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学院初等部 4学年生
厄介なモノ
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「ローレンス様、セレスタ様は?箱の大きさが違う気がするのですけれど」
「うん。セレスタ嬢、開けてくれるかな?」
セレスタ様が緊張気味に蓋を開ける。中には私とは違うコインが入っていた。セレスタ様のコインは直径3センチ程。白金色に輝いている。
「白金貨か」
「このコインには命令強制力はございますの?」
「キャシーのよりは緩いよ。たしか他国に移住も出来たはず」
「うん。召集されたら即座に駆けつける事って、但し書きが付くけどね」
「この国を出る気はないですけど。キャスリーン様もいらっしゃるし」
「キャスリーン様?」
ローレンス様がピクリと眉を動かした。
「私がそう呼ぶように言いましたの」
だからローレンス様、圧をかけないであげてください。
「仕方がないね。キャシーは優しいから」
それは関係無いんですけどね。なんとなく言ったらご機嫌が悪くなって私が甘やかされる気がする。
リチャード神官が様子を見に来てくれた。
「フェルナー様、よろしいですか?」
「はい。患者さんですか?」
「そうです。お医者様が呼んできてほしいと」
と、いう事は外傷かな?
「分かりました。すぐに向かいます」
向かった先にいたのは狼に噛まれたという集団。重傷が5人、軽傷が6人。軽傷の6人は噛まれたというより逃げる際に転んだ人が多い。その内の何人かは事情を聴かれていた。
「すみませんな、フェルナー嬢。お手伝いいただけますかな」
「かしこまりました」
お医者様と手分けして治していく。セレスタ様も手を貸してくれた。重傷の人達の3人は何ヵ所も噛まれている。喰い千切られて骨が見えている人もいる。
セレスタ様は気丈に治療しているけど、結構辛そうだ。
「セレスタ様、大丈夫ですか?」
「キャスリーン様。はい、大丈夫です」
「辛いなら下がっていたまえ。こちらの邪魔になる」
いつになく厳しいお医者様の言葉に、悔しそうな顔をしたセレスタ様だけど、軽傷の人達の処置をしていたララ様に軽傷者の治癒を頼まれて、そちらに向かった。
次々に運び込まれる怪我人。狼を討伐しに行った人達もいて、なんとか全ての人の治療が終わったのは、お昼を大きく回っていた。
その中に転生者のレオナルド様がいた。
「レオナルド様?」
「悪いな、キャスリーン。所用で王都に来たんだが、見過ごせなくて加勢したら、このザマだ」
「狼の群れとの事でしたが、数は多かったのですか?」
「ありゃあ、いくつかのファミッリャだな。クランってとこか。4、50頭は居たからな」
「そんなに……」
「狼の群れとしては大きい方だな。ま、安心するといい。兵士も討伐に向かったから。チャリオットなんて久々に見た」
「チャリオット?」
「キャスリーンは知らないのか?古代で使われていた馬が牽く戦車だよ」
言われてぼんやりと思い浮かぶ。
「なんとなく分かりました。そういえばレオナルド様、お髭を剃りましたのね」
「あぁ。男前になっただろ?」
話をしていたら不審に思ったのか、ララ様がやって来た。
「キャシーちゃん、お知り合い?」
「転生者の方です。昨年知り合いました。あ、そうだ。レオナルド様、ララ・ノックス様です。去年一緒に伺う予定だった転生者です。ララ様、こちらがレオナルド様。本当の名は……」
「自分で言う。カイル・レヴィだ。今はレオナルド・ダ・ヴィンチと名乗っている。地球ではルイージ・ジャコメッティだった」
「あ、はじめまして。ララ・ノックスといいます。地球では黒川 美月でした」
「クリョカゥワミチュキ?」
「黒川 美月ですってば」
「レオナルド様、ミツキ・クロカワですわ。今はララ・ノックス様ですのでそちらで呼んであげてくださいませ」
「ララでいいか?」
「うん。私はどう呼んだらいい?」
「レオナルドで。思い出したらカイルって名前がしっくり来なくてさ。転生者にしか分からないだろうから、レオナルド・ダ・ヴィンチって勝手に名乗った」
「ルイージの方じゃダメだったの?」
「アハハハハ。僕はジャパニメーションが好きだったんでね。ルイージって聞くと自然に赤と緑の帽子の配管工のゲームが浮かんできてな。前世でも友人にレオナルドって呼んでもらってたんだ」
「へぇ」
ララ様は感心した後、コソっと私に聞いた。
「キャシーちゃん、ジャパニメーションって何?」
「ジャパンのアニメーションです。ちょっと古めの言葉ですね」
「古いの?」
「そう記憶してます。2000年位にはその言葉自体が衰退していったと思いますよ」
「どうして?」
「詳しくはないですが、ジャパニメーションってjapとAnimationの合成語なんですよ。japは日本を指す差別用語ですから、その辺りが関係しているんじゃないかと」
「へぇぇ。そうなんだ」
「もしかして、キャスリーンの方が年上だった?」
「前世での死亡年齢をいうなら、そうですね。ララ様は現役女子高生だったようですから。私は勤務中の二次災害に巻き込まれて鬼籍に入りました」
「キャシーちゃん、キセキって?」
「亡くなった事をいうんです。鬼の籍と書いて鬼籍。閻魔様の死者の名や死亡年月日などを記す帳面ですね。ここに名を書き入れられるのは亡くなった時ですから」
「へぇぇ」
「そうなんだ。知らなかったよ」
「仏教用語のようですから。それに鬼籍なんて若い方の間では使わないでしょうし」
「キャスリーンは何故知ってるんだ?」
「家が仏教徒でしたので。たぶんそこからだと思います。あまり自信はありません。どんどん記憶は薄れてってるし、でもこういうどうでもいいことは覚えているんですよね」
「カミーユもそんな事を言っていたな」
「レオナルド様はこれから?」
「しばらく王都に滞在して必要物品を買ったら、ハーランドって転生者の所に行く。その後は山小屋に帰るつもりだ。今から宿探しだな」
「山小屋?」
「レオナルド様は猟師をなさっておいでです。拠点があるのですよ」
「今日は教会に泊まったら?宿泊費は格安よ?」
「そりゃあありがたいが、良いのか?」
「大丈夫よ。責任者に言っておくわ」
ララ様が走って出ていく。ララ様、学院で習った淑女のマナーはどこに落としてきたの?
「どうしたんだ?キャスリーン。やけにララを目で追っているじゃないか」
「ララ様は学院で習った淑女のマナーをどこに落としてこられたのかと。それよりレオナルド様、私には婚約者がおります。出来ればフェルナー嬢とお呼びくださいませ」
「急に水臭いな。良いだろ?同じ転生者じゃねぇか」
「良くはございません。私にも名誉というものがございますし、レオナルド様は平民という立場でよろしかったですか。それでしたら不敬罪の適用となってしまいます。レオナルド様も危険なのですよ?」
「そうやって俺の事を心配してくれる、優しいキャスリーンだから好きなんだ」
「レオナルド様!!」
「へーへー。フェルナー家って侯爵だっけ?しがない男爵家の三男坊だった俺じゃ、たしかに不敬にあたるな。でも2人だけの時は良いんだろ?」
「良くはございません」
「ツレない事を言うなって」
「レオナルド様、私も貴族の端くれにございます。一転生者としては良いと言ってしまうでしょうが、この世の貴族の娘としては、良いとは申せません」
「まったく貴族ってやつは面倒だな」
「それには同意いたしますけど」
「じゃあ良いじゃないか」
「良くはございません。じゃあ、の意味も分かりかねます」
厄介な方に気に入られちゃった気がする。
「うん。セレスタ嬢、開けてくれるかな?」
セレスタ様が緊張気味に蓋を開ける。中には私とは違うコインが入っていた。セレスタ様のコインは直径3センチ程。白金色に輝いている。
「白金貨か」
「このコインには命令強制力はございますの?」
「キャシーのよりは緩いよ。たしか他国に移住も出来たはず」
「うん。召集されたら即座に駆けつける事って、但し書きが付くけどね」
「この国を出る気はないですけど。キャスリーン様もいらっしゃるし」
「キャスリーン様?」
ローレンス様がピクリと眉を動かした。
「私がそう呼ぶように言いましたの」
だからローレンス様、圧をかけないであげてください。
「仕方がないね。キャシーは優しいから」
それは関係無いんですけどね。なんとなく言ったらご機嫌が悪くなって私が甘やかされる気がする。
リチャード神官が様子を見に来てくれた。
「フェルナー様、よろしいですか?」
「はい。患者さんですか?」
「そうです。お医者様が呼んできてほしいと」
と、いう事は外傷かな?
「分かりました。すぐに向かいます」
向かった先にいたのは狼に噛まれたという集団。重傷が5人、軽傷が6人。軽傷の6人は噛まれたというより逃げる際に転んだ人が多い。その内の何人かは事情を聴かれていた。
「すみませんな、フェルナー嬢。お手伝いいただけますかな」
「かしこまりました」
お医者様と手分けして治していく。セレスタ様も手を貸してくれた。重傷の人達の3人は何ヵ所も噛まれている。喰い千切られて骨が見えている人もいる。
セレスタ様は気丈に治療しているけど、結構辛そうだ。
「セレスタ様、大丈夫ですか?」
「キャスリーン様。はい、大丈夫です」
「辛いなら下がっていたまえ。こちらの邪魔になる」
いつになく厳しいお医者様の言葉に、悔しそうな顔をしたセレスタ様だけど、軽傷の人達の処置をしていたララ様に軽傷者の治癒を頼まれて、そちらに向かった。
次々に運び込まれる怪我人。狼を討伐しに行った人達もいて、なんとか全ての人の治療が終わったのは、お昼を大きく回っていた。
その中に転生者のレオナルド様がいた。
「レオナルド様?」
「悪いな、キャスリーン。所用で王都に来たんだが、見過ごせなくて加勢したら、このザマだ」
「狼の群れとの事でしたが、数は多かったのですか?」
「ありゃあ、いくつかのファミッリャだな。クランってとこか。4、50頭は居たからな」
「そんなに……」
「狼の群れとしては大きい方だな。ま、安心するといい。兵士も討伐に向かったから。チャリオットなんて久々に見た」
「チャリオット?」
「キャスリーンは知らないのか?古代で使われていた馬が牽く戦車だよ」
言われてぼんやりと思い浮かぶ。
「なんとなく分かりました。そういえばレオナルド様、お髭を剃りましたのね」
「あぁ。男前になっただろ?」
話をしていたら不審に思ったのか、ララ様がやって来た。
「キャシーちゃん、お知り合い?」
「転生者の方です。昨年知り合いました。あ、そうだ。レオナルド様、ララ・ノックス様です。去年一緒に伺う予定だった転生者です。ララ様、こちらがレオナルド様。本当の名は……」
「自分で言う。カイル・レヴィだ。今はレオナルド・ダ・ヴィンチと名乗っている。地球ではルイージ・ジャコメッティだった」
「あ、はじめまして。ララ・ノックスといいます。地球では黒川 美月でした」
「クリョカゥワミチュキ?」
「黒川 美月ですってば」
「レオナルド様、ミツキ・クロカワですわ。今はララ・ノックス様ですのでそちらで呼んであげてくださいませ」
「ララでいいか?」
「うん。私はどう呼んだらいい?」
「レオナルドで。思い出したらカイルって名前がしっくり来なくてさ。転生者にしか分からないだろうから、レオナルド・ダ・ヴィンチって勝手に名乗った」
「ルイージの方じゃダメだったの?」
「アハハハハ。僕はジャパニメーションが好きだったんでね。ルイージって聞くと自然に赤と緑の帽子の配管工のゲームが浮かんできてな。前世でも友人にレオナルドって呼んでもらってたんだ」
「へぇ」
ララ様は感心した後、コソっと私に聞いた。
「キャシーちゃん、ジャパニメーションって何?」
「ジャパンのアニメーションです。ちょっと古めの言葉ですね」
「古いの?」
「そう記憶してます。2000年位にはその言葉自体が衰退していったと思いますよ」
「どうして?」
「詳しくはないですが、ジャパニメーションってjapとAnimationの合成語なんですよ。japは日本を指す差別用語ですから、その辺りが関係しているんじゃないかと」
「へぇぇ。そうなんだ」
「もしかして、キャスリーンの方が年上だった?」
「前世での死亡年齢をいうなら、そうですね。ララ様は現役女子高生だったようですから。私は勤務中の二次災害に巻き込まれて鬼籍に入りました」
「キャシーちゃん、キセキって?」
「亡くなった事をいうんです。鬼の籍と書いて鬼籍。閻魔様の死者の名や死亡年月日などを記す帳面ですね。ここに名を書き入れられるのは亡くなった時ですから」
「へぇぇ」
「そうなんだ。知らなかったよ」
「仏教用語のようですから。それに鬼籍なんて若い方の間では使わないでしょうし」
「キャスリーンは何故知ってるんだ?」
「家が仏教徒でしたので。たぶんそこからだと思います。あまり自信はありません。どんどん記憶は薄れてってるし、でもこういうどうでもいいことは覚えているんですよね」
「カミーユもそんな事を言っていたな」
「レオナルド様はこれから?」
「しばらく王都に滞在して必要物品を買ったら、ハーランドって転生者の所に行く。その後は山小屋に帰るつもりだ。今から宿探しだな」
「山小屋?」
「レオナルド様は猟師をなさっておいでです。拠点があるのですよ」
「今日は教会に泊まったら?宿泊費は格安よ?」
「そりゃあありがたいが、良いのか?」
「大丈夫よ。責任者に言っておくわ」
ララ様が走って出ていく。ララ様、学院で習った淑女のマナーはどこに落としてきたの?
「どうしたんだ?キャスリーン。やけにララを目で追っているじゃないか」
「ララ様は学院で習った淑女のマナーをどこに落としてこられたのかと。それよりレオナルド様、私には婚約者がおります。出来ればフェルナー嬢とお呼びくださいませ」
「急に水臭いな。良いだろ?同じ転生者じゃねぇか」
「良くはございません。私にも名誉というものがございますし、レオナルド様は平民という立場でよろしかったですか。それでしたら不敬罪の適用となってしまいます。レオナルド様も危険なのですよ?」
「そうやって俺の事を心配してくれる、優しいキャスリーンだから好きなんだ」
「レオナルド様!!」
「へーへー。フェルナー家って侯爵だっけ?しがない男爵家の三男坊だった俺じゃ、たしかに不敬にあたるな。でも2人だけの時は良いんだろ?」
「良くはございません」
「ツレない事を言うなって」
「レオナルド様、私も貴族の端くれにございます。一転生者としては良いと言ってしまうでしょうが、この世の貴族の娘としては、良いとは申せません」
「まったく貴族ってやつは面倒だな」
「それには同意いたしますけど」
「じゃあ良いじゃないか」
「良くはございません。じゃあ、の意味も分かりかねます」
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