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学院中等部 5学年生
補助の魔法
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「ハリス嬢、補助の属性だったって事は、しばらく秘密だよ?そうしないと危険かもしれないからね」
危険かもしれないとサミュエル先生は濁しているけれど、はっきり言って危険だと思う。魔法の増幅なんて魔法を使えて威力を求める人からしたら、喉から手が出るほど欲しいんじゃないかな?労せずして威力の底上げが出来るんだもの。
「私がお側に居ればよろしいのでしょうか?」
「それが理想だけど、ハリス嬢の意思もあるしね」
「無理強いはしたくありません」
「だよね」
サミュエル先生とコソコソと話をする。サミュエル先生に付いていたダニエル様がハリス様に色々話しかけて気を逸らしていた。シェーン様は黙っている。
「あのっ、フェルナー先輩って授業外交流は参加しているんですか?」
「えぇ。薬草研究会に所属しておりますわ」
「薬草研究会ってどんな所ですか?っていうか、どんな活動を?」
「薬草を使ったポーションや、薬草を使った食品の開発ですわね。その他にも色々とやっておりますわ」
「薬草って高いですよね?」
「その辺に生えている雑草の中にも薬草はありましてよ?」
「そうなんですか?」
「後は剣術体術倶楽部の部員のフォローとか」
「えっと?」
「魔術研究会への協力とか」
「はい?」
「武術魔法披露会のお手伝いとか」
「お手伝い」
「ちなみに顧問はサミュエル先生です」
「ほとんど口は出さないけどね。生徒の自主性に任せているよ」
「へぇ。良いなぁ」
「見学なさいますか?」
「良いのっ?」
目がキラキラしてる。好奇心でいっぱいって感じだ。ついでに敬語も忘れているけど、私は気にならない。シェーン様も最近は諦めてくれたようだ。ため息は盛大に聞こえるけどね。
サミュエル先生も連れ立って薬草研究会に行く。薬草研究会の部室には5人が残っているだけだった。
「キャスリーン様、今日はお忙しいと伺ったのですが」
残っていた内のひとり、フランシス・エンヴィーオが駆け寄ってきた。
「その予定だったのですけど、思ったより早く終わりましたから。他の人達は?」
「薬草の世話をしにグリーンハウスに行っています。僕達はせっけん作りの相談をしてて」
「せっけん?」
後ろからハリス様が聞いた。私の後ろにいたんだけど、ヒョコって顔を出している。可愛い。
「その子は?」
「エマニュエル・ハリス様です。1学年生ですわね。薬草研究会を見学したいと」
「今はほとんどが出てますけどね」
「せっけん作りの相談って何を?」
「香りをもっとよく出来ないかと」
「香水を使ったら、ちょっと失敗したみたいで」
「匂いがちょっと……」
差し出されたせっけんは、なんともいえない匂いがした。
「匂いがケンカしてますね」
「ですよね」
「で、こっちが試作2号です」
「こっちはなんだか色が……」
「灰色っすよねぇ」
「灰色ですわねぇ」
「汚い色です」
ハリス様がヒョコって顔を出しながら辛辣な意見を言う。
「もうちょっと婉曲な言い方を……」
アッシュ・グレイヴンがダメージを受けている。どうやらこれを作ったのは彼のようだ。
「ハリス様、直接的すぎますわ。もう少し柔らかく表現しましょうね」
「はい。でもどう言えば良いか……」
「うふふ。周りの真似をするとか本を読むとか、学ぶ方法はたくさんございましてよ?」
「本、ですか?」
はっきりと「苦手です」って書いてあるハリス様を見ながら、どうすれば良いか考える。
貴族的な言い回しは結構面倒だ。感覚的には同時通訳に似ている。言いたい事を同義語に変換して話さなければいけない。慣れれば簡単だと思うけど、ここで苦労する人も多いと聞いた。
「フェルナー嬢を見習えば良いよ。淑女のお手本と行った感じだからね。たまに……だけど」
「エンヴィーオ様?たまに、なんですの?はっきりおっしゃい」
「たまに年齢をごまかしてるんじゃないかと……。申し訳ございません」
「正直に言ったから赦して差し上げますわ」
こういったやり取りは、プレ社交会の後から始まった。発案はアッシュ・グレイヴン。聖女様っぽい受け答えをするゲームとして始まったんだけど、いつの間にか高飛車お嬢様を演じさせられているような気になっている。
「グレイヴン様、これっていつまで続けますの?」
「え?ずっと」
「ずっと?」
「そう。僕達が卒業するまで」
「それはちょっと嫌な気が……」
「まぁ、似合わないよね。じゃあ、今度は慈愛溢れる聖女様っぽくしてみるとか」
「グレイヴン様、私で遊んでおられません?」
「まさか。フェルナー侯爵家のご令嬢で遊ぶなんて、とてもそんな度胸はありません」
「この場合はどう答えるのが正解なのでしょう?」
「フェルナー嬢の好きなように」
「私の好きなようにさせると、お説教が始まる可能性もございますけれど、よろしいのですか?」
「あっ、慈愛溢れる聖女様で」
本気じゃないから笑っているけど、知らなかったら本気にしちゃうよね。ハリス様なんて目をまん丸くしてみんなの顔を見ているもの。
「ハリス様、心配には及びませんわ。私も承知の上で付き合っているお遊びですもの」
「お遊びですか?」
「言葉遊び、役になりきった言葉を使う事で、その時々の状況に合わせた言葉遣いが出来るんじゃないかな?って。フェルナー嬢は付き合ってくれているんですよ」
「楽しそう、です」
「それなら参加なさいませんか?そうですわね。高位貴族のお嬢様ならどう話すかを考えながら、高位貴族のお嬢様になりきるんです。薬草研究会にはお茶の時間もございますから、そこでも学べますわよ」
「いきなり始めるけど、ちゃんと合図しますからね」
この言葉遊びは意外と好評だ。最初は私とガブリエラ様、フランシス・エンヴィーオ、アッシュ・クレイヴン、イグニレス・ゲイツの5人でやっていたんだけど、薬草研究会のお茶の時間に参加人数が増えていった。
残っていたみんなと話をしていると、グリーンハウスに行っていたみんなが戻ってきた。春摘みの薬草がいっぱいだ。
「水洗いは?」
「ザッと洗ってきた」
「よし、手分けして洗うぞ」
にわかに慌ただしくなる。
「あれ?フェルナー嬢、その子は?」
「見学者です」
バージェフ先輩がハリス様を目に止めて聞いたから答えると、ハリス様が私の服をギュッと握った。
「大丈夫ですよ。薬草研究会の部長です。薬草研究会を立ち上げた方ですよ」
「っていうか、ごめん。その子は知ってる。バージェフ領の隣の領の子だ。確かハリス嬢だったね」
「はい」
ハリス様が蚊の鳴くような声で返事をした。あれ?ハリス様はもっとハキハキと喋ってたはず。
「たぶん、僕が怖いんだよ」
「何故とお聞きしても?」
「領地での事だからね」
バージェフ先輩の領地での話。ハリス様は隣の領だと言っていた。バージェフ先輩は光魔法を持っていて、かなり酷い扱いだったはず。その時に何かあった?
「分かりました。お聞きしません」
「後で話すよ」
みんなで薬草洗いを終わらせて、乾燥の下準備をして行く。風魔法使いと水魔法使いが増えたから、ずいぶん楽になった。
「ふぅ。終わったわね」
「明日には薬草が届くんじゃなかったでしたっけ?」
「明日もこれが続くのか。休んじゃおうかな?」
「なんですって?そんな事をしたら、フェルナー様の剣の相手の刑だからね」
「先輩、お義兄様を使うのはやめてください。喜んで相手をしそうですけど」
「ヒィィィ。フェルナー嬢、助けて」
「明日、頑張りましょうね」
「ハヒ」
返事がおかしくなっちゃったのは聞かなかったフリをする。
危険かもしれないとサミュエル先生は濁しているけれど、はっきり言って危険だと思う。魔法の増幅なんて魔法を使えて威力を求める人からしたら、喉から手が出るほど欲しいんじゃないかな?労せずして威力の底上げが出来るんだもの。
「私がお側に居ればよろしいのでしょうか?」
「それが理想だけど、ハリス嬢の意思もあるしね」
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「だよね」
サミュエル先生とコソコソと話をする。サミュエル先生に付いていたダニエル様がハリス様に色々話しかけて気を逸らしていた。シェーン様は黙っている。
「あのっ、フェルナー先輩って授業外交流は参加しているんですか?」
「えぇ。薬草研究会に所属しておりますわ」
「薬草研究会ってどんな所ですか?っていうか、どんな活動を?」
「薬草を使ったポーションや、薬草を使った食品の開発ですわね。その他にも色々とやっておりますわ」
「薬草って高いですよね?」
「その辺に生えている雑草の中にも薬草はありましてよ?」
「そうなんですか?」
「後は剣術体術倶楽部の部員のフォローとか」
「えっと?」
「魔術研究会への協力とか」
「はい?」
「武術魔法披露会のお手伝いとか」
「お手伝い」
「ちなみに顧問はサミュエル先生です」
「ほとんど口は出さないけどね。生徒の自主性に任せているよ」
「へぇ。良いなぁ」
「見学なさいますか?」
「良いのっ?」
目がキラキラしてる。好奇心でいっぱいって感じだ。ついでに敬語も忘れているけど、私は気にならない。シェーン様も最近は諦めてくれたようだ。ため息は盛大に聞こえるけどね。
サミュエル先生も連れ立って薬草研究会に行く。薬草研究会の部室には5人が残っているだけだった。
「キャスリーン様、今日はお忙しいと伺ったのですが」
残っていた内のひとり、フランシス・エンヴィーオが駆け寄ってきた。
「その予定だったのですけど、思ったより早く終わりましたから。他の人達は?」
「薬草の世話をしにグリーンハウスに行っています。僕達はせっけん作りの相談をしてて」
「せっけん?」
後ろからハリス様が聞いた。私の後ろにいたんだけど、ヒョコって顔を出している。可愛い。
「その子は?」
「エマニュエル・ハリス様です。1学年生ですわね。薬草研究会を見学したいと」
「今はほとんどが出てますけどね」
「せっけん作りの相談って何を?」
「香りをもっとよく出来ないかと」
「香水を使ったら、ちょっと失敗したみたいで」
「匂いがちょっと……」
差し出されたせっけんは、なんともいえない匂いがした。
「匂いがケンカしてますね」
「ですよね」
「で、こっちが試作2号です」
「こっちはなんだか色が……」
「灰色っすよねぇ」
「灰色ですわねぇ」
「汚い色です」
ハリス様がヒョコって顔を出しながら辛辣な意見を言う。
「もうちょっと婉曲な言い方を……」
アッシュ・グレイヴンがダメージを受けている。どうやらこれを作ったのは彼のようだ。
「ハリス様、直接的すぎますわ。もう少し柔らかく表現しましょうね」
「はい。でもどう言えば良いか……」
「うふふ。周りの真似をするとか本を読むとか、学ぶ方法はたくさんございましてよ?」
「本、ですか?」
はっきりと「苦手です」って書いてあるハリス様を見ながら、どうすれば良いか考える。
貴族的な言い回しは結構面倒だ。感覚的には同時通訳に似ている。言いたい事を同義語に変換して話さなければいけない。慣れれば簡単だと思うけど、ここで苦労する人も多いと聞いた。
「フェルナー嬢を見習えば良いよ。淑女のお手本と行った感じだからね。たまに……だけど」
「エンヴィーオ様?たまに、なんですの?はっきりおっしゃい」
「たまに年齢をごまかしてるんじゃないかと……。申し訳ございません」
「正直に言ったから赦して差し上げますわ」
こういったやり取りは、プレ社交会の後から始まった。発案はアッシュ・グレイヴン。聖女様っぽい受け答えをするゲームとして始まったんだけど、いつの間にか高飛車お嬢様を演じさせられているような気になっている。
「グレイヴン様、これっていつまで続けますの?」
「え?ずっと」
「ずっと?」
「そう。僕達が卒業するまで」
「それはちょっと嫌な気が……」
「まぁ、似合わないよね。じゃあ、今度は慈愛溢れる聖女様っぽくしてみるとか」
「グレイヴン様、私で遊んでおられません?」
「まさか。フェルナー侯爵家のご令嬢で遊ぶなんて、とてもそんな度胸はありません」
「この場合はどう答えるのが正解なのでしょう?」
「フェルナー嬢の好きなように」
「私の好きなようにさせると、お説教が始まる可能性もございますけれど、よろしいのですか?」
「あっ、慈愛溢れる聖女様で」
本気じゃないから笑っているけど、知らなかったら本気にしちゃうよね。ハリス様なんて目をまん丸くしてみんなの顔を見ているもの。
「ハリス様、心配には及びませんわ。私も承知の上で付き合っているお遊びですもの」
「お遊びですか?」
「言葉遊び、役になりきった言葉を使う事で、その時々の状況に合わせた言葉遣いが出来るんじゃないかな?って。フェルナー嬢は付き合ってくれているんですよ」
「楽しそう、です」
「それなら参加なさいませんか?そうですわね。高位貴族のお嬢様ならどう話すかを考えながら、高位貴族のお嬢様になりきるんです。薬草研究会にはお茶の時間もございますから、そこでも学べますわよ」
「いきなり始めるけど、ちゃんと合図しますからね」
この言葉遊びは意外と好評だ。最初は私とガブリエラ様、フランシス・エンヴィーオ、アッシュ・クレイヴン、イグニレス・ゲイツの5人でやっていたんだけど、薬草研究会のお茶の時間に参加人数が増えていった。
残っていたみんなと話をしていると、グリーンハウスに行っていたみんなが戻ってきた。春摘みの薬草がいっぱいだ。
「水洗いは?」
「ザッと洗ってきた」
「よし、手分けして洗うぞ」
にわかに慌ただしくなる。
「あれ?フェルナー嬢、その子は?」
「見学者です」
バージェフ先輩がハリス様を目に止めて聞いたから答えると、ハリス様が私の服をギュッと握った。
「大丈夫ですよ。薬草研究会の部長です。薬草研究会を立ち上げた方ですよ」
「っていうか、ごめん。その子は知ってる。バージェフ領の隣の領の子だ。確かハリス嬢だったね」
「はい」
ハリス様が蚊の鳴くような声で返事をした。あれ?ハリス様はもっとハキハキと喋ってたはず。
「たぶん、僕が怖いんだよ」
「何故とお聞きしても?」
「領地での事だからね」
バージェフ先輩の領地での話。ハリス様は隣の領だと言っていた。バージェフ先輩は光魔法を持っていて、かなり酷い扱いだったはず。その時に何かあった?
「分かりました。お聞きしません」
「後で話すよ」
みんなで薬草洗いを終わらせて、乾燥の下準備をして行く。風魔法使いと水魔法使いが増えたから、ずいぶん楽になった。
「ふぅ。終わったわね」
「明日には薬草が届くんじゃなかったでしたっけ?」
「明日もこれが続くのか。休んじゃおうかな?」
「なんですって?そんな事をしたら、フェルナー様の剣の相手の刑だからね」
「先輩、お義兄様を使うのはやめてください。喜んで相手をしそうですけど」
「ヒィィィ。フェルナー嬢、助けて」
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