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Monkey business

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【前回までのあらすじ】
ミドガルズオルムという最強の毒竜を召喚されるというアクシデントはあったが、何とかアビゲイルを撃破。
しかしひとつ間違えば全滅の危機だった事をマチルダは反省し、能力の使用は慎重に行うことを誓ったのだった。

マチルダ達はククリヒメ達の住む小屋に戻っていた。

ククリヒメ「あらお帰りなさい。生きてるって事は無事討伐したのね」

ワクムスビ「あの魔王護衛軍の1人、アビゲイルと戦うなんて真似、何故なさったのですか??」

マチルダ「えっと...腕試しよ。お陰で莫大な経験値が入ったしね」

ククリヒメ「はぁ...もう面倒臭いわ。あなた達2人、お尋ね者の冒険者なんでしょ??」

全員「!!!」

ワクムスビ「警戒しなくて大丈夫ですよ。アペプ様のご友人とお孫様ですから。機密事項として絶対に口外しないことをお約束しますわ」

マチルダ「...どこで気付いたの??」

ククリヒメ「あ、ははは。アペプ様がたっぷりヒントくれちゃってねw」

その後すぐ、マチルダはアペプを再び憑依させ、他3人にたっぷり説教をさせたのは言うまでもないw

ななこ「ところで2人は協力してくれるの??」

ククリヒメ「ん~、直接それは出来ないかな~。私もワクも魔王軍出身だし恩もあるしね」

ワクムスビ「わたくしも同意です。困った事があれば相談には乗りますが、やはり魔王軍に直接敵意は向けられません、ごめんなさい。ただ、ななこさんを鍛えたいというのはわたくしの意思ですからそれは問題ありません」

アスタロト「じゃあななちゃんは暫くここで修行ね。師匠、私達はどうする??」

マチルダ「...ねぇ、何か良い能力がある場所、知らない?」

ククリヒメ「具体的には?」

マチルダ「ジャミングや隠密能力ね。アペプさんの残した書物には該当の能力がなかったの」

ククリヒメ「...ジャミングや隠密なら思い浮かぶ種族は妖精族ね。ただ、あの種族は魔法に特化してるから能力としてこの世に存在してるかどうかは分からないわ」

マチルダ「妖精族...。あの魔法陣を操るエラとかいう子の種族ね...。いたずら好きの快楽主義者が多いって図書館で見たけど...」

ククリヒメ「そうねぇ、間違ってないわ。楽しい事大好きで遊んでばっか。戦闘の訓練なんてまるでしてないって噂。今もロストウッズって秘匿された場所でひっそりと暮らしてる平和ボケしてる種族ね」

マチルダ「...興味深いわね、ぜひ会いたいわ」

ククリヒメ「い、今の話でどう興味が湧いたか教えてくれない??w」

マチルダ「いつの時代もいつの世も、優れたものは遊びから生まれるものよ」

ククリヒメ「やっぱりあなた、ただ者じゃないわね。この世界でチートと呼ばれる魔法は妖精族発案の物が実は多いの。本質を一瞬で見抜く力は尊敬に値するわ。妖精族の住処、ロストウッズの場所はサウスウェスト大陸、スパールって都市の北西よ」

ななこ「私、いなくても平気??」

マチルダ「...正直それはネックね、迷ってる」

ワクムスビ「ではどうでしょう? わたくしの一番弟子を同行させるというのは? 彼女も修行になりますし、現状のななこさんよりはトータルで能力は上です」

ななこ「そんな子、いたんだ」

マチルダ「面白そうね、会ってから決めたいわ」

ワクムスビ「では連れて参りますので少々お待ち下さい」

ワクムスビは転移魔法で迎えに行く。

ななこ「どんな子だろ...」

ククリヒメ「良い子よ。ちょっと変わってるけど…」

もうこの世界で変わってない子を見たことないから多分大丈夫ww
待つこと数分。

ワクムスビ「連れて参りました、一番弟子のターニャです」

現れたのはロリータ・ファッションに身を包んだ女の子だった。

ターニャ「ターニャと申します、以後よろしくお願い致しますわ」

ななこ「よ、よろしくねターニャちゃん。こんなかわいらしい子が体術習ってるんだ」

ワクムスビ「この子の実力をまずは見てもらいたいのでななこさん、お相手してもらってよろしいですか?」

ななこ「えっ...えぇ。。殴っちゃって大丈夫かなぁ」

ターニャ「一切の遠慮は不要ですわ、よろしくお願いします、ななこさん」

マチルダ「ターニャ...ターニャ...」

アスタロト「どうしたの、師匠??」

マチルダ「んっ? いや、何でもないわ」

ななことターニャが対峙する。

ななこ「じゃあ、行くわよ~~」

ななこが突進し、まずはジャブで態勢を崩しにかかる。

ワクムスビ「あら、さっきの戦いで随分コツを掴んだのでしょうか? わたくしと対戦した時よりも明らかに速く、攻撃の正確性も増していますわ」

ターニャは何とかかわし続けるが...

ななこ「(左にスキが出来た)ここだぁ~~!!」

ななこ渾身の右ストレートを見舞う。

ターニャ『マンゴーシュ』

ターニャは何かを唱え、左手でななこの右ストレートを受けると...

ななこ「痛い!!! 何っっ??」

ななこが拳に強烈な痛みを感じ、右手を引くと。

ターニャ「終わりですわ!!」

ターニャは手刀をななこに見舞う、が体には当たらず空振る、しかし...

ななこ「きゃあああぁぁ!! きっ、斬られたぁぁぁ!!」

マチルダ「ど、どうしたの、ななっ!! 体はどうもなってないわよ!!」

ななこはその場でへたり込み、戦意を喪失した。

ワクムスビ「勝負ありです、ターニャそれまでよ」

ターニャ「はい。大丈夫ですかななこさん。平気ですよ、あなたは何のダメージも受けておりませんわ」

ななこ「えっ?? ...本当だ、確かに斬られた感覚がしたのに...」

ターニャ「わたくしの親指の能力『マンゴーシュ』ですわ。相手に斬られた感覚を与える幻覚能力ですの」

マチルダ「マンゴーシュ。ヨーロッパで使用された左手専用の攻防用短剣の名前ね」

ターニャ「ヨーロッパ、というのは存じませんがその通りですわ。左手を短剣に変化させ、相手の痛覚に直接ダメージを認識させます。ですが一度分かってしまうと子供だまし。初見の相手にしか通用しないのが弱点ですわね」

マチルダ「いえ、こと個人戦だけでなくチーム戦においてもかなりのスキを作れるいい能力だわ。察するにどんな強者にも同じような効果を与えられるのでしょう? たとえ魔王であっても」

ターニャ「彗眼けいがんお見事ですわ。仰るとおり、どんな相手でも同様の効果を与えられます。それはアペプ様でも確認済みですの」

あのばぁさんののたうち回ったとこ、見てみたかったなw
とにもかくにも不思議な雰囲気を漂わせるターニャを一時的な仲間に迎え、一行は妖精族の住むロストウッズに向かう。

..............................
【補足コーナー】
・マチルダの会得可能な能力は残り2つ。アペプの作った能力にも魅力的な物がいくつかあったが、取り返しがつかないためあえて能力吟味のハードルを上げていた。
・妖精族の発想力は悪魔族を凌ぐと言われているが、遊びの分野のみであるw
・現段階のターニャの体術はななこに勝るが、特別すごいわけでもないレベル
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