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もうコイツ一人でいいんじゃね?
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ステータスを見た時から、理不尽までの差があるのは知っていた。
でも、そのあまりにも圧倒的な強さを目の当たりにすると、俺にもこのチートをくれなかったショタコンの神様に呪い言の一つも言いたくなる。
(俺もショタなら良かったのか、ならショタにして転生させやがれ!!)
ギルドで採取の依頼を受け、街の近くにある森で採取をしている時に現れたモンスターに、ようやく俺の戦いが始まると思っていたのに・・・・
「脆すぎる。すねこすりの方が可愛げがある分マシだな」
「お前、マジで強すぎね?」
「そうか?」
物音がする。視線を向ける。瀕死のモンスター又はクリスタルを持ったヌラが立っている。
支給された短剣を抜く暇もなく、頭の中で聞こえるファンファーレだけが空しく響き、採取作業に戻る自分がちょっと悲しい。
(いや、順調なのは良い事だ・・・良い事なんだか・・・)
小学校の頃にやった野外実習の芋ほりをやってる感じで、冒険も何もあったもんじゃない。
鑑定のおかげで、採取する物を間違えない俺と無双状態のヌラの役割は適材適所ともいえるのだが・・・長時間屈んでの薬草取りに腰が痛くて挫けそうだ。
「なあ、今度モンスターが出たら俺にも戦わせてくれよ」
「分かった」
採取が終わっても、一回も戦闘をしないというのは流石に寂し過ぎる。
それから他のもついでに採取を続ける事、十数分後・・・
ガサガサ・・・
草むらから聞こえてきた物音に、立ち上がって今度こそ短剣を引き抜いて視線を向ける。
最弱ゴブリン
HP 12
MP 0
備考
その名の通り最弱のモンスター。頭も非常に悪く、一般人でもそうそう負けることはない。
腰みのだけを巻いたガリガリのモンスターは、俺を見ると聞き取れない雄たけびを上げながら突っ込んでくる。その突進を見据えながら、持っていた短剣をまっすぐ構えると、自分から剣の先端に突き刺さり、ぐちゅっと手に嫌な感触と突っ込まれた衝撃が伝わってくる。
「ギィアアァア!!」
「う、うぷっ・・・おええぇぇ・・・」
ちょうど心臓に突き刺さり、絶命したゴブリンは仰向けに倒れた際に引き抜かれた傷口から吹き出す血が顔に掛かり、気持ち悪い液体と匂いに堪らずに俺は嘔吐する。
クリスタル化するモンスターを横目で確認していると、不意に背中を撫でる感触がして、そちらを見ると心配そうに俺を見てくるヌラに感謝する。
(全然思ってたのと違げぇ・・・ちくしょう・・・)
まだ手は衝撃でジンジンして痛いし、突き刺した感触が残っていて、視界が涙で滲んでいく。
「ヌラ・・・あのよ。その気はねぇけど、抱きしめていい?」
「構わない」
「あんがと」
俺は躊躇わずに、暖かくて小さな身体を抱きしめる。
初めてモンスターを殺した罪悪感から逃げるように紛らわすように強く、強く・・・
背中を優しく叩いてくれる小さな手が嬉しくて、年甲斐もなく俺は震えながら涙をこぼしていた。
それから気恥ずかしいさを感じながら、俺がモンスターと戦うのに慣れるまで、ヌラは根気よく付きあってくれた。本当にコイツが相棒で良かったと心から思えた。
「色々と恥ずかしいとこ見せちまったな」
「別に気にしてない」
ギルドに向かう帰り道、俺はヌラと手を繋ぎながら一緒に歩く。
周りからの視線を感じたが、不思議と気にならなくて、むしろ俺の相棒を自慢したいぐらいだ。
「お姉さん。依頼品持ってきたぜ!!」
「お疲れ様です。いやし草10本。確かに受け取りました」
受付で依頼品と冒険者カードを渡すと、0Pだったポイントが50Pになって返ってくる。
(あれだけの思いをして、このポイントかぁ・・・まだまだ勇者の道のりは長そうだな・・・)
日本がどれだけ平和な国で、自分がどれだけ安穏と過ごせてきたかを再確認して苦笑いする。
「早速ポイントをテルに替えたいんだけど・・・」
「かしこまりました。何ポイントを変換いたしますか?」
「全ポイントで」
「承りました」
もう一度カードを渡すと、5000テルの銅貨50枚が入った袋を渡される。
(こ、こんだけなのかよ・・・)
1ポイント=100テルなのは知っていたが、改めて実感すると頭が痛くなる。
運よく一番に依頼を達成できたが、これだけだと今日の宿代にも足りない。
「ゴート。僕もクリスタル売りたい」
「おっ、そうだったな」
クリスタルもポイントに出来る事を思い出し、受付のお姉さんの机の上にクリスタルを大量に置かれていく。クリスタルと言っても一円玉サイズの光る丸い石で、知らなければビー玉にしか見えない。
「こ、こんなに討伐されたんですか?」
「うん」
「いつの間に・・・・」
「採取している間。暇だったから気配のする場所を手当たり次第に行ってた」
音もなく、高速で移動していたのか、採取に夢中だった俺も全く気付いてなかった。
(てか、俺が襲われたらどうする気だったんだ・・・?)
その事をあとで聞いてみたら、俺が常に視界に入るように移動していたとの事で、もうコイツ一人でいいんじゃね?と思ってしまった。
売ったらポイントは500Pになっており、あれだけ苦労した採取依頼の十倍とか笑いしか出てこなかった。俺の相棒マジチート。
でも、そのあまりにも圧倒的な強さを目の当たりにすると、俺にもこのチートをくれなかったショタコンの神様に呪い言の一つも言いたくなる。
(俺もショタなら良かったのか、ならショタにして転生させやがれ!!)
ギルドで採取の依頼を受け、街の近くにある森で採取をしている時に現れたモンスターに、ようやく俺の戦いが始まると思っていたのに・・・・
「脆すぎる。すねこすりの方が可愛げがある分マシだな」
「お前、マジで強すぎね?」
「そうか?」
物音がする。視線を向ける。瀕死のモンスター又はクリスタルを持ったヌラが立っている。
支給された短剣を抜く暇もなく、頭の中で聞こえるファンファーレだけが空しく響き、採取作業に戻る自分がちょっと悲しい。
(いや、順調なのは良い事だ・・・良い事なんだか・・・)
小学校の頃にやった野外実習の芋ほりをやってる感じで、冒険も何もあったもんじゃない。
鑑定のおかげで、採取する物を間違えない俺と無双状態のヌラの役割は適材適所ともいえるのだが・・・長時間屈んでの薬草取りに腰が痛くて挫けそうだ。
「なあ、今度モンスターが出たら俺にも戦わせてくれよ」
「分かった」
採取が終わっても、一回も戦闘をしないというのは流石に寂し過ぎる。
それから他のもついでに採取を続ける事、十数分後・・・
ガサガサ・・・
草むらから聞こえてきた物音に、立ち上がって今度こそ短剣を引き抜いて視線を向ける。
最弱ゴブリン
HP 12
MP 0
備考
その名の通り最弱のモンスター。頭も非常に悪く、一般人でもそうそう負けることはない。
腰みのだけを巻いたガリガリのモンスターは、俺を見ると聞き取れない雄たけびを上げながら突っ込んでくる。その突進を見据えながら、持っていた短剣をまっすぐ構えると、自分から剣の先端に突き刺さり、ぐちゅっと手に嫌な感触と突っ込まれた衝撃が伝わってくる。
「ギィアアァア!!」
「う、うぷっ・・・おええぇぇ・・・」
ちょうど心臓に突き刺さり、絶命したゴブリンは仰向けに倒れた際に引き抜かれた傷口から吹き出す血が顔に掛かり、気持ち悪い液体と匂いに堪らずに俺は嘔吐する。
クリスタル化するモンスターを横目で確認していると、不意に背中を撫でる感触がして、そちらを見ると心配そうに俺を見てくるヌラに感謝する。
(全然思ってたのと違げぇ・・・ちくしょう・・・)
まだ手は衝撃でジンジンして痛いし、突き刺した感触が残っていて、視界が涙で滲んでいく。
「ヌラ・・・あのよ。その気はねぇけど、抱きしめていい?」
「構わない」
「あんがと」
俺は躊躇わずに、暖かくて小さな身体を抱きしめる。
初めてモンスターを殺した罪悪感から逃げるように紛らわすように強く、強く・・・
背中を優しく叩いてくれる小さな手が嬉しくて、年甲斐もなく俺は震えながら涙をこぼしていた。
それから気恥ずかしいさを感じながら、俺がモンスターと戦うのに慣れるまで、ヌラは根気よく付きあってくれた。本当にコイツが相棒で良かったと心から思えた。
「色々と恥ずかしいとこ見せちまったな」
「別に気にしてない」
ギルドに向かう帰り道、俺はヌラと手を繋ぎながら一緒に歩く。
周りからの視線を感じたが、不思議と気にならなくて、むしろ俺の相棒を自慢したいぐらいだ。
「お姉さん。依頼品持ってきたぜ!!」
「お疲れ様です。いやし草10本。確かに受け取りました」
受付で依頼品と冒険者カードを渡すと、0Pだったポイントが50Pになって返ってくる。
(あれだけの思いをして、このポイントかぁ・・・まだまだ勇者の道のりは長そうだな・・・)
日本がどれだけ平和な国で、自分がどれだけ安穏と過ごせてきたかを再確認して苦笑いする。
「早速ポイントをテルに替えたいんだけど・・・」
「かしこまりました。何ポイントを変換いたしますか?」
「全ポイントで」
「承りました」
もう一度カードを渡すと、5000テルの銅貨50枚が入った袋を渡される。
(こ、こんだけなのかよ・・・)
1ポイント=100テルなのは知っていたが、改めて実感すると頭が痛くなる。
運よく一番に依頼を達成できたが、これだけだと今日の宿代にも足りない。
「ゴート。僕もクリスタル売りたい」
「おっ、そうだったな」
クリスタルもポイントに出来る事を思い出し、受付のお姉さんの机の上にクリスタルを大量に置かれていく。クリスタルと言っても一円玉サイズの光る丸い石で、知らなければビー玉にしか見えない。
「こ、こんなに討伐されたんですか?」
「うん」
「いつの間に・・・・」
「採取している間。暇だったから気配のする場所を手当たり次第に行ってた」
音もなく、高速で移動していたのか、採取に夢中だった俺も全く気付いてなかった。
(てか、俺が襲われたらどうする気だったんだ・・・?)
その事をあとで聞いてみたら、俺が常に視界に入るように移動していたとの事で、もうコイツ一人でいいんじゃね?と思ってしまった。
売ったらポイントは500Pになっており、あれだけ苦労した採取依頼の十倍とか笑いしか出てこなかった。俺の相棒マジチート。
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