無敵少女の意のままに

CHABO

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Smile like a child

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【previously on 無敵少女の意のままに】
マンガの単語に反応したマァナに慌てて逃げだすエメリー。
何か隠し事があるようだが...。

「よし、準備いいか~?」
わたし達は宿屋を後にし、遺跡へ旅立った。
遺跡へは順調に行けば2日ほどらしく、ちょうど中間にある途中の川を1日目の到達ポイントとした。
「はいエメリーちゃん。今日のジュースよ」
「おぉ、いただきま~す」
「ど、どうだ??」
「わっ、これ当たりよ!!運のアビリティ値がかなりUPしてる!!」
「運か...なぁエメリーこの道どっち行けば早いと思う?勘でいいぞ」
「ん~~、こっちかな~~」
エメリーは順路じゃない方を指差した。
「えっ、こっちは順路じゃないわよソフィーちゃん」
「いいんだ、エメリーがこっちと言えばこっちだ」
暫く歩くと乗り手のいない馬車が道の真ん中に乗り捨ててあった。
「これは...モンスターに襲われて乗り捨てられた馬車みたいね。多分荷物持って慌てて逃げてったぽいわね」
「数日放置されているな。持ち主は死んだか、逃げたか...。馬を回復させてわたし達が使わせてもらおう」
「まさか馬車が手に入るなんて...エメリーちゃんのお陰ね!!」
「馬車なんて初めて乗りますわ、ロマンチックですわ~」
「これなら半日で着くかもしれないわね。みんな周りのモンスターには警戒してね、馬をやられたら終わりよ」
「おう、任せろ!!」
運の上がっているエメリーのお陰か、モンスターとは全く遭遇せず、目的地の遺跡までノンストップで着いてしまった。

「よし、ここからは歩いていこう」
遺跡の少し手前で馬車を降りる。
警戒しながら遺跡に近づく。
「みんな、伏せろ」
遺跡の入り口にモンスターが3体いる。
「リザード系の中級モンスターね。ちょっと面倒だわ...」
「リザード系の特徴はスピードとパワーは高いが知性が低めだ。連携を組んで攻めるのがいいだろうな」
「近接特化の種族だから遠距離で一気に仕留めるのが良さそうね...」
「よし、みんな聞いてくれ...」
わたしは作戦を伝える。
「よし、じゃあエメリー、アンちゃんまずは頼むぞ」
「はぁ...野蛮な事はしたくありませんのに...」
「でも見てみろアン、あいつらの横の花、めちゃくちゃに荒らされてるぞ」
「ホントですわ~~、きっとあいつらですわね。とっちめてやりましょう!!」
エメリー、アンちゃんの扱いが上手くなってんなw
「行きますわよエメリー、おぶってくださいまし」
「じゃあ姉ちゃん行ってくる」
エメリーとアンちゃんは真正面からリザードモンスターに近づく。

「んっ?何だお前ら、ガキがこんなところで何してる?」
いいか、まずはお前らが子供という事を利用し、奴らに後ろを向かせてくれ。
「遺跡までダ~~~シュ!!」
エメリーは3匹のモンスターをかいくぐり走り出す。
モンスター達は咄嗟に後ろを向く。
「おいコラガキ!!止まれ!!」
「今だマァナ!!」
「オッケーー!!」
奴らが後ろを向いたのを確認し、わたし達は奴らに走る。
「ペネトレイトッ!!」
「魔銃、雷弾!!」
わたしとマァナの背後からの奇襲が決まり左右の2体を片付ける。
「なっ、何だ!!」
真ん中のもう1匹が振り向くと、今度は背後からアンちゃんの鉄拳制裁が炸裂!!
「お仕置きですわ~~!!」
「ごっへぇ!!」
うっわぁ~~、テンプルにまともに入って5メートルくらい吹っ飛んだ...痛そぉ~~w
「よっし、作戦成功!!」
「キレーに決まったわね、ソフィーちゃんは作戦立案がホント上手!!」
「全てはエメリーの無敵あってこそだ、もう立派な戦闘員だな!!」
「へへへ~~、照れるぜ」
全然照れずに笑うところがエメリーらしいw
わたし達は遺跡の入り口を開け、中に入る。

「うわっ、これは凄いな...」
遺跡の中庭には一面の花畑が広がっていた。
アンちゃんの笑顔が弾ける!!
「なんですの~これ~、見た事のないお花がこんなにたくさんっ!!」
かなり興奮している、無理もない、あまり興味のないわたしでも美しい光景だと感じるくらいだ...。
「色々な条件が重なって花が育ちやすい好環境になってるみたいね。わたしも素材用に摘みたいわ~」
『ズン!!ズン!!』
重量感のある足音が徐々に近づいてくる。
「気を付けろ!遺跡内から何か来る!!」
出てきたのはリザード系モンスター、しかしさっきの3匹とは比べ物にならないほど巨大だ。
大きさはわたしの倍はあるだろうか...。
「人間か。何の用だ??」
「おまえがここのボスか?」
「あぁそうだが、何だぁ?弱そうな女2人にガキが2匹、命知らずにも程があるぜ」
「人間を見た目で判断するのは良くないぞ」
「まぁいい。ここに来た人間共と同じ目に遭わせてやろう、どうせお前らも懸賞金目当てだろ?」
「どうだっていいだろう?行くぞ!!」
「待て!!ここではマズイ。俺は自然を壊すのは好きじゃない、建物の中に入れ、そこでやってやる!!」
「わかった。おいエメリー、アンちゃん行くぞ」
「嫌ですわ。自然を愛する方とは戦いたくありません。そちらで対処してくださいまし」
「...分かった。エメリー、一緒に居てやってくれ」
「大丈夫か?姉ちゃん...」
「あぁ、もうリアンの厄介になるようなヘマはしないさ。一緒に花を愛でてやってくれ」
「分かった。頑張れ姉ちゃん、マァナ姉ちゃん!!」
わたし達は建物の中に入る。
「震えてるよ、ソフィーちゃん...」
「あいつの強さは見れば分かるからな..でもいつまでもエメリーの力に頼ってばかりじゃいけないだろ?」
「そうね。お姉さん達のカッコイイところたまには見せないとね」
リザードモンスターが振り返る。
「この広場なら思う存分暴れられるだろう?さぁ、かかってこい!!」
腰に納めていた片手剣を手にし、奴は戦闘態勢に入る。

「とりあえずわたしが近接で攻めて様子を見る、マァナは奴を分析してくれ」
「分かったわ」
マァナはそう言うとわたしの剣にバフの粉をかけた。
バフの粉...バフ粉...バフン...馬糞!!
「ぷっっっ!!」
「えっ!!ソフィーちゃん、どうしたの??」
「なんだ??何笑ってんの?」
モ、モンスターにまで心配されているw
「ス、スマン...ちょっと待ってくれ、るか??」
「えっ、あ、うん...」
奴も苦笑いしている...。
わたしの悪癖が久々に出てしまった、たまにツボに入ってしまうことだw
「ソフィーちゃん。ゆっくり、落ち着いて、深呼吸して...」
「ダンカーの姉ちゃんも大変だな~、水いるか??」
「いらないわよ、黙ってちょっと待ってなさい!!」
「なんだよ~、なるはやで頼むぞ、俺だってヒマじゃないんだよ」
この後、5分ほどわたしは笑いが止まらなかったw
申し訳ありませんが、少々お待ち下さい。
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