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学院初等部 4学年生
芸術祭、2日目 ~お喋りサロンと?~
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ヴィクトリア・マッケンステイン様は噂好きではあるけれど、要、不要の線引きは心得ていると聞いている。
「マッケンステイン様、今日はその確認の為に?」
「まぁ、いいえ。ブレイシー様のお悩みを解決していただいたのが、キャスリーン様だと伺いましたので、そのお礼にと。私には思い付きませんでしたのよ」
嘘だと思う。ヴィクトリア・マッケンステイン様程の情報通がフィンチー兄弟の婚約の諸々を知らないとは思えない。
「若輩の浅はかな考えが、たまたま上手くいっただけですわ」
「若輩だなんて。さすがに聡明でいらっしゃると、関心いたしましたのよ」
「今回上手くいったのは、自分だけの力ではございませんのよ」
「オホホホホ。ほとんどをおひとりでと聞いておりましてよ」
「まぁ。皆様のお考えを纏めただけですのに。お恥ずかしいですわ」
「謙虚なお考えですわね」
マッケンステイン様と笑顔で会話をしていると、案内役の男性がマッケンステイン様を呼びに来た。
「申し訳ございません。失礼いたしますわ」
「お忙しそうですのね。お気になさらないでください」
アンバー様がそう言って、マッケンステイン様は離れていった。
「キャシー、お前、どうしたんだ?」
「何がですの?お義兄様」
「マッケンステイン嬢との会話だよ。なんだか不自然っていうか」
「なんでもございませんでしてよ?」
「怖かったですわ。貴族の会話って感じで」
「ガブリエラ様も貴族でしてよ?」
「そ……れはそうですけど……」
ガブリエラ様は何か裏の会話があった事は分かったらしいけど、内容までは分からなかったらしい。
「それで?何を言っておりましたの?」
アンバー様が興味津々で聞く。
「お聞きの通りですわよ?」
「お前、それで誤魔化せると思っているのか?」
「誤魔化すも何も、言葉の通りですもの」
「キャシー、兄貴に言いつけるぞ?」
「うふふ。どうぞお言いつけくださいませ。ローレンス様に意味が伝わるとよろしいですわね」
にっこり笑って、ジッとお義兄様を見る。先に目を逸らしたのはお義兄様だった。
「くそっ、また負けた」
「キャスリーン様とフェルナー様って、特殊なケンカをなさいますのね」
「ケンカじゃございませんでしてよ?」
「ケンカじゃないんですの?」
「キャシーに勝てるのは、兄貴だけだってそれだけ。俺も父上も勝てねぇんだよ。ケンカはしない」
お義兄様が不貞腐れて言う。勝ち負けじゃないんだけど、お義兄様は昔から私に勝ちたがるんだよね。負けず嫌いというのもあると思うけど。
「フェルナー様ってもしかして負けず嫌いでございますの?」
「もしかしなくてもそうですわ。口で勝てないからと手を出される事は無いのですけれど」
「当然だ。女性は守るもんだ。アンバーのように戦える女性もいるが、それでも手をあげるなんてあり得ない」
「お義兄様らしいですわ」
「フェルナー様はお優しいですわね、エスクーア様」
「えぇ」
アンバー様が恥ずかしそうにしながらも、嬉しそうに言う。あ、お義兄様がソッポを向いた。こちらも恥ずかしいみたい。
「お義兄様、そのようになされますとアンバー様に誤解されますわよ?」
「知るか」
「うふふ。テレてらっしゃいますのね」
笑って揶揄うと、ますますソッポを向いてしまった。
お喋りサロン『フォニィ』で美味しいお茶とお菓子をいただいて、ミア・ブレイシー様に挨拶をしてサロンを出た。
「居心地はよかったけど、居心地悪かった」
「申し訳ございませんわ。揶揄いすぎました」
「いいさ。楽しかったか?」
「はい。お付き合いいただきありがとうございました」
「これからどうするんだ?」
「どうしましょう。適当に展示でも……」
「ちょうど良い。武術場に付き合え」
答えあぐねていると、お義兄様が言った。最初からこのつもりだったらしく、武術場のドアを開けて堂々と入っていく。武術場の中には武術場には似つかわしくない色とりどりの布と、白い布を掛けられた3体のトルソーが置かれていた。その横にはパーティションで囲った簡易的な個室がある。非常に嫌な予感がする。
「お義兄様、この状況は?」
「予定が無いみたいだからな。ちょうど良かった」
「答えになっておりませんわよ?お答えください。この状況は何ですか?」
「頼まれたんだよ」
「どなたにですか?」
「もうすぐ来ると思う」
いやだから、誰になの?予想はつく。付くけど認めたくない。
数分後、予想していた通りの人物が現れた。サミュエル先生だ。女性を3名引き連れている。
「やあやあ、キャシーちゃん、ご機嫌……斜め?」
「斜めという程ではございませんわ。あちらのトルソーを見て予想は付きましたもの」
「あはは。相変わらず勘が良いね」
「勘など良くなくとも、分かりますわ。お義兄様に頼み事をしてここまで私を連れてこさせるなど、先生が最有力候補ですもの」
「こっちも頼まれているからね。諦めて?」
「ここまで来てごねようとは思いません。ごねても結果は同じでしょうから。ガブリエラ様まで巻き込んで」
ガブリエラ様とアンバー様は仲良く座って、こちらに手を振っていた。他人事だと思って。
サミュエル先生が連れてきた女性と共に、簡易個室に入る。簡易個室の奥にもう1つドアがあって、そこが更衣室になっていた。
「では、まずはこちらから」
運び込まれたトルソーには、ララ様から贈られた白いロングワンピースとケープ。靴も白いショートブーツが用意されていた。
「やっぱりこれですか」
椅子に座らされて、まずはメイクから。とはいっても薄くメイクはしているから、それに少し色を乗せる程度。ガッツリメイクはしない。同時進行で髪型も変えられた。ケーソンボガン聖国の聖女様の慈悲の施しの際の髪型だそうだ。
この女性達はサミュエル先生のお家の侍女さん達だそうだ。つまりはブランジット公爵家の侍女で、このお着替えはブランジット公爵夫人もご存知だとのこと。
「もしかして出たら肖像画家が待っているとか?」
「察しがよろしいですわね。その通りでございます。後はアナパレイ技師が待っております」
ひとりではないんだろうな。サミュエル先生といえど部外者を学院内に入れるには、学院長先生の許可が必要だと思う。それをクリアしてるって事は、少なくとも学院長先生はこの事をご存知だという事で。
学院長先生に直接お目にかかった事はない。学校行事の際に挨拶をしているのを遠目に見ただけだ。印象は優しくて穏和なおばあさま。素性は現陛下の大伯母君という噂だ。サミュエル先生の血縁者って事よね?真相は分からないけれど。
更衣室を出ると、絵師が5人にアナパレイ技師が3人居た。この時代のアナパレイってシャッター速度が遅いんだけど、だいたい5分位とウィル爺から聞いている。ウィル爺の使っているアナパレイは少し古い型だから、今はもっと早くなっているとも。
「ひかっ、フェルナー様、申し訳ございませんがこちらにお座りください」
示された椅子に、示されたポーズで座る。アナパレイ技師が何枚かシャッターを切っている間に、肖像画家はスケッチをしていた。このスケッチを元に肖像画を描くらしい。何枚も何枚もページをめくって描いていく。角度も色々変えている。
トルソーに用意された3着全ての行程が終わった頃には、外は夕闇が迫っていた。
「マッケンステイン様、今日はその確認の為に?」
「まぁ、いいえ。ブレイシー様のお悩みを解決していただいたのが、キャスリーン様だと伺いましたので、そのお礼にと。私には思い付きませんでしたのよ」
嘘だと思う。ヴィクトリア・マッケンステイン様程の情報通がフィンチー兄弟の婚約の諸々を知らないとは思えない。
「若輩の浅はかな考えが、たまたま上手くいっただけですわ」
「若輩だなんて。さすがに聡明でいらっしゃると、関心いたしましたのよ」
「今回上手くいったのは、自分だけの力ではございませんのよ」
「オホホホホ。ほとんどをおひとりでと聞いておりましてよ」
「まぁ。皆様のお考えを纏めただけですのに。お恥ずかしいですわ」
「謙虚なお考えですわね」
マッケンステイン様と笑顔で会話をしていると、案内役の男性がマッケンステイン様を呼びに来た。
「申し訳ございません。失礼いたしますわ」
「お忙しそうですのね。お気になさらないでください」
アンバー様がそう言って、マッケンステイン様は離れていった。
「キャシー、お前、どうしたんだ?」
「何がですの?お義兄様」
「マッケンステイン嬢との会話だよ。なんだか不自然っていうか」
「なんでもございませんでしてよ?」
「怖かったですわ。貴族の会話って感じで」
「ガブリエラ様も貴族でしてよ?」
「そ……れはそうですけど……」
ガブリエラ様は何か裏の会話があった事は分かったらしいけど、内容までは分からなかったらしい。
「それで?何を言っておりましたの?」
アンバー様が興味津々で聞く。
「お聞きの通りですわよ?」
「お前、それで誤魔化せると思っているのか?」
「誤魔化すも何も、言葉の通りですもの」
「キャシー、兄貴に言いつけるぞ?」
「うふふ。どうぞお言いつけくださいませ。ローレンス様に意味が伝わるとよろしいですわね」
にっこり笑って、ジッとお義兄様を見る。先に目を逸らしたのはお義兄様だった。
「くそっ、また負けた」
「キャスリーン様とフェルナー様って、特殊なケンカをなさいますのね」
「ケンカじゃございませんでしてよ?」
「ケンカじゃないんですの?」
「キャシーに勝てるのは、兄貴だけだってそれだけ。俺も父上も勝てねぇんだよ。ケンカはしない」
お義兄様が不貞腐れて言う。勝ち負けじゃないんだけど、お義兄様は昔から私に勝ちたがるんだよね。負けず嫌いというのもあると思うけど。
「フェルナー様ってもしかして負けず嫌いでございますの?」
「もしかしなくてもそうですわ。口で勝てないからと手を出される事は無いのですけれど」
「当然だ。女性は守るもんだ。アンバーのように戦える女性もいるが、それでも手をあげるなんてあり得ない」
「お義兄様らしいですわ」
「フェルナー様はお優しいですわね、エスクーア様」
「えぇ」
アンバー様が恥ずかしそうにしながらも、嬉しそうに言う。あ、お義兄様がソッポを向いた。こちらも恥ずかしいみたい。
「お義兄様、そのようになされますとアンバー様に誤解されますわよ?」
「知るか」
「うふふ。テレてらっしゃいますのね」
笑って揶揄うと、ますますソッポを向いてしまった。
お喋りサロン『フォニィ』で美味しいお茶とお菓子をいただいて、ミア・ブレイシー様に挨拶をしてサロンを出た。
「居心地はよかったけど、居心地悪かった」
「申し訳ございませんわ。揶揄いすぎました」
「いいさ。楽しかったか?」
「はい。お付き合いいただきありがとうございました」
「これからどうするんだ?」
「どうしましょう。適当に展示でも……」
「ちょうど良い。武術場に付き合え」
答えあぐねていると、お義兄様が言った。最初からこのつもりだったらしく、武術場のドアを開けて堂々と入っていく。武術場の中には武術場には似つかわしくない色とりどりの布と、白い布を掛けられた3体のトルソーが置かれていた。その横にはパーティションで囲った簡易的な個室がある。非常に嫌な予感がする。
「お義兄様、この状況は?」
「予定が無いみたいだからな。ちょうど良かった」
「答えになっておりませんわよ?お答えください。この状況は何ですか?」
「頼まれたんだよ」
「どなたにですか?」
「もうすぐ来ると思う」
いやだから、誰になの?予想はつく。付くけど認めたくない。
数分後、予想していた通りの人物が現れた。サミュエル先生だ。女性を3名引き連れている。
「やあやあ、キャシーちゃん、ご機嫌……斜め?」
「斜めという程ではございませんわ。あちらのトルソーを見て予想は付きましたもの」
「あはは。相変わらず勘が良いね」
「勘など良くなくとも、分かりますわ。お義兄様に頼み事をしてここまで私を連れてこさせるなど、先生が最有力候補ですもの」
「こっちも頼まれているからね。諦めて?」
「ここまで来てごねようとは思いません。ごねても結果は同じでしょうから。ガブリエラ様まで巻き込んで」
ガブリエラ様とアンバー様は仲良く座って、こちらに手を振っていた。他人事だと思って。
サミュエル先生が連れてきた女性と共に、簡易個室に入る。簡易個室の奥にもう1つドアがあって、そこが更衣室になっていた。
「では、まずはこちらから」
運び込まれたトルソーには、ララ様から贈られた白いロングワンピースとケープ。靴も白いショートブーツが用意されていた。
「やっぱりこれですか」
椅子に座らされて、まずはメイクから。とはいっても薄くメイクはしているから、それに少し色を乗せる程度。ガッツリメイクはしない。同時進行で髪型も変えられた。ケーソンボガン聖国の聖女様の慈悲の施しの際の髪型だそうだ。
この女性達はサミュエル先生のお家の侍女さん達だそうだ。つまりはブランジット公爵家の侍女で、このお着替えはブランジット公爵夫人もご存知だとのこと。
「もしかして出たら肖像画家が待っているとか?」
「察しがよろしいですわね。その通りでございます。後はアナパレイ技師が待っております」
ひとりではないんだろうな。サミュエル先生といえど部外者を学院内に入れるには、学院長先生の許可が必要だと思う。それをクリアしてるって事は、少なくとも学院長先生はこの事をご存知だという事で。
学院長先生に直接お目にかかった事はない。学校行事の際に挨拶をしているのを遠目に見ただけだ。印象は優しくて穏和なおばあさま。素性は現陛下の大伯母君という噂だ。サミュエル先生の血縁者って事よね?真相は分からないけれど。
更衣室を出ると、絵師が5人にアナパレイ技師が3人居た。この時代のアナパレイってシャッター速度が遅いんだけど、だいたい5分位とウィル爺から聞いている。ウィル爺の使っているアナパレイは少し古い型だから、今はもっと早くなっているとも。
「ひかっ、フェルナー様、申し訳ございませんがこちらにお座りください」
示された椅子に、示されたポーズで座る。アナパレイ技師が何枚かシャッターを切っている間に、肖像画家はスケッチをしていた。このスケッチを元に肖像画を描くらしい。何枚も何枚もページをめくって描いていく。角度も色々変えている。
トルソーに用意された3着全ての行程が終わった頃には、外は夕闇が迫っていた。
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