110 / 296
学院初等部 4学年生
落盤事故の原因
しおりを挟む
「原因か。それは今調査中だよ」
「それなら良いのですけれど。もし原因がヒューマンエラーによるものならと危惧していたんです。レジェス鉱山は土魔法による採掘の割合が多いと聞きましたので」
「危惧。確かにそうだな。下手をすると迫害なんて事になりかねん。だが今までに分かったのは、魔道具を使っていたと言う証言のみだ。土魔法使いの過失はないというのが、ベルヌーイ領から今までに寄せられた見解だな」
お義父様が立ち上がって私の向かいに座った。
「キャスリーンに聞きたい。この書類を読んでどう思う」
「よろしいのですか?」
言外に部外者であろう私が見ても、という意味を匂わせる。お義父様が頷いたのを確認して、書類を手に取った。
書類はレジェス鉱山とは別の鉱山事故の報告書だった。11年前にレジェス鉱山と同じような落盤事故を起こし、今は廃坑になっている。
「黒色火薬……」
引っ掛かったのは頻繁に出てくる黒色火薬の文字。魔道具に使用されていたと書いてあるけど、何の為に?
「やはりそこに引っ掛かりを覚えたか」
「私は実際の魔道具を知りませんけど、黒色火薬を使っていたのならそれはもはや魔道具では無いのでは?」
黒色火薬の燃焼の仕組みなんて、詳しくは分からない。だけど花火に使われていたというのは聞いた事がある。黒色火薬の炎色反応が、あの美しい炎の花を咲かせるのだそうだ。
「黒色火薬というのは主に兵器に使われていた。今は無用の長物だが、国境を守る辺境領では今も製造されているらしい。グクラン辺境伯に伺ったのだが、製造は許可制で、管理はグラム単位で記録されているそうだ」
「製造量と出荷量と使用量ですね?」
「そうだ。他の辺境領でも同様の答えが帰ってきた」
「とすると、魔道具と銘打った黒色火薬はどこから?という疑問が」
「それも調査中だ。魔道具の構造は分からん」
「信頼出来る魔道具師に聞いてみれば?」
「彼らを巻き込むのもな」
「王宮勤めの中に、いらっしゃらないのですか?」
たしか魔道保全師もいたはずだよね?ガビーちゃんのお兄様が勤めていらっしゃるもの。
「正確に言うと魔道具局の許可が降りんのだよ。彼らを守る為でもあるが。奴は頑固でな」
部下を守る為ならこれ以上無い良い上司なんだけど、お義父様の言葉にはそれだけじゃない何かを感じさせる。
「ここの落盤事故は、魔道具に責任を被せてしまって、幕引きとしたのですね。責任を負ったのは魔道具の操作をしていた技術者ですか。なんだか不自然ですわね」
「不自然だな。だがそこで調査は打ち切られた」
「魔道具局の反発の原因が、そこにありそうですね」
「ん?」
「どう考えても不自然ですよね?すべての責任を被せられてしまって。そんなはずはないという声も上がったはずです。その声も切り捨てられた。聞かれる事は無かった。一時的にせよ魔道具師達の評判は落ちたはずです。そこに反発を覚えていたのに、再び同じような落盤事故です。同じように魔道具の責任にされるのではないか、そう考えてもおかしくはありません。魔道具の技術者って魔道具師が務める事が多いですよね?」
「そうだな」
「おそらく公式に名誉回復された上での謝罪がないと、協力をあおぐのは難しいかと」
「…………」
お義父様が黙ってしまった。
「お義父様?」
「正論というのは耳に痛いものだな」
お義父様が顔を歪める。
「私だけでは意味がないな。他の宰相職にある者を説得しないと」
