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チャラい俺につきまとっていた陰キャの幼馴染が思ってたのと違った件
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しおりを挟む「皆川くん、ねぇ、待ってよ!」
「やぁだよ、今からテニサーのマネちゃんのとこ行くんだもーん」
「っ、テ、テニスサークルのマネージャーさんって、彼氏いるって聞いたよ?」
「知ってるー」
「ゆうちゃんは、その人のこと好き、なの……?」
「さぁ?てゆかさー、七森に関係ないじゃん。あとー、俺の名前呼ぶの禁止って言ったよねぇ」
「っだ、だって、」
「言うこと聞かない子はきらぁい」
「っ!ご、ごめん、ごめんなさい、ごめんなさい……おねが、嫌わないで……」
「わかったからー。早くどっか行ってってばー。」
「……う、うん……。」
あぁほんとうざい。
幼馴染の七森宗一。
内気でうじうじしてるし、何かって言うとすぐ後ろついてくるし。うっとうしいなぁ。
家が近所で、親同士が元々大学の同級生。
幼稚園から高校まで一緒どころかずっと同じクラスとか腐れ縁にも程がある。
大学では離れようと思って県外の大学を選んだのに、当然のように七森もいて。
流石に全部の授業が被ってる訳じゃないけど、それでもことあるごとに七森の顔を見る気がする。
最近は俺が色んな女の子に構ってるのが気にくわないのか、前よりゆうちゃんゆうちゃんってつきまとってくる。
陰キャのくせに、幼馴染の俺にはしつこいくらいついてまわってくる。
幼馴染だなんて思われたくないから名前で呼ぶなって言ってるのに、すぐ忘れるし。
大体、付き合ってる訳じゃないんだから、口出ししてくる権利なくない?
俺だって女の子に無理やり迫ったり何股もかけてる訳じゃないんだし。
最初は告られて可愛かったら誰でもOKしてたんだけど、俺飽き性みたいですぐ別れちゃうんだよね。
だから特定の相手作りたくなくて、その日の気分で遊びたい子に声かけてる。
そのほうが、相手の女の子も傷つかないし、俺はあと腐れなく色んな女の子と遊べる。
つまりWin-Winってこと。
「まみちゃーん!」
「あ、皆川くんだ。どうしたの?」
うん、やっぱり女の子は可愛い。
テニサーのマネージャー、まみちゃん。
バッチリメイクして自信満々に微笑む顔も可愛いし、細い腰は折れちゃいそうで、俺との体躯の差に守りたくなっちゃう。
テニサーのキャプテンと付き合ってるって噂だけど、すぐに俺にボディタッチしてきたあたり、ガセか、気にせず遊ぶつもりなのか。
まあ俺としては相手がやる気満々ならどっちでもいいけどね。
ふと後ろから視線を感じる。振り返ると、目障りな幼なじみ。平凡通り越して不細工な陰キャのくせにいっちょ前に彼女面。
ほんとあいつ邪魔だなぁ。
***
事故に遭った。飲酒運転の車が突っ込んできて。
こっちにくるのは見えてたんだけど、避けきれずに左足骨折とかマジ最悪。
まあ骨折で済んだだけマシかー。
生まれてこのかた健康体すぎて入院って初めてなんだけど、退屈すぎて仕方ない。
最初はお見舞いに来てくれた女の子達や友達も、だんだん来なくなっちゃってつまんないし。
それなのに七森だけは毎日来るし。
「りんご、うさぎさんにするね!」
なに笑顔になってんの。
「あ、着替え、適当にシンプルなやつ買ってきた!無地だし、サイズも合うと思うよ!」
なんで嬉しそうなの。
「他にも必要なものあったら…ゆうちゃん?どうし、ぅわっ!」
ずっと黙りこくってる俺に、こてんと首を傾げる七森。
いつの間にか身体が動き、そのちっこい身体を抱き寄せ、腕の中に閉じ込めていた。
なぁんかさー、人間って弱ってるときに優しくされると絆されるってほんとみたい。
前はあんなにうざくて顔も見たくなかったのに、毎日病室に通われて毎日笑顔見せられてたら、不思議と幸せな気持ちになっちゃって。
たまらなくなって、七森の身体を抱きしめてしまった。
七森ってこんなに細かったっけ。
小さいなとは思ってたけど、小さい頃は背もほとんど変わらなかったはずなのに。
気づいた瞬間、心臓ががぎゅうっと締めつけられる。
「ゆ、ゆうちゃん?」
驚いてんのはこっちだっつの。
七森の顔を覗くと、抱きしめられて顔赤いくせに、不安そうに瞳が揺れてる。
そんな七森の顔に、今度は心臓がきゅぅぅんってなった。
「んー、七森さぁ、俺のこと好きぃ?」
「っ!う、うん、好き、大好き!」
うわー、柄にもなくきんちょー。
ただの不細工な幼なじみのはずなのに。
いつもつきまとってきてうざいなあって思ってたのに。
俺だけのものにしたいなぁ、とか思っちゃった。
「じゃあさー、つきあう?」
「え……ぇえ!?い、いいの?ゆうちゃんと?僕が?え、夢じゃないよね?うわーどうしよう!すごい嬉しい!」
その笑顔と喜びようが可愛くてほっぺにキスをすると、ふにゃっと笑う七森。
なんだ、可愛いじゃん。
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