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「あなたを愛することはない」と言われた者の痛みを思い知れ 〜射止めるために頭脳派令嬢は手段を選ばない〜
中編
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一年後。
ヴィヴィアン様のお胸は豊かになった。
食事の改善が良かったのか、毎日のマッサージが良かったのか。
もうこれだけ大きくなれば、私はお役御免だろう。
大きくなったヴィヴィアン様のお胸を、モートンはすれ違うたびに涎を垂らすように見ている。ゲスめ。
しかしヴィヴィアン様は奴のために大きくしているのだから、私が口を挟む余地はない。
ああ、しかし!!
ヴィヴィアン様のお体があの男に好き放題されてしまうのかと思うと、腹の底から黒いものが全身に沸き立ってしまいそうだ!!
毎日のマッサージで見せる、ヴィヴィたんの恍惚の表情……あれをあの男にも見せるのかと思うと……それ以上を見せるのかと思うと……!
気が、狂いそうになる…………!!!!
だが私は冷静な執事。
そしてただの執事なのだ。
なにも望んではならない。
ただヴィヴィアン様の願いを叶えてあげたい。それだけだ。
「ヴィヴィアン様、本日からはマッサージはやめましょう」
「っえ?!」
驚くヴィヴィアン様に、私はにっこりと微笑んでみせる。
「もう十分に育ちましたし、それ以上は不要というものです。これでモートン様もヴィヴィアン様を抱いてくれることでしょう。目的達成でございます」
「あ……」
ヴィヴィアン様の顔が曇った。これだけ大きくなったのに、まだ不安だとでもいうのだろうか。
「そう……ね……私は……後継者を産まなければいけない立場だものね……」
「きっとうまくいきますよ。今夜、がんばってみてはいかがでしょう?」
「……」
自分で言いながら、胸が引き裂かれそうだ。
しかしこれはヴィヴィアン様の望んだことなのだから。私が私情を挟むわけには……。
私情? なにを言っているんだ、私は。ただの執事である私が、私情などと。そんなものはないというのに。
「……わかったわ」
ヴィヴィアン様の決意の表情。
初めてを捧げるのは、やはり愛する人が相手でも怖いものなのだろう。
受け入れてもらえるかの不安もあるのかもしれない。
今のヴィヴィアン様を前に、受け入れない男など、この世にはいないと思うが。
「でも、一つお願いがあるの……聞いてくれる? レイナルド」
「ヴィヴィアン様のお願いとあらば、なんなりと」
私の返事に、ヴィヴィアン様はほっとしたように言葉を繋いだ。
***
というわけで、またデバガメ中だ。
たった今、ヴィヴィアン様はモートンの部屋へと入っていった。
時刻は深夜。もちろん、ヴィヴィアン様はそのつもりである。
しかし、ヴィヴィアン様はなぜ、私に立ち聞きしてほしいと言ったのか?
そういう趣味があるのだろうか……。
正直、二人の情事をずっと聞いていなければいけないのは……つらいよーヴィヴィたん!!
これも仕事のうちだと言い聞かせ、私は仕方なく耳を澄ませる。
はぁ、ヴィヴィたんが……ヴィヴィたんの純潔が……つ、つらい……!!
せめて私が貴族の家督を持っていたならば……
っく、持っていたらどうなったというのだ。そんな事を考えても、どうしようもないというのに!
「はは、本当に大きくしてくるとは感心したよ、ヴィヴィアン」
中からモートンの声がした。
あなたを愛することはないと、貧相な体だと言ってヴィヴィアン様を傷つけたモートン。
こんな男の一体どこがいいんだ……私なら、絶対に絶対に、ヴィヴィアン様を傷つけたりはしないというのに……!
「感謝していますわ。あなたの一言で、私はこの体を手に入れたのですから」
「今日からその体は俺のものとなるわけだ。はやく、ベッドに入ってくるといい」
くそっ、ヴィヴィアン様の清い体が……あいつなんかに……!
「あら、愛人に捨てられた方は必死ですわね?」
コロコロと笑うような声が室内に響いている。
え、愛人? あいつ、愛人なんていたのか!
「……知ってたのか」
「ええ、まぁ」
「仕方ないだろう、あなたの体では欲情できなかったのだから」
「ふふ、おかしかったですわ。あなたは振られてから、わたくしに夢中になっていくんですもの」
「おかしかった? 嬉しかったの間違いだろう。俺も気づいたんだ。ヴィヴィアンの優しさと妖艶さにね。早く抱きたくてしかたなかった」
「あら、わたくしを愛してくれるんですの?」
「ああ、愛している。早くこの腕の中で啼かせたい」
「まぁ」
衣擦れの音がして、ヴィヴィアン様がベッドに近づいているのがわかる。
ああ、とうとう大人になってしまわれるのか。
私のヴィヴィたん……
しかしその瞬間、パシーーンという音が響いた。
「わたくしがあなたを愛することはありません!!」
私はぎょっとして扉を見つめた。
なんだ、なにが起こっている??
「わたくしがあなたの言葉でどれだけ傷ついたと思っているのですか!! これから共に人生を歩もうと決意をした人に『愛さない』と言われ、貧相な体と罵られ!! 誰にも女として見られないのだと、突きつけられたわたくしの心がわかりますか!!」
ああ、あんな男の言うことなど気にしなくていいといったのに……!
やはりヴィヴィアン様は傷ついておられたのか……。
「だから、女として認めてあげるよ。俺の子を産んで、家庭は円満。それですべては丸く収まるはずだ」
「お断りいたしますわ」
「あなたは俺の要求を断れる立場ではないんだ。来い」
「い、いや!! 助けて、レイナルド!!」
ヴィヴィアン様が私の名を呼び、私は急いで扉を開ける。
モートンが無理やりにヴィヴィアン様を抱き込もうとしていて、私は彼の手を捻り上げた。
「いたたた!! なにをする!! 俺はこの屋敷の主人だぞ!!」
「私がお仕えするのは、ヴィヴィアン様ただお一人ですので」
手を離すと、私はヴィヴィアン様を庇うようにしてモートンと対峙した。
「ふざけるな!! 俺がこの女を抱かなければ、後継者がいなくなるだろう! 俺は夫婦としての責務を果たそうとしただけだ!」
「責務を果たそうと思うのが、遅すぎたのではないですかね。あなたは、一大決心をされていたヴィヴィアン様との初夜を蹴った。それだけではなく、ヴィヴィアン様を傷つけた。ヴィヴィアン様が努力なさっている間、あなたは愛人に夢中になっていた。私の目から見ても、あなたがヴィヴィアン様に愛される資格はない」
ギロッと睨みつけると、モートンは顔を顰めた。しかしすぐに不敵な笑いに転じている。
「ならどうするつもりだ? 離縁でもするか? できないだろうな、この伯爵家には侯爵家の後ろ盾が必要だ。仮に離縁したとして、いい縁談があるはずもない」
っく、と私の息が漏れる。悔しいがその通りだ。
この伯爵家もそれほど勢力が大きいわけではない。だからこそ、侯爵家との繋がりを作るための婚姻だった。
そして将来はモートンに家督を渡す約束をすることで、双方の思惑が成立していたのだ。
今モートンと離縁しても、伯爵家としてはマイナスにしかならないのは確か。だがこのままでは、ヴィヴィアン様があまりにもおかわいそうだ……!
「離縁しますわ」
「「え?」」
凛と空気を響かせた声に、私とモートンの間抜けな声が重なる。
ちょっとヴィヴィたん?! なにを言っているんですか!!
「離縁、いたしましょう」
真っ直ぐにモートンを見つめる赤い瞳はかっこいいですけれども。
なにを言っているのか、ご自分でわかってるんですかね。
「いいのですか、ヴィヴィアン様」
「ええ、構いません」
ヴィヴィたん、ご乱心!!
これはまずい。もちろん、このまま婚姻を続けさせたくはないが……
「結婚から一年、この屋敷を牛耳っているのは今や俺だぞ?」
「それがどうかしましたか? 結婚することで家督は譲るという約束でしたが、まだ爵位は父にありますから、モートン様と離縁したところで問題ありませんわ」
「世間知らずのお嬢さんだとは思っていたが……やれやれ。俺と離縁すればあなたの経歴に傷がつき、一生結婚などできなくなるだろう。侯爵家の後ろ盾もなくなるし、俺は全力でこの伯爵家を潰しにかかるが? それでも離縁するというなら、すればいいさ」
もうこいつは殺して埋めてしまおうそうしよう。
こんな男と結婚したのがそもそもの間違いだった。
だがモートンの言う通り、婚姻生活を続けなければイーグルウッド家がどうなるかは、火を見るより明らか。伯爵には恩もあるし、私はどうすれば……っ
「かまいません、離縁してくださいませ」
ヴィヴィたーーーーーーん!!
ちょっとは考えて!! 気持ちはわかるけど、イーグルウッド伯爵家の存亡がかかってるんですから!!
「は、ははははは!! 本当にあなたはバカな娘だな! いやぁ、愉快だ。いいだろう、離縁してあげるよ。死ぬほど後悔すればいい」
「ありがとうございます。わたくしも嬉しくてなりませんわ」
ヴィヴィたん、いい笑顔。肖像画に残しておきたい。
いやしかし、イーグルウッド家はこのままでは……。
ヴィヴィアン様はわかっておられるのだろうか。侯爵家に潰されないためには、大きな勢力と婚姻を結ぶ必要があり、一度離縁を経験した者では困難を極めるということが。
「ははは、俺も君がその体を使うことなく一生独身なのかと思うと、笑いが止まらないよ!」
「うふふ、ご心配なく。次の結婚相手は決まっておりますから」
「なんだと?」
え! ヴィヴィたん、いつの間にそんな人が!!
……そうか、さすがヴィヴィアン様。すべてを見越して、巨大勢力を持つ方との婚姻約束をすでに取り付けて……
「わたくしの相手は、このレイナルドですわ!」
まっ!! まさかの私ーーーーーーッッ!!
ヴィヴィアン様のお胸は豊かになった。
食事の改善が良かったのか、毎日のマッサージが良かったのか。
もうこれだけ大きくなれば、私はお役御免だろう。
大きくなったヴィヴィアン様のお胸を、モートンはすれ違うたびに涎を垂らすように見ている。ゲスめ。
しかしヴィヴィアン様は奴のために大きくしているのだから、私が口を挟む余地はない。
ああ、しかし!!
ヴィヴィアン様のお体があの男に好き放題されてしまうのかと思うと、腹の底から黒いものが全身に沸き立ってしまいそうだ!!
毎日のマッサージで見せる、ヴィヴィたんの恍惚の表情……あれをあの男にも見せるのかと思うと……それ以上を見せるのかと思うと……!
気が、狂いそうになる…………!!!!
だが私は冷静な執事。
そしてただの執事なのだ。
なにも望んではならない。
ただヴィヴィアン様の願いを叶えてあげたい。それだけだ。
「ヴィヴィアン様、本日からはマッサージはやめましょう」
「っえ?!」
驚くヴィヴィアン様に、私はにっこりと微笑んでみせる。
「もう十分に育ちましたし、それ以上は不要というものです。これでモートン様もヴィヴィアン様を抱いてくれることでしょう。目的達成でございます」
「あ……」
ヴィヴィアン様の顔が曇った。これだけ大きくなったのに、まだ不安だとでもいうのだろうか。
「そう……ね……私は……後継者を産まなければいけない立場だものね……」
「きっとうまくいきますよ。今夜、がんばってみてはいかがでしょう?」
「……」
自分で言いながら、胸が引き裂かれそうだ。
しかしこれはヴィヴィアン様の望んだことなのだから。私が私情を挟むわけには……。
私情? なにを言っているんだ、私は。ただの執事である私が、私情などと。そんなものはないというのに。
「……わかったわ」
ヴィヴィアン様の決意の表情。
初めてを捧げるのは、やはり愛する人が相手でも怖いものなのだろう。
受け入れてもらえるかの不安もあるのかもしれない。
今のヴィヴィアン様を前に、受け入れない男など、この世にはいないと思うが。
「でも、一つお願いがあるの……聞いてくれる? レイナルド」
「ヴィヴィアン様のお願いとあらば、なんなりと」
私の返事に、ヴィヴィアン様はほっとしたように言葉を繋いだ。
***
というわけで、またデバガメ中だ。
たった今、ヴィヴィアン様はモートンの部屋へと入っていった。
時刻は深夜。もちろん、ヴィヴィアン様はそのつもりである。
しかし、ヴィヴィアン様はなぜ、私に立ち聞きしてほしいと言ったのか?
そういう趣味があるのだろうか……。
正直、二人の情事をずっと聞いていなければいけないのは……つらいよーヴィヴィたん!!
これも仕事のうちだと言い聞かせ、私は仕方なく耳を澄ませる。
はぁ、ヴィヴィたんが……ヴィヴィたんの純潔が……つ、つらい……!!
せめて私が貴族の家督を持っていたならば……
っく、持っていたらどうなったというのだ。そんな事を考えても、どうしようもないというのに!
「はは、本当に大きくしてくるとは感心したよ、ヴィヴィアン」
中からモートンの声がした。
あなたを愛することはないと、貧相な体だと言ってヴィヴィアン様を傷つけたモートン。
こんな男の一体どこがいいんだ……私なら、絶対に絶対に、ヴィヴィアン様を傷つけたりはしないというのに……!
「感謝していますわ。あなたの一言で、私はこの体を手に入れたのですから」
「今日からその体は俺のものとなるわけだ。はやく、ベッドに入ってくるといい」
くそっ、ヴィヴィアン様の清い体が……あいつなんかに……!
「あら、愛人に捨てられた方は必死ですわね?」
コロコロと笑うような声が室内に響いている。
え、愛人? あいつ、愛人なんていたのか!
「……知ってたのか」
「ええ、まぁ」
「仕方ないだろう、あなたの体では欲情できなかったのだから」
「ふふ、おかしかったですわ。あなたは振られてから、わたくしに夢中になっていくんですもの」
「おかしかった? 嬉しかったの間違いだろう。俺も気づいたんだ。ヴィヴィアンの優しさと妖艶さにね。早く抱きたくてしかたなかった」
「あら、わたくしを愛してくれるんですの?」
「ああ、愛している。早くこの腕の中で啼かせたい」
「まぁ」
衣擦れの音がして、ヴィヴィアン様がベッドに近づいているのがわかる。
ああ、とうとう大人になってしまわれるのか。
私のヴィヴィたん……
しかしその瞬間、パシーーンという音が響いた。
「わたくしがあなたを愛することはありません!!」
私はぎょっとして扉を見つめた。
なんだ、なにが起こっている??
「わたくしがあなたの言葉でどれだけ傷ついたと思っているのですか!! これから共に人生を歩もうと決意をした人に『愛さない』と言われ、貧相な体と罵られ!! 誰にも女として見られないのだと、突きつけられたわたくしの心がわかりますか!!」
ああ、あんな男の言うことなど気にしなくていいといったのに……!
やはりヴィヴィアン様は傷ついておられたのか……。
「だから、女として認めてあげるよ。俺の子を産んで、家庭は円満。それですべては丸く収まるはずだ」
「お断りいたしますわ」
「あなたは俺の要求を断れる立場ではないんだ。来い」
「い、いや!! 助けて、レイナルド!!」
ヴィヴィアン様が私の名を呼び、私は急いで扉を開ける。
モートンが無理やりにヴィヴィアン様を抱き込もうとしていて、私は彼の手を捻り上げた。
「いたたた!! なにをする!! 俺はこの屋敷の主人だぞ!!」
「私がお仕えするのは、ヴィヴィアン様ただお一人ですので」
手を離すと、私はヴィヴィアン様を庇うようにしてモートンと対峙した。
「ふざけるな!! 俺がこの女を抱かなければ、後継者がいなくなるだろう! 俺は夫婦としての責務を果たそうとしただけだ!」
「責務を果たそうと思うのが、遅すぎたのではないですかね。あなたは、一大決心をされていたヴィヴィアン様との初夜を蹴った。それだけではなく、ヴィヴィアン様を傷つけた。ヴィヴィアン様が努力なさっている間、あなたは愛人に夢中になっていた。私の目から見ても、あなたがヴィヴィアン様に愛される資格はない」
ギロッと睨みつけると、モートンは顔を顰めた。しかしすぐに不敵な笑いに転じている。
「ならどうするつもりだ? 離縁でもするか? できないだろうな、この伯爵家には侯爵家の後ろ盾が必要だ。仮に離縁したとして、いい縁談があるはずもない」
っく、と私の息が漏れる。悔しいがその通りだ。
この伯爵家もそれほど勢力が大きいわけではない。だからこそ、侯爵家との繋がりを作るための婚姻だった。
そして将来はモートンに家督を渡す約束をすることで、双方の思惑が成立していたのだ。
今モートンと離縁しても、伯爵家としてはマイナスにしかならないのは確か。だがこのままでは、ヴィヴィアン様があまりにもおかわいそうだ……!
「離縁しますわ」
「「え?」」
凛と空気を響かせた声に、私とモートンの間抜けな声が重なる。
ちょっとヴィヴィたん?! なにを言っているんですか!!
「離縁、いたしましょう」
真っ直ぐにモートンを見つめる赤い瞳はかっこいいですけれども。
なにを言っているのか、ご自分でわかってるんですかね。
「いいのですか、ヴィヴィアン様」
「ええ、構いません」
ヴィヴィたん、ご乱心!!
これはまずい。もちろん、このまま婚姻を続けさせたくはないが……
「結婚から一年、この屋敷を牛耳っているのは今や俺だぞ?」
「それがどうかしましたか? 結婚することで家督は譲るという約束でしたが、まだ爵位は父にありますから、モートン様と離縁したところで問題ありませんわ」
「世間知らずのお嬢さんだとは思っていたが……やれやれ。俺と離縁すればあなたの経歴に傷がつき、一生結婚などできなくなるだろう。侯爵家の後ろ盾もなくなるし、俺は全力でこの伯爵家を潰しにかかるが? それでも離縁するというなら、すればいいさ」
もうこいつは殺して埋めてしまおうそうしよう。
こんな男と結婚したのがそもそもの間違いだった。
だがモートンの言う通り、婚姻生活を続けなければイーグルウッド家がどうなるかは、火を見るより明らか。伯爵には恩もあるし、私はどうすれば……っ
「かまいません、離縁してくださいませ」
ヴィヴィたーーーーーーん!!
ちょっとは考えて!! 気持ちはわかるけど、イーグルウッド伯爵家の存亡がかかってるんですから!!
「は、ははははは!! 本当にあなたはバカな娘だな! いやぁ、愉快だ。いいだろう、離縁してあげるよ。死ぬほど後悔すればいい」
「ありがとうございます。わたくしも嬉しくてなりませんわ」
ヴィヴィたん、いい笑顔。肖像画に残しておきたい。
いやしかし、イーグルウッド家はこのままでは……。
ヴィヴィアン様はわかっておられるのだろうか。侯爵家に潰されないためには、大きな勢力と婚姻を結ぶ必要があり、一度離縁を経験した者では困難を極めるということが。
「ははは、俺も君がその体を使うことなく一生独身なのかと思うと、笑いが止まらないよ!」
「うふふ、ご心配なく。次の結婚相手は決まっておりますから」
「なんだと?」
え! ヴィヴィたん、いつの間にそんな人が!!
……そうか、さすがヴィヴィアン様。すべてを見越して、巨大勢力を持つ方との婚姻約束をすでに取り付けて……
「わたくしの相手は、このレイナルドですわ!」
まっ!! まさかの私ーーーーーーッッ!!
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