無敵少女の意のままに

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【previously on 無敵少女の意のままに】
ケルビムとエヴァンズ司教により、町に平和が戻る。
マァナの母はわたし達の旅に同行したがっているようだw

モンスターの大群を退けたわたし達は以前よりも更に手厚い歓待を受ける。
「この国の救世主様だ~、うちで食事していってくれ!!」
「マァナちゃん、昔のよしみでうちで泊まっていかない?お代はいらないから!!」
「マァナ、飲んでけよ、おごるぜ!!」
「ありがと~、でも今日は家に帰るわ~、またね」
町を引き返すとひっきりなしに声がかかる。
「いい町だな、何というか人が温かい」
「でしょ?昔からモンスターの脅威にさらされていたから町民が全員協力的なの」
「わたしもこの町は気に入ってますわ」
「にしても、あのゴリアテとかいう奴、エメリーに引っかかっていたな...嫌な予感しかせんのだが」
「その件はおじいさまに任せて後報を待ちましょう」

『お~~い、マァナ~~』

町の入り口の方から誰か走って来る。
「あら、どうしたのニコラ?」
「ナックス城からの援軍が到着したんだが、お前らを呼んできて欲しいって言われてさ」
「援軍無駄になっちゃったもんね、とりあえず挨拶してきましょうか」
わたし達は町の入り口に引き返す。
「おぉ、皆さん、聞きました。モンスターはケルビム様が追い払ってくださったようですね」
「あはは~、せっかく来てくれたのにごめんねぇ~」
「それより大変なんです。霊峰の村が何者かに襲われているそうで。どうもそちらのお嬢さんを探しているようです」
「うち?」
「状況は?」
「よくありません。敵は雑兵ではありますがとにかく数が多くて...」
くそっ、確実にエメリーの居た場所を把握して狙ってきているな。
「どうする?今から馬車で戻ってもまた1日かかるぞ...」
「あらお姉さま。転移ポイントはあの村にしてあるのをお忘れですか?」
そうか、荷物を取りに行く予定でアンちゃんにお願いしてあったんだ。
「よし、急いで戻ろう。マァナはダッシュで家族に挨拶だけしてきてくれ」
「分かった。魔銃用の弾もついでに補充してくる」
「それからエメリー、お前はここに待機してろ」
「えっ!!嫌だぁ~うちも行くぞ~」
「敵はお前が目的だ。探りを入れるから1日後に来い、覚えたての転移能力でな」
「えっ、エメリー転移能力なんて身に付けたのですか!素晴らしいですわ~」
「ふふふ、分かった。かっこよく登場するから楽しみにしとけアン」
エメリーはマァナの知り合いの宿屋に預かってもらうことにした。
「あっ、エメリー。強靭を念の為かけ直しておいてくれないか?」
「おう。って、あれ?」
「どうした?」
「姉ちゃん、ダメだ。効果が残ってる内は付与できないっぽい」
そうだったのか...。
今、わたしには強靭値が56残っている、ゼロになるまで待っていられない。
「仕方ない、このまま行くよ。アンちゃんはついて来てくれ、正直戦力として必要不可欠だ」
「しょうがないですね。エメリーを狙う不届き者をギタギタにしてやりますわ」
「アンちゃん。強靭の能力を確かめたいんだが...3割くらいの力でお腹を殴ってくれないか?」
「いい、ですけど...知りませんわよ」
「最悪、マァナに回復してもらうから大丈夫!ただ3割だぞ、3割...」

「分かりましたわ...せ~のっ、ていっ!!」
「ゴフゥ!!」
「あっ、ごめんなさい。多分、5割くらいになってしまいましたわ...加減が難しいですわね」
息が止まってわたしはその場でうずくまった。
「な~~にやってんだ、姉ちゃん」
「あ、りがとう..ゴホッ!大体、分かったよ、ゲホッ!!」
アンちゃんの5割は中級モンスターの全力以上のはず...今ならまだかなり効果は期待できるな、それにしても痛い...w

そうこうしてる内にマァナが合流した。
「お待たせ~、ってなんでソフィーちゃんお腹押さえてるの??」
「だ、大丈夫。心配ない...さぁ、行くぞ!!」
アンちゃんの転移魔法で霊峰の村に飛ぶ。

村はモンスターと兵士がぶつかり合っていた。
「あ、あれは曹長じゃないか?」
曹長がこちらに気付く。
「ソフィーさん!!ど、どこからみえたのですか?ウルズに向かったはずでは??」
「細かい話は後だ。状況を説明してくれ」
「はい。山の山頂付近からモンスターが押し寄せてきました、迎撃中ではありますがいかんせん数が多くて...」
側にいた兵士が叫ぶ。
「曹長、上空にモンスターが!!」
空からモンスターが降りて来る。
「ターゲットのパーティ発見だ。おい、クライとアインを呼んで来い」
「かしこまりました」
部下を使い、誰かを招集させたようだ。
「あなたは...天使族上位モンスター、ヴァーチャーですわね」
「ケルビム様の孫娘、アンゲロスだな、初めまして」

「おじいさまに怯えて引きこもっていた天使族が今になって動き出したのは何故ですの?」
「教える義理はない。だが丁度いい、ここでお前を捕らえ、ケルビム様に宣戦布告をする」
「あら、あなた如きががおじいさまに勝てるとでも??」
「俺は勝てんだろうな、実力差があり過ぎる。俺は、だけどな」
この言いぶり...黒幕がいるのは確定的だな。
「んっ?もう1人の娘はどうした?どちらかと言うとお前らに用はないんだがな」
「こちらも教える義理はないな」
「ふん、まぁいい。モンスターらしく拷問でもして吐かせるとしようか。例えば朝飯を焼肉にしたりな…くくく、胃がもたれて仕方ないぞ、くはははは」
「…お前、拷問なんてした事ないだろ?w」
「な、舐めるな!!俺は極悪モンスターだぞ。飲み物が残った状態でゴミ箱に捨てちまうってヤバイ事を平気で出来ちゃう男だ」
…相手すんのもめんどくせっ、もういいやw
「んっ?アンちゃんどうした?」
「...転移阻害、ですわね」
「あぁ、お前はケルビム様に直通のパスがあるからな。予め阻害させてもらったよ、と、来たな」
後ろから2体のモンスターが合流した。
「初めてみるだろう?これは人造モンスター、ゴーレム族だ」
鉄と泥のような見た目の無機物モンスターか...。
「ちょうど3対3だ、ひとつゲームをしよう」
「ゲームだと?」
「あぁ、1人ずつで1対1の殺し合いだ。言っとくが拒否権はない!!」
「ふざけるな!付き合ってられるか」
「いいのか?こちらはいくらでも増員を召喚できるのだぞ?もしそちらの3人の内2人が勝てばこちらは引いてやろう」
そう言うとヴァーチャーは指を鳴らす。
すると山の山頂方面から数百匹のモンスターが飛来してきた。
「くっ、曹長。あいつらの対処、任せていいか?」
「わ、分かりました。ご武運を…」
「どうやら霊峰の霊気を利用して大規模な召喚術式を作ってあるようですね。奴の言ってることは本当ですわね」
「回避出来ないのは理解したようだな。さて、誰から来るんだ?」
3対3のワンマッチが始まる。
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