無敵少女の意のままに

CHABO

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Making the road

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【previously on 無敵少女の意のままに】
ウルズの周辺で出会った少女はまさかのケルビムの孫娘だった。
エメリーを一目で気に入った少女が次に起こす行動は...?

「はぁ~~...びっくりした~~」
「大変だなケルビム、大天使も孫娘には勝てんか?」
「あぁ振り回されっぱなしだよ、なまじ力が強いから厄介極まりない...」
「お前昔、あの子の遊び相手して医務室に担ぎ込まれてたよなw」
「あったあった、マジで瀕死だったよな、あの時w」

「天使族にしては力の値が異常だからな...純粋な力比べならキュクロープスにも負けないんじゃないか?」
「巨人族の特徴である力の値で同列だからな...専売特許取られたみたいで落ち込むよw」
「まぁあいつはそれ以外はからっきしだけどな。全く...突然変異にも困ったもんだ」
「さぁ、会議を再開しよう」
無敵少女と仲良くなるとは...厄介な事になってきたなぁ~、とりあえずみんなには黙っとこう...。

「ウルズはこっちよ」
わたし達はアンゲロスに案内され無事町に戻ってきた。
「アンゲロス、ありがとな」
「お姉さまもエメリーもわたしのことはアンと呼んでくださいまし。アンゲロスって名前はかわいくないからあまり気に入ってませんの」
「そっか、またなアン」
「えぇ、エメリーもお姉さまもお元気で。おやすみなさい」
わたし達は今日は宿屋に泊まることにした。

「いらっしゃい、ようこそ宿屋へ」
「へぇ~、悪くないお店ですわね」
「...なんでいるの?アンちゃんw」
「何でって、もうお仲間ですことよ。わたしも付いていきますわ」
さっきお元気でって言ってたじゃんw
「ホントか!よろしくな、アン!!」
「えぇ、初めてのお仲間、初めての旅。ワクワクしますわ~」
「ちょっ、ちょっと待てちょっと待て。お前、ケルビムの孫娘、だろ??そんな勝手なこと...」
「それが何か問題でも??」
「大ありだろ!モンスターが人間と旅なんて...」
「わたしはモンスターですがどこにも属してませんわ。おじいさまにも放任されてますし...とにかく、意地でも付いていきますわ」
ケルビム~~、孫の教育ちゃんとせぇよぉ~~...。
「いいじゃねぇか姉ちゃん、アンちゃんいい子だぞ」
「はぁ...もう好きにしてくれ」
わたし達は突如仲間になったアンゲロスと共に一泊することになった。

翌日。
「とにかく、仲間になるのなら人間として振舞ってくれ。そのためにその羽を隠す服を着てもらう」
「この羽、収納できませんことよ」
触らせてもらったが、思ったより硬い。
これじゃ天使の羽って言うより風車のブレードだw
「うち、いいこと思いついたぞ!!」
エメリーの言われるまま、防具屋に入り試着する。
「なるほど、ちょっと動きにくいだろうが、これならファッションとして通せるかもな」
エメリーが選んだのは聖職者用の真っ白いドレスだった。
運よく子供用があったので助かった。
「とってもかわいくて気に入りましたわ~、ありがとうエメリー!!」
「へへへ、かわいいぞアン」
天使コスプレ風か、まぁこの年の子なら不自然では無いだろう。

「ところでアンちゃんの戦闘能力は何だ?やっぱ天使族だから魅力や色欲のアビリティ値が高いのか?」
天使族は一般的に魅力と色欲が高く、それに準じた能力を身に着けていることが多い。
「わたしのアビリティ値、ご覧になってくださって構いませんよ」
「そうか?じゃあ失礼して...」
わたしは額に手を当て、アビリティ値を確認する。
「な、なんだこれは!!」
力の値が70!?
あとの戦闘系アビリティ値は全部ひとケタ…あっ、やっぱ強欲すげぇ高いw
HPも一般的なモンスターと比較すると低めだ...。
「突然変異らしくて、力だけ巨人族に匹敵する数値、らしいですわ。あまり興味ありませんので詳しくないのですが...」
「ちょ、ちょっとあの岩、殴ってみてもらっていいか?」
「いいですわよ」
アンちゃんが軽く殴ると、岩は粉々に吹き飛んだ。
「はっ...ははははは」
わたしは笑うしかなかった。
「おぉぉぉ!!やるなぁ~~アン!!」
「力はこの通りですが、とってもか弱いのでお守り下さいね」
岩粉砕しといてか弱いとかどの世界の冗談だよw
「あっ、でもその羽で飛べるんだろ?」
「カッチカチでピクリとも動きませんわ」
もいでやろうか、その羽w

「お待たせ~~、さぁ冒険行きましょ~~」
マァナが合流した。
「あれ?アンちゃんじゃない、どうしたの?」
「わたしも旅のお仲間に加えてもらったのですわ、よろしくお願いしますねマァナ」
「ふ~ん、そうなんだ~、よろしくアンちゃん!!」
こいつはこいつでな~んも考えとらんなw
「顔見知りなのか?マァナ」
「うん、私が小さい頃によく一緒に遊んでたの。わたしは大人になっちゃったけどね~、星見たりお花摘んだりおままごとしたり」
うっ、わたしと真逆の生粋の女の子だ...。
「マァナはダンカーになってからお花を素材としか見なくなったから少し嫌いですわ~」
「うっ、何も言い返せないわ...」
「で、次の目的地はお前に任せたわけだが、どこにしたんだ?」
「ん~~、候補地がいくつかあるんだけど、選ぶ前にみんなの旅の目的を確認しておこうと思って~」
「わたしは知見を広めることが第一の目的かな」
「うちは姉ちゃんと一緒ならどこでもいいぞ。あっ、ちょっと頭も良くなりたい」
「エメリーの行きたい所で結構ですわ。キレイな物があるとなお嬉しいですわね」
「で、わたしは素材や珍しいアイテム探しが目的、と...なら、あそこがいいわね、西の町キャブル」
「キャブル?あそこには何度か行きましたけど特に珍しい物はなかったように記憶しておりますが...」
「うちの骨とう品のなかに古文書があってね、キャブルから更に北西に行った所にかなり古い遺跡があるらしいのよ」
「ほぉ~、でもこの周辺の冒険者がとっくに見つけてるんじゃないのか?」
「それがね、中級モンスターが入り口周辺をうろついてるらしいのよ、どうも見張りっぽいんだけど...」
「てことはかなり重要な物を守ってる可能性あるな...面白そうだ」
「キャブルでこのモンスター討伐依頼も出てるらしいからお金稼ぎも出来て一石二鳥よ」
「じゃあとりあえずキャブルに向かうとするか」

一気に4人パーティーになったわたし達。
目的地である遺跡でまさかの真実に直面することになるのだが...。
この時はまだアンちゃんの羽の邪魔さばかりが気になっていたわたしだったw
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