無敵少女の意のままに

CHABO

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Misty mystery

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【previously on 無敵少女の意のままに】
さやかとステンノーが交戦、敵の強さを魔王軍は再認識する。
強敵に対抗すべく、各々が動き出す。

魔王城では、ステンノーの戦闘報告が行われていた。

「なるほど、マジックアイテムを主に使用してくるのか、厄介じゃの」
「はい。アイテムでは反射も無効化も出来ません。そして、これは本体に通じる情報かは不明ですが、奴のアビリティ値を確認しました」
「ふむ。ホムンクルスとて本体の能力をある程度模倣しておるはずじゃ、奴は何が優れておった?」
「傲慢が60、創造が60、それ以外は並の人間以下の値でございました」
「傲慢はともかく創造が60とは...おそらく本体は99じゃろうな。道理で悪魔族でも作れない様な代物をポンポンと作れるはずじゃ」
「仰る通りです。我々悪魔族でも創造の値は50までが精いっぱいですので...」
「よし。創造の値が高い者を選抜して『アンチマジックアイテム』の研究に取り組んでもらおう。ステンノー、最高研究責任者として部下を指示してはくれぬか?」
「願ってもないご命令!!研究はわたくし最大の生きがい、全力で取り組ませて頂きます!!」
「うむ、ありがとう。随時差し入れを送るからの、必要な物は遠慮なく申し出てくれ。まずは休憩用のボードゲームなどから...」
「ま、魔王様。必要な物はこちらからお願いしますのでとりあえず見守って下されば...」
「そうか。そうじゃな、邪魔をしては悪いからな。だが困った事は必ず教えてほしい。魔王軍のモットーは『ガラス張りの組織』じゃからな、はっはっは」
「お心遣い、感謝致します」
そう約束した魔王だが、結局は1時間に10分の休憩を義務付けるなど、部下の健康管理に余念がなかったww

スパールの町。
ステンノーが定期報告をしに来ており、互いの情報を共有する。
「そう。エメリーちゃんと同郷だったのね。それに貴重な情報を貰えたわ、ありがとう」
「あぁ。創造99のアビリティ値の持ち主か...。何でも作れると見ておいた方がいいな」
「マンガもおそらくさやかとやらが錬金で生み出した物だと。エメリーから聞きました」
「はっきり言って彼女は相当強いわ。今は魔法は使えないみたいだけど、アイテム使用だけでも十分脅威よ」
「しかも本人ではない...戦う意味がないわね~...」
「でも何でホムンクルスが本人と同じような行動を取れるのかしら??」
「さや姉は『ARとVRとMR』って言ってた」
「なんですの?それ??」
「分かんないけど、なんか頭に『機械』ってのをつけて遊べるんだ。うちもやったことある」
エメリーは秘密を吐き出した事でつかえが取れ、積極的に情報提供してくれるようになった。
ただ、良くしてくれた相手に対して複雑な心境なのは聞かなくても分かる…。
「なるほど...五感をホムンクルスと共有して遠隔操作している可能性があるわね。だからあんなに精密な動きを...」
ネクロマンシーに似た能力か?
いや、本体も体感出来るという点で大きく違うな…。
「ごめんなさい、研究に戻るわ」
「あぁ、また何かあったら教えてくれ」
「もちろんよ。あ、それとアビゲイル様もわたしの研究チームに加わってもらったわ。彼女は料理だけじゃなく、発想も天才ね!!」
「そう。アビー、楽しそうで良かったですわ~」
そう言い残すとステンノーは魔王城に戻っていった。
あいつ、相当年下にも様付けするんだなw
なお、遺跡の攻略報酬はステンノーがリスペクト変身魔法で受け取ってきてくれた(45話参照)

「まさかあのステンノーでも倒しきれないほど強いとは、しかもホムンクルスで...」
「ステンノーは扱える魔法こそモンスター中最多ですが、個々の魔法の威力はそれほどでもないですわ」
「それでも神話級なんでしょ?本気見たら多分エラ、おしっこちびるわ」
お前、動揺が尿意に行くタイプなんだなw
「私たちで出来る対策はあるかな?魔王軍に任せっきりはマズイと思うんだ」
「じゃあ妖精族が秘匿してる採石場、行ってみる?」
「そんな場所あるのか?」
「えぇ、モンスターすら入れない、誰も視認すら出来ない手付かずの場所よ」
「敵に対抗出来る鉱石、あるかもしれんな…よし行ってみよう!!道案内頼めるか?」
「任せて!!でも、道中かなり険しいらしいから準備だけしといてね」
その日は準備を整え、翌朝に発つ事にした。

一方、さやかとディスペアヒューマン。
「いつになったら魔法使えるようになるのかしら~」
「あの実験失敗の煙浴びたからだな~、うちもさや姉も」
「あんたが『これも入れたらどうだ~?』とか言ってわけわかんない物放り込んだからでしょ~」
「へへへ、そうだった」
「まぁいいわ。どんどん野良モンスター取り込んで勢力拡大しましょ。殺しはご法度よ、非常時以外はね」
さやかはこの世界をゲーム感覚で遊んでいる。
だが...生粋の悪とは言い難い矛盾した行動が多いのも事実だった。


翌朝。
「さぁ、行こうか」
「手付かずの鉱石、楽しみね~。水の鉱石、アクアマリンとかあるかしら~?」
「どうかな~、エラも中には初めて入るし」
この時は全員、ピクニック気分だった。
まさかアンちゃんですら怯える化け物と対峙するとは...。
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