「当時、調査をされた責任者は?」
「国家安全委員会の、鉱山部門の事務次長になっている」
「本当はその方からの真摯な謝罪が一番なのですけど」
「そっちも説得してみるか」
「お仕事を増やしてしまい申し訳ございません」
「誰かがやらねばならん事だ。放っておいた責任は取らねばならん」
「ご無理はなさらないでくださいね」
「あぁ、大丈夫だ」
大丈夫と言う人ほど無理をしがちだというのが私の持論だ。でもこういう人の無理を止めるのは困難を極めるのよね。自分は大丈夫だと自己暗示をかけて無理をしちゃうから。
心配していると、お義父様が話題を変えた。
「昨日、ラッセル氏から連絡が来た。明日こちらに着くそうだ」
「ラッセル様が来られるのですか?」
「キャスリーンに会いたいそうだよ」
「あぁ、そんな事を仰っておられましたわね。前回はローレンス様とお話が弾んでおられましたけど」
「彼は領地経営にも詳しいからね。オルブライトがまた来てほしいとも言っていた」
「時間が足りませんわね」
「今日も救民院に行くのかい?」
「ララ様と友人に止められました。今日1日は休むようにと」
「ローレンスの元気がなかったのはそれでか」
「私は平気だと言ったのですが、ローレンス様もエドワード様とミリアディス様に言い含められたそうです」
「エドワード様にもか?」
お義父様の渋面が和らいだ。
今日はフェルナー邸でゆっくりする事をフェルナー邸内のみんなが望んでいるようで、久しぶりに書庫から好きな本を持ち出して、庭のガゼボで読書をする事にした。ここは夏には葉を広げた大木のお陰で、1日中木陰になっている。風も通るし私のお気に入りポイントだ。
「キャシー、ここで読書か?」
読書を始めて30分位経った頃、ランベルトお義兄様がひょっこりと姿を見せた。
「兄貴がキャシーの見送りが無かったって拗ねてたぞ?」
「お義父様に呼ばれておりましたので。申し訳ございません」
「俺には言わなくて良いからさ。兄貴が帰ってきたらちょっと甘えてやれば?」
「甘える、ですか?」
「そう。ちょっとスキンシップを多めにするとか」
「なんだか身の危険を感じるのですが」
「兄貴はキャシーの事になると止まらないからな。まぁ、キャシーの嫌がる事はしないと思うぞ」
「そこは信頼しておりますわ」
「それで、今は何の本を読んでいるんだ?」
急な話題変換にちょっと笑って、本の表紙を見せる。
「今日は風魔法の基礎と発展ですわね」
「キャシーは4属性か。俺は火魔法だけだから分からないけど、一般的に4属性を扱えると魔術国からスカウトが来るという噂なんだよな」
「魔術国?」
「あくまで噂だぞ?」
とは言われても、魔術国ってどこ?
「お義兄様、魔術国ってどこですか?」
「知らない」
ですよね。魔術国といわれる国には心当たりがない。お義父様にお聞きすれば何か分かるだろうか?でも、今はお義父様がお忙しいしこんな雑事で煩わせたくない。
「お義兄様は今から剣術の鍛練ですか?」
「あぁ。ダニエルとシェーンが相手をしてくれるって言うからさ。護衛達も良い刺激を受けているようだし、俺も相手してもらってくる」
「お怪我にだけはお気をつけくださいませね」
「気を付けるよ。そうだ。キャシーも来ないか?キャシーが来るとみんな喜ぶ」
「私も?」
側に控えてくれているフランに目を向けると、笑顔で頷いてくれた。
「ご一緒させていただけますか?」
「喜んで、とか兄貴ならスマートに言えるんだろうけどな」
