しいと思っちゃダメなんだろうな。
聖騎士がどんな人かは知らない。聖人や聖女を守る専任の騎士と聞いているけれど。その人達がマリアさんやダニエル様のように親しみやすい人なら良いんだけどな。
私の少しの不安とモヤモヤなどお構いなしに、夏期休暇が目前に迫ってきた。ローレンス様からは今年もフェルナー領に行くか、という、お伺いの手紙が届いた。
フェルナー領か。どうしようかな?もちろん行きたい気持ちはある。フェルナー領城のみんなとかアレクお兄さんにも会いたいし。でも私が動くと、たくさんの人が動かなきゃいけないんだよね。
迷っていると、ダニエル様に笑われてしまった。
「お嬢ちゃんさぁ、そんなの今さらだろ?お嬢ちゃんは光の聖女様候補の前に、フェルナー侯爵令嬢だ。お貴族様の令嬢ともなると少しの外出にお付きの侍女や護衛、侍従なんかも要るだろ?それだけでも5人は動くし、それが仕事だ。あの時は緊急でしかも夜だった。護衛が増えて当然だったんだよ」
「当然、ですか」
当然といえば当然だけど。自分の事として認識出来てなかったって事なのかな?
イザベラ様やガブリエラ様に聞いてみたけど、2人からも「当然だ」と言われてしまった。
「キャスリーン様は以前、ゼンセでおひとりで行動されたりしていた、と仰っておられましたわよね?だからではございませんの?」
「そうなのでしょうか」
もうほとんど思い出せない前世。看護の記憶はハッキリしているけれど、それ以外は濃い霧の向こうって感じなのよね。
フェルナー領には行きたいと返事はしたけれど、夏期休暇が始まる直前まで、うだうだと考えていた。
「キャシー、今年はアマンダルには行かないらしいぞ」
「そうなのですか?お義兄様」
「あぁ、フェルナー領のいろんな所を見てほしいんだとさ、兄貴が」
「ローレンス様が」
「キャシーを見せびらかしたいだけだと思うけどな。それより気を付けろよ?最近キャシーの絵姿がひそかに売られているらしいから。教会の信者が知らせてくれたって、兄貴がかなり怒っていたらしい」
「そんな絵姿、どこから」
「教会じゃね?よく教会に行っていたし、そこで信者が何をしているかなんて調べられないし禁止も出来ない。教会は『誰でも来られる所』なんだろ?」
「そうですわね」
タウンハウスに着く直前に、馬車が急ブレーキを掛けた。とっさにお義兄様が私をかばう。
「何があった!!」
「申し訳ございません。子供が飛び出してきて」
「子供に怪我は?」
「今、調べております」
同乗していたお義兄様の専属侍女のメイジーが、あたりの様子をそっとうかがう。
「ランベルト様、キャスリーン様、子供に怪我はないようです」
「そうか、良かった。子供の親、もしくは保護者は?」
「それが見当たりません」
「見当たらない?」
ここは貴族街。子供がひとりで出歩いているなんておかしいよね。
フェルナー侯爵家の護衛が2人、その場に残って私達はいったんタウンハウスに向かう事になった。
「お義兄様……」
「言いたい事は分かるが、キャシーを出す訳にいかない」
「だってあんなに泣いているのに」
「そうだな」
「そうだなって……」
「キャシーはあの子供が気になるんだろう?でもな、貴族街の中とはいえ、今のキャシーを出す訳にいかないんだよ。どんな騒ぎになるか想像出来るか?」
「……はい」
「それにキャシーが目を付けられて、誘拐されるという危険もある」
無いとは言い切れない。なぜか私の絵姿が売っているらしいし。
「窓だけ開けてはダメですか?」
「窓だけだぞ」
大きな大きなため息を吐いて、お義兄様が許可してくれた。メイジーが窓を開ける。外を見ると5歳位の子供が大泣きしていた。周りに人が集まってきている。
「お嬢様、外にはお出になりませんよう」
「あの子はどうするのですか?」
「警邏隊に引き渡します」
ふくふくと健康そうな子供を見る。
「どこの子か分からない以上、そうするしかないのですよ」
子供と目があった。
「お姉ちゃん」
子供が私に手を伸ばす。無意識にドアを開けようとして、お義兄様に阻止された。
「キャシー、聞き分けろ」
「だって、私に手を伸ばしたんです」
「駄目だ、聞き分けろ」
「お義兄様!!」
「出せ」
お義兄様が御者に命令した。子供が遠ざかる。タウンハウスの近くまで来ていたから、すぐに着いた。
「ほら、キャシー、機嫌を直せ」
「別に機嫌は悪くありません」
「どう見ても悪いだろうが。あの場でキャシーを降ろすわけにいかなかったんだって」
「分かっております」
「分かって……。あぁ、もぅっ」
「お義兄様、お怒りにならないでくださいませ?」
「誰の所為だと思っているんだ」
「私の所為だと、仰られたいのでしょう?」
「そうだっ」
「大声を出されずとも聞こえておりますわ」
玄関ホールでお義母様を無視して、お義兄様と言い合いながら2階に上がった。
着替えて廊下に出ると、お義母様が待っていた。ランベルトお義兄様も苦虫を噛み潰したような表情で、廊下に立っていた。
「ランベルト、キャシーちゃん、おかえりなさい」
「わざわざ追いかけてきてくださいましたの?申し訳ありません、お義母様。ただいま戻りました」
お義母様に階段上でギュッと抱き締められる。
「何かあったの?」
「はい、少し。私がワガママを言いましたの」
「そう。珍しいわね。詳しく聞かせてちょうだい」
お義母様に付いてサロンに向かう。お義兄様も後から付いてきた。
「それで?どういう事かしら?」
ひとりがけのソファーにゆったりと座ったお義母様が、私達を向かいのソファーに座らせて聞く。
ランベルトお義兄様が遅れた訳と、その後の対応を話していく。
「その子供はどうしたのかしら?」
「護衛達が警邏隊に引き渡すと」
「キャシーちゃんは納得していないのね?」
「私とて分かっております。あの子供を保護しても、今の私には責任を負いきれない。でも、あの子は私を見て、私に助けを求めたんです」
「貴族としては、ランベルトの対応が正解ね。でも、キャシーちゃんの心情も分かるわ」
「だからといって、あの場でキャシーを馬車から出す訳にいかなかった」
「えぇ、そうね。それは間違っていないわ。でもね、子供を放置するって、出来る人と出来ない人がいるの」
「出来る人と出来ない人?」
「出来るのは、ランベルトのように割りきれる人。出来ないのはキャシーちゃんのように割りきれない人。特にキャシーちゃんは人を救いたいって想いが強くって、割りきれないと思うわ。助けを求めた人を見捨てるって考えちゃうのね」
「なるほど?」
よく分かっていない顔で、お義兄様が頷いた。
「キャシーちゃん、ランベルトが言った事も分かっていたのよね?」
「はい」
「私はね、キャシーちゃんが優しい子で良かったって思うの。でもね、こういう事を割りきらないといけない時は必ず来るのよ」
「はい」
「分かっているから、ワガママなんて言ったのでしょうけどね」
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