Spelunker's

CHABO

文字の大きさ
上 下
27 / 48

Old hag

しおりを挟む
【前回までのあらすじ】
能力授受の試験として両人間神族と戦うことになり、ククリヒメには作戦勝ちを収める。
しかし。ワクムスビとタイマンしていたななこはどうやら敗北したようで...。

3人はワクムスビとの臨戦態勢を取るが...。

ワクムスビ「マチルダ様、それには及びません。ククリヒメを従えている所を見ると彼女を撃破されたのでしょう? で、あれば今回のテストは合格です」

ククリヒメ「っていうか勝敗関係ないんだけどね~」

ワクムスビ「はい、勝敗は関係なく能力の書かれた書物はお貸しするつもりでした、申し訳ありません」

マチルダ「そんな事だろうと思ったわ。ククリヒメさん、グッちゃんの攻撃を待ってたもんね、勝つつもりなかったでしょ??」

ククリヒメ「アペプ様のお孫さん相手だったからどうも遠慮しちゃったわ」

ワクムスビ「しかし驚きました。ななこ様はこの世界では見たことのない格闘術をお使いになる。しかも一撃はとてつもなく重たい...全てガードはしましたがその上からでもかなりのダメージを負いましたわ」

ななこ「えへへ、1発も当たんなかったなぁ~、悔しい」

ワクムスビ「もしよろしければですが、わたくしの使用する格闘術『獣道ジュウドウ』を学ぶ気はありませんか? 直感の鋭いななこ様にピッタリですし、少し学べばわたくしなどすぐに置き去りに出来るほどセンスがあると感じました」

ななこ「面白そう...是非お願いしたいわ」

ククリヒメ「さすがアペプ様が認めた連中ね、まだ発展途上だけど全員秘めたる力は大したものだわ」

グディオン「えへへ、2人共おばぁちゃんの事好きなんだね、嬉しいな」

ククリヒメ「お孫さん!! その発言は...」

ワクムスビ「そ~~~~~なんですよ~~!! アペプ様って相当なご高齢でありながら無邪気でキラキラしててお強くて。この前もある地方でこんなトレンドが出始めましたよってご報告したら『なんじゃと、もっと、もっと詳しく教えてけれ!!』な~~んて目をキラキラさせながらわたくしに懇願なさるんですよ~~、も~~かわいくってかわいくって!!」

マチルダ(うっわ~~、超早口w 推しへの熱い想い聞くのしんどいわ~w)

ククリヒメ「は~いワク、そこまで!! っとこんな感じね。私は魔王軍在籍時にとてもお世話になったので離脱後は私が恩返ししたいと思ってね、色々と世話させてもらってるわ」

アスタロト「あははは、大人気ね、あのおばあちゃん」

ククリヒメ「さぁ、こちらに。能力の書かれた書物をお渡しします。どなたが修得されますか?」

マチルダ「私と...あと誰かいる??」

グディオン「私はパスね」

アスタロト「私も遠慮しとくわ」

マチルダ「??どうしてよ? かなり貴重な能力なのよ??」

アスタロト「う~~ん、まだ研究段階だけどね、能力を得れば得るほど、魔法の能力向上が頭打ちしちゃう可能性があるんですって」

マチルダ「えっ? そうなの??」

グディオン「うん。5本全部の指の能力を備えた人と、魔法だけの人の魔法能力向上の比較をしたら明確に差が出たって何かの記事で見たよ」

マチルダ「そうなのね...じゃあ私だけにしておきましょう、ななこも今回はパスした方がいいわね」

ななこ「うん、ビルドの方向性はもう少し考えたいからね」

ククリヒメ「ビルド??」

ななこ「あぁ、深い意味はないの、どう成長して行こうかまだ考え中ってだけで...」

マチルダ(私達が冒険者だってことは伝えていないみたいねアペプさん)

ククリヒメ「ではマチルダさん、こちらに」

奥の小さい部屋に通され、奥から能力の書かれた書物を持ってくるククリヒメ。

マチルダ「それが秘伝の書物ね、ありがとう」

ククリヒメ「......。」

マチルダ「どうしたの? 早く貸して」

ククリヒメは書物を渡そうとしない。

ククリヒメ「マチルダさん。アぺプ様から能力授受最後の条件をお話しします」

マチルダ「条件?? こんな直前で??」

ククリヒメ「えぇ、この条件は書物を渡す直前で言うように、との指示なので...。私を恨まないでねw 能力授受の条件は、この能力を必ず修得する事です」

ククリヒメは書物のとある箇所を指さす。

マチルダ「能力を? どんな能力...ゲッ!! あんのばあさん、最初からこれを私に修得させるのが目的だったのか!! 通りで気前が良すぎると思ったわ!!」

ククリヒメ「アペプ様は世界中のトレンドを求めるのに手段を問わないわ。これから世界中に赴くあなた達を見て利用できると考えたのでしょうね。で、どうする? これが飲めないならお引き取り頂く事になるのだけれど...」

マチルダ「くっそ~~~、飲むわよ、仕方ないでしょ!! 指一本奪われた気分だわ!! こうなったらこの能力で逆に報復してやるわ」

ククリヒメ「あ、ははははは...頑張ってねw」

まんまとアペプに嵌められたマチルダ。
しかしこの能力によって後にマチルダ達は何度も絶体絶命の危機を回避する事をこの時は知る由もなかった。

.........................
【補足コーナー】
・ななこは昔から世話になっている近所のじいさんの経営しているよくわからない格闘術を幼少期より習っているw
・獣道とは文字通り獣人族が得意とする、五感と第六感を頼りに戦う格闘術で決まった型はない。故に相手にとっては読みづらく厄介な近接格闘術である
・ククリヒメはアペプの世話に恩義を感じているのは確かだが、それは表向きの理由で、ワクムスビと百合関係にあるので一緒に洞窟にいるだけであるw
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

淫らに、咲き乱れる

あるまん
恋愛
軽蔑してた、筈なのに。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

世の中は意外と魔術で何とかなる

ものまねの実
ファンタジー
新しい人生が唐突に始まった男が一人。目覚めた場所は人のいない森の中の廃村。生きるのに精一杯で、大層な目標もない。しかしある日の出会いから物語は動き出す。 神様の土下座・謝罪もない、スキル特典もレベル制もない、転生トラックもそれほど走ってない。突然の転生に戸惑うも、前世での経験があるおかげで図太く生きられる。生きるのに『隠してたけど実は最強』も『パーティから追放されたから復讐する』とかの設定も必要ない。人はただ明日を目指して歩くだけで十分なんだ。 『王道とは歩むものではなく、その隣にある少しずれた道を歩くためのガイドにするくらいが丁度いい』 平凡な生き方をしているつもりが、結局騒ぎを起こしてしまう男の冒険譚。困ったときの魔術頼み!大丈夫、俺上手に魔術使えますから。※主人公は結構ズルをします。正々堂々がお好きな方はご注意ください。

せっかくのクラス転移だけども、俺はポテトチップスでも食べながらクラスメイトの冒険を見守りたいと思います

霖空
ファンタジー
クラス転移に巻き込まれてしまった主人公。 得た能力は悪くない……いや、むしろ、チートじみたものだった。 しかしながら、それ以上のデメリットもあり……。 傍観者にならざるをえない彼が傍観者するお話です。 基本的に、勇者や、影井くんを見守りつつ、ほのぼの?生活していきます。 が、そのうち、彼自身の物語も始まる予定です。

魅了が解けた貴男から私へ

砂礫レキ
ファンタジー
貴族学園に通う一人の男爵令嬢が第一王子ダレルに魅了の術をかけた。 彼女に操られたダレルは婚約者のコルネリアを憎み罵り続ける。 そして卒業パーティーでとうとう婚約破棄を宣言した。 しかし魅了の術はその場に運良く居た宮廷魔術師に見破られる。 男爵令嬢は処刑されダレルは正気に戻った。 元凶は裁かれコルネリアへの愛を取り戻したダレル。 しかしそんな彼に半年後、今度はコルネリアが婚約破棄を告げた。 三話完結です。

やさしい異世界転移

みなと
ファンタジー
妹の誕生日ケーキを買いに行く最中 謎の声に導かれて異世界へと転移してしまった主人公 神洞 優斗。 彼が転移した世界は魔法が発達しているファンタジーの世界だった! 元の世界に帰るまでの間優斗は学園に通い平穏に過ごす事にしたのだが……? この時の優斗は気付いていなかったのだ。 己の……いや"ユウト"としての逃れられない定めがすぐ近くまで来ている事に。 この物語は 優斗がこの世界で仲間と出会い、共に様々な困難に立ち向かい希望 絶望 別れ 後悔しながらも進み続けて、英雄になって誰かに希望を託すストーリーである。

処理中です...