「うふふ。アンバー様をエスコートする事もございますのよ?」
「分かってるけどさ。アンバーはその辺りは気にしないし」
「アンバー様はお気になさらなくとも、あら探しをする方はどこにでもいらっしゃいますわ。お義兄様には直接言う方はいらっしゃらないでしょうけど、アンバー様を侮り、下に見る方は絶対にいらっしゃいます」
「女の戦いってヤツか」
「そうですわね」
お義兄様と一緒に訓練場に向かう。先に訓練していたらしい私兵達と、ダニエル様とシェーン様がこちらを見た。
「キャスリーン様?」
「お嬢ちゃん、来てくれたのか?」
相変わらずの口調で、ダニエル様とシェーン様が駆け寄ってくる。私兵達も2人の言動に慣れてしまっていて、言動を咎める事も無い。
「お嬢様、こちらにどうぞ」
「侍女さんにも椅子を用意してくれ」
私兵達は私を甘やかしてくれるんだよね。ランベルトお義兄様やローレンス様が私を甘やかしてくれているから。
「それなら良いのですけれど。もし原因がヒューマンエラーによるものならと危惧していたんです。レジェス鉱山は土魔法による採掘の割合が多いと聞きましたので」
「危惧。確かにそうだな。下手をすると迫害なんて事になりかねん。だが今までに分かったのは、魔道具を使っていたと言う証言のみだ。土魔法使いの過失はないというのが、ベルヌーイ領から今までに寄せられた見解だな」
お義父様が立ち上がって私の向かいに座った。
「キャスリーンに聞きたい。この書類を読んでどう思う」
「よろしいのですか?」
言外に部外者であろう私が見ても、という意味を匂わせる。お義父様が頷いたのを確認して、書類を手に取った。
書類はレジェス鉱山とは別の鉱山事故の報告書だった。11年前にレジェス鉱山と同じような落盤事故を起こし、今は廃坑になっている。
「黒色火薬……」
引っ掛かったのは頻繁に出てくる黒色火薬の文字。魔道具に使用されていたと書いてあるけど、何の為に?
「やはりそこに引っ掛かりを覚えたか」
「私は実際の魔道具を知りませんけど、黒色火薬を使っていたのならそれはもはや魔道具では無いのでは?」
黒色火薬の燃焼の仕組みなんて、詳しくは分からない。だけど花火に使われていたというのは聞いた事がある。黒色火薬の炎色反応が、あの美しい炎の花を咲かせるのだそうだ。
「黒色火薬というのは主に兵器に使われていた。今は無用の長物だが、国境を守る辺境領では今も製造されているらしい。グクラン辺境伯に伺ったのだが、製造は許可制で、管理はグラム単位で記録されているそうだ」
「製造量と出荷量と使用量ですね?」
「そうだ。他の辺境領でも同様の答えが帰ってきた」
「とすると、魔道具と銘打った黒色火薬はどこから?という疑問が」
「それも調査中だ。魔道具の構造は分からん」
「信頼出来る魔道具師に聞いてみれば?」
「彼らを巻き込むのもな」
「王宮勤めの中に、いらっしゃらないのですか?」
たしか魔道保全師もいたはずだよね?ガビーちゃんのお兄様が勤めていらっしゃるもの。
「正確に言うと魔道具局の許可が降りんのだよ。彼らを守る為でもあるが。奴は頑固でな」
部下を守る為ならこれ以上無い良い上司なんだけど、お義父様の言葉にはそれだけじゃない何かを感じさせる。
「ここの落盤事故は、魔道具に責任を被せてしまって、幕引きとしたのですね。責任を負ったのは魔道具の操作をしていた技術者ですか。なんだか不自然ですわね」
「不自然だな。だがそこで調査は打ち切られた」
「魔道具局の反発の原因が、そこにありそうですね」
「ん?」
「どう考えても不自然ですよね?すべての責任を被せられてしまって。そんなはずはないという声も上がったはずです。その声も切り捨てられた。聞かれる事は無かった。一時的にせよ魔道具師達の評判は落ちたはずです。そこに反発を覚えていたのに、再び同じような落盤事故です。同じように魔道具の責任にされるのではないか、そう考えてもおかしくはありません。魔道具の技術者って魔道具師が務める事が多いですよね?」
「そうだな」
「おそらく公式に名誉回復された上での謝罪がないと、協力をあおぐのは難しいかと」
「…………」
お義父様が黙ってしまった。
「お義父様?」
「正論というのは耳に痛いものだな」
お義父様が顔を歪める。
「私だけでは意味がないな。他の宰相職にある者を説得しないと」
「当時、調査をされた責任者は?」
「国家安全委員会の、鉱山部門の事務次長になっている」
「本当はその方からの真摯な謝罪が一番なのですけど」
「そっちも説得してみるか」
「お仕事を増やしてしまい申し訳ございません」
「誰かがやらねばならん事だ。放っておいた責任は取らねばならん」
「ご無理はなさらないでくださいね」
「あぁ、大丈夫だ」
大丈夫と言う人ほど無理をしがちだというのが私の持論だ。でもこういう人の無理を止めるのは困難を極めるのよね。自分は大丈夫だと自己暗示をかけて無理をしちゃうから。
心配していると、お義父様が話題を変えた。
「昨日、ラッセル氏から連絡が来た。明日こちらに着くそうだ」
「ラッセル様が来られるのですか?」
「キャスリーンに会いたいそうだよ」
「あぁ、そんな事を仰っておられましたわね。前回はローレンス様とお話が弾んでおられましたけど」
「彼は領地経営にも詳しいからね。オルブライトがまた来てほしいとも言っていた」
「時間が足りませんわね」
「今日も救民院に行くのかい?」
「ララ様と友人に止められました。今日1日は休むようにと」
「ローレンスの元気がなかったのはそれでか」
「私は平気だと言ったのですが、ローレンス様もエドワード様とミリアディス様に言い含められたそうです」
「エドワード様にもか?」
お義父様の渋面が和らいだ。
今日はフェルナー邸でゆっくりする事をフェルナー邸内のみんなが望んでいるようで、久しぶりに書庫から好きな本を持ち出して、庭のガゼボで読書をする事にした。ここは夏には葉を広げた大木のお陰で、1日中木陰になっている。風も通るし私のお気に入りポイントだ。
「キャシー、ここで読書か?」
読書を始めて30分位経った頃、ランベルトお義兄様がひょっこりと姿を見せた。
「兄貴がキャシーの見送りが無かったって拗ねてたぞ?」
「お義父様に呼ばれておりましたので。申し訳ございません」
「俺には言わなくて良いからさ。兄貴が帰ってきたらちょっと甘えてやれば?」
「甘える、ですか?」
「そう。ちょっとスキンシップを多めにするとか」
「なんだか身の危険を感じるのですが」
「兄貴はキャシーの事になると止まらないからな。まぁ、キャシーの嫌がる事はしないと思うぞ」
「そこは信頼しておりますわ」
「それで、今は何の本を読んでいるんだ?」
急な話題変換にちょっと笑って、本の表紙を見せる。
「今日は風魔法の基礎と発展ですわね」
「キャシーは4属性か。俺は火魔法だけだから分からないけど、一般的に4属性を扱えると魔術国からスカウトが来るという噂なんだよな」
「魔術国?」
「あくまで噂だぞ?」
とは言われても、魔術国ってどこ?
「お義兄様、魔術国ってどこですか?」
「知らない」
ですよね。魔術国といわれる国には心当たりがない。お義父様にお聞きすれば何か分かるだろうか?でも、今はお義父様がお忙しいしこんな雑事で煩わせたくない。
「お義兄様は今から剣術の鍛練ですか?」
「あぁ。ダニエルとシェーンが相手をしてくれるって言うからさ。護衛達も良い刺激を受けているようだし、俺も相手してもらってくる」
「お怪我にだけはお気をつけくださいませね」
「気を付けるよ。そうだ。キャシーも来ないか?キャシーが来るとみんな喜ぶ」
「私も?」
側に控えてくれているフランに目を向けると、笑顔で頷いてくれた。
「ご一緒させていただけますか?」
「喜んで、とか兄貴ならスマートに言えるんだろうけどな」
「うふふ。アンバー様をエスコートする事もございますのよ?」
「分かってるけどさ。アンバーはその辺りは気にしないし」
「アンバー様はお気になさらなくとも、あら探しをする方はどこにでもいらっしゃいますわ。お義兄様には直接言う方はいらっしゃらないでしょうけど、アンバー様を侮り、下に見る方は絶対にいらっしゃいます」
「女の戦いってヤツか」
「そうですわね」
お義兄様と一緒に訓練場に向かう。先に訓練していたらしい私兵達と、ダニエル様とシェーン様がこちらを見た。
「キャスリーン様?」
「お嬢ちゃん、来てくれたのか?」
相変わらずの口調で、ダニエル様とシェーン様が駆け寄ってくる。私兵達も2人の言動に慣れてしまっていて、言動を咎める事も無い。
「お嬢様、こちらにどうぞ」
「侍女さんにも椅子を用意してくれ」
私兵達は私を甘やかしてくれるんだよね。ランベルトお義兄様やローレンス様が私を甘やかしてくれているから。
183
お気に入りに追加
470
あなたにおすすめの小説
来世はあなたと結ばれませんように【再掲載】
倉世モナカ
恋愛
病弱だった私のために毎日昼夜問わず看病してくれた夫が過労により先に他界。私のせいで死んでしまった夫。来世は私なんかよりもっと素敵な女性と結ばれてほしい。それから私も後を追うようにこの世を去った。
時は来世に代わり、私は城に仕えるメイド、夫はそこに住んでいる王子へと転生していた。前世の記憶を持っている私は、夫だった王子と距離をとっていたが、あれよあれという間に彼が私に近づいてくる。それでも私はあなたとは結ばれませんから!
再投稿です。ご迷惑おかけします。
この作品は、カクヨム、小説家になろうにも掲載中。
恋人に夢中な婚約者に一泡吹かせてやりたかっただけ
棗
恋愛
伯爵令嬢ラフレーズ=ベリーシュは、王国の王太子ヒンメルの婚約者。
王家の忠臣と名高い父を持ち、更に隣国の姫を母に持つが故に結ばれた完全なる政略結婚。
長年の片思い相手であり、婚約者であるヒンメルの隣には常に恋人の公爵令嬢がいる。
婚約者には愛を示さず、恋人に夢中な彼にいつか捨てられるくらいなら、こちらも恋人を作って一泡吹かせてやろうと友達の羊の精霊メリー君の妙案を受けて実行することに。
ラフレーズが恋人役を頼んだのは、人外の魔術師・魔王公爵と名高い王国最強の男――クイーン=ホーエンハイム。
濡れた色香を放つクイーンからの、本気か嘘かも分からない行動に涙目になっていると恋人に夢中だった王太子が……。
※小説家になろう・カクヨム様にも公開しています
婚約破棄が私を笑顔にした
夜月翠雨
恋愛
「カトリーヌ・シャロン! 本日をもって婚約を破棄する!」
学園の教室で婚約者であるフランシスの滑稽な姿にカトリーヌは笑いをこらえるので必死だった。
そこに聖女であるアメリアがやってくる。
フランシスの瞳は彼女に釘付けだった。
彼女と出会ったことでカトリーヌの運命は大きく変わってしまう。
短編を小分けにして投稿しています。よろしくお願いします。
【完結】仕事を放棄した結果、私は幸せになれました。
キーノ
恋愛
わたくしは乙女ゲームの悪役令嬢みたいですわ。悪役令嬢に転生したと言った方がラノベあるある的に良いでしょうか。
ですが、ゲーム内でヒロイン達が語られる用な悪事を働いたことなどありません。王子に嫉妬? そのような無駄な事に時間をかまけている時間はわたくしにはありませんでしたのに。
だってわたくし、週4回は王太子妃教育に王妃教育、週3回で王妃様とのお茶会。お茶会や教育が終わったら王太子妃の公務、王子殿下がサボっているお陰で回ってくる公務に、王子の管轄する領の嘆願書の整頓やら収益やら税の計算やらで、わたくし、ちっとも自由時間がありませんでしたのよ。
こんなに忙しい私が、最後は冤罪にて処刑ですって? 学園にすら通えて無いのに、すべてのルートで私は処刑されてしまうと解った今、わたくしは全ての仕事を放棄して、冤罪で処刑されるその時まで、押しと穏やかに過ごしますわ。
※さくっと読める悪役令嬢モノです。
2月14~15日に全話、投稿完了。
感想、誤字、脱字など受け付けます。
沢山のエールにお気に入り登録、ありがとうございます。現在執筆中の新作の励みになります。初期作品のほうも見てもらえて感無量です!
恋愛23位にまで上げて頂き、感謝いたします。
許してもらえるだなんて本気で思っているのですか?
風見ゆうみ
恋愛
ネイロス伯爵家の次女であるわたしは、幼い頃から変わった子だと言われ続け、家族だけじゃなく、周りの貴族から馬鹿にされ続けてきた。
そんなわたしを公爵である伯父はとても可愛がってくれていた。
ある日、伯父がお医者様から余命を宣告される。
それを聞いたわたしの家族は、子供のいない伯父の財産が父に入ると考えて豪遊し始める。
わたしの婚約者も伯父の遺産を当てにして、姉に乗り換え、姉は姉で伯父が選んでくれた自分の婚約者をわたしに押し付けてきた。
伯父が亡くなったあと、遺言書が公開され、そこには「遺留分以外の財産全てをリウ・ネイロスに、家督はリウ・ネイロスの婚約者に譲る」と書かれていた。
そのことを知った家族たちはわたしのご機嫌伺いを始める。
え……、許してもらえるだなんて本気で思ってるんですか?
※独特の異世界の世界観であり、設定はゆるゆるで、ご都合主義です。
※誤字脱字など見直して気を付けているつもりですが、やはりございます。申し訳ございません。教えていただけますと有り難いです。
お馬鹿な聖女に「だから?」と言ってみた
リオール
恋愛
だから?
それは最強の言葉
~~~~~~~~~
※全6話。短いです
※ダークです!ダークな終わりしてます!
筆者がたまに書きたくなるダークなお話なんです。
スカッと爽快ハッピーエンドをお求めの方はごめんなさい。
※勢いで書いたので支離滅裂です。生ぬるい目でスルーして下さい(^-^;
【 完結 】「婚約破棄」されましたので、恥ずかしいから帰っても良いですか?
しずもり
恋愛
ミレーヌはガルド国のシルフィード公爵令嬢で、この国の第一王子アルフリートの婚約者だ。いや、もう元婚約者なのかも知れない。
王立学園の卒業パーティーが始まる寸前で『婚約破棄』を宣言されてしまったからだ。アルフリートの隣にはピンクの髪の美少女を寄り添わせて、宣言されたその言葉にミレーヌが悲しむ事は無かった。それよりも彼女の心を占めていた感情はー。
恥ずかしい。恥ずかしい。恥ずかしい!!
ミレーヌは恥ずかしかった。今すぐにでも気を失いたかった。
この国で、学園で、知っていなければならない、知っている筈のアレを、第一王子たちはいつ気付くのか。
孤軍奮闘のミレーヌと愉快な王子とお馬鹿さんたちのちょっと変わった断罪劇です。
なんちゃって異世界のお話です。
時代考証など皆無の緩い設定で、殆どを現代風の口調、言葉で書いています。
HOT2位 &人気ランキング 3位になりました。(2/24)
数ある作品の中で興味を持って下さりありがとうございました。
*国の名前をオレーヌからガルドに変更しました。
え?わたくしは通りすがりの元病弱令嬢ですので修羅場に巻き込まないでくたさい。
ネコフク
恋愛
わたくしリィナ=ユグノアは小さな頃から病弱でしたが今は健康になり学園に通えるほどになりました。しかし殆ど屋敷で過ごしていたわたくしには学園は迷路のような場所。入学して半年、未だに迷子になってしまいます。今日も侍従のハルにニヤニヤされながら遠回り(迷子)して出た場所では何やら不穏な集団が・・・
強制的に修羅場に巻き込まれたリィナがちょっとだけざまぁするお話です。そして修羅場とは関係ないトコで婚約者に溺愛されています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる