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学院中等部 5学年生
リーサさんとの面会
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私の誕生日になった。すなわち私がブランジット公爵別邸にお邪魔する日だ。ローレンス様にはそりゃもう、盛大に拗ねられた。「自分も連れていけ」だの「ひとりで行かせられない」だの、要するに「一緒にお出掛けしたい」って事なんだけど。最終的に「僕はこんなにキャシーと居たいのに」って、滅多に聞かない一人称「僕」が出てきて、お膝だっこのまま抱き締められて離してくれなくて困った。お義父様がゲンコツを落として、なんとか離してもらったけど。
今日も馬車に乗るまで「キャシーの誕生日なのに一緒に居られないなんて」ってさんざん愚痴られた。おかげで冬季休暇中に、王都の評判のレストランで正式なディナーを一緒に頂く事を約束させられた。デートよね?これって。お受けしたけど。
ブランジット公爵別邸までは馬車で1時間程。本邸だったら王宮に近い場所なんだけど、別邸は少し郊外にある。眺めのいい高台にあるらしい。
リーサさんのお好きな物をサミュエル先生に聞いていたから、先にお贈りしておいた。リーサさんのお好きな物はチーズらしく、オルブライトさんが喜んで送ってくれた。「また、リーサさんと一緒に遊びに来なさい」との言付けと共に。
ブランジット公爵別邸は貴族からすればこじんまりとした、庶民からすれば十分豪邸の部類の建物だった。前庭は無いものの門を潜ってから別邸入り口まで、延々と続く並木道。5分は乗っていたと思う。
「ようこそブランジット別邸へ。歓迎するよ、キャシーちゃん」
にこやかなサミュエル先生に出迎えられた。その後ろにはリーサさんが笑顔で立っていた。その姿にホッとする。特に後遺症もなさそうだし、無事に蘇生して本当に良かった。
「キャスリーンさん、お久しぶり」
「お久しぶりです、リーサさん」
サミュエル先生の手を借りて、馬車から降りて、リーサさんとハグする。
「明日にはロシュフォール嬢が帰っちゃうからね。間に合って良かったよ」
「セシルさんもこちらに?」
「うん。今はお菓子を作ってくれているわ」
「お菓子を?」
「趣味だそうだよ。なかなかの腕前でね」
「キャスリーンさんがチーズを送ってくれたでしょ?前世でよく作っていたお菓子らしいわ」
「楽しみです」
別邸はサミュエル先生の個人邸という感じらしい。この規模のお屋敷を個人所有してるの?
眺めのいいサロンに通された。
真っ白なクロスの掛けられたテーブル、落ち着いた色調のソファー、さりげなく生けられたギプソフィラ と様々な色のロサ。
贅沢なガラス窓の外には冬枯れの木々が立ち並ぶ疎林。あの木々が芽吹いたら美しい緑の風景になるだろう。
「あの木々は秋になると色付くんだよ」
サミュエル先生が説明してくれる。
促されて座ると、メイド服を身に付けたセシルさんと、困り顔の年配の女性が現れた。
「キャスリーンちゃん、いらっしゃい」
「お邪魔いたしますわ、セシルさん。そのお仕着せは?」
「可愛いでしょ?まさか本物が着られるなんて。ウチでも作らせようかしら」
「お揃いの?」
「マンガやアニメで憧れていたのよね」
マンガやアニメで憧れていたって。
「本物の公爵様の息子さんにも出会えたし」
サミュエル先生を見つめて言う。
「セシルさんは思い出したのは最近なのですか?」
「そうね。思い出したのは3年前よ。それと同時に家でもお菓子作りを始めたわ。私、ドルチアーリアだったの」
「ドルチアーリア?」
「フランスで言うパティシエールよ」
「あぁ、お菓子職人さん。どこの言葉ですか?」
「イタリア語よ」
レオナルド様もイタリアだったわよね?
「楽しみにしてて。腕によりをかけちゃったわ」
「楽しみにしてます」
「こういうのをジョシカイって言うのよね?」
「女子会。間違ってはいませんが」
「規模と言うか、スケールが違うわ。こんな贅沢な空間だなんて」
「カミーユさんも来てるのよ。レオナルド……ふふっ、さんもね」
「ラッセル様とレオナルド様はどこに?」
「レオナルド君は実力把握中。ラッセル殿はその付き添いだね。あぁ、シェーンもね」
「シェーンさんって、キャスリーンちゃんに付いている護衛さんよね?」
「かっこいいわよね。お姫様を守る騎士って感じ」
私は黙るしかない。だって何を言って良いのか分かんないんだもの。
「そういえば、キャスリーンちゃんは救民院に行っているのよね?」
「はい。光魔法使いとしてご奉仕させていただいています」
「救民院かぁ。アウラリア国には無いのよね。いい取り組みだと思うんだけど」
「すべてお医者様が?」
「医療費を払える人はね。光魔法使いに頼むともっと高額だし」
「高額なんですか?」
「そっか。キャスリーンちゃんは侯爵令嬢だから」
「この場合は貴族は関係ないよ。スタヴィリス国は王族にニホンジンの『テンセイシャ』が居たんだよ。その時に『コクミンカイホケン』だったかな?それを取り入れたんだ。貴族がいる社会に適応させてね」
サミュエル先生が口を挟んだ。
「ごめんね、口を挟んで。他国との違いはそこだと思うよ」
「そうなのね」
「でも、光魔法かぁ。キャスリーンさんの光魔法って温かくて心地好かったのよね。フワッフワの毛布にくるまれている感じ」
「うわぁ、体験してみたい。でも、体験するには痛い思いか苦しい思いをしなきゃなのよね?それはごめんだわ」
「本当はね、もうひとり光魔法使いの『テンセイシャ』が居るんだよ。今は救民院に居るけどね。今迎えに行かせているよ」
「えぇぇ、楽しみ。男の子?女の子?」
「女の子だよ。ちょっとロシュフォール嬢に似ているね」
言われてみれば?
そろそろお菓子を、という時間になって、ララ様が到着した。ビクビクしていたララ様だけど、私を見て抱き付いてきた。
「キャシーちゃん、良かった」
「ララ様、ご挨拶をなさいませ?」
「うぅぅ。相変わらず冷静なんだから」
ララ様が私から身体を離した。
「ララといいます」
「セシル・ロシュフォール。アウラリア国出身よ」
「リーサ・マルムクヴィストですわ。シャスマネー国出身ですの」
ララ様は家名を名乗らない。家を出て、絶縁したと思っているからだ。家族と絶縁して教会所属になると、本来なら教会所属の「デュ・アンゲロイ」を名乗る。神官も同様だ。ララ様は教会所属だけど神官じゃないからって名乗っていないんだよね。
『エリアントゥス』の方が通り名として有名になっちゃってるし。
「彼女は『エリアントゥス』って呼ばれているんだよ」
「ブランジット様、やめてください」
「あら、『エリアントゥス』?」
「気さくで周りを明るくするからって」
「嫌だぁ、恥ずかしいぃ」
ガバッと私に抱き付くララ様。今年に入って、少しは伸びたけどまだまだ背の低い私に抱き付くのって大変よね?
ポンポンと背中を撫でて宥めている私を、セシルさんとリーサさんが面白そうに見ていた。
ララ様とセシルさん、リーサさんは同年代ということもあって、すぐに仲良くなった。セシルさんの手作りお菓子を食べながら、話に花が咲いている。
「いやぁ、参った。あれ?キャ……、フェルナー嬢、来てたのか?」
レオナルド様とラッセル様が部屋に入ってきた。どうやら実力把握は終わったらしい。さっき出ていったサミュエル先生は居ない。
「お怪我はされておられませんね?」
「ユーシューな光魔法使いに治してもらったよ。どうせならフェルナー嬢が良かった」
「サミュエル先生ですわね」
「おっ、ティラミスと、これはバーチ・ディ・ダーマ?誰がこんな物を……」
レオナルド様が震える手で丸いコロンとした焼き菓子をつまむ。
「私よ」
「セシルだったよな?旨い。これをどこで?」
「前世で。ドルチアーリアだったの」
今日も馬車に乗るまで「キャシーの誕生日なのに一緒に居られないなんて」ってさんざん愚痴られた。おかげで冬季休暇中に、王都の評判のレストランで正式なディナーを一緒に頂く事を約束させられた。デートよね?これって。お受けしたけど。
ブランジット公爵別邸までは馬車で1時間程。本邸だったら王宮に近い場所なんだけど、別邸は少し郊外にある。眺めのいい高台にあるらしい。
リーサさんのお好きな物をサミュエル先生に聞いていたから、先にお贈りしておいた。リーサさんのお好きな物はチーズらしく、オルブライトさんが喜んで送ってくれた。「また、リーサさんと一緒に遊びに来なさい」との言付けと共に。
ブランジット公爵別邸は貴族からすればこじんまりとした、庶民からすれば十分豪邸の部類の建物だった。前庭は無いものの門を潜ってから別邸入り口まで、延々と続く並木道。5分は乗っていたと思う。
「ようこそブランジット別邸へ。歓迎するよ、キャシーちゃん」
にこやかなサミュエル先生に出迎えられた。その後ろにはリーサさんが笑顔で立っていた。その姿にホッとする。特に後遺症もなさそうだし、無事に蘇生して本当に良かった。
「キャスリーンさん、お久しぶり」
「お久しぶりです、リーサさん」
サミュエル先生の手を借りて、馬車から降りて、リーサさんとハグする。
「明日にはロシュフォール嬢が帰っちゃうからね。間に合って良かったよ」
「セシルさんもこちらに?」
「うん。今はお菓子を作ってくれているわ」
「お菓子を?」
「趣味だそうだよ。なかなかの腕前でね」
「キャスリーンさんがチーズを送ってくれたでしょ?前世でよく作っていたお菓子らしいわ」
「楽しみです」
別邸はサミュエル先生の個人邸という感じらしい。この規模のお屋敷を個人所有してるの?
眺めのいいサロンに通された。
真っ白なクロスの掛けられたテーブル、落ち着いた色調のソファー、さりげなく生けられたギプソフィラ と様々な色のロサ。
贅沢なガラス窓の外には冬枯れの木々が立ち並ぶ疎林。あの木々が芽吹いたら美しい緑の風景になるだろう。
「あの木々は秋になると色付くんだよ」
サミュエル先生が説明してくれる。
促されて座ると、メイド服を身に付けたセシルさんと、困り顔の年配の女性が現れた。
「キャスリーンちゃん、いらっしゃい」
「お邪魔いたしますわ、セシルさん。そのお仕着せは?」
「可愛いでしょ?まさか本物が着られるなんて。ウチでも作らせようかしら」
「お揃いの?」
「マンガやアニメで憧れていたのよね」
マンガやアニメで憧れていたって。
「本物の公爵様の息子さんにも出会えたし」
サミュエル先生を見つめて言う。
「セシルさんは思い出したのは最近なのですか?」
「そうね。思い出したのは3年前よ。それと同時に家でもお菓子作りを始めたわ。私、ドルチアーリアだったの」
「ドルチアーリア?」
「フランスで言うパティシエールよ」
「あぁ、お菓子職人さん。どこの言葉ですか?」
「イタリア語よ」
レオナルド様もイタリアだったわよね?
「楽しみにしてて。腕によりをかけちゃったわ」
「楽しみにしてます」
「こういうのをジョシカイって言うのよね?」
「女子会。間違ってはいませんが」
「規模と言うか、スケールが違うわ。こんな贅沢な空間だなんて」
「カミーユさんも来てるのよ。レオナルド……ふふっ、さんもね」
「ラッセル様とレオナルド様はどこに?」
「レオナルド君は実力把握中。ラッセル殿はその付き添いだね。あぁ、シェーンもね」
「シェーンさんって、キャスリーンちゃんに付いている護衛さんよね?」
「かっこいいわよね。お姫様を守る騎士って感じ」
私は黙るしかない。だって何を言って良いのか分かんないんだもの。
「そういえば、キャスリーンちゃんは救民院に行っているのよね?」
「はい。光魔法使いとしてご奉仕させていただいています」
「救民院かぁ。アウラリア国には無いのよね。いい取り組みだと思うんだけど」
「すべてお医者様が?」
「医療費を払える人はね。光魔法使いに頼むともっと高額だし」
「高額なんですか?」
「そっか。キャスリーンちゃんは侯爵令嬢だから」
「この場合は貴族は関係ないよ。スタヴィリス国は王族にニホンジンの『テンセイシャ』が居たんだよ。その時に『コクミンカイホケン』だったかな?それを取り入れたんだ。貴族がいる社会に適応させてね」
サミュエル先生が口を挟んだ。
「ごめんね、口を挟んで。他国との違いはそこだと思うよ」
「そうなのね」
「でも、光魔法かぁ。キャスリーンさんの光魔法って温かくて心地好かったのよね。フワッフワの毛布にくるまれている感じ」
「うわぁ、体験してみたい。でも、体験するには痛い思いか苦しい思いをしなきゃなのよね?それはごめんだわ」
「本当はね、もうひとり光魔法使いの『テンセイシャ』が居るんだよ。今は救民院に居るけどね。今迎えに行かせているよ」
「えぇぇ、楽しみ。男の子?女の子?」
「女の子だよ。ちょっとロシュフォール嬢に似ているね」
言われてみれば?
そろそろお菓子を、という時間になって、ララ様が到着した。ビクビクしていたララ様だけど、私を見て抱き付いてきた。
「キャシーちゃん、良かった」
「ララ様、ご挨拶をなさいませ?」
「うぅぅ。相変わらず冷静なんだから」
ララ様が私から身体を離した。
「ララといいます」
「セシル・ロシュフォール。アウラリア国出身よ」
「リーサ・マルムクヴィストですわ。シャスマネー国出身ですの」
ララ様は家名を名乗らない。家を出て、絶縁したと思っているからだ。家族と絶縁して教会所属になると、本来なら教会所属の「デュ・アンゲロイ」を名乗る。神官も同様だ。ララ様は教会所属だけど神官じゃないからって名乗っていないんだよね。
『エリアントゥス』の方が通り名として有名になっちゃってるし。
「彼女は『エリアントゥス』って呼ばれているんだよ」
「ブランジット様、やめてください」
「あら、『エリアントゥス』?」
「気さくで周りを明るくするからって」
「嫌だぁ、恥ずかしいぃ」
ガバッと私に抱き付くララ様。今年に入って、少しは伸びたけどまだまだ背の低い私に抱き付くのって大変よね?
ポンポンと背中を撫でて宥めている私を、セシルさんとリーサさんが面白そうに見ていた。
ララ様とセシルさん、リーサさんは同年代ということもあって、すぐに仲良くなった。セシルさんの手作りお菓子を食べながら、話に花が咲いている。
「いやぁ、参った。あれ?キャ……、フェルナー嬢、来てたのか?」
レオナルド様とラッセル様が部屋に入ってきた。どうやら実力把握は終わったらしい。さっき出ていったサミュエル先生は居ない。
「お怪我はされておられませんね?」
「ユーシューな光魔法使いに治してもらったよ。どうせならフェルナー嬢が良かった」
「サミュエル先生ですわね」
「おっ、ティラミスと、これはバーチ・ディ・ダーマ?誰がこんな物を……」
レオナルド様が震える手で丸いコロンとした焼き菓子をつまむ。
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