98 / 296
学院初等部 4学年生
夏期休暇
しおりを挟む
結局、夏期休暇までにローレンス様達は帰ってこなかった。フェルナー侯爵家でも情報収集はしているけれど、分かったのはキプァ国の王女2人が訪問大使である第3王子殿下とローレンス様、リジーちゃんのお兄様のラインハルト様、同行した外交官子息2人を気に入ったと、話し相手にと毎日のように王女宮に呼びつけているらしいという事。王女宮に滞在もかなり強引に勧められていたという報告も入っていた。現在滞在しているのはスタヴィリス大使館らしいから、思い付く最悪の事態は避けられたんだと思う。帰還予定は5日後だと連絡は来たけど、それもどうなるか分からない。王女殿下達の意向で延びる事もありうるから。帰還の延長の連絡はこれまでに2回あったらしい。
私とランベルトお義兄様が夏期休暇にタウンハウスに帰って、4日が過ぎてもローレンス様達はまだ帰ってこなくて、お義母様と顔を合わすと何度でもその話題になってしまっていた。
「困ったわねぇ」
「正確な情報の遅れが気になります」
「これでもかなり早くなったそうよ。『テンセイシャ』の大半は、情報を重要視したみたいだから。ツウシンシュダンが乏しいって嘆いていたって記録にも残っているわ。今は重要施設に転移の魔方陣があるから、重要な情報は送られてきてるのよ」
「転移の魔方陣って、送れる物は?生物は送れますか?」
「王宮にあるのは、残念ながら物質のみね。たぶん王宮には今回の訪問の成果が届いていると思うのだけれど。さすがに国家間機密に当たるから、旦那様も教えてはくださらなくて」
「そうですよね。国家間機密ですものね」
ローレンス様達にお変わりはないだろうか。体調は崩されていないだろうか。そんな事ばかりが気にかかる。
玄関先が騒ついた気がする。お義母様と同時に顔をあげた。
「奥様、お嬢様、ローレンス様です。ローレンス様がお戻りになられました」
家礼の言葉に思わず立ち上がった。お義母様は座ったままだけど視線で「行きなさい」と言われた気がする。はしたなくならない速度で部屋から飛び出した。
「やぁ、ただいま」
「おかえりなさいませ、ローレンス様」
玄関先にいたのは、少し痩せた感じがするローレンス様。思わず抱きついたらギュッと抱きしめ返された。
「ローレンス様、お痩せになられました?」
「かもね。キャシーに会えなくて辛かった」
「私もです。お手紙も差し上げられませんでしたし」
「着替えてくるよ。今日はゆっくりして明日王宮に行くから」
「王宮ですか?」
「報告だね。キャシーはどうするの?」
「夏期休暇の課題も終わりましたし、明日から救民院に行こうかと思っておりましたが」
ローレンス様が部屋に向かいかけて、ピタリと足を止めた。
「救民院か。私も一緒に行くから待っていてくれないか?」
「明日ですか?」
「出来れば行くのは明後日からにしてほしい」
「?はい。分かりました」
ララ様やブレンダ様の様子も見たかったんだけど。お手紙を出しておこうかしら。ケネス・ハートラー様からお母様の様子は聞いている。元々裁縫で生計を立てていたそうで、今は救民院の繕い物を引き受けてくれているそうだ。ブレンダ様もお母様を手伝っていて、教会併設の窮民施設で母子で暮らしているらしい。
ローレンス様が着替えてホワイエにやって来た。
「ローレンス、おかえりなさい。大変だったようね」
「本当に大変でした。無碍にも出来ませんし」
ローレンス様の隣に座って、キプァ国の話を聞く。当たり障りのない各地の名産や気候風土の話ばかりだけど、キプァ国では名産のザクロをジュースにして飲んだり、ガラス工房にも行ったそうだ。
「これはお土産ね。キャシーにはこの小物入れ」
「スゴい、綺麗」
渡されたのは青色ベースに、様々な小さな模様が埋め込まれたガラスの丸い蓋付きの器。お義母様は手鏡を貰っていた。手鏡にはガラスの花の装飾がされていて、お義母様の「怖くて持ち歩けないわ。壊してしまいそう」って言葉が印象的だった。
ランベルトお義兄様には剣に付ける装飾品。とんぼ玉って言うんだっけ。当然こちらでの呼び名は違っている。
お義父様にはグラス。小降りな青いグラスで、お義母様とお揃い。
「それからキャシーにはもうひとつ。王女殿下が口添えしてくれた」
「王女殿下が?」
滴型のペンダントを渡された。深くて綺麗な青色。ローレンス様の瞳の色のようだ。
「そう。この色を出せる工房が限られていてね。職人が結構気難しくて、王女殿下の口添えがなければ作ってもらえなかったんだ」
「王女殿下って……」
「しつこく迫られていたのは随行員のひとりね。私はキャシーが居るってずっと言っていたし、姿絵を見せたら諦めてくれた」
「姿絵?」
「これだよ」
見せてもらったのは10センチ位のキャンパスに描かれた、ドレス姿の私。
「これを見せたら妙に協力的になってくれて、さっきのペンダントも似合いそうだからって口添えしてくれたし、他にも色々便宜を図ってくれた。その王女殿下からの伝言。是非ともお会いしたいって」
「私に?」
「明日次第だね」
明日次第って……。
翌日、ローレンス様はお義父様と一緒に王宮に上がった。私は久しぶりに侯爵邸の蔵書庫にこもっていた。
ここには政治関係、宗教関係の資料も納められている。先祖代々何らかの役職に就いてきた際に集めた資料だそうだ。お義父様は宰相だけど先祖には法曹関係者や宗教関係者も居たらしく、学院の図書館にも無い資料も置いてある。他にも様々な言語の原書も納められている。
シャーマニー語の本も幼児書から専門書まで揃っている。数は少ないけどね。幼児書は簡単に読めた。単語の羅列と短い平易な文章だから。思うにこれはシャーマニー語の入門書だったんじゃないかしら。何の為に手に入れたか分からない幼児書。文字やスペルを覚えるには最適だけど、単語に小さな挿絵が書いてあるだけだもの。
他のシャーマニー語の本は一気に専門色が強くなる。医学書が多いけれど、薬学や宗教関係の本も少数ながら収蔵されている。
「キャシー、客が来ている」
邸内に居たらしいランベルトお義兄様が呼びに来てくれた。
「お客様?」
「ララっていう平民女とハートラーと名乗った男女」
「お義兄様、平民女と言う呼び方はお止めくださいませ。ララ様は私の友人です」
「オレは認めてない。キャシーを傷付けたんだぞ?」
「ララ様が?そんな事はございませんけれど?」
「キャシーを無視したり、キャシーに紅茶をぶっかけたり、キャシーを突き飛ばしたりしたじゃないか」
「謝ってくださいましたわよ?何度も真摯に」
お義兄様が黙ってしまった。ララ様達が待っているという応接室に行くと、ララ様とガチガチに緊張したハートラー兄妹とそのお母様のチェルシー様が座っていた。
「お待たせいたしました」
「キャシーちゃん、久しぶり。あのね、彼らが挨拶したいって言うから連れてきちゃった」
「連れてきちゃったって、ここまでどうやって?」
「もちろん馬車でよ?辻馬車で来て少し歩いたけれど」
ガチガチに緊張しているハートラー家族の緊張をほぐす為に、リラックス効果のある冷たいハーブティーをお出しする。
「大丈夫ですよ。どうぞお飲みください」
「こんなお高そうなカップ、壊しちゃったら……」
「そんな事は考えなくて良いです。ララ様、リラックス効果の光魔法は使えますか?」
「さっきから使っているのよ。でも、効果が無いのよね」
「あらら……」
ハートラー家族の緊張が強すぎて、リラックスの魔法が効かないらしい。
私とランベルトお義兄様が夏期休暇にタウンハウスに帰って、4日が過ぎてもローレンス様達はまだ帰ってこなくて、お義母様と顔を合わすと何度でもその話題になってしまっていた。
「困ったわねぇ」
「正確な情報の遅れが気になります」
「これでもかなり早くなったそうよ。『テンセイシャ』の大半は、情報を重要視したみたいだから。ツウシンシュダンが乏しいって嘆いていたって記録にも残っているわ。今は重要施設に転移の魔方陣があるから、重要な情報は送られてきてるのよ」
「転移の魔方陣って、送れる物は?生物は送れますか?」
「王宮にあるのは、残念ながら物質のみね。たぶん王宮には今回の訪問の成果が届いていると思うのだけれど。さすがに国家間機密に当たるから、旦那様も教えてはくださらなくて」
「そうですよね。国家間機密ですものね」
ローレンス様達にお変わりはないだろうか。体調は崩されていないだろうか。そんな事ばかりが気にかかる。
玄関先が騒ついた気がする。お義母様と同時に顔をあげた。
「奥様、お嬢様、ローレンス様です。ローレンス様がお戻りになられました」
家礼の言葉に思わず立ち上がった。お義母様は座ったままだけど視線で「行きなさい」と言われた気がする。はしたなくならない速度で部屋から飛び出した。
「やぁ、ただいま」
「おかえりなさいませ、ローレンス様」
玄関先にいたのは、少し痩せた感じがするローレンス様。思わず抱きついたらギュッと抱きしめ返された。
「ローレンス様、お痩せになられました?」
「かもね。キャシーに会えなくて辛かった」
「私もです。お手紙も差し上げられませんでしたし」
「着替えてくるよ。今日はゆっくりして明日王宮に行くから」
「王宮ですか?」
「報告だね。キャシーはどうするの?」
「夏期休暇の課題も終わりましたし、明日から救民院に行こうかと思っておりましたが」
ローレンス様が部屋に向かいかけて、ピタリと足を止めた。
「救民院か。私も一緒に行くから待っていてくれないか?」
「明日ですか?」
「出来れば行くのは明後日からにしてほしい」
「?はい。分かりました」
ララ様やブレンダ様の様子も見たかったんだけど。お手紙を出しておこうかしら。ケネス・ハートラー様からお母様の様子は聞いている。元々裁縫で生計を立てていたそうで、今は救民院の繕い物を引き受けてくれているそうだ。ブレンダ様もお母様を手伝っていて、教会併設の窮民施設で母子で暮らしているらしい。
ローレンス様が着替えてホワイエにやって来た。
「ローレンス、おかえりなさい。大変だったようね」
「本当に大変でした。無碍にも出来ませんし」
ローレンス様の隣に座って、キプァ国の話を聞く。当たり障りのない各地の名産や気候風土の話ばかりだけど、キプァ国では名産のザクロをジュースにして飲んだり、ガラス工房にも行ったそうだ。
「これはお土産ね。キャシーにはこの小物入れ」
「スゴい、綺麗」
渡されたのは青色ベースに、様々な小さな模様が埋め込まれたガラスの丸い蓋付きの器。お義母様は手鏡を貰っていた。手鏡にはガラスの花の装飾がされていて、お義母様の「怖くて持ち歩けないわ。壊してしまいそう」って言葉が印象的だった。
ランベルトお義兄様には剣に付ける装飾品。とんぼ玉って言うんだっけ。当然こちらでの呼び名は違っている。
お義父様にはグラス。小降りな青いグラスで、お義母様とお揃い。
「それからキャシーにはもうひとつ。王女殿下が口添えしてくれた」
「王女殿下が?」
滴型のペンダントを渡された。深くて綺麗な青色。ローレンス様の瞳の色のようだ。
「そう。この色を出せる工房が限られていてね。職人が結構気難しくて、王女殿下の口添えがなければ作ってもらえなかったんだ」
「王女殿下って……」
「しつこく迫られていたのは随行員のひとりね。私はキャシーが居るってずっと言っていたし、姿絵を見せたら諦めてくれた」
「姿絵?」
「これだよ」
見せてもらったのは10センチ位のキャンパスに描かれた、ドレス姿の私。
「これを見せたら妙に協力的になってくれて、さっきのペンダントも似合いそうだからって口添えしてくれたし、他にも色々便宜を図ってくれた。その王女殿下からの伝言。是非ともお会いしたいって」
「私に?」
「明日次第だね」
明日次第って……。
翌日、ローレンス様はお義父様と一緒に王宮に上がった。私は久しぶりに侯爵邸の蔵書庫にこもっていた。
ここには政治関係、宗教関係の資料も納められている。先祖代々何らかの役職に就いてきた際に集めた資料だそうだ。お義父様は宰相だけど先祖には法曹関係者や宗教関係者も居たらしく、学院の図書館にも無い資料も置いてある。他にも様々な言語の原書も納められている。
シャーマニー語の本も幼児書から専門書まで揃っている。数は少ないけどね。幼児書は簡単に読めた。単語の羅列と短い平易な文章だから。思うにこれはシャーマニー語の入門書だったんじゃないかしら。何の為に手に入れたか分からない幼児書。文字やスペルを覚えるには最適だけど、単語に小さな挿絵が書いてあるだけだもの。
他のシャーマニー語の本は一気に専門色が強くなる。医学書が多いけれど、薬学や宗教関係の本も少数ながら収蔵されている。
「キャシー、客が来ている」
邸内に居たらしいランベルトお義兄様が呼びに来てくれた。
「お客様?」
「ララっていう平民女とハートラーと名乗った男女」
「お義兄様、平民女と言う呼び方はお止めくださいませ。ララ様は私の友人です」
「オレは認めてない。キャシーを傷付けたんだぞ?」
「ララ様が?そんな事はございませんけれど?」
「キャシーを無視したり、キャシーに紅茶をぶっかけたり、キャシーを突き飛ばしたりしたじゃないか」
「謝ってくださいましたわよ?何度も真摯に」
お義兄様が黙ってしまった。ララ様達が待っているという応接室に行くと、ララ様とガチガチに緊張したハートラー兄妹とそのお母様のチェルシー様が座っていた。
「お待たせいたしました」
「キャシーちゃん、久しぶり。あのね、彼らが挨拶したいって言うから連れてきちゃった」
「連れてきちゃったって、ここまでどうやって?」
「もちろん馬車でよ?辻馬車で来て少し歩いたけれど」
ガチガチに緊張しているハートラー家族の緊張をほぐす為に、リラックス効果のある冷たいハーブティーをお出しする。
「大丈夫ですよ。どうぞお飲みください」
「こんなお高そうなカップ、壊しちゃったら……」
「そんな事は考えなくて良いです。ララ様、リラックス効果の光魔法は使えますか?」
「さっきから使っているのよ。でも、効果が無いのよね」
「あらら……」
ハートラー家族の緊張が強すぎて、リラックスの魔法が効かないらしい。
203
お気に入りに追加
470
あなたにおすすめの小説
来世はあなたと結ばれませんように【再掲載】
倉世モナカ
恋愛
病弱だった私のために毎日昼夜問わず看病してくれた夫が過労により先に他界。私のせいで死んでしまった夫。来世は私なんかよりもっと素敵な女性と結ばれてほしい。それから私も後を追うようにこの世を去った。
時は来世に代わり、私は城に仕えるメイド、夫はそこに住んでいる王子へと転生していた。前世の記憶を持っている私は、夫だった王子と距離をとっていたが、あれよあれという間に彼が私に近づいてくる。それでも私はあなたとは結ばれませんから!
再投稿です。ご迷惑おかけします。
この作品は、カクヨム、小説家になろうにも掲載中。
恋人に夢中な婚約者に一泡吹かせてやりたかっただけ
棗
恋愛
伯爵令嬢ラフレーズ=ベリーシュは、王国の王太子ヒンメルの婚約者。
王家の忠臣と名高い父を持ち、更に隣国の姫を母に持つが故に結ばれた完全なる政略結婚。
長年の片思い相手であり、婚約者であるヒンメルの隣には常に恋人の公爵令嬢がいる。
婚約者には愛を示さず、恋人に夢中な彼にいつか捨てられるくらいなら、こちらも恋人を作って一泡吹かせてやろうと友達の羊の精霊メリー君の妙案を受けて実行することに。
ラフレーズが恋人役を頼んだのは、人外の魔術師・魔王公爵と名高い王国最強の男――クイーン=ホーエンハイム。
濡れた色香を放つクイーンからの、本気か嘘かも分からない行動に涙目になっていると恋人に夢中だった王太子が……。
※小説家になろう・カクヨム様にも公開しています
婚約破棄が私を笑顔にした
夜月翠雨
恋愛
「カトリーヌ・シャロン! 本日をもって婚約を破棄する!」
学園の教室で婚約者であるフランシスの滑稽な姿にカトリーヌは笑いをこらえるので必死だった。
そこに聖女であるアメリアがやってくる。
フランシスの瞳は彼女に釘付けだった。
彼女と出会ったことでカトリーヌの運命は大きく変わってしまう。
短編を小分けにして投稿しています。よろしくお願いします。
許してもらえるだなんて本気で思っているのですか?
風見ゆうみ
恋愛
ネイロス伯爵家の次女であるわたしは、幼い頃から変わった子だと言われ続け、家族だけじゃなく、周りの貴族から馬鹿にされ続けてきた。
そんなわたしを公爵である伯父はとても可愛がってくれていた。
ある日、伯父がお医者様から余命を宣告される。
それを聞いたわたしの家族は、子供のいない伯父の財産が父に入ると考えて豪遊し始める。
わたしの婚約者も伯父の遺産を当てにして、姉に乗り換え、姉は姉で伯父が選んでくれた自分の婚約者をわたしに押し付けてきた。
伯父が亡くなったあと、遺言書が公開され、そこには「遺留分以外の財産全てをリウ・ネイロスに、家督はリウ・ネイロスの婚約者に譲る」と書かれていた。
そのことを知った家族たちはわたしのご機嫌伺いを始める。
え……、許してもらえるだなんて本気で思ってるんですか?
※独特の異世界の世界観であり、設定はゆるゆるで、ご都合主義です。
※誤字脱字など見直して気を付けているつもりですが、やはりございます。申し訳ございません。教えていただけますと有り難いです。
お馬鹿な聖女に「だから?」と言ってみた
リオール
恋愛
だから?
それは最強の言葉
~~~~~~~~~
※全6話。短いです
※ダークです!ダークな終わりしてます!
筆者がたまに書きたくなるダークなお話なんです。
スカッと爽快ハッピーエンドをお求めの方はごめんなさい。
※勢いで書いたので支離滅裂です。生ぬるい目でスルーして下さい(^-^;
【 完結 】「婚約破棄」されましたので、恥ずかしいから帰っても良いですか?
しずもり
恋愛
ミレーヌはガルド国のシルフィード公爵令嬢で、この国の第一王子アルフリートの婚約者だ。いや、もう元婚約者なのかも知れない。
王立学園の卒業パーティーが始まる寸前で『婚約破棄』を宣言されてしまったからだ。アルフリートの隣にはピンクの髪の美少女を寄り添わせて、宣言されたその言葉にミレーヌが悲しむ事は無かった。それよりも彼女の心を占めていた感情はー。
恥ずかしい。恥ずかしい。恥ずかしい!!
ミレーヌは恥ずかしかった。今すぐにでも気を失いたかった。
この国で、学園で、知っていなければならない、知っている筈のアレを、第一王子たちはいつ気付くのか。
孤軍奮闘のミレーヌと愉快な王子とお馬鹿さんたちのちょっと変わった断罪劇です。
なんちゃって異世界のお話です。
時代考証など皆無の緩い設定で、殆どを現代風の口調、言葉で書いています。
HOT2位 &人気ランキング 3位になりました。(2/24)
数ある作品の中で興味を持って下さりありがとうございました。
*国の名前をオレーヌからガルドに変更しました。
え?わたくしは通りすがりの元病弱令嬢ですので修羅場に巻き込まないでくたさい。
ネコフク
恋愛
わたくしリィナ=ユグノアは小さな頃から病弱でしたが今は健康になり学園に通えるほどになりました。しかし殆ど屋敷で過ごしていたわたくしには学園は迷路のような場所。入学して半年、未だに迷子になってしまいます。今日も侍従のハルにニヤニヤされながら遠回り(迷子)して出た場所では何やら不穏な集団が・・・
強制的に修羅場に巻き込まれたリィナがちょっとだけざまぁするお話です。そして修羅場とは関係ないトコで婚約者に溺愛されています。
お姉様。ずっと隠していたことをお伝えしますね ~私は不幸ではなく幸せですよ~
柚木ゆず
恋愛
今日は私が、ラファオール伯爵家に嫁ぐ日。ついにハーオット子爵邸を出られる時が訪れましたので、これまで隠していたことをお伝えします。
お姉様たちは私を苦しめるために、私が苦手にしていたクロード様と政略結婚をさせましたよね?
ですがそれは大きな間違いで、私はずっとクロード様のことが――
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる