2 / 90
フローリアン編①
02.生まれた時から男として
しおりを挟む
赤い髪を見た瞬間、フローリアンの胸は勝手にドキリと音を立てた。
ラルスと名乗ったその男は、底抜けに明るい笑顔を見せている。二十歳になるかならないかという、若い騎士だった。
今まで老年もしくは堅物の護衛騎士だったことに比べると、人懐っこさが顔に出ている。
「そう……よろしく、ラルス」
「王子殿下の護衛ができるなんて、光栄です!」
嬉しそうなラルスに引き込まれそうになり、フローリアンは慌ててツェツィーリアの方へと顔を戻す。
「フロー様、初恋の君ですの?」
ツェツィーリアがこそこそと話しかけてきて、フローリアンは慌てて手を振った。
「わからないよ。ほとんど覚えてないし」
「でも、赤髪ですわよ?」
「この国で赤髪なんて珍しくはないよ」
兄のもう一人の護衛騎士も赤髪だし、探せばいくらでも赤い髪の騎士はいるだろう。
それにたった四年で、新人騎士から護衛騎士にまで昇格するとは思えなかった。シャインはともかくとして。
「それに髪型も喋り方も違うから、あの時の人じゃないと思うよ」
「まぁ、残念でしたわね……」
「別に、残念ではないけど」
そう言いつつも、心はなぜかがっくりと項垂れている。
しかしどうせまた、一年もすれば入れ替わるだけの相手なのだからと自分に言い聞かせた。
フローリアンは新しい護衛騎士を気にしないよう、いつものようにツェツィーリアと話をして過ごした。
しかしラルスは扉の前でにこにこと嬉しそうに監視をしている。
「どうしてあんなに嬉しそうなんだろ?」
フローリアンがこっそり囁くと、「なぜでございましょうね?」とツェツィーリアも首を傾げていて。
二人してラルスを見ると、さらに嬉しそうに微笑むものだから、思わずクスクスと笑い合ったのだった。
二ヶ月もすると、新しい護衛騎士の赤い髪もすっかり見慣れた。
フローリアンの髪は、兄や父と同じライトブラウンだ。そっと梳くと、短すぎない髪はふわりと揺れた。
髪だけではなく、兄とは顔立ちもよく似ているので、普通に過ごす分には誰にも女とは気付かれないだろう。兄や父でさえも、女だと気づいていないのだから。
フローリアンを王子だと思い込んでいる父と兄が、それでもとても大好きで。特に兄のディートフリートは、ことさらフローリアンのことを可愛がってくれている。
『フローは飲み込みが早いね。優しいし、しっかり者だし、きっと良い王になれるよ』
そう言って頭を撫でてくれた第一王子の兄は、二十八歳という若さでハウアドルの王に即位している。フローリアンが十歳の時だ。
真面目で優しくて、なんにでも一生懸命、そして部下にも国民にも愛され賢王とまで呼ばれている兄。そんなディートフリートを、フローリアンは心から尊敬している。
『私の次はフローが王になる可能性が高い。王になる自覚を持って、しっかり勉強するんだよ』
王に即位した後はよくそう言われて、フローリアンは兄に認めてもらおうと必死になって頑張ってきた。そして現在進行形で頑張り続けている。
(本当は、王になんて──なりたくないんだけどね。でも、女になりたいだなんて言ったら、兄さまも父さまも倒れちゃうだろうなぁ)
王家に生まれ、王子として育てられてしまった以上、もう自分にはどうしようもないということはわかっている。
それでも将来を考えると憂鬱になって、ため息が漏れた。
「どうしましたか、王子殿下」
護衛兼監視役の騎士、ラルスが不思議そうな声を上げた。
彼は二十歳になったばかりで、いつも楽しそうにしているが、実はどうやらとても優秀な騎士らしい。
しかもあのシャイン直々の推薦であると聞いた。実力は折り紙つきなのだろう。傍目には優秀には見えないけれど。
まだどうにも教育が行き届いていないところもあるが、気安い感じはフローリアンも気に入っている。
「なんでもないよ。ちょっと勉強が疲れただけ」
「ふーん、どれどれ……うわ、なんだこれ!」
「こら、護衛騎士が見ちゃいけないよ」
「あ、申し訳ありません。つい」
帝王学の教本を閉じると、フローは少し伸びをした。
「お疲れでしょう。お茶でも淹れるよう言ってきましょうか。それとも、気分転換に外にでも行ってみますか?」
「いや、僕は……ツェツィーに会いたいなぁ……」
「ツェツィーリア様! かわいい方ですよね!」
「ラルスもそう思う?」
「はい! 男ならば、誰しも憧れる可憐な花のような人です!」
ラルスの同意を得て、フローリアンは自分のことのように勝手に鼻を高くした。
(本当にツェツィーリアは、優しくて美しくて完璧な女性だよね!)
フローリアンを女だと知っている、数少ない一人で大親友。褒められて悪い気などするはずがない。
「あ、もちろん王子から奪おうなんて、そんな大それたことは思ってませんよ?」
「はは、当たり前だよ。奪えるわけがないじゃないか」
「おおー、さすがは王子。すごい自信だ」
くるくる表情を変えるラルスのその物言いが面白くて、フローリアンはくつくつと笑った。もちろん、ツェツィーリアをそんな風に褒めてくれたことも嬉しい。
ツェツィーリアは、フローリアンと同い年の十五歳。王妃付きの女医バルバラの孫だ。
バルバラの娘がノイベルト伯爵へ嫁いだので、その娘であるツェツィーリアは伯爵令嬢という身分である。
フローリアンの本当の性別を知っているのは、王妃のエルネスティーネ、王妃付きの侍女ヨハンナ、女医のバルバラ、その孫娘のツェツィーリアの四人だけだ。
同性の友人がフローリアンには必要だとバルバラが王妃に進言し、孫娘であるツェツィーリアを連れてきてくれたのは五歳の時のこと。その時からの幼馴染みという関係である。
(あの時は友達ができたのが本当に嬉しくて、ずっとはしゃいでたっけ)
本を片付けながら当時のことを思い返していると、扉からノックが聞こえてきた。ラルスが確認し、中に伝えてくれる。
「王子、お噂のツェツィーリア様ですよ!」
「入ってもらって!」
間髪入れずに答えると、ツェツィーリアが美しいカーテシーを見せて入ってきた。
「フロー様、ご機嫌いかがですか?」
「ツェツィー、来てくれたの!?」
「はい。どうしてもフロー様にお会いしたくなりまして」
「はは、可愛いこと言ってくれるよね、ツェツィーは」
フローリアンが笑うと、ふわりとツェツィーリアの長い髪がたなびく。
ツェツィーリアはぱっちりした目に空色の瞳、プラチナブロンドの髪を持つ、見た目にも女の子の中の女の子といった可愛い人だ。落ち着いたミントカラーのドレスがよく似合っている。
「実は今、僕もツェツィーに会いたいと思っていたところだったんだよ」
「まぁ! では、以心伝心でしたのね」
「うん!」
うふふと花がほころぶように笑うツェツィーリアは、同性の目から見ても美しく可愛らしい。
女だとバレてはいけないフローリアンにとって、すべてを知ってくれているツェツィーリアは、唯一気の置けない友人だ。今では親友と呼べる仲になり、誰にも内緒の恋愛話をするのが楽しい。
そんなフローリアンとツェツィーリアを、ラルスは腕を組んでうんうんと満足げな表情で頷いている。今までそんな護衛騎士を見たことがなかった二人は、顔を見合わせて笑った。
ラルスと名乗ったその男は、底抜けに明るい笑顔を見せている。二十歳になるかならないかという、若い騎士だった。
今まで老年もしくは堅物の護衛騎士だったことに比べると、人懐っこさが顔に出ている。
「そう……よろしく、ラルス」
「王子殿下の護衛ができるなんて、光栄です!」
嬉しそうなラルスに引き込まれそうになり、フローリアンは慌ててツェツィーリアの方へと顔を戻す。
「フロー様、初恋の君ですの?」
ツェツィーリアがこそこそと話しかけてきて、フローリアンは慌てて手を振った。
「わからないよ。ほとんど覚えてないし」
「でも、赤髪ですわよ?」
「この国で赤髪なんて珍しくはないよ」
兄のもう一人の護衛騎士も赤髪だし、探せばいくらでも赤い髪の騎士はいるだろう。
それにたった四年で、新人騎士から護衛騎士にまで昇格するとは思えなかった。シャインはともかくとして。
「それに髪型も喋り方も違うから、あの時の人じゃないと思うよ」
「まぁ、残念でしたわね……」
「別に、残念ではないけど」
そう言いつつも、心はなぜかがっくりと項垂れている。
しかしどうせまた、一年もすれば入れ替わるだけの相手なのだからと自分に言い聞かせた。
フローリアンは新しい護衛騎士を気にしないよう、いつものようにツェツィーリアと話をして過ごした。
しかしラルスは扉の前でにこにこと嬉しそうに監視をしている。
「どうしてあんなに嬉しそうなんだろ?」
フローリアンがこっそり囁くと、「なぜでございましょうね?」とツェツィーリアも首を傾げていて。
二人してラルスを見ると、さらに嬉しそうに微笑むものだから、思わずクスクスと笑い合ったのだった。
二ヶ月もすると、新しい護衛騎士の赤い髪もすっかり見慣れた。
フローリアンの髪は、兄や父と同じライトブラウンだ。そっと梳くと、短すぎない髪はふわりと揺れた。
髪だけではなく、兄とは顔立ちもよく似ているので、普通に過ごす分には誰にも女とは気付かれないだろう。兄や父でさえも、女だと気づいていないのだから。
フローリアンを王子だと思い込んでいる父と兄が、それでもとても大好きで。特に兄のディートフリートは、ことさらフローリアンのことを可愛がってくれている。
『フローは飲み込みが早いね。優しいし、しっかり者だし、きっと良い王になれるよ』
そう言って頭を撫でてくれた第一王子の兄は、二十八歳という若さでハウアドルの王に即位している。フローリアンが十歳の時だ。
真面目で優しくて、なんにでも一生懸命、そして部下にも国民にも愛され賢王とまで呼ばれている兄。そんなディートフリートを、フローリアンは心から尊敬している。
『私の次はフローが王になる可能性が高い。王になる自覚を持って、しっかり勉強するんだよ』
王に即位した後はよくそう言われて、フローリアンは兄に認めてもらおうと必死になって頑張ってきた。そして現在進行形で頑張り続けている。
(本当は、王になんて──なりたくないんだけどね。でも、女になりたいだなんて言ったら、兄さまも父さまも倒れちゃうだろうなぁ)
王家に生まれ、王子として育てられてしまった以上、もう自分にはどうしようもないということはわかっている。
それでも将来を考えると憂鬱になって、ため息が漏れた。
「どうしましたか、王子殿下」
護衛兼監視役の騎士、ラルスが不思議そうな声を上げた。
彼は二十歳になったばかりで、いつも楽しそうにしているが、実はどうやらとても優秀な騎士らしい。
しかもあのシャイン直々の推薦であると聞いた。実力は折り紙つきなのだろう。傍目には優秀には見えないけれど。
まだどうにも教育が行き届いていないところもあるが、気安い感じはフローリアンも気に入っている。
「なんでもないよ。ちょっと勉強が疲れただけ」
「ふーん、どれどれ……うわ、なんだこれ!」
「こら、護衛騎士が見ちゃいけないよ」
「あ、申し訳ありません。つい」
帝王学の教本を閉じると、フローは少し伸びをした。
「お疲れでしょう。お茶でも淹れるよう言ってきましょうか。それとも、気分転換に外にでも行ってみますか?」
「いや、僕は……ツェツィーに会いたいなぁ……」
「ツェツィーリア様! かわいい方ですよね!」
「ラルスもそう思う?」
「はい! 男ならば、誰しも憧れる可憐な花のような人です!」
ラルスの同意を得て、フローリアンは自分のことのように勝手に鼻を高くした。
(本当にツェツィーリアは、優しくて美しくて完璧な女性だよね!)
フローリアンを女だと知っている、数少ない一人で大親友。褒められて悪い気などするはずがない。
「あ、もちろん王子から奪おうなんて、そんな大それたことは思ってませんよ?」
「はは、当たり前だよ。奪えるわけがないじゃないか」
「おおー、さすがは王子。すごい自信だ」
くるくる表情を変えるラルスのその物言いが面白くて、フローリアンはくつくつと笑った。もちろん、ツェツィーリアをそんな風に褒めてくれたことも嬉しい。
ツェツィーリアは、フローリアンと同い年の十五歳。王妃付きの女医バルバラの孫だ。
バルバラの娘がノイベルト伯爵へ嫁いだので、その娘であるツェツィーリアは伯爵令嬢という身分である。
フローリアンの本当の性別を知っているのは、王妃のエルネスティーネ、王妃付きの侍女ヨハンナ、女医のバルバラ、その孫娘のツェツィーリアの四人だけだ。
同性の友人がフローリアンには必要だとバルバラが王妃に進言し、孫娘であるツェツィーリアを連れてきてくれたのは五歳の時のこと。その時からの幼馴染みという関係である。
(あの時は友達ができたのが本当に嬉しくて、ずっとはしゃいでたっけ)
本を片付けながら当時のことを思い返していると、扉からノックが聞こえてきた。ラルスが確認し、中に伝えてくれる。
「王子、お噂のツェツィーリア様ですよ!」
「入ってもらって!」
間髪入れずに答えると、ツェツィーリアが美しいカーテシーを見せて入ってきた。
「フロー様、ご機嫌いかがですか?」
「ツェツィー、来てくれたの!?」
「はい。どうしてもフロー様にお会いしたくなりまして」
「はは、可愛いこと言ってくれるよね、ツェツィーは」
フローリアンが笑うと、ふわりとツェツィーリアの長い髪がたなびく。
ツェツィーリアはぱっちりした目に空色の瞳、プラチナブロンドの髪を持つ、見た目にも女の子の中の女の子といった可愛い人だ。落ち着いたミントカラーのドレスがよく似合っている。
「実は今、僕もツェツィーに会いたいと思っていたところだったんだよ」
「まぁ! では、以心伝心でしたのね」
「うん!」
うふふと花がほころぶように笑うツェツィーリアは、同性の目から見ても美しく可愛らしい。
女だとバレてはいけないフローリアンにとって、すべてを知ってくれているツェツィーリアは、唯一気の置けない友人だ。今では親友と呼べる仲になり、誰にも内緒の恋愛話をするのが楽しい。
そんなフローリアンとツェツィーリアを、ラルスは腕を組んでうんうんと満足げな表情で頷いている。今までそんな護衛騎士を見たことがなかった二人は、顔を見合わせて笑った。
10
お気に入りに追加
88
あなたにおすすめの小説
身代わり婚~暴君と呼ばれる辺境伯に拒絶された仮初の花嫁
結城芙由奈@コミカライズ発売中
恋愛
【決してご迷惑はお掛けしません。どうか私をここに置いて頂けませんか?】
妾腹の娘として厄介者扱いを受けていたアリアドネは姉の身代わりとして暴君として名高い辺境伯に嫁がされる。結婚すれば幸せになれるかもしれないと淡い期待を抱いていたのも束の間。望まぬ花嫁を押し付けられたとして夫となるべく辺境伯に初対面で冷たい言葉を投げつけらた。さらに城から追い出されそうになるものの、ある人物に救われて下働きとして置いてもらえる事になるのだった―。
極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~
恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」
そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。
私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。
葵は私のことを本当はどう思ってるの?
私は葵のことをどう思ってるの?
意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。
こうなったら確かめなくちゃ!
葵の気持ちも、自分の気持ちも!
だけど甘い誘惑が多すぎて――
ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。
イケメン社長と私が結婚!?初めての『気持ちイイ』を体に教え込まれる!?
すずなり。
恋愛
ある日、彼氏が自分の住んでるアパートを引き払い、勝手に『同棲』を求めてきた。
「お前が働いてるんだから俺は家にいる。」
家事をするわけでもなく、食費をくれるわけでもなく・・・デートもしない。
「私は母親じゃない・・・!」
そう言って家を飛び出した。
夜遅く、何も持たず、靴も履かず・・・一人で泣きながら歩いてるとこを保護してくれた一人の人。
「何があった?送ってく。」
それはいつも仕事場のカフェに来てくれる常連さんだった。
「俺と・・・結婚してほしい。」
「!?」
突然の結婚の申し込み。彼のことは何も知らなかったけど・・・惹かれるのに時間はかからない。
かっこよくて・・優しくて・・・紳士な彼は私を心から愛してくれる。
そんな彼に、私は想いを返したい。
「俺に・・・全てを見せて。」
苦手意識の強かった『営み』。
彼の手によって私の感じ方が変わっていく・・・。
「いあぁぁぁっ・・!!」
「感じやすいんだな・・・。」
※お話は全て想像の世界のものです。現実世界とはなんら関係ありません。
※お話の中に出てくる病気、治療法などは想像のものとしてご覧ください。
※誤字脱字、表現不足は重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけると嬉しいです。
※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。
それではお楽しみください。すずなり。
【完結】冷酷眼鏡とウワサされる副騎士団長様が、一直線に溺愛してきますっ!
楠結衣
恋愛
触ると人の心の声が聞こえてしまう聖女リリアンは、冷酷と噂の副騎士団長のアルバート様に触ってしまう。
(リリアン嬢、かわいい……。耳も小さくて、かわいい。リリアン嬢の耳、舐めたら甘そうだな……いや寧ろ齧りたい……)
遠くで見かけるだけだったアルバート様の思わぬ声にリリアンは激しく動揺してしまう。きっと聞き間違えだったと結論付けた筈が、聖女の試験で必須な魔物についてアルバート様から勉強を教わることに──!
(かわいい、好きです、愛してます)
(誰にも見せたくない。執務室から出さなくてもいいですよね?)
二人きりの勉強会。アルバート様に触らないように気をつけているのに、リリアンのうっかりで毎回触れられてしまう。甘すぎる声にリリアンのドキドキが止まらない!
ところが、ある日、リリアンはアルバート様の声にうっかり反応してしまう。
(まさか。もしかして、心の声が聞こえている?)
リリアンの秘密を知ったアルバート様はどうなる?
二人の恋の結末はどうなっちゃうの?!
心の声が聞こえる聖女リリアンと変態あまあまな声がダダ漏れなアルバート様の、甘すぎるハッピーエンドラブストーリー。
✳︎表紙イラストは、さらさらしるな。様の作品です。
✳︎小説家になろうにも投稿しています♪

今夜は帰さない~憧れの騎士団長と濃厚な一夜を
澤谷弥(さわたに わたる)
恋愛
ラウニは騎士団で働く事務官である。
そんな彼女が仕事で第五騎士団団長であるオリベルの執務室を訪ねると、彼の姿はなかった。
だが隣の部屋からは、彼が苦しそうに呻いている声が聞こえてきた。
そんな彼を助けようと隣室へと続く扉を開けたラウニが目にしたのは――。
脅迫して意中の相手と一夜を共にしたところ、逆にとっ捕まった挙げ句に逃げられなくなりました。
石河 翠
恋愛
失恋した女騎士のミリセントは、不眠症に陥っていた。
ある日彼女は、お気に入りの毛布によく似た大型犬を見かけ、偶然隠れ家的酒場を発見する。お目当てのわんこには出会えないものの、話の合う店長との時間は、彼女の心を少しずつ癒していく。
そんなある日、ミリセントは酒場からの帰り道、元カレから復縁を求められる。きっぱりと断るものの、引き下がらない元カレ。大好きな店長さんを巻き込むわけにはいかないと、ミリセントは覚悟を決める。実は店長さんにはとある秘密があって……。
真っ直ぐでちょっと思い込みの激しいヒロインと、わんこ系と見せかけて実は用意周到で腹黒なヒーローの恋物語。
ハッピーエンドです。
この作品は、他サイトにも投稿しております。
表紙絵は、写真ACよりチョコラテさまの作品(写真のID:4274932)をお借りしております。

できれば穏便に修道院生活へ移行したいのです
新条 カイ
恋愛
ここは魔法…魔術がある世界。魔力持ちが優位な世界。そんな世界に日本から転生した私だったけれど…魔力持ちではなかった。
それでも、貴族の次女として生まれたから、なんとかなると思っていたのに…逆に、悲惨な将来になる可能性があるですって!?貴族の妾!?嫌よそんなもの。それなら、女の幸せより、悠々自適…かはわからないけれど、修道院での生活がいいに決まってる、はず?
将来の夢は修道院での生活!と、息巻いていたのに、あれ。なんで婚約を申し込まれてるの!?え、第二王子様の護衛騎士様!?接点どこ!?
婚約から逃れたい元日本人、現貴族のお嬢様の、逃れられない恋模様をお送りします。
■■両翼の守り人のヒロイン側の話です。乳母兄弟のあいつが暴走してとんでもない方向にいくので、ストッパーとしてヒロイン側をちょいちょい設定やら会話文書いてたら、なんかこれもUPできそう。と…いう事で、UPしました。よろしくお願いします。(ストッパーになれればいいなぁ…)
■■
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる