116 / 137
アリシア編
95.奇跡はいつか必ず
しおりを挟む
アリシアは、体に馴染んだ救済の書を慈しむように、自身の胸元に触れた。
こうすると、アリシアは雷神と過ごした甘い日々を思い出すことができる。一生の宝物である。
「私はこの書を取り出すつもりはないわ」
アンナが訝しげな表情に変わった。不誠実だと言われるかもしれない。
けれど、これはアンナには伝えなければいけないことなのだ。ルーシエがアリシアを諭してくれたように。今度はアリシアがアンナに教えてやらねばならない。
「アンナ。母さんはね、父さんを忘れたわけじゃないの。今でも、父さんを……ロクロウのことを、愛しているのよ」
案の定、アンナの顔が奇妙に歪んだ。なにかを言いたそうにして、しかし言葉が見つからないのか口は噤まれたままだ。
「こんな風に言うと、不誠実に思われるでしょうけど……私はロクロウもその人も、同じくらいに愛してしまったのよ」
アンナの目が大きく見開かれる。言葉にこそ出さないが、信じられないという言葉が今にも出てきそうだ。そんなアンナにアリシアは続ける。
「最初、私はロクロウ以外の人と付き合うつもりはなかったのよ。ロクロウを忘れられないのに、他の人と付き合うなんて失礼だって、そう思っていたの」
「まぁ、そう……よね……」
肯定を示すアンナの瞳に、正直であるためにまっすぐその目を見据える。
「でもね、ロクロウが好きなのも事実。その人のことが好きなのも事実なの。どちらかを選ぶのは、本当に難しいことよ。でも私は、今そばにいて支えてくれる人を選ぶことにした」
「……父さんのことを愛しているのに?」
「ええ。どちらも選べない状態が続くより、ずっとマシなんだって気付いたのよ。……ねぇ、アンナ」
アリシアは腰を上げると、アンナの前まで移動した。アンナもまた、そっと席を立つ。そしてアンナの手をそっと握った。
「今はわからないでしょうけど、あなたもきっと同じように悩む時が来るわ。その時、今母さんが言った言葉を、思い出してほしいのよ」
「母さん……? どうして……」
アンナは瞳を涙で濡らし始めた。その手は震え、温かみがスッと引いているのがわかる。そんなアンナを見て、アリシアは心を痛めた。
「ごめんなさい……今言うのは残酷だったかしらね……グレイがいなくなって、半年しか経ってないっていうのに」
「違う……違うの……」
「え?」
なにが違うのかがわからず、アンナの顔を覗き込む。なぜかアンナは唇まで真っ青になってしまっている。
「どうしたの? 違うって、なにが?」
「だって、『思い出してほしい』だなんて……まるで……その時、母さんはいないみたいじゃない……!」
アンナの瞳から、ぽろりと涙が零れ落ちた。彼女は敏感になってしまっているのだろう。大切な者を失うことに。
アリシアはそんなアンナをそっと抱きしめた。
「馬鹿ね、母さんはそんなに簡単に死んだりしないわよ」
「グレイだって、簡単に死ぬような人じゃなかったわ……!」
「そう……ね……」
アンナの流れるような黒い髪を優しく撫でる。確かに軽率な発言だったかもしれないと思い、先ほどの言葉を訂正した。
「じゃあ、忘れていいわ! アンナがそんな状態になった時、私が諭してあげる。それでいい?」
そういうと、アンナはすすり泣きながらもこくんと頷きを見せてくれる。その動作を見て、アリシアはほっと息を吐いた。
「約束よ、母さん……」
「ええ、約束!」
力強く頷いてみせると、アンナはアリシアの腕からそっと離れていく。しかしその顔は、まだどこか不安気である。
そして今度は、アンナの方からアリシアの手を取り、そっと包むように握ってくる。
「母さん、救済の書……やっぱり本に戻さない?」
「え? どうして?」
「わからないけど、なんとなく……」
なんとなくで取り外せるわけもなく、アリシアは首を横に振る。
「いいえ、外さないわ。この異能があれば、大切な人を守れるのよ。グレイの時は……遠征中で効果の範囲外だったけれど……王宮にいたなら、守れたはずだった」
それだけが悔やまれてならない。もしもフィデル国が攻め入ってさえ来なければ、グレイを救えたというのに。
しかし、アンナはそんなアリシアの考えを否定する。
「相手はシウリス様なのよ……母さんの死体が、ひとつ増えるだけだったわ」
「そうかしら。私とグレイなら、善戦できたと思うけど」
「王族に刃を向けるつもり? 不敬罪か反逆罪で処刑よ」
確かにそう言われると、その場に居合わせなかったのは幸運だったのかもしれない。しかし、どうにかグレイを生かしてあげたかった。今さらこんなことを考えたところで、どうにもならないのはわかっているのだが。
「だからだわ。その書を外してほしいのは。母さんは無茶するから、心配なのよ。父さんとの大事な思い出だっていうのはわかるけど、本に戻しても置いておけるじゃない」
アンナはそう言って、アリシアの手を放した。アリシアは己の胸元を見つめ、やはり首を横に振る。
「だめよ。だからこそ、この書は必要なの。あなたや、あなたの周りの大切な者を守るために。もう二度と、アンナに悲しい思いをさせないために」
「……母さん……っ」
「信じて。母さんは大丈夫だから」
アリシアの決意が届いたのか、もうアンナは救済の書を外せとは言わなかった。代わりにまたも涙を流し、アリシアに抱きついてくる。
アリシアもまた、愛おしい我が子を強く抱き締めた。
(次こそは守る。この異能で、必ず。二度と、アンナにこんな顔はさせない)
不安に駆られ、肩を震わせるアンナを、アリシアはいつまでも包み込む。
そしてその震えが止まる頃には、すっかり遅くなってしまっていた。
「ごめんなさい、母さん……明日も仕事なのに」
「いいのよ、部屋は同じ王宮内なんだから。あ、ねぇ。今日はこのまま一緒に寝ちゃいましょうか」
「え?」
今の状態のアンナを一人にしておきたくなくて、アリシアはそんな提案をした。
「たまにはいいでしょう?」
「ええ……そうね。母さん、私、幸せの神様のお話を聞きたいわ」
「うっふふ。いいわよ~」
グレイが死んだ時には嘘っぱちだと言って憚らなかった幸せの神様の話。それをアンナがせがんでくれて嬉しかった。
二人はベッドに入り布団をかぶる。そしてアリシアは、話を聞かせてあげた。
天使様がいつも見ているということを。
幸せの神様が起こす、小さくも素敵な奇跡の数々を。
「絶望している人のところに、奇跡は起きないわ。希望は持ち続けるの。自分に恥ずかしくない生き方をしていれば、奇跡はいつか必ず起こるのよ」
「う……ん……」
ふとアリシアが隣を見ると、いつの間にかアンナは眠ってしまっていた。
その寝顔は幸せの神様を意識したためか、少し微笑んでいる。
そんなアンナを見てアリシアもまた微笑み、そしてその顔を撫でる。
「おやすみ、アンナ……あなたに神様のご慈悲があらんことを」
愛娘の額に優しくキスをすると、その寝顔を見ながら、アリシアも眠りに落ちていった。
こうすると、アリシアは雷神と過ごした甘い日々を思い出すことができる。一生の宝物である。
「私はこの書を取り出すつもりはないわ」
アンナが訝しげな表情に変わった。不誠実だと言われるかもしれない。
けれど、これはアンナには伝えなければいけないことなのだ。ルーシエがアリシアを諭してくれたように。今度はアリシアがアンナに教えてやらねばならない。
「アンナ。母さんはね、父さんを忘れたわけじゃないの。今でも、父さんを……ロクロウのことを、愛しているのよ」
案の定、アンナの顔が奇妙に歪んだ。なにかを言いたそうにして、しかし言葉が見つからないのか口は噤まれたままだ。
「こんな風に言うと、不誠実に思われるでしょうけど……私はロクロウもその人も、同じくらいに愛してしまったのよ」
アンナの目が大きく見開かれる。言葉にこそ出さないが、信じられないという言葉が今にも出てきそうだ。そんなアンナにアリシアは続ける。
「最初、私はロクロウ以外の人と付き合うつもりはなかったのよ。ロクロウを忘れられないのに、他の人と付き合うなんて失礼だって、そう思っていたの」
「まぁ、そう……よね……」
肯定を示すアンナの瞳に、正直であるためにまっすぐその目を見据える。
「でもね、ロクロウが好きなのも事実。その人のことが好きなのも事実なの。どちらかを選ぶのは、本当に難しいことよ。でも私は、今そばにいて支えてくれる人を選ぶことにした」
「……父さんのことを愛しているのに?」
「ええ。どちらも選べない状態が続くより、ずっとマシなんだって気付いたのよ。……ねぇ、アンナ」
アリシアは腰を上げると、アンナの前まで移動した。アンナもまた、そっと席を立つ。そしてアンナの手をそっと握った。
「今はわからないでしょうけど、あなたもきっと同じように悩む時が来るわ。その時、今母さんが言った言葉を、思い出してほしいのよ」
「母さん……? どうして……」
アンナは瞳を涙で濡らし始めた。その手は震え、温かみがスッと引いているのがわかる。そんなアンナを見て、アリシアは心を痛めた。
「ごめんなさい……今言うのは残酷だったかしらね……グレイがいなくなって、半年しか経ってないっていうのに」
「違う……違うの……」
「え?」
なにが違うのかがわからず、アンナの顔を覗き込む。なぜかアンナは唇まで真っ青になってしまっている。
「どうしたの? 違うって、なにが?」
「だって、『思い出してほしい』だなんて……まるで……その時、母さんはいないみたいじゃない……!」
アンナの瞳から、ぽろりと涙が零れ落ちた。彼女は敏感になってしまっているのだろう。大切な者を失うことに。
アリシアはそんなアンナをそっと抱きしめた。
「馬鹿ね、母さんはそんなに簡単に死んだりしないわよ」
「グレイだって、簡単に死ぬような人じゃなかったわ……!」
「そう……ね……」
アンナの流れるような黒い髪を優しく撫でる。確かに軽率な発言だったかもしれないと思い、先ほどの言葉を訂正した。
「じゃあ、忘れていいわ! アンナがそんな状態になった時、私が諭してあげる。それでいい?」
そういうと、アンナはすすり泣きながらもこくんと頷きを見せてくれる。その動作を見て、アリシアはほっと息を吐いた。
「約束よ、母さん……」
「ええ、約束!」
力強く頷いてみせると、アンナはアリシアの腕からそっと離れていく。しかしその顔は、まだどこか不安気である。
そして今度は、アンナの方からアリシアの手を取り、そっと包むように握ってくる。
「母さん、救済の書……やっぱり本に戻さない?」
「え? どうして?」
「わからないけど、なんとなく……」
なんとなくで取り外せるわけもなく、アリシアは首を横に振る。
「いいえ、外さないわ。この異能があれば、大切な人を守れるのよ。グレイの時は……遠征中で効果の範囲外だったけれど……王宮にいたなら、守れたはずだった」
それだけが悔やまれてならない。もしもフィデル国が攻め入ってさえ来なければ、グレイを救えたというのに。
しかし、アンナはそんなアリシアの考えを否定する。
「相手はシウリス様なのよ……母さんの死体が、ひとつ増えるだけだったわ」
「そうかしら。私とグレイなら、善戦できたと思うけど」
「王族に刃を向けるつもり? 不敬罪か反逆罪で処刑よ」
確かにそう言われると、その場に居合わせなかったのは幸運だったのかもしれない。しかし、どうにかグレイを生かしてあげたかった。今さらこんなことを考えたところで、どうにもならないのはわかっているのだが。
「だからだわ。その書を外してほしいのは。母さんは無茶するから、心配なのよ。父さんとの大事な思い出だっていうのはわかるけど、本に戻しても置いておけるじゃない」
アンナはそう言って、アリシアの手を放した。アリシアは己の胸元を見つめ、やはり首を横に振る。
「だめよ。だからこそ、この書は必要なの。あなたや、あなたの周りの大切な者を守るために。もう二度と、アンナに悲しい思いをさせないために」
「……母さん……っ」
「信じて。母さんは大丈夫だから」
アリシアの決意が届いたのか、もうアンナは救済の書を外せとは言わなかった。代わりにまたも涙を流し、アリシアに抱きついてくる。
アリシアもまた、愛おしい我が子を強く抱き締めた。
(次こそは守る。この異能で、必ず。二度と、アンナにこんな顔はさせない)
不安に駆られ、肩を震わせるアンナを、アリシアはいつまでも包み込む。
そしてその震えが止まる頃には、すっかり遅くなってしまっていた。
「ごめんなさい、母さん……明日も仕事なのに」
「いいのよ、部屋は同じ王宮内なんだから。あ、ねぇ。今日はこのまま一緒に寝ちゃいましょうか」
「え?」
今の状態のアンナを一人にしておきたくなくて、アリシアはそんな提案をした。
「たまにはいいでしょう?」
「ええ……そうね。母さん、私、幸せの神様のお話を聞きたいわ」
「うっふふ。いいわよ~」
グレイが死んだ時には嘘っぱちだと言って憚らなかった幸せの神様の話。それをアンナがせがんでくれて嬉しかった。
二人はベッドに入り布団をかぶる。そしてアリシアは、話を聞かせてあげた。
天使様がいつも見ているということを。
幸せの神様が起こす、小さくも素敵な奇跡の数々を。
「絶望している人のところに、奇跡は起きないわ。希望は持ち続けるの。自分に恥ずかしくない生き方をしていれば、奇跡はいつか必ず起こるのよ」
「う……ん……」
ふとアリシアが隣を見ると、いつの間にかアンナは眠ってしまっていた。
その寝顔は幸せの神様を意識したためか、少し微笑んでいる。
そんなアンナを見てアリシアもまた微笑み、そしてその顔を撫でる。
「おやすみ、アンナ……あなたに神様のご慈悲があらんことを」
愛娘の額に優しくキスをすると、その寝顔を見ながら、アリシアも眠りに落ちていった。
0
お気に入りに追加
79
あなたにおすすめの小説
【完結】365日後の花言葉
Ringo
恋愛
許せなかった。
幼い頃からの婚約者でもあり、誰よりも大好きで愛していたあなただからこそ。
あなたの裏切りを知った翌朝、私の元に届いたのはゼラニウムの花束。
“ごめんなさい”
言い訳もせず、拒絶し続ける私の元に通い続けるあなたの愛情を、私はもう一度信じてもいいの?
※勢いよく本編完結しまして、番外編ではイチャイチャするふたりのその後をお届けします。


【完結】二度目の恋はもう諦めたくない。
たろ
恋愛
セレンは15歳の時に16歳のスティーブ・ロセスと結婚した。いわゆる政略的な結婚で、幼馴染でいつも喧嘩ばかりの二人は歩み寄りもなく一年で離縁した。
その一年間をなかったものにするため、お互い全く別のところへ移り住んだ。
スティーブはアルク国に留学してしまった。
セレンは国の文官の試験を受けて働くことになった。配属は何故か騎士団の事務員。
本人は全く気がついていないが騎士団員の間では
『可愛い子兎』と呼ばれ、何かと理由をつけては事務室にみんな足を運ぶこととなる。
そんな騎士団に入隊してきたのが、スティーブ。
お互い結婚していたことはなかったことにしようと、話すこともなく目も合わせないで過ごした。
本当はお互い好き合っているのに素直になれない二人。
そして、少しずつお互いの誤解が解けてもう一度……
始めの数話は幼い頃の出会い。
そして結婚1年間の話。
再会と続きます。

結婚30年、契約満了したので離婚しませんか?
おもちのかたまり
恋愛
恋愛・小説 11位になりました!
皆様ありがとうございます。
「私、旦那様とお付き合いも甘いやり取りもしたことが無いから…ごめんなさい、ちょっと他人事なのかも。もちろん、貴方達の事は心から愛しているし、命より大事よ。」
眉根を下げて笑う母様に、一発じゃあ足りないなこれは。と確信した。幸い僕も姉さん達も祝福持ちだ。父様のような力極振りではないけれど、三対一なら勝ち目はある。
「じゃあ母様は、父様が嫌で離婚するわけではないんですか?」
ケーキを幸せそうに頬張っている母様は、僕の言葉にきょとん。と目を見開いて。…もしかすると、母様にとって父様は、関心を向ける程の相手ではないのかもしれない。嫌な予感に、今日一番の寒気がする。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇
20年前に攻略対象だった父親と、悪役令嬢の取り巻きだった母親の現在のお話。
ハッピーエンド・バットエンド・メリーバットエンド・女性軽視・女性蔑視
上記に当てはまりますので、苦手な方、ご不快に感じる方はお気を付けください。

【完結】長い眠りのその後で
maruko
恋愛
伯爵令嬢のアディルは王宮魔術師団の副団長サンディル・メイナードと結婚しました。
でも婚約してから婚姻まで一度も会えず、婚姻式でも、新居に向かう馬車の中でも目も合わせない旦那様。
いくら政略結婚でも幸せになりたいって思ってもいいでしょう?
このまま幸せになれるのかしらと思ってたら⋯⋯アレッ?旦那様が2人!!
どうして旦那様はずっと眠ってるの?
唖然としたけど強制的に旦那様の為に動かないと行けないみたい。
しょうがないアディル頑張りまーす!!
複雑な家庭環境で育って、醒めた目で世間を見ているアディルが幸せになるまでの物語です
全50話(2話分は登場人物と時系列の整理含む)
※他サイトでも投稿しております
ご都合主義、誤字脱字、未熟者ですが優しい目線で読んで頂けますと幸いです

〈完結〉【書籍化&コミカライズ・取り下げ予定】記憶を失ったらあなたへの恋心も消えました。
ごろごろみかん。
恋愛
婚約者には、何よりも大切にしている義妹がいる、らしい。
ある日、私は階段から転がり落ち、目が覚めた時には全てを忘れていた。
対面した婚約者は、
「お前がどうしても、というからこの婚約を結んだ。そんなことも覚えていないのか」
……とても偉そう。日記を見るに、以前の私は彼を慕っていたらしいけれど。
「階段から転げ落ちた衝撃であなたへの恋心もなくなったみたいです。ですから婚約は解消していただいて構いません。今まで無理を言って申し訳ありませんでした」
今の私はあなたを愛していません。
気弱令嬢(だった)シャーロットの逆襲が始まる。
☆タイトルコロコロ変えてすみません、これで決定、のはず。
☆商業化が決定したため取り下げ予定です(完結まで更新します)

【完結】巻き戻りを望みましたが、それでもあなたは遠い人
白雨 音
恋愛
14歳のリリアーヌは、淡い恋をしていた。相手は家同士付き合いのある、幼馴染みのレーニエ。
だが、その年、彼はリリアーヌを庇い酷い傷を負ってしまった。その所為で、二人の運命は狂い始める。
罪悪感に苛まれるリリアーヌは、時が戻れば良いと切に願うのだった。
そして、それは現実になったのだが…短編、全6話。
切ないですが、最後はハッピーエンドです☆《完結しました》

10年間の結婚生活を忘れました ~ドーラとレクス~
緑谷めい
恋愛
ドーラは金で買われたも同然の妻だった――
レクスとの結婚が決まった際「ドーラ、すまない。本当にすまない。不甲斐ない父を許せとは言わん。だが、我が家を助けると思ってゼーマン伯爵家に嫁いでくれ。頼む。この通りだ」と自分に頭を下げた実父の姿を見て、ドーラは自分の人生を諦めた。齢17歳にしてだ。
※ 全10話完結予定
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる