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28話 ヴァンの語る過去
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『我が生まれた頃は魔法が全盛期の時代であり、そして消えた時代でもあった』
ヴァンの話は、彼が生まれたところから始まった。
魔法時代の終焉。それは女神歴よりもさらに百三十年も昔のことだ。
『神は魔法を生み出した張本人だ。それを人間達に教え、暮らしを豊かにした。しかしいつしか人間は感謝を忘れ、魔法を悪事や争いの道具にし始めた』
先ほどの本に書かれたものと同じような内容だ。真実で間違いなさそうである。
『神は人々の記憶から魔法の知識を消し去ると、魔法に関する本を全て回収し、あの部屋へと封印したのだ。そして我は部屋を守る役目を命じられた』
「ということは、ヴァンは神の使いの聖獣だったの!?」
『いいや、ただの幻獣だ。供物を全部食ってしまったら神の怒りを買って、強制労働させられる羽目になったのだ』
「自業自得じゃないか」
『うるさい、ディリウス』
そう言いながらヴァンがテーブルに手を伸ばすので、ローズマリーはハムを取ってあげた。ヴァンはミーミー言いながら、嬉しそうにペロリと平らげてしまう。きっとこの調子で供物を全部食べてしまったのだろう。
『我は、神の魔法力が込められた石のせいであの場から離れられなくなったため、外の様子は詳しくは知らぬ。しかし数年に一度、神の巫女を名乗る赤目の女が現れた』
「赤目の……神の巫女」
ヴァンの瞳に、ローズマリーの顔が映る。自分の瞳と同じ色の巫女。そんな人がこの世に存在していた。
『赤目の巫女は、神が魔法を封印してから選出された人間だ。誰にも知られずにあの部屋に行けるように透明化の魔法を、開かずの扉を開けられるように扉解除の魔法を、我と話ができるように心を読む魔法を、世界を観察するために水面に人を映す魔法を、それに簡単な治癒魔法も持っていた』
「私と同じ魔法だわ……使えたのはそれだけ?」
『あそこに置いてある本を巫女は自由に読めたのだから、いくらでも魔法は覚えられたはずだがな。彼女は神の言いつけを守り、それ以上に覚えることはしなかった』
ヴァンの言葉に、ローズマリーの手を握ったままのディリウスが、難しい顔で口を開いた。
「神は巫女を定期的にあの部屋へ送り、歴史を書かせ続けたってことか。巫女も特別な寿命を与えられていたんだな」
『ああ。我が封印の書を守り始めてから、女神歴が始まって百五十年くらいは彼女に会っていた』
「それだけで、ざっと三百年近い寿命はある。今もその巫女は生きているのか?」
『おそらくだが、死んでいる。神が消えてしまったからな』
「神が……消えた……どこか別の国に行ったってこと?」
ローズマリーの疑問に、ヴァンは首を左右にぷるぷる振った。
『実際に神は消えたのだ。聖女がエメラルド化し、女神と言われるようになったことで女神信仰が始まった。まだ神を信仰するものもいたが、徐々に女神へと信仰が切り替わっていった』
「神は便利な魔法をいきなり使えなくしたからな。不満を子や孫に伝えた者もいるだろうし、宗教が入れ替わってもおかしくはない」
『信仰する者がいなくなり、覚えている者が減ると、神は徐々に力を失う。巫女に与えていた特別な寿命も、神がいなくなると同時に消えたのだろう』
神の存在や力は、信仰心や人々の神に対する記憶に比例するようだ。神の力の元が人間の心次第というのは、滑稽な話でもある。
「神がヴァンを聖獣という扱いにしなかったのは、神がいなくなると巫女や聖獣は消えてしまうから、ということ?」
『おそらくそうだろう。神はあの忌まわしい赤い石に、魔法を掛けた。我が使命を全うするようにな。そしてその石は、誰か一人でも神の存在を覚えていれば、消えなかった。皮肉なことに、神の存在を覚えていた最後の者は、我自身だったのだ』
ヴァンは前足をテーブルにかけると、目の前のロールパンを丸呑みにしている。
「どうして神は、本を燃やさず置いていたのかしら……それに巫女に歴史を記させていた理由がわからないわ」
『魔法の証明は神自身の証明となる。全ての者が神を忘れても、存在証明があれば完全な消滅とはならない。力を失くして消えた神も、存在証明がある限り復活の可能性がある』
「もしあの本が広まって、魔法が人々に浸透し崇められることがあれば、神が力を取り戻して復活する、ということよね……」
「そいつは歓迎できないな。宗教が二分すると、争いの火種になりかねない」
ディリウスの意見にローズマリーも頷いた。
アナエルを見ていればわかる。魔法の力は便利だが強大で、いとも簡単にバランスを崩してしまうものだということは。
(だけど、レオ様のエメラルド化を解くまで、絶対に魔法は諦められない……!)
世界のバランスより、レオナードのエメラルド解除の方が、ローズマリーには重要だ。そのために封印されていた本を全て読んで、必要な魔法を習得するつもりでいる。
「やっぱりあの本は、表に出すべきものじゃないな。これからも封印するか、いっそ燃やしてしまうか」
「それはレオ様を元に戻してからよ!」
「わかってる」
『レオ? 誰だ、それは』
「エメラルド化された一人なの。光輝の英雄と呼ばれているわ」
説明するも、ヴァンに興味があるのはテーブルの上の食事のようだ。ヴァンの視線の先の物を取ってあげると、肉だろうが野菜だろうがお菓子だろうが、お構いなしにどんどん平らげていく。
「でもレオ様をエメラルド化したのは、女神様じゃなくて最近現れた聖女なの」
『ではその聖女に元に戻してもらえばいいではないか』
「それはできないらしくて」
『そうなのか? 普通は不自然な形に留めるより、元の形に戻すことの方が簡単なはずなんだがな』
食べ続けながら答えたヴァンの言葉に、ローズマリーとディリウスは顔を見合わせた。
「あいつ……本当は解除できるんじゃないのか」
「じゃあどうしてできないって嘘をつく必要があるの?」
「あら。二人そろって、何の話?」
藍色の長い髪に、金の瞳。
現在の聖女アナエルがそこに立ち、ローズマリー達を見てにっこりと微笑んでいた。
ヴァンの話は、彼が生まれたところから始まった。
魔法時代の終焉。それは女神歴よりもさらに百三十年も昔のことだ。
『神は魔法を生み出した張本人だ。それを人間達に教え、暮らしを豊かにした。しかしいつしか人間は感謝を忘れ、魔法を悪事や争いの道具にし始めた』
先ほどの本に書かれたものと同じような内容だ。真実で間違いなさそうである。
『神は人々の記憶から魔法の知識を消し去ると、魔法に関する本を全て回収し、あの部屋へと封印したのだ。そして我は部屋を守る役目を命じられた』
「ということは、ヴァンは神の使いの聖獣だったの!?」
『いいや、ただの幻獣だ。供物を全部食ってしまったら神の怒りを買って、強制労働させられる羽目になったのだ』
「自業自得じゃないか」
『うるさい、ディリウス』
そう言いながらヴァンがテーブルに手を伸ばすので、ローズマリーはハムを取ってあげた。ヴァンはミーミー言いながら、嬉しそうにペロリと平らげてしまう。きっとこの調子で供物を全部食べてしまったのだろう。
『我は、神の魔法力が込められた石のせいであの場から離れられなくなったため、外の様子は詳しくは知らぬ。しかし数年に一度、神の巫女を名乗る赤目の女が現れた』
「赤目の……神の巫女」
ヴァンの瞳に、ローズマリーの顔が映る。自分の瞳と同じ色の巫女。そんな人がこの世に存在していた。
『赤目の巫女は、神が魔法を封印してから選出された人間だ。誰にも知られずにあの部屋に行けるように透明化の魔法を、開かずの扉を開けられるように扉解除の魔法を、我と話ができるように心を読む魔法を、世界を観察するために水面に人を映す魔法を、それに簡単な治癒魔法も持っていた』
「私と同じ魔法だわ……使えたのはそれだけ?」
『あそこに置いてある本を巫女は自由に読めたのだから、いくらでも魔法は覚えられたはずだがな。彼女は神の言いつけを守り、それ以上に覚えることはしなかった』
ヴァンの言葉に、ローズマリーの手を握ったままのディリウスが、難しい顔で口を開いた。
「神は巫女を定期的にあの部屋へ送り、歴史を書かせ続けたってことか。巫女も特別な寿命を与えられていたんだな」
『ああ。我が封印の書を守り始めてから、女神歴が始まって百五十年くらいは彼女に会っていた』
「それだけで、ざっと三百年近い寿命はある。今もその巫女は生きているのか?」
『おそらくだが、死んでいる。神が消えてしまったからな』
「神が……消えた……どこか別の国に行ったってこと?」
ローズマリーの疑問に、ヴァンは首を左右にぷるぷる振った。
『実際に神は消えたのだ。聖女がエメラルド化し、女神と言われるようになったことで女神信仰が始まった。まだ神を信仰するものもいたが、徐々に女神へと信仰が切り替わっていった』
「神は便利な魔法をいきなり使えなくしたからな。不満を子や孫に伝えた者もいるだろうし、宗教が入れ替わってもおかしくはない」
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「どうして神は、本を燃やさず置いていたのかしら……それに巫女に歴史を記させていた理由がわからないわ」
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「もしあの本が広まって、魔法が人々に浸透し崇められることがあれば、神が力を取り戻して復活する、ということよね……」
「そいつは歓迎できないな。宗教が二分すると、争いの火種になりかねない」
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(だけど、レオ様のエメラルド化を解くまで、絶対に魔法は諦められない……!)
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「やっぱりあの本は、表に出すべきものじゃないな。これからも封印するか、いっそ燃やしてしまうか」
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「わかってる」
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「それはできないらしくて」
『そうなのか? 普通は不自然な形に留めるより、元の形に戻すことの方が簡単なはずなんだがな』
食べ続けながら答えたヴァンの言葉に、ローズマリーとディリウスは顔を見合わせた。
「あいつ……本当は解除できるんじゃないのか」
「じゃあどうしてできないって嘘をつく必要があるの?」
「あら。二人そろって、何の話?」
藍色の長い髪に、金の瞳。
現在の聖女アナエルがそこに立ち、ローズマリー達を見てにっこりと微笑んでいた。
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