無敵少女の意のままに

CHABO

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A woman with a story

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【previously on 無敵少女の意のままに】
エメリーの秘密が遂に明かされた。
ただ、同郷のさやかが何を狙っているか?までは未だ不明のまま...。

ここはサウスウェスト大陸。
例の人間2人に接触を禁じられている魔王軍だが、ステンノーはホムンクルスを直に見たい衝動を抑えきれず、捜索中だった。
「さっきの野良モンスターの話だとこの辺りに...いた!!」
さやかとディスペアヒューマンは気怠そうに平原を歩いていた。
「まだ魔法使えないわ~~、あんたはどう??」
「うちも同じ~~」

「エメリーちゃんの居場所も分からなくなっちゃったし、暫くはおとなしくするしかないかぁ~」
(どうやら力を失っているようね、理由は分からないけど)
ステンノーは聴力強化の魔法で遠くから2人の会話を盗み聞きしていた。
「あれ~~、何か凄そうな奴があっちにいるわね~」
「そうなのか~~?」
(ウソ!!バレてる!!)
「ブロッキングスコール!!」
さやかが何かを空に投げると、周辺に雨が降り出す。
「これは、転移阻害の液体か、やられた!!」
「あら?確かあなたは神話級悪魔のステンノー?」
あっという間に目の前に現れるさやか。
「冗談でしょ、いつの間に正面に!?それにこの雨...」
「種は内緒♪ 二刀流練習には絶好の相手だわ、お相手よろしく」
さやかは両手に刀を構える。

「噂の2刀流ね。剣術は稚拙だとクトゥルフ様から伺ってるわ」
「いつの話かしら~、女子三日会わざれば刮目して見よ、ってね~~」
さやかが突進してくる。
「それを言うなら男子、よ!!『ライフセービング!!』」
防御を強化したステンノーは刀を素手で弾く。
「かった~~い、あなた相当な魔法使いね~」
(冗談じゃないわ。強化してなかったら重傷負ってたところね。この速度も腕力もアイテムの力っぽいわね)
「ん~~、ちょっとこの体では勝てそうにないなぁ。じゃあゴーレム呼んじゃおう♪」
さやかは地面に種をばらまく。
すると種から魔法陣が現れ、3体のゴーレムが地面から生えてきた。
(あの種。マジックアイテムみたいね。凄い技術だわ)
「魔法使いっぽいからね~、魔法防御鉄壁のゴーレムを選んだわ」
さやかは自信たっぷりでゴーレムに攻撃の指示を与える。
「舐めないでもらえる?『プットバック!!』」

以前、エメリーにも使用した上級物理魔法だ。(8話参照)
ステンノーの魔法でゴーレム3体は粉々に砕け散った。
「驚いた。物理防御も結構なゴーレムだったんだけど...面白いわ、もっと色々見せてくれる?」
その瞬間、ステンノーは悟った。
この小娘に手の内を見せるとその分強くなってしまうのではないか、と...。
そして石化の視線が効かない…目の前の小娘もおそらくホムンクルス...。
(これ以上戦うのは得策じゃないわね)
「じゃあ次はもっと強いゴーレムを...」

『ウィズドロウ!!』

ステンノーは転移空間を使わずにその場から消えた。
「えぇ~~、どういう事~~?転移空間使わずに消えるなんて~。でも、悔しいけどいい物見たわ~♪」
「さや姉はいつも楽しそうだなぁ~~」
「えぇ、楽しい世界だわ~~♪」

ステンノーは魔王城に帰還した。
「はぁ、はぁ、はぁ...」
ウィズドロウはHPを大量消費して転移する能力で魔法ではなかった。
「ど、どうしたステンノー!!」
「申し訳ございませんルシファー様。魔王様の厳命を破り、例の小娘と交戦してしまいました...」
「そ、そうか。まぁとりあえず座れ。料理団新人のアビゲイル特性スタミナ料理を食わせてやる」
「アビ、ゲイル。ベルゼブブ様の娘様ですか?」
「そうだ、数日で班長にまで上り詰めた天才だぞ!!」
「頂戴、します」
その日、ステンノーは魔王に厳命を破った事を正直に告白した。
もちろん魔王は寛大な心で許し、ステンノーの身体を終始労わっていたそうだ。


一方、ソフィー達。
マァナの懇願でしばらくスパールに留まる事になった。
「材料採取を暫くしたいんだとさ」
「いいんじゃないか。ずっとあっちこっち行ってたから休憩だ」
「じゃあエメリー、一緒に服屋行きましょ♪」
「あっ!!忘れてた。ロストウッズで助けた人間が防具屋のせがれだって言ってたな、お礼を貰いに行こう」
「あら、そうでしたわね。かわいい防具あるといいですわね~」
「エラも服新調したい~、これ真っ黒でかわいくないんだもん~」
妖精サイズなんて無いと思うぞww
わたし達は防具屋に向かった。
防御力の高い装備があるといいな。

「あっ!!あの時の」
「無事に帰れたみたいだな、良かった」
「待ってましたよ~、お礼に全品半額でお譲りしますからどうぞ選んで行って下さい!!」
「そうか?助かるよ。じゃあ店内見させてもらおうかな」
すると、アンちゃんが立ち塞がる。
「マァナから魔剣の件、聞きました。お姉様の防具はわたしが選びますわ!!」
くっ、そう来たか!!
「あのさアンちゃん、防具はやはり自分に合った物を自分で選ぶべきだと…」
「ダメですわ!!いつか言いたいと思ってましたの。大体何ですか、今の服は、ファッションの欠片もありませんわ」
あっ、もうこれ、覚悟決めないといかん奴だw
「エメリーはちょっとエラと店内を見てて下さいまし。わたしはお姉様をコーデしますわ」
「おう、可愛くしてやってくれ、ししし…」

アンちゃんvsソフィーの戦いが開幕した。
「そもそも何ですか、この首の布は、外して下さい」
「いや、これは首を守るために…」
「いりません、頑張って避けて下さい。それからこのズボン、ヨレヨレのボロ切れじゃないですか!!」
「動きやすい素材で…」
「ダメです、脱いで下さい!!」
わたしにとって地獄の時間が小一時間続いたw
「やってるわねー、わたしも店内見させてもらうわよー」
「マァナ姉ちゃん、エラの服を探してやってくれ」
「今のままでもシンプルで可愛いと思うけど~、じゃあアレンジしてみよっか」
各々が防具を見繕う事、約2時間。

「ふぅ、だいぶ妥協しましたが今回はこれで手打ちとしますわ」

「いいじゃないか姉ちゃん、さすがアンだな」
「くっ、所々スカスカする…」
「スカートを拒否してこちらも譲ったんです、我慢して下さい。さぁ、魔剣キャンディのスイッチを押してみて下さいまし」
そんな格好が変わっただけで変化するわけ…
「凄い!!もやしが短刀になったわ~w」
「服を着替えただけで…どういう理屈だ?」
「外見を可愛くするだけで心は女性らしくなるものですわ」
「分かるわ~、さすがアンちゃんね」
「次は化粧を…」
「それは絶対嫌だ~!!」
わたしは全速力で逃げ出した。
「戦闘より素早く逃げたわねw」

夜。
わたし以外は全員眠ったが、わたしは今後について考えていた。
「さて、次はどこに行こうか...」
「姉ちゃん...」
エメリーが話しかけてくる。
「珍しいな、お前がこの時間に起きるなんて。起こしちゃったか??」
「そうじゃない。姉ちゃん...」
「な、何だよ...」
「楽しいな!!♪」
「楽...そうだな。これからもっと楽しくなるぞ、もう寝ろ」
「うん。お休み...」
エメリーは3年間、1人で放浪してたんだ。
それが今は5人、楽しくて仕方ないんだろうな。
ディスペアヒューマンだか何だか知らないが、エメリーを狙う奴は容赦しない。

あの日、強引に付いてきた1人の少女は

ソフィーにとって誰よりも大切な存在になっている事に

本人は気付いているが

天邪鬼あまのじゃくな性格がそれを認めようとしなかったww
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