無敵少女の意のままに

CHABO

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Beauty&Stupid

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【previously on 無敵少女の意のままに】
タマヨリはステンノーを憑依させ、勝利を勝ち取った。
次は最強で最弱、エメリーの登場。

「いよいよあの無敵少女の番ですね」
「まさか制圧の能力は使わんとは思うが、あの少女自身の戦闘能力はどの程度なのだ?」
「ウルズで私が見た所、あのトレースワンドにて下級モンスターを次々と瞬殺しておりました(15話参照)」
「トレースワンド…大した杖ではないはずだが、一体どんなカラクリじゃ?」
「どうやらあのダンカーの娘のバフが要因とのこと。しかし詳細は不明ですし、今大会は舞台に上がる前のバフは禁止されております」
「ふむ、ということは勇者の能力以外はあの少女は無力という事じゃな…」
「ただ、何時間かけても倒せない以上、負けは無いかと…」
「全く…ぶっ飛んだ能力じゃ」

「エメリー頑張れよ、気を付けるべき魔法は分かってるな?」
「おう、操るやつと眠くなるやつだな」
まぁ他の参加者は見た所全員人間。
催眠魔法だけ気を付ければ大丈夫だろう。
「エメリー頑張って下さいね。相手が汚い真似してきたらわたしが乱入してお片付けしますから」
お片付けって…物騒な事言うなよw

『第5試合は7人全員揃いました、それでは試合を始めて下さい!!』

「うりゃゃゃゃ~」
「せいやっ!!」
号令と共にエメリーは無視して他の選手同士がやり合っている。
当然だ。
杖すら置いてった丸腰の少女なんて誰も殴りたくないんだろうw
「暇だなぁ~」
あまりに暇でエメリーは1人ジャンケンをしだしたw
次々と選手が戦闘不能になっていく中…
「隙ありっ!!」
遂に1人が勝ち残った、身のこなしの早い武闘家だ。
「あの人間、悪くないですわね。おそらく中級モンスターとなら互角くらいにはやり合えるレベルでしょうか」
エメリーの相手に関しては魔法使い以外はどれだけ強くても一緒だがなw
「はぁはぁ、お嬢ちゃんごめんな。ちょっとだけ痛いけど我慢して…むっ?」

『キックアウト』

エメリーがキックアウトを唱える。
トマトくらいの大きさの光球が現れる。
「おぉ、成長したな、エメリー!!」
「へへ~、練習したからな」
隣でアンちゃんが感動して号泣している。
それ、どういう感情なんだい?ww

「な、何かと思えば初級魔法、しかもキックアウトだと?驚かせやがって」
「準備完了、おっちゃんかかってこい」
ど、どうする気だ?
あんなもん当たったところで大して効果無いと思うが…。
「仕方ねぇ、ちょっと眠らせてやるか」
武闘家は一気に距離を詰め、首の後ろに手刀を叩き込む。
「な、何っ!?」
もちろん効かない。
すかさずエメリーは体を捻る。
「ほいっっ!!」
エメリーはキックアウトをあご先にかすらせるように当てた。

「うっ!!」
まともに喰らい、前のめりに倒れる。
脳が揺れた武闘家は気絶した、脳震盪だ。
「おぉ、上手く行った」
武闘家は起き上がらない。

『第5試合はエメリー選手の勝利、本戦進出決定です!!』

観客が一斉に沸く。
「うそ、あの女の子勝っちゃったわ…」
「今年は少女が大暴れの大会だなw」
エメリーは舞台上で観客に向けてピースしている。
「やったぁ~、エメリーちゃんすご~い!!」
「ウソッ、エメリーちゃん勝っちゃった」
「最小限の力で最大限の結果、あれこそスマートで美しい戦いですわ。大技バンバン撃ちまくるあなたは見習うべきですわよ、マァナ!!」
「は~い…」
苦笑いしながら返事をするマァナ。
勝ったのに説教されとるw
エメリーが舞台から降りて来る。
「へへ~、勝ったぞ」
「やるな、エメリー。メリアの発案か?」
「へへへ、バレたか」
「素晴らしいですわエメリー!!今大会で1番最高の試合でしたわ~~」
「そうか?へへへ」
攻撃手段まで得たこいつに、一体誰が勝てるんだ?w

魔王城。
「おぉ、あっさり勝ちよった。初級魔法で的確に急所を狙うとは…」
「戦い方の基本を思い出させてくれる試合でしたね、我々も見習うべきかもしれません」
「うむ、威力ばかり磨いてしまいがちだからのう。戦闘訓練のやり方を見直すいいキッカケじゃな」
「本戦が楽しみで仕方ありませんねぇ~、魔王様!!」
「とんでもなく高いテンションだのうケルビム。おや?酒はもういいのか?」
「えぇ、酔い潰れて寝てしまうと勿体無いですからね~、ふふふ」
想像以上の好試合の連続に過去イチの盛り上がりを見せる魔王軍だった。
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