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学院中等部 5学年生
同好会立ち上げ
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夏期休暇の最終日まで教会に居たから、学院に着いたのは夜の帳が降りてからだった。
「キャスリーン様、遅くなりましたのね」
「えぇ。少し所用がございまして」
途中で会ったガブリエラ様と話をする。
「ご無事でお戻りになられて安心いたしましたけど。あら?キャスリーン様、そのお髪のレースは?」
「知り合いから頂きましたの。見事な細工でしょう?」
「素晴らしいですわ」
ガブリエラ様は辺境伯家でイグニレス・ゲイツとの事を正直に話し、婚約者候補として同席していたクランデュー家のマイケル・クランデューの支持を得たそうだ。
「では辺境伯様はお認めになられましたの?」
「まだですわ。マイケル様と婚約者候補としての交流を持つように言われましたもの」
「でも前には進まれた感じですか?」
「お母様がクランデュー家との繋がりよりも、私の自由にさせた方が良いと仰ってくださっていますの。お父様を説得してみるとは言ってくださいましたけど」
ガブリエラ様の恋路は、身分差という壁もあるから前途多難よね。
「それで私、少し早く戻ってきましたのよ」
「そうだったのですね」
「キャスリーン様、エマニュエル・ハリス様が探しておられましたわよ」
ガブリエラ様と話をしていると、通りかかったイザベラ様からそんな事を伝えられた。
「申し訳ございません。ガブリエラ様、また後で」
ガブリエラ様に断ってエマちゃんの所に行く。エマちゃんは3人に囲まれていた。
「エマちゃん」
「キャスリーン様」
ブンブンとしっぽを振っているような幻覚を見た気がする。
「その子達は?」
「お友達です。あの、一緒に歌いたいって言ってくれて」
ローレンス様の言っていた歌唱隊の話かな?
「エマちゃん、先生の許可は取られましたの?」
「まだ、です」
「では明日の新学期が始まったら、相談に参りましょうか」
休暇中にローレンス様から、同好会及び授業外活動の申請の仕方を詳しく教えてもらった。まずは学生課に同好会の申請を出して、活動内容の承認を得る。これは特に難しくはない。よほど不適切だと判断されない限り、簡単に承認が降りるらしい。問題なのはこの先。授業外活動の申請。こちらは審査が厳しくなる。信頼出来る教師の推薦を、少なくとも3人集めなければならない。サミュエル先生と音楽担当のどなたかに頼むしかないけれど、エマちゃんの魔法属性の事があるから少し時期は置いた方がいいと助言を受けていた。ひとりは魔法科の教師を巻き込んだ方が良いとも。サミュエル先生は魔法科だけれど、どちらかと言えば統括している立場だから、魔法科教師としては弱いらしい。
後は参加生徒集め。こちらは最低5人居れば活動出来る。私も兼部するつもりだから人数的には問題ないと思う。
「じゃあ、エマちゃん、明日の授業後にお迎えに行きますね。お友達もそれでよろしかったかしら?」
「「「「はいっ」」」」
大変いいお返事をいただきました。
翌日の新学期の授業が終わると、歌唱隊に興味を持ってくれた同学年生と一緒に、初等部に行く。
「エマちゃん」
「キャスリーン様」
相変わらずしっぽをブンブンと振っているような幻覚を私に見せながら、エマちゃんが走ってきた。昨日のお友達も慌てて付いてきてくれた。
「では参りましょうか」
私が先導する形で学生課に向かう。途中でサミュエル先生に会ったから、後で話を聞いて欲しいと伝えておいた。
結論から言うと、同好会設立は簡単に認められた。その場で声楽に詳しい教師も紹介してもらって、そちらに話をしに行く。紹介してもらった教師は、ピアノ科のキャスリーン・メイト先生。私と同じ名前だから勝手に親近感を持っていた先生だ。
「あら?フェルナー様?まぁまぁ、こんなにたくさん。どうかなさいましたの?」
ニコニコと招き入れてくれたメイト先生に同好会の事を話すと、喜んで引き受けると言ってくれた。
「完全オリジナルになるの?」
「はい。ここにいるエマニュエル・ハリス様が考えた曲なのですが、採譜出来る方が居なくて」
「出来ますわよ?ハリス様、1度歌ってくださらない?」
声に魔力を乗せないように注意して、エマちゃんを促す。エマちゃんの歌声が広がると魔力の増幅が感じられた。不快じゃないしむしろ心地いい。
「なんだか不思議なお声ですわね」
「私、聞き惚れてしまいそうになりますわ」
「これを歌うの?」
何度かメイト先生の指定した箇所を歌い直して、採譜が終わった。
「フェルナー様、これって上下の副旋律はつけてもいいのかしら?」
「はい。良いと思います。先生、なぜ私にお尋ねに?」
「あらだって、フェルナー様が代表者でしょう?」
「私が?」
「主に話をしたのは貴女じゃない?」
「そうですけれど」
え?私が代表者になるの?
「じゃあ、フェルナー様、楽譜が出来たらお届けするわね」
あ、このまま進んじゃう感じなんだ。ちょっと納得出来ないけど。メイト先生の部屋を辞して、各自別れた。
「キャスリーン様、すみません」
「あの場では仕方がありませんわ。サミュエル先生の所に行きましょうか」
薬草研究会に行くだけなんだけどね。サミュエル先生も薬草研究会に居るって言ってたし。
シェーン様も今日は薬草研究会まで付いてきてくれて、エマちゃんと一緒にサミュエル先生の居る職員控室に入る。
「どうしたのかな?」
「エマちゃんの魔法属性の事です。ローレンス様にご相談しましたら、ひとりで歌うから目立つのではと。同好会でも立ち上げてみんなで歌えば目立たないと助言を受けました」
「なるほどね」
「で、同好会の申請を出してきました」
「認められた?」
「えぇ。顧問というか声楽に詳しい先生も紹介していただきました」
「良いんじゃないかな?ハリス嬢もそれで良いのかい?」
「はい」
「それでどういう活動をするのかな?」
「とりあえずはエマちゃんの歌をみんなで歌えるようにする事からですね。みんな素人なので。活動回数はみんなで話し合って決めます」
「良いんじゃないかな。他のみんなには言ってないよね?」
「もちろんです。他の皆様には歌が好きなら参加してみない?とお誘いしました」
「それでキャシーちゃんが代表者になるの?」
「代表者だって言われっちゃったんですよね」
「高位貴族の娘だからね。こういう場合は受けておいた方がいいし、仕方がないよ」
「ですよね」
「頑張りすぎないようにね。キャシーちゃんはもうちょっとを頑張ってしまうから」
「お約束は出来ませんわね。無理をすべき時はその方が良い場合が多いですから」
「おいおい……。心配だなぁ」
「ご心配いただきありがとうございます」
「笑う場面じゃないんだよ?分かってる?」
「それは重々」
「本当かなぁ?」
疑問を呈されてしまった。私だって無理をしちゃダメだって分かってますよ。ただ、人生には何度かここが踏ん張り時という場面が訪れる。その時に無理だからと頑張らなくて後悔する事もある。もちろん限界を越えた無理は絶対にしてはいけない。心身の健康を損なう恐れがあるからね。
今のところ歌唱隊の隊員?は女性生徒ばかり。これ幸いと寮の自由時間にみんなを集めて活動内容について話し合った。
「代表者はフェルナー様でおよろしいのですわよね?」
「サミュエル先生に私は高位貴族の娘だから、受けておきなさいと言われましたしね。皆様の異存がないようなら頑張りたいと思います」
「異存なんてございませんわ。むしろフェルナー様が嫌だと仰っても、私達は説得するつもりでしたわ」
にっこりと笑われた。
「キャスリーン様、遅くなりましたのね」
「えぇ。少し所用がございまして」
途中で会ったガブリエラ様と話をする。
「ご無事でお戻りになられて安心いたしましたけど。あら?キャスリーン様、そのお髪のレースは?」
「知り合いから頂きましたの。見事な細工でしょう?」
「素晴らしいですわ」
ガブリエラ様は辺境伯家でイグニレス・ゲイツとの事を正直に話し、婚約者候補として同席していたクランデュー家のマイケル・クランデューの支持を得たそうだ。
「では辺境伯様はお認めになられましたの?」
「まだですわ。マイケル様と婚約者候補としての交流を持つように言われましたもの」
「でも前には進まれた感じですか?」
「お母様がクランデュー家との繋がりよりも、私の自由にさせた方が良いと仰ってくださっていますの。お父様を説得してみるとは言ってくださいましたけど」
ガブリエラ様の恋路は、身分差という壁もあるから前途多難よね。
「それで私、少し早く戻ってきましたのよ」
「そうだったのですね」
「キャスリーン様、エマニュエル・ハリス様が探しておられましたわよ」
ガブリエラ様と話をしていると、通りかかったイザベラ様からそんな事を伝えられた。
「申し訳ございません。ガブリエラ様、また後で」
ガブリエラ様に断ってエマちゃんの所に行く。エマちゃんは3人に囲まれていた。
「エマちゃん」
「キャスリーン様」
ブンブンとしっぽを振っているような幻覚を見た気がする。
「その子達は?」
「お友達です。あの、一緒に歌いたいって言ってくれて」
ローレンス様の言っていた歌唱隊の話かな?
「エマちゃん、先生の許可は取られましたの?」
「まだ、です」
「では明日の新学期が始まったら、相談に参りましょうか」
休暇中にローレンス様から、同好会及び授業外活動の申請の仕方を詳しく教えてもらった。まずは学生課に同好会の申請を出して、活動内容の承認を得る。これは特に難しくはない。よほど不適切だと判断されない限り、簡単に承認が降りるらしい。問題なのはこの先。授業外活動の申請。こちらは審査が厳しくなる。信頼出来る教師の推薦を、少なくとも3人集めなければならない。サミュエル先生と音楽担当のどなたかに頼むしかないけれど、エマちゃんの魔法属性の事があるから少し時期は置いた方がいいと助言を受けていた。ひとりは魔法科の教師を巻き込んだ方が良いとも。サミュエル先生は魔法科だけれど、どちらかと言えば統括している立場だから、魔法科教師としては弱いらしい。
後は参加生徒集め。こちらは最低5人居れば活動出来る。私も兼部するつもりだから人数的には問題ないと思う。
「じゃあ、エマちゃん、明日の授業後にお迎えに行きますね。お友達もそれでよろしかったかしら?」
「「「「はいっ」」」」
大変いいお返事をいただきました。
翌日の新学期の授業が終わると、歌唱隊に興味を持ってくれた同学年生と一緒に、初等部に行く。
「エマちゃん」
「キャスリーン様」
相変わらずしっぽをブンブンと振っているような幻覚を私に見せながら、エマちゃんが走ってきた。昨日のお友達も慌てて付いてきてくれた。
「では参りましょうか」
私が先導する形で学生課に向かう。途中でサミュエル先生に会ったから、後で話を聞いて欲しいと伝えておいた。
結論から言うと、同好会設立は簡単に認められた。その場で声楽に詳しい教師も紹介してもらって、そちらに話をしに行く。紹介してもらった教師は、ピアノ科のキャスリーン・メイト先生。私と同じ名前だから勝手に親近感を持っていた先生だ。
「あら?フェルナー様?まぁまぁ、こんなにたくさん。どうかなさいましたの?」
ニコニコと招き入れてくれたメイト先生に同好会の事を話すと、喜んで引き受けると言ってくれた。
「完全オリジナルになるの?」
「はい。ここにいるエマニュエル・ハリス様が考えた曲なのですが、採譜出来る方が居なくて」
「出来ますわよ?ハリス様、1度歌ってくださらない?」
声に魔力を乗せないように注意して、エマちゃんを促す。エマちゃんの歌声が広がると魔力の増幅が感じられた。不快じゃないしむしろ心地いい。
「なんだか不思議なお声ですわね」
「私、聞き惚れてしまいそうになりますわ」
「これを歌うの?」
何度かメイト先生の指定した箇所を歌い直して、採譜が終わった。
「フェルナー様、これって上下の副旋律はつけてもいいのかしら?」
「はい。良いと思います。先生、なぜ私にお尋ねに?」
「あらだって、フェルナー様が代表者でしょう?」
「私が?」
「主に話をしたのは貴女じゃない?」
「そうですけれど」
え?私が代表者になるの?
「じゃあ、フェルナー様、楽譜が出来たらお届けするわね」
あ、このまま進んじゃう感じなんだ。ちょっと納得出来ないけど。メイト先生の部屋を辞して、各自別れた。
「キャスリーン様、すみません」
「あの場では仕方がありませんわ。サミュエル先生の所に行きましょうか」
薬草研究会に行くだけなんだけどね。サミュエル先生も薬草研究会に居るって言ってたし。
シェーン様も今日は薬草研究会まで付いてきてくれて、エマちゃんと一緒にサミュエル先生の居る職員控室に入る。
「どうしたのかな?」
「エマちゃんの魔法属性の事です。ローレンス様にご相談しましたら、ひとりで歌うから目立つのではと。同好会でも立ち上げてみんなで歌えば目立たないと助言を受けました」
「なるほどね」
「で、同好会の申請を出してきました」
「認められた?」
「えぇ。顧問というか声楽に詳しい先生も紹介していただきました」
「良いんじゃないかな?ハリス嬢もそれで良いのかい?」
「はい」
「それでどういう活動をするのかな?」
「とりあえずはエマちゃんの歌をみんなで歌えるようにする事からですね。みんな素人なので。活動回数はみんなで話し合って決めます」
「良いんじゃないかな。他のみんなには言ってないよね?」
「もちろんです。他の皆様には歌が好きなら参加してみない?とお誘いしました」
「それでキャシーちゃんが代表者になるの?」
「代表者だって言われっちゃったんですよね」
「高位貴族の娘だからね。こういう場合は受けておいた方がいいし、仕方がないよ」
「ですよね」
「頑張りすぎないようにね。キャシーちゃんはもうちょっとを頑張ってしまうから」
「お約束は出来ませんわね。無理をすべき時はその方が良い場合が多いですから」
「おいおい……。心配だなぁ」
「ご心配いただきありがとうございます」
「笑う場面じゃないんだよ?分かってる?」
「それは重々」
「本当かなぁ?」
疑問を呈されてしまった。私だって無理をしちゃダメだって分かってますよ。ただ、人生には何度かここが踏ん張り時という場面が訪れる。その時に無理だからと頑張らなくて後悔する事もある。もちろん限界を越えた無理は絶対にしてはいけない。心身の健康を損なう恐れがあるからね。
今のところ歌唱隊の隊員?は女性生徒ばかり。これ幸いと寮の自由時間にみんなを集めて活動内容について話し合った。
「代表者はフェルナー様でおよろしいのですわよね?」
「サミュエル先生に私は高位貴族の娘だから、受けておきなさいと言われましたしね。皆様の異存がないようなら頑張りたいと思います」
「異存なんてございませんわ。むしろフェルナー様が嫌だと仰っても、私達は説得するつもりでしたわ」
にっこりと笑われた。
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