108 / 351
学院初等部 4学年生
災害派遣終了
しおりを挟む
救出される人数が少なくなってきて、私達は帰ることになった。後は現地の人達で対応出来る。
「お嬢さん、世話になったね」
ジェラルドさんとジーンさんとザクセンさんに見送られた。ザクセンさんは私が最初に治療した光魔法使いのお医者様だ。
「お世話になりました」
「世話になったのはこっちだよ。光の聖女様として扱わないでくれって言われた時はどうしようかと思ったけどね」
「ここには救援に来たのですもの。光の聖女様なんて言われて特別扱いを受ける為じゃありません」
「それでも光の聖女様が駆け付けてくれた。その事がみんなの希望になったんだよ。礼を言わせとくれ」
ジェラルドさんとジーンさんとザクセンさんが揃って頭を下げた。
「身に余る光栄です」
ワンピースの裾を持ち上げてカーツィをすると、「貴族だねぇ」なんて笑われた。
ジーンさんとザクセンさんは、光魔法使いとして関わりが多かったのもあって、まるで家族のように扱ってくれた。ダニエル様とシェーン様の事も護衛だと知っていて、それでもあれこれ用件を言い付けていた。ダニエル様とシェーン様は文句を言いながらも嬉しそうに動いていたのは気の所為かな?サミュエル先生とマリアさんはニコニコと見ているし、止める気はなかったみたい。
レジェス鉱山のある地のベルヌーイ領の教会までは、鳥さんに乗っていく。この鳥さんに乗るのも今日で最後だ。私の後ろではシェーン様が相変わらず私を抱え込むようにして乗っている。ダニエル様がものすごく駄々をこねていたけど、マリアさんの「いい加減にしなさい。私と代わる?」の一言で引き下がっていたのが面白かった。マリアさんはサミュエル先生と一緒に乗ってるんだけど、嫌だったの?ボロンガ鳥は3人乗りだったよね?
「気にしなくても良いですよ。キャスリーン様はすべてを私に委ねていてください」
相変わらず耳元で、低い声で囁かれる。上空を飛んでいるから風の音が凄いんだけど、はっきり聞こえるのは特殊な発声法とかだろうか。特定の人だけに声を届ける技能もあるって聞いたし。
「シェーン様、お休みの前の罪人さんってどうなったんですか?あれから拝見しておりませんけれど」
私の腰に回されたシェーン様の腕に、ギュッと力が入った。
「あの者達は反省が見られないと判断され、労役場を移される事になりました」
「でもあの人って……。なんでもありません」
「キャスリーン様は我々がお守りします」
『あの者達』って事は、あの人はやっぱりセジャンの両親なのかな?
その後は会話も無く、ベルヌーイ領の教会に着いた。シェーン様の手を借りて鳥さんから降りる。
「乗せてくれてありがとうございました」
鳥さんにお礼を言うと、首を下げて顔を寄せてくれた。大きなくちばしが間近に来たけど、穏やかな黒い目で見つめられていて、ちっとも怖くなかった。フワフワの羽毛にそっと触れるとクルルと啼いてくれた。
「キャシーちゃん、行くよ」
「はい。またね」
鳥さんに別れを告げて、教会に入る。来た時とは打って変わって、静謐さに満ちた聖堂内を歩き、奥の部屋に入る直前にサミュエル先生にお願いしてみた。
「先生、神様にご挨拶をさせていただきたいのですが」
「ん?挨拶?」
何を言っているのか分からないという表情を見せるサミュエル先生に、重ねてお願いする。
「私に少しだけ時間をください。聖堂内を無断で通らせていただいたんです。ご挨拶をさせていただきたいんです」
「ご挨拶ね。いいよ。まだ時間もあるし」
許可を得て神像の前に移動する。この教会の神像は王都の物より小さい。でも2メートル位ある。私から見れば十分大きい。毎年誕生日前に各所のサイズを測られるけど、両手を広げた長さが128センチだったんだよね。両手を広げた長さと身長はほぼ同じだから、私の身長は128センチ前後って事になる。もう少し大きくなりたいな。
神像の前に跪いて、ご挨拶とお礼を述べる。
『先日は無断で聖堂内を通らせていただき、申し訳ございませんでした。急いでいたからとはいえ、非常に礼を失する行為をお詫びいたします。先だっての事故の犠牲者は少なくございませんでしたが、お陰さまを持ちまして全員の命が失われるという、最悪の事態は避けられました。ひとえに御礼申し上げます』
お礼を申し上げて深く礼をする。立ち上がってからもう一度礼をしたら、サミュエル先生に「丁寧だね」と言われてしまった。
奥への扉を通って、転送部屋への階段を降りる。青白く光る魔法陣。この仕組みはどうなっているのか興味はあるけど、研究する程の情熱は無い。
魔法陣の輝きが増して、みんなで足を踏み入れる。一瞬の浮遊感の後、サミュエル先生に促されて魔法陣から出た。扉を出て階段を登る。
「キャスリーン様、お疲れではございませんか?」
「大丈夫です。お気遣いありがとうございます」
シェーン様が気遣ってくれた。階段を登りきっても静謐な雰囲気は変わらない。教会ってこういうものよね。初日のベルヌーイ領の教会が異常だったんだよね。緊急事態だったから仕方がないけど。
奥の部屋から出ると、そこで働いていた神官が慌ててどこかに走っていった。
「おかえりなさいませ、ブランジット様、フェルナー様。無事のご帰還、おめでとうございます」
「うん、ありがとう。無事に帰ったよ。エドワードは?」
「連絡をお受けして、用意を整えておられました。今、使いを走らせましたのでもうまもなくおみえになられると思います。こちらへどうぞ」
神官に案内されて、少し広い部屋に入る。寛げるようにか大きなソファーが置かれていた。
「お茶をお持ちいたします」
「うん、頼むよ」
紅茶を出されてしばらくすると、扉の向こうでバタバタという足音が聞こえた。
「飛んできたんだろうね」
ボソリとサミュエル先生が呟いた。ダニエル様とシェーン様とマリアさんが一歩下がる。
ノックの音にサミュエル先生が笑いながら許可を出す。許可の声が消えない内にドアが開いた。
「キャシー、おかえり」
予想に違わずローレンス様が飛び込んできて、私をギュウっと抱き締めた。
「ただいま戻りましたわ、ローレンス様」
「よく顔を見せて。大変だっただろう?」
「皆様がよくしてくださいまして、そこまででも」
「こっちに連絡が入っているよ。キャシーが居てくれたから、何人も命を救われたってね」
「少しはお役に立てたようで、ホッといたしました」
「今日はゆっくりするといい。キャシーの友人のシーケリア嬢も毎日キャシーを案じていたよ。呼びに行かせたからね」
「ありがとうございます」
「もう一度顔を見せておくれ」
いとおしげに頬を挟まれて、しげしげと顔を覗き込まれた。
「そろそろ良いかな?」
遠慮がちなサミュエル先生の声が聞こえた。
「なんだ。居たんですね」
「見事にキャシーちゃんしか目に入ってなかったね」
「当然です。災害救助の為の派遣だと分かっていましたからね。キャシーがそんな状況を放っておけるわけがない。その邪魔をするなど婚約者としても元義兄としても許せませんから」
「心配はしなかったんだ?」
「心配はしてましたよ。それは当たり前です。ですがあの状況で私に出来る事なんて限られていましたからね」
隣に座って私の手を握りながら、サミュエル先生とダニエル様とシェーン様を見る。マリアさんに目を移して、困惑したように私を見た。
「マリアさんです。あちらでは私の侍女のような働きをしてくださいました」
「護衛とはいえ男性ばかりだからね。キャシーちゃんに不自由させたくないし。マリアなら1度顔を合わせているからね」
「そうですか。マリアといったね。キャシーが世話になった。礼を言うよ」
「もったいないお言葉です」
「お嬢さん、世話になったね」
ジェラルドさんとジーンさんとザクセンさんに見送られた。ザクセンさんは私が最初に治療した光魔法使いのお医者様だ。
「お世話になりました」
「世話になったのはこっちだよ。光の聖女様として扱わないでくれって言われた時はどうしようかと思ったけどね」
「ここには救援に来たのですもの。光の聖女様なんて言われて特別扱いを受ける為じゃありません」
「それでも光の聖女様が駆け付けてくれた。その事がみんなの希望になったんだよ。礼を言わせとくれ」
ジェラルドさんとジーンさんとザクセンさんが揃って頭を下げた。
「身に余る光栄です」
ワンピースの裾を持ち上げてカーツィをすると、「貴族だねぇ」なんて笑われた。
ジーンさんとザクセンさんは、光魔法使いとして関わりが多かったのもあって、まるで家族のように扱ってくれた。ダニエル様とシェーン様の事も護衛だと知っていて、それでもあれこれ用件を言い付けていた。ダニエル様とシェーン様は文句を言いながらも嬉しそうに動いていたのは気の所為かな?サミュエル先生とマリアさんはニコニコと見ているし、止める気はなかったみたい。
レジェス鉱山のある地のベルヌーイ領の教会までは、鳥さんに乗っていく。この鳥さんに乗るのも今日で最後だ。私の後ろではシェーン様が相変わらず私を抱え込むようにして乗っている。ダニエル様がものすごく駄々をこねていたけど、マリアさんの「いい加減にしなさい。私と代わる?」の一言で引き下がっていたのが面白かった。マリアさんはサミュエル先生と一緒に乗ってるんだけど、嫌だったの?ボロンガ鳥は3人乗りだったよね?
「気にしなくても良いですよ。キャスリーン様はすべてを私に委ねていてください」
相変わらず耳元で、低い声で囁かれる。上空を飛んでいるから風の音が凄いんだけど、はっきり聞こえるのは特殊な発声法とかだろうか。特定の人だけに声を届ける技能もあるって聞いたし。
「シェーン様、お休みの前の罪人さんってどうなったんですか?あれから拝見しておりませんけれど」
私の腰に回されたシェーン様の腕に、ギュッと力が入った。
「あの者達は反省が見られないと判断され、労役場を移される事になりました」
「でもあの人って……。なんでもありません」
「キャスリーン様は我々がお守りします」
『あの者達』って事は、あの人はやっぱりセジャンの両親なのかな?
その後は会話も無く、ベルヌーイ領の教会に着いた。シェーン様の手を借りて鳥さんから降りる。
「乗せてくれてありがとうございました」
鳥さんにお礼を言うと、首を下げて顔を寄せてくれた。大きなくちばしが間近に来たけど、穏やかな黒い目で見つめられていて、ちっとも怖くなかった。フワフワの羽毛にそっと触れるとクルルと啼いてくれた。
「キャシーちゃん、行くよ」
「はい。またね」
鳥さんに別れを告げて、教会に入る。来た時とは打って変わって、静謐さに満ちた聖堂内を歩き、奥の部屋に入る直前にサミュエル先生にお願いしてみた。
「先生、神様にご挨拶をさせていただきたいのですが」
「ん?挨拶?」
何を言っているのか分からないという表情を見せるサミュエル先生に、重ねてお願いする。
「私に少しだけ時間をください。聖堂内を無断で通らせていただいたんです。ご挨拶をさせていただきたいんです」
「ご挨拶ね。いいよ。まだ時間もあるし」
許可を得て神像の前に移動する。この教会の神像は王都の物より小さい。でも2メートル位ある。私から見れば十分大きい。毎年誕生日前に各所のサイズを測られるけど、両手を広げた長さが128センチだったんだよね。両手を広げた長さと身長はほぼ同じだから、私の身長は128センチ前後って事になる。もう少し大きくなりたいな。
神像の前に跪いて、ご挨拶とお礼を述べる。
『先日は無断で聖堂内を通らせていただき、申し訳ございませんでした。急いでいたからとはいえ、非常に礼を失する行為をお詫びいたします。先だっての事故の犠牲者は少なくございませんでしたが、お陰さまを持ちまして全員の命が失われるという、最悪の事態は避けられました。ひとえに御礼申し上げます』
お礼を申し上げて深く礼をする。立ち上がってからもう一度礼をしたら、サミュエル先生に「丁寧だね」と言われてしまった。
奥への扉を通って、転送部屋への階段を降りる。青白く光る魔法陣。この仕組みはどうなっているのか興味はあるけど、研究する程の情熱は無い。
魔法陣の輝きが増して、みんなで足を踏み入れる。一瞬の浮遊感の後、サミュエル先生に促されて魔法陣から出た。扉を出て階段を登る。
「キャスリーン様、お疲れではございませんか?」
「大丈夫です。お気遣いありがとうございます」
シェーン様が気遣ってくれた。階段を登りきっても静謐な雰囲気は変わらない。教会ってこういうものよね。初日のベルヌーイ領の教会が異常だったんだよね。緊急事態だったから仕方がないけど。
奥の部屋から出ると、そこで働いていた神官が慌ててどこかに走っていった。
「おかえりなさいませ、ブランジット様、フェルナー様。無事のご帰還、おめでとうございます」
「うん、ありがとう。無事に帰ったよ。エドワードは?」
「連絡をお受けして、用意を整えておられました。今、使いを走らせましたのでもうまもなくおみえになられると思います。こちらへどうぞ」
神官に案内されて、少し広い部屋に入る。寛げるようにか大きなソファーが置かれていた。
「お茶をお持ちいたします」
「うん、頼むよ」
紅茶を出されてしばらくすると、扉の向こうでバタバタという足音が聞こえた。
「飛んできたんだろうね」
ボソリとサミュエル先生が呟いた。ダニエル様とシェーン様とマリアさんが一歩下がる。
ノックの音にサミュエル先生が笑いながら許可を出す。許可の声が消えない内にドアが開いた。
「キャシー、おかえり」
予想に違わずローレンス様が飛び込んできて、私をギュウっと抱き締めた。
「ただいま戻りましたわ、ローレンス様」
「よく顔を見せて。大変だっただろう?」
「皆様がよくしてくださいまして、そこまででも」
「こっちに連絡が入っているよ。キャシーが居てくれたから、何人も命を救われたってね」
「少しはお役に立てたようで、ホッといたしました」
「今日はゆっくりするといい。キャシーの友人のシーケリア嬢も毎日キャシーを案じていたよ。呼びに行かせたからね」
「ありがとうございます」
「もう一度顔を見せておくれ」
いとおしげに頬を挟まれて、しげしげと顔を覗き込まれた。
「そろそろ良いかな?」
遠慮がちなサミュエル先生の声が聞こえた。
「なんだ。居たんですね」
「見事にキャシーちゃんしか目に入ってなかったね」
「当然です。災害救助の為の派遣だと分かっていましたからね。キャシーがそんな状況を放っておけるわけがない。その邪魔をするなど婚約者としても元義兄としても許せませんから」
「心配はしなかったんだ?」
「心配はしてましたよ。それは当たり前です。ですがあの状況で私に出来る事なんて限られていましたからね」
隣に座って私の手を握りながら、サミュエル先生とダニエル様とシェーン様を見る。マリアさんに目を移して、困惑したように私を見た。
「マリアさんです。あちらでは私の侍女のような働きをしてくださいました」
「護衛とはいえ男性ばかりだからね。キャシーちゃんに不自由させたくないし。マリアなら1度顔を合わせているからね」
「そうですか。マリアといったね。キャシーが世話になった。礼を言うよ」
「もったいないお言葉です」
225
お気に入りに追加
495
あなたにおすすめの小説

「君を愛するつもりはない」と言ったら、泣いて喜ばれた
菱田もな
恋愛
完璧令嬢と名高い公爵家の一人娘シャーロットとの婚約が決まった第二皇子オズワルド。しかし、これは政略結婚で、婚約にもシャーロット自身にも全く興味がない。初めての顔合わせの場で「悪いが、君を愛するつもりはない」とはっきり告げたオズワルドに、シャーロットはなぜか歓喜の涙を浮かべて…?
※他サイトでも掲載中しております。

思い出してしまったのです
月樹《つき》
恋愛
同じ姉妹なのに、私だけ愛されない。
妹のルルだけが特別なのはどうして?
婚約者のレオナルド王子も、どうして妹ばかり可愛がるの?
でもある時、鏡を見て思い出してしまったのです。
愛されないのは当然です。
だって私は…。


【完結】妹に婚約者まであげちゃったけれど、あげられないものもあるのです
ムキムキゴリラ
恋愛
主人公はアナスタシア。妹のキャシーにほしいとせがまれたら、何でも断らずにあげてきた結果、婚約者まであげちゃった。
「まあ、魔術の研究やりたかったから、別にいいんだけれどね」
それから、早三年。アナスタシアは魔術研究所で持ち前の才能を活かしながら働いていると、なんやかんやである騎士と交流を持つことに……。
誤字脱字等のお知らせをいただけると助かります。
感想もいただけると嬉しいです。
小説家になろうにも掲載しています。

初めから離婚ありきの結婚ですよ
ひとみん
恋愛
シュルファ国の王女でもあった、私ベアトリス・シュルファが、ほぼ脅迫同然でアルンゼン国王に嫁いできたのが、半年前。
嫁いできたは良いが、宰相を筆頭に嫌がらせされるものの、やられっぱなしではないのが、私。
ようやく入手した離縁届を手に、反撃を開始するわよ!
ご都合主義のザル設定ですが、どうぞ寛大なお心でお読み下さいマセ。

罠に嵌められたのは一体誰?
チカフジ ユキ
恋愛
卒業前夜祭とも言われる盛大なパーティーで、王太子の婚約者が多くの人の前で婚約破棄された。
誰もが冤罪だと思いながらも、破棄された令嬢は背筋を伸ばし、それを認め国を去ることを誓った。
そして、その一部始終すべてを見ていた僕もまた、その日に婚約が白紙になり、仕方がないかぁと思いながら、実家のある隣国へと帰って行った。
しかし帰宅した家で、なんと婚約破棄された元王太子殿下の婚約者様が僕を出迎えてた。

【完結】公女さまが殿下に婚約破棄された
杜野秋人
恋愛
突然始まった卒業記念パーティーでの婚約破棄と断罪劇。
責めるのはおつむが足りないと評判の王太子、責められるのはその婚約者で筆頭公爵家の公女さま。どっちも卒業生で、俺のひとつ歳上だ。
なんでも、下級生の男爵家令嬢に公女さまがずっと嫌がらせしてたんだと。
ホントかね?
公女さまは否定していたけれど、証拠や証言を積み上げられて公爵家の責任まで問われかねない事態になって、とうとう涙声で罪を認めて謝罪するところまで追い込まれた。
だというのに王太子殿下は許そうとせず、あろうことか独断で国外追放まで言い渡した。
ちょっとこれはやりすぎじゃねえかなあ。公爵家が黙ってるとも思えんし、将来の王太子妃として知性も教養も礼儀作法も完璧で、いつでも凛々しく一流の淑女だった公女さまを国外追放するとか、国家の損失だろこれ。
だけど陛下ご夫妻は外遊中で、バカ王太子を止められる者などこの場にはいない。
しょうがねえな、と俺は一緒に学園に通ってる幼馴染の使用人に指示をひとつ出した。
うまく行けば、公爵家に恩を売れるかも。その時はそんな程度しか考えていなかった。
それがまさか、とんでもない展開になるなんて⸺!?
◆衝動的に一晩で書き上げたありきたりのテンプレ婚約破棄です。例によって設定は何も作ってない(一部流用した)ので固有名詞はほぼ出てきません。どこの国かもきちんと決めてないです(爆)。
ただ視点がちょっとひと捻りしてあります。
◆全5話、およそ8500字程度でサラッと読めます。お気軽にどうぞ。
9/17、別視点の話を書いちゃったんで追加投稿します。全4話、約12000字………って元の話より長いやんけ!(爆)
◆感想欄は常に開放しています。ご意見ご感想ツッコミやダメ出しなど、何でもお待ちしています。ぶっちゃけ感想もらえるだけでも嬉しいので。
◆この物語も例によって小説家になろうでも公開しています。あちらも同じく全5話+4話。

正当な権利ですので。
しゃーりん
恋愛
歳の差43歳。
18歳の伯爵令嬢セレーネは老公爵オズワルドと結婚した。
2年半後、オズワルドは亡くなり、セレーネとセレーネが産んだ子供が爵位も財産も全て手に入れた。
遠い親戚は反発するが、セレーネは妻であっただけではなく公爵家の籍にも入っていたため正当な権利があった。
再婚したセレーネは穏やかな幸せを手に入れていたが、10年後に子供の出生とオズワルドとの本当の関係が噂になるというお話です